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13話 神獣の力
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「…あ~、と……。私は、幻とかを無効化する結界を貼ってるんです。解除をすっかり忘れてて…」
かなりキツイ言い訳だが、どうだ…?
『成る程。旅人でしたら何か魔法の植物に触れて
魔法に掛かったりとかありそうです』
「そっ、そうなんです。すみません。今解除
しますね」
『いや。解除しなくていいよ、ペリドット嬢』
「…え?」
何故…?皇帝様がなんで、解除しなくて
いいって…。
『ペリドット嬢。旅の準備ができるまでの間、私達のメイドや騎士達に魔法を教えてやってくれないか?』
「へっ…? 私が…?」
『ああ、そうだ。旅の準備の間だけでいい。
どうだ?』
皇帝様が私に魔法を教えろと?いやいや無理無理。
中身は(多分)18歳なのよ?教えるとかやった事
殆どないよ…。でも、断るのはなあ…城で暇になる
よりは、マシかぁ…。
「…わかりました。ずっと城内にいる訳にも
いきませんし、私の魔法が役立てるのなら」
『っそうか!感謝する。では早速、明日から城の庭で取り行おう。最初だから、なるべくいい子達を
三人ほど、そちらの部屋に向かわせよう』
「部屋で待ち合わせ、という事ですか?」
『そうだ。問題はないか?』
「いえ。何もございません。むしろ、役割を与えていただけたので嬉しいです」
仮にお世辞だとしてもこう言っとくのが筋だろう。
魔法はー…まあ手加減すれば大丈夫か。
『…!ペリドット様、もうそろそろ、お部屋に
戻られては如何でしょう?』
「へ?あ、もうこんな遅い時間だったんですね」
『ドアの側にクォーツを待機させてますので。それでは、また明日』
「はい。皆様、此度はありがとうございました」
一先ず礼っぽい礼をして、私は部屋を出た。第二
皇子の言った通り、側にはクォーツが居た。
『終わりましたか!…ふふ、聞こえましたよ~』
「え?」
『魔法、私達に教えて頂けると!この耳でしっかりと聞きました!』
「あ、あ~。そっか、聞いてたの…」
『はい!お部屋に戻りながらお話ししても大丈夫
ですか?』
「それは勿論、いいですよ」
それから部屋に戻るまで、私達はずっと話し続けていた。思っていたよりも好奇心が旺盛なようで、
かなり詳しい所まで色々と聞いてきた。現実で
あれば、この身でその性格を体験できるなんて。
クォーツみたいな人が現実に…なんかこれ、前も
思わなかった?…辞めとこ。フラグになる。
『あっ!ここがお部屋になります!ベッドメイキングの為に一度お部屋に入らせて頂いたのですが、
大丈夫でしたか?』
「勿論、問題ないですよ。むしろ有り難いです」
『!! はい!では、また明日、お会いいたしま
しょう!あ、ドレスはそこの棚にハンガーがあり
ますのでそれを使用してくださいね!それでは!』
(こんな夜中でも元気だなあ…。にしても、時計が
ないって辛いな。全部体内時計と空頼りは辛いよ、
ほんと…。)
色々と思うことはありながら、私はドレスを
脱いで、別の服を作成してそれを着た。まあ、
これからする事に必要な儀式服もとい、尻尾を
出しても破れない服だ。
(ハンガーは…これか。ここに掛けとけばいいの
かな?)
