奴隷亜人の転生旅路〜転生先はやられ役の神獣でした〜

神月るあ

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32話 アクセサリー

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『ッ…ここには……この国には、奴隷制度が無いって聞いて…リーダーが、嘘だって言って…私を偵察
に向かわせた。あと、前に見たルビーの元仲間も
居るとしたら暗殺してこいって…』
『理由はわかりました。ですが、今彼女の姿を見て暗殺なんてできるとでも?』
『わかってる…出来ないし、やったらそれこそ私は終わりだ!』

この子だって悪い子ではない。ただ、あの主人公を盲目的に信じている。クォーツはその一種の闇に
囚われてなくてよかった。

『ですが…私が捨てられていたのは?魔法の中でも
移動系統が使えたの、貴方でしたよね?』
『リーダーから…お前はただ魔法を使ってるだけで、チームにいる価値なんてないって…』
『まあ、あのクソリーダーはもういいです。で?
貴方はこれからどうするんでしょうか?ペリドット
様に土下座します?』

はあこの喧嘩…どうやって収めたものか。私は今夜の夕食も大変なんだけど…。

「はいはいそこまで!クォーツ、話は私が聞いたげるし、忘れたい記憶なら消してあげるから」
『そうですね…すみません。時も場もわきまえずに
喧嘩してしまい…』
「別にいいのよ。それより、貴方の扱いとしては
城への不法侵入。私は許してもエメラルド様は
許さないよ」
『そうですわね…。貴方が一体いつ入ったのか
知りませんが、貴方が吐ける情報は吐いてもらってから考えましょう』
『っわ、わかった!私が持ってる情報、嘘偽りなく
話すから!だから…殺さないでッ…』
『ええ勿論!言ってくれれば殺すなんて酷いこと
しませんわ!』
『ありがとうございます…!』

これでなんとか昼時間は平和に過ごせるかな。

ー食事の間ー

『成る程…前に会った獣人が』
「ええ。ですが、今は情報を吐いてもらって
います。おそらく収穫はあるかと」
『だと助かりますね。ここはアディスト王国のすぐ
隣。いつ変な動きをしてくるかわからなかった
ので、情報を得られるのは助かります』

今は昼食時。部屋で待ってもらっていたジャスパーを連れて、私達は食事を摂っていた。と言って
も、この場には私達とセレス殿下しかいない。
どうも他の方々は仕事に追われているらしい。

『話は変わりますが、今夜の夕食会。僕が選んだ
ドレスとアクセサリーを付けてもらえませんか?』
「・・・。ん?」
『すみません。旅人だと言ってしまってはいるのですが、前のドレスだとまたいちゃもんが飛ぶかも
だからと、兄上からの提案でして…』

それで私をさも婚約者かのように見せろと?それは
もう様々なフラグが建ってるんだけど?未来でマジで結婚するフラグが建ったよね?一応神獣だし人間
とは無理じゃない?あ~、フォルフィア様に聞い
とくべきだった~…。

『僕自身、迷惑かなと思っています。それに、
婚約者のように見せても、貴方はする気ない
でしょう?』
「…まあそれは、おいおいで」

ゲームじゃないし、繰り返しはできない。
そもそも、私はほぼ無限の命。だからこそ、守りたい人を作ってしまえば、絶対に守れない"死"に
悲しんで約束どころじゃない。

(無限の命も楽じゃないな。死にたい時に死ねない
んだから)

でも、皇太子殿下の考えは間違ってはいない
だろう。というか、そこまで横暴だということは
おそらく人間。亜人の可能性は低いだろう。

「つかぬことをお聞きしますが、皇太子殿下の
婚約者って…人間ですか?」
『! ええ、勿論。彼女は人間。この国での地位
で、公爵に当たります』

公爵…確かもっと上の地位で"大公"があった筈。
ゲームの知識だから合ってるかわからんけど…。

「はあ…ま、いいですよ。アクセサリーだけなら」
『…! ありがとうございます!兄上には僕から
キツく言っておくので…!』
「それはお願いします」

私とセレス殿下で遊んでる心があるのは確定。私が
言っても仕方ないので弟から言わないとダメ
だろう。

「は~…忙しい」
『そうですね…』

この後はジャスパーを抱きしめて寝たいな…。
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