奴隷亜人の転生旅路〜転生先はやられ役の神獣でした〜

神月るあ

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9話 永久追放

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『えっと…どうされましたか?』
「あっ…す、すみません。何でもないです」
『そうですか!では、机に服とタオルは置かせて
頂きますね』
「あ、はい。ありがとうございます…」

なんでクォーツがここに…?本来のシナリオなら、奴隷売買をしていた商人から主人公がクォーツを
買い取り、進んでいくはず。だが、当の本人は
ここにいる。ということは…。

(お留守番という名の、パーティからの追放)

ラスボス戦に連れていける亜人は九人が限界。勿論それ以上の亜人を助けてもいいが、パーティに
入れられない子は所謂仲間一覧に置いていかれる。ゲームが現実となったこの世界では、一度パーティから捨てられたらもう戻ってくることは不可能と
いうこと…?

『ペリドット様…その、銀色の髪は生まれつきなのですか?』
「え?ええ…記憶はないですが、多分そうだった
かと」

この城にいるということは助けられたけど捨て
られた…。そりゃあそうだ。私も人間の時、この子はパーティに入れていなかった。だって、普段の戦いでは普通に魔法を使う獣人でしかないのだ。
それだけなら他の子で代わりが効くからと、私は
入れなかった。でも、その真価がまさかラスボス戦で発揮されるなんてと、当時は驚いたものだ。

『…少し、お話をしてもよろしいでしょうか?』
「え?ああ、どうぞ…」
『私、実は元々奴隷として売られてたんです。
でも、"亜人奴隷を解放する"という名目で戦って
いた男性に買い取られたんです』
「…」

つまり主人公に助けられてはいたのか。まあ、
その先は察しつくけど…。

『でも、とある日目覚めたら、森の中じゃなくて、このお城の庭で倒れてたんです。手足を拘束され
てて、目隠しに口も布で包まれてたんです』
「ッ⁉︎」
『そしたら、第一皇子殿下が来てくれて。拘束を
解いて、私をメイドに迎え入れると言ってくれたんです』

ははあ…要らなくなったし、役に立たないから
この城に捨てたのか。まあ確かに目先の物事でしか測れないような主人公に付いてくならその方がまだ
マシだな。

「…随分と、お辛い経験をされたのですね」
『はい…ですが!このお城の空気はさいっこうなんです!亜人か人間かなんて関係なく私達を認めて、ここで働かせてくれる!まさに天国です!』
「それはよかったですね」

まあ別に仲間さえ召喚されればハッピーエンドには行けるし、大丈夫か?まさかペンダントに気付かずに城に行くとかないよね?そしたらもう結末は
バッドエンドしかないけど…。ルビーは夜目が
効くし、大丈夫か。

『夕食時にまた参りますね!ドレスはこちらで
着させて頂きますのでご心配なく!では!』
「はい、また」

クォーツは楽しそう…。でも、現実であれば
パーティ追放は永久追放を意味するのがわかった。それなら、まだ他にもいるかもしれないな。
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