若干痛みそうな気はしたが、気にしないことに
した。そして、窓をバタンを開いた。
『うおぁッ!! 急に開けないでよ…びっくり
しちゃったぁ…』
「ごめんねジャスパー。少し、やりたい事が
あるの。着いてきてくれる?」
『…?いいけど、もう真っ暗闇だよ?明日は?』
「少し予定があるの。大丈夫よ、ライトの魔法は
あるから」
『うん…わかった』
ジャスパーはそう言って私が差し出した手に
乗った。温かいけど、少し震えている。夜が怖いのか。…当たり前か。この子は元々野生。いつフクロウとか猛禽類の鳥に襲われるかもわからないん
だから、夜が怖いのは当たり前だ。
「ん~…。人目があると使えないし……裏庭
行こう」
『うん…』
フルフルと震えているジャスパーを優しく手で
包み、私は城の裏庭に行った。満月だからか、
月明かりが凄い。…数分程歩いて、私はいい場所を見つけた。
「ここ、いいかも。拓けてるし、誰もいないし、
隠れられる感じだし」
『…なに、するの?僕を食べる?』
「食べないよ。狐は雑食だけれども、私は基本
木の実しか食べないから」
後は襲ってきた肉食動物とかをしゃーなしで
狩ってたくらいか?流石にルビーは近接戦だと部が悪いから私が殺して、命が勿体無いから焼いて
食べてたんだよね。…今思えば、共食いに近いな。いいや、これからする事よりはマシだ。
「…よし、誰もいないね。"霊法陣展開"」
『明るい…きれ~…』
真っ白な魔法陣、ではなく、霊法陣。神や神獣が
使う霊法の為の陣。初めて使うけど、この為に
あったんだと思おう。
「ジャスパー。その陣の真ん中に丸い場所があるでしょう?そこに立って。座っててもいいよ」
『ううっ…怖いよ。殺さない?』
「大丈夫。私がずっと側にいるから」
『うん、わかった…』
手のひらからパタパタと飛んで、真ん中に降りた。これであとは、霊力を込めて、言葉を発する。間違えれば、その代償は全て私。間違いは許されない。私は狐耳と尻尾を出し、出力最大で呪文を放った。
「…《今、神獣ペリドットの名において。かの
儀式、ヒトガタ化を行いしことを命ずる。さあ、
変われ。そして、その身を我の為に尽くせ》」
ジャスパーは目を見開いて、こちらをじっと
見る。でも、今の私にその余裕はない。霊力を
固め、それをジャスパーに送る。それで、
変える。
「《神獣乃法 ヒトガタの守命》」
かなりキツイ言い訳だが、どうだ…?
『成る程。旅人でしたら何か魔法の植物に触れて
魔法に掛かったりとかありそうです』
「そっ、そうなんです。すみません。今解除
しますね」
『いや。解除しなくていいよ、ペリドット嬢』
「…え?」
何故…?皇帝様がなんで、解除しなくて
いいって…。
『ペリドット嬢。旅の準備ができるまでの間、私達のメイドや騎士達に魔法を教えてやってくれないか?』
「へっ…? 私が…?」
『ああ、そうだ。旅の準備の間だけでいい。
どうだ?』
皇帝様が私に魔法を教えろと?いやいや無理無理。
中身は(多分)18歳なのよ?教えるとかやった事
殆どないよ…。でも、断るのはなあ…城で暇になる
よりは、マシかぁ…。
「…わかりました。ずっと城内にいる訳にも
いきませんし、私の魔法が役立てるのなら」
『っそうか!感謝する。では早速、明日から城の庭で取り行おう。最初だから、なるべくいい子達を
三人ほど、そちらの部屋に向かわせよう』
「部屋で待ち合わせ、という事ですか?」
『そうだ。問題はないか?』
「いえ。何もございません。むしろ、役割を与えていただけたので嬉しいです」
仮にお世辞だとしてもこう言っとくのが筋だろう。
魔法はー…まあ手加減すれば大丈夫か。
『…!ペリドット様、もうそろそろ、お部屋に
戻られては如何でしょう?』
「へ?あ、もうこんな遅い時間だったんですね」
『ドアの側にクォーツを待機させてますので。それでは、また明日』
「はい。皆様、此度はありがとうございました」
