奴隷亜人の転生旅路〜転生先はやられ役の神獣でした〜

神月るあ

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31話 命令と夢属性

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「因みにですが、なるべく穏便にした方がいい
ですか?」
『そうですわね…。死なない程度に、とだけ言って
おきますわ。私が魔法を使えていればやりましたが、今はあの子達の避難を重視します。
ペリドット様は…』
「わかってますよ。死なない程度には加減します」

さ~て…。気配察知はどうもエメラルド様の方も
精度がいいな。多分最初からわかっててやったん
だろうね。コーラル達も最初からチラチラと私を
見ていた。獣人だし耳や鼻がいいんだろう。

(拘束魔法でもいいけど…。ここは夢属性を使って
みますかね)

「ふ~…。〈夢入ドリームエンター〉」
『ッ…』

パタリと倒れた音が聞こえた。私は掛けていた幻惑
を解き、近くの茂みをかき分け、様子を見てみた。

「…? ぁれ…この子って…」
『ペリドット様…?って、あれ?』
「…クォーツ、知り合い?」
『はいっ…その…私と一緒に奴隷として売られ
てて…でも、今はその人の所に居るはず…』
「そう…因みに、私も会った事あるってことは
伝えとくね」

この子は以前会ったチーターの獣人。名前は確か
アンバーだったかな?でも、今は主人公のところに
居るはず。情報収集ってのがいい線かな?まあ
本人から聞くしかないんだけどね。

「はあ…〈軽量化ライターウェイト〉」

『ペリドット様…私も行かせて頂いてもいい
ですか?』
「勿論。なにか複雑な事情でもありそうだし」
『…ありがとうございます』

その後、城の地下に魔法無効の牢屋があるとの事
なので、隠されていた武器を取り上げてそこに
入れた。あとはなにか合った時の結界を張り、
目覚めるまでは放っておくことにした。魔法を使用
した睡眠は使用した魔力量によって時間が決まる。
多分使った量的に起きるまで三十分って所だろう。

「ふ~、よし!じゃあ魔法の続きね~!」
『ふふっ、お願いしますわ!』

その後思った通り三十分後。結界に何か衝撃が
あった。クォーツと私、エメラルド様で牢屋に
向かってみると、そこには殺意マシマシな目で
こちらを睨んでいるアンバーがいた。

「…おはよう。お目覚めの気分は?」
『さいっあくな気分だ…。この国でも、奴隷制度が広がってるんだな…』
『おや…。奴隷制度とは馬鹿馬鹿しい。貴方はこの国の法律をご存知ないのですか?』
『クォーツ…?なんで…』

やっぱ知り合いかあ。クォーツも一緒に売られてたって言ってたし当たり前だ。ただ問題は…。

『なんでお前、メイド服なんか着て…』
『…』
『まるで、この国で働いてるみたいじゃないか!』
『その言葉の通りですが?私は皇太子殿下に
拾われ、このお城でメイドとして働いている。
役に立てています』
『っな…』
「さて。お話はそこまで。で?あの茂みで私らを
観察してた理由をお聞かせ願おうか?」

ここで、私は一つ思い出した。こういう相手は
口を割らないのが普通。だからこそやるべき
技を…!

「因みに一つ言っておくと。君が見聞きしていた
情報は全て、私の力による幻だ。仮に魔法で
聴かれていたとしても問題ないし、書いてたと
しても意味がない。残念でしたっ!」
『は…?まぼろし…?そんなの、狐族しか使えない
魔術のはず…!嘘だ!嘘に決まってる!お前は
奴隷売買なんだろ!』

ふむ…こういう相手には今までしてきたことは意味がないってのを伝えて絶望させるのがいいと思って
たんだけど、なんかあんまり効いてない…?はあ、
しゃーない。覗き見防止結界、盗聴防止結界…
オッケー。やるか。

「じゃっ、この姿見て私からしてる気配感じてから
その言葉再度言えるか賭けてみようか!私は絶対
に出来ないに賭けよう!」

私はそう言って耳と尻尾を出し、霊力を最大限まで出す。貼ってる結界は霊力すら外に出さないもの
なので思いっきりできる。

『あっ…ぁ…ッ』
「ふむ…」

なんかクォーツから殺気を感じる…。捨てられてた
んだし、そりゃあそうか。仲間から裏切られる
のって、心にくるもんね…。

『さて。これでこの方が誰かわかった筈。
…カムラッド帝国第一皇女、エメラルドが命じ
ます。ここには何をしに来たのか、言いなさい』
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