お嬢様は、今日も戦ってます~武闘派ですから狙った獲物は逃がしません~

高瀬 八鳳

文字の大きさ
36 / 79

㊱剣大会 2日目後半

しおりを挟む

 剣大会に出ると決めてからこの2週間弱。私は今までと違う、多様な攻撃と防御の練習を行った。
 ライガは、特に私が倒すと宣言した、西の民や傭兵達への対応を細かく指示した。

 簡単に言うと、と、、をマスターした。

「力のある相手に、力で対抗しようとするな。全身対全身では勝ち目はないが、相手のいち部分にチカの全力を打ち込めば、勝てる。てこの原理を使え。チカの世界でいうところの『アイキドー』の技術を活かすんだ」
「チカは子供達を庇った時、相手が蹴りを入れてくるのがわかったと言ってただろ。前から言うように、チカには相手の心をなんとなく感じる能力がある。相手の次の行動を読むんだ」

 そう言って、ライガは何度も何度も私に、くるりんパとはじき飛ばす、の練習をさせた。

(どうやら、必殺技をださないと勝てない相手がご登場のようね。なるべくサンダとブルガ以外には使いたくなかったけど)

 私は相手の次の行動を感じようと、意識を集中させる。

 その男、サンボはにやにやしながら、自身の体のまわりで、大きな剣をブンブンとふりまわす。
 私は常に足を動かしてはいるものの、男に近づけない。

(……近づけない……あの勢いよくまわしている剣に当たったら、終わりだわ。持久戦ね)

 私は男の剣が当たらない位置をウロウロしながら、相手の疲れるのを待つことにした。

「おいおい、どうしたよ、小僧。打ってこいよ。試合にならねえじゃねえか」 

 私は彼の挑発には一切答えない。
 しびれを切らしたサンボは、しばらくすると剣をふりまわすのをやめた。

(打ってくる……! チャンスだわ)

「じゃあ、こっちからいくぜ!」

 彼は、私が彼より先に攻撃をしかけるとは、夢にも考えていない。そこに、私の勝機がある。

 彼が私に向かって剣を突いてくるその瞬間、私は体を斜めにズラしながら自分の剣を彼の剣先にピタッと合わせた。腕ごと、くるくるくるくるとまわして相手の剣を絡めとり、パっと遠くへ飛ばす。

 普通なら、彼が剣を手放すなんて事はまずないだろう。だが、私は彼の動きを先読みし、相手が油断しているその一瞬の虚をつき、遠心力を利用して、彼の手から剣を離すことに成功した。

「キャー!」
「あ、あぶねえーー」

 サンボの剣は、幸いな事に警備の剣士の盾に防がれ、観客に命中せずにすんだ。

(マジであぶねーー、だわ……。本当にケガ人を出さずにすんでよかった)

 私が冷や汗をかいていると、サンボの呟きが聞こえた。

「なんだよ……ありえねえ……。こんなこと、ありえねえ……」

 彼は茫然としながら、剣を失った自身の手を見つめている。

「勝者、ウエダ! 勝者、ウエダーー!!」
「ちょっと待てよ、まだ打ち合ってもいねえ。こんなもん、試合じゃねえぜ!!」

 サンボが鬼の形相でこちらを睨んでくる。

「剣が手から離れれば、負けだ。残念だが、今回の勝者はウエダだ」
「こんなの納得できねえーー! もう一度やらせろ!!」
「サンボ、2回目の試合が間もなくはじまる。今ここで失格になるのがいいか、2回戦で勝ってベスト8に残るのか、選びたまえ」

 私は大人しく、一言も発せず、立会人の騎士に感謝しながらこの場を見守った。
 サンボは悔しそうに歯ぎしりしながらも、立会人の言葉に従う選択をした。

「おい、小僧、次は痛い目にあわせてやるからな! 覚悟しとけよ!!」

 大声で私に怒鳴りながら、自分の剣を拾い上げ、彼は取り囲む観客にも悪態をつきながら、トーナメント表の方向へと歩き去った。

「おい、スゲーな、坊主」
「がんばりなよ、あんた。応援してるからね」

(うわあ、びっくりする程、ライガの作戦ばっちりハマったわね。よし、この調子で、次も勝つわよ!)

 私は立会人と応援の言葉をくれた観客に頭を下げながら、次の試合へ闘志を燃やした。

 1時間後、ベスト8を決めるための2試合目の試合が終わった。
 トーナメント表が新しくなり、残った8名の、明日の試合が記載された。

 準々決勝

 1組 ロン  VS サンダ
 2組 ブルガ VS ピーターソン
 3組 ウエダ VS アイガン
 4組 ピョートルノ VS コフィナ

 いよいよ、明日は最終日。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...