一先ず礼っぽい礼をして、私は部屋を出た。第二
皇子の言った通り、側にはクォーツが居た。
『終わりましたか!…ふふ、聞こえましたよ~』
「え?」
『魔法、私達に教えて頂けると!この耳でしっかりと聞きました!』
「あ、あ~。そっか、聞いてたの…」
『はい!お部屋に戻りながらお話ししても大丈夫
ですか?』
「それは勿論、いいですよ」
それから部屋に戻るまで、私達はずっと話し続けていた。思っていたよりも好奇心が旺盛なようで、
かなり詳しい所まで色々と聞いてきた。現実で
あれば、この身でその性格を体験できるなんて。
クォーツみたいな人が現実に…なんかこれ、前も
思わなかった?…辞めとこ。フラグになる。
『あっ!ここがお部屋になります!ベッドメイキングの為に一度お部屋に入らせて頂いたのですが、
大丈夫でしたか?』
「勿論、問題ないですよ。むしろ有り難いです」
『!! はい!では、また明日、お会いいたしま
しょう!あ、ドレスはそこの棚にハンガーがあり
ますのでそれを使用してくださいね!それでは!』
(こんな夜中でも元気だなあ…。にしても、時計が
ないって辛いな。全部体内時計と空頼りは辛いよ、
ほんと…。)
色々と思うことはありながら、私はドレスを
脱いで、別の服を作成してそれを着た。まあ、
これからする事に必要な儀式服もとい、尻尾を
出しても破れない服だ。
(ハンガーは…これか。ここに掛けとけばいいの
かな?)
若干痛みそうな気はしたが、気にしないことに
した。そして、窓をバタンを開いた。
『うおぁッ!! 急に開けないでよ…びっくり
しちゃったぁ…』
「ごめんねジャスパー。少し、やりたい事が
あるの。着いてきてくれる?」
『…?いいけど、もう真っ暗闇だよ?明日は?』
「少し予定があるの。大丈夫よ、ライトの魔法は
あるから」
『うん…わかった』
ジャスパーはそう言って私が差し出した手に
乗った。温かいけど、少し震えている。夜が怖いのか。…当たり前か。この子は元々野生。いつフクロウとか猛禽類の鳥に襲われるかもわからないん
だから、夜が怖いのは当たり前だ。
「ん~…。人目があると使えないし……裏庭
行こう」
『うん…』
フルフルと震えているジャスパーを優しく手で
包み、私は城の裏庭に行った。満月だからか、
月明かりが凄い。…数分程歩いて、私はいい場所を見つけた。
「ここ、いいかも。拓けてるし、誰もいないし、
隠れられる感じだし」
『…なに、するの?僕を食べる?』
「食べないよ。狐は雑食だけれども、私は基本
木の実しか食べないから」
後は襲ってきた肉食動物とかをしゃーなしで
狩ってたくらいか?流石にルビーは近接戦だと部が悪いから私が殺して、命が勿体無いから焼いて
食べてたんだよね。…今思えば、共食いに近いな。いいや、これからする事よりはマシだ。
「…よし、誰もいないね。"霊法陣展開"」
『明るい…きれ~…』
真っ白な魔法陣、ではなく、霊法陣。神や神獣が
使う霊法の為の陣。初めて使うけど、この為に
あったんだと思おう。
「ジャスパー。その陣の真ん中に丸い場所があるでしょう?そこに立って。座っててもいいよ」
『ううっ…怖いよ。殺さない?』
「大丈夫。私がずっと側にいるから」
『うん、わかった…』
手のひらからパタパタと飛んで、真ん中に降りた。これであとは、霊力を込めて、言葉を発する。間違えれば、その代償は全て私。間違いは許されない。私は狐耳と尻尾を出し、出力最大で呪文を放った。
「…《今、神獣ペリドットの名において。かの
儀式、ヒトガタ化を行いしことを命ずる。さあ、
変われ。そして、その身を我の為に尽くせ》」
ジャスパーは目を見開いて、こちらをじっと
見る。でも、今の私にその余裕はない。霊力を
固め、それをジャスパーに送る。それで、
変える。
「《神獣乃法 ヒトガタの守命》」
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