奴隷亜人の転生旅路〜転生先はやられ役の神獣でした〜

神月るあ

文字の大きさ
34 / 46

33話 手紙と調査

しおりを挟む
「…話?」
『はい…。ペリドット様に対して、私の父から手紙が来ていまして…』
「ふ~ん…。見せてくれる?」
『ええ、勿論です』

昼食後、マリンが部屋にやってきた。普段は庭園
管理のため誰かの部屋には報告でしか入らないの
だが、今回は私に頼み事があるらしい。それが
この手紙。彼女の父親から送られたものらしい。

「…"幻獣の森"と、"聖獣の森"の調査依頼?」
『そうなんです。貴方の存在は、私が実家への手紙
に書いていたんです。そして、精霊と神は深い
関わりを持つ一族。貴方が神獣だと嗅ぎ付かれて
しまい…』
「はあ…それで、幻獣と聖獣の従属を作ってこいと…?」
『そうなんです…本当申し訳ありません!』

多分嗅ぎ付かれたのは、私がフォルフィア様と
会ってて狐状態のままだったあの時。一週間も神獣
の霊力を出しっぱなしにしていては、勘付かれてもおかしくない。

(幻獣に、聖獣か…)

実は、二種族は似ているようで違う一族の名前。
幻獣は元の動物に別の動物の特徴を重ね持つ一族で、ありきたりなのはペガサス、グリフォン
あたり。
聖獣は姿形は普通の動物、もしくは獣人。でも、
到底抱えきれないような膨大な魔力。そして自然が
持つ霊力を少しなら扱えるという、神族かみぞくにかなり
近い一族だ。

「まっ、この森には行って見たかったんだよね。
マリン、暇な日はある?後クォーツの日もわかれば
いいんだけど…」
『へ?えっと…確か、明後日は花の水やり以外に
仕事はなかったかと…!クォーツさんも同じだった
筈です!』
「ならその日。貴方とジャスパー、クォーツの三人と一緒にその森のうち一つ。そうね…まずは
"聖獣の森"から行くわ」
『えっ?いいの、ですか…?』
「いいのいいの。気になってたし」

会ってみたい…!聖獣なんてのはアニメだからこその存在だった!会えるのなら会いたい!

『ありがとうございます、ペリドット様!』
「ふふっ、私も実際行ってみたかったし丁度
よかったわ。それじゃあ、クォーツにも伝えて
くれる?」
『わかりました!では、また明日の魔法訓練で!』

最初はカチカチだったマリンも、今ではかなり元気
に接してくれるなあ…。何だか、ちゃんと認めて
もらえたみたいでいいな。

『…僕も行くの?』
「うん…ごめん。嫌だったら断ってもいいよ?」
『ううん。僕、知ってるよ』
「…なにが?」
『僕、獣人じゃなくて神獣なんでしょ?前に、
フォルフィア様が夢に来て、教えてくれた』
「あ、え?ぁ、ああ、そう…」

ジャスパーにだけはまだ知られないようにしようと
思っていたのに…!まだ魔法を自由に使えていない
のに神だと理解されれば力を暴走しかねない
のに…!

『でも、安心して。夢の中で、教えてくれたの。
力の使い方と、属性と、僕の役割も』
「え…ッ?」
『だから、僕はもう教えてもらわなくても、魔法
使えるよ。役に立てる』
「そう…なんだ…」 
『そうなの。僕が主様の一番の盾であり矛である
ように。そう、言われた』

フォルフィア様もちゃんと仕事する時はやるんだな…。上手いこと収まったし、これなら暴走も
起きないか。

『…ペリドット様。クォーツです。アンバーから
来て欲しいと伝言が』
「…ジャスパー、行く?」
『行ってみる』
「了解。今すぐ行くわ」
『ありがとうございます』

今度はどんな事が待ってるんだか…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...