奴隷亜人の転生旅路〜転生先はやられ役の神獣でした〜

神月るあ

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35話 用意

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『"幻聖園ホーリーファント"?』
「そう。ジャスパーと契約した後、出来たらしくてね。簡単に言えば、私の世界かな」 
『へぇ…』

とある日、ただ寝ただけなのに、私は変な世界に
いた。だだっ広い草原に森。後はボチボチある
小さめの家くらい。そこで私は説明を受けた。

「今夜、貴方が狙われるかもしれないとエメラルド
様から言われててね。だから、終わるまでの間
だけ、そこにいてくれる?勿論、私も行くから」
『…わかった。どんな人なの?」
「その世界と住民を私の代わりに管理してくれてる、"精霊神せいれいしん"のリトシーマよ」

ー幻聖園ー

「ふぃ~。じゃっ、頼んだよ~っ」
『待って待って!待ってください!どうして貴方は
ジャスパー様を預けるだけ預けて放置するん
ですか⁈』
「えぇ~…?アンタがこの世界の存在価値やら
なんやらと煩いからよ。私はあくまでも外で修行
して強くなるの。その段階で必要になればここを
使うけど…今はないでしょ?」

む~っとしているこの子は世界の管理人、
リトシーマ。髪先の色が虹色に変化する特殊な
タイプの精霊神。因みに、精霊神とは私のような
存在の精霊版である。

『お願いしますよペリドット様~…!少しだけで
いいんですからここの住人を倒してくださいよ~』
「それが嫌なんだけどなあ…。どうして誰かを
倒さないと力を得られないの?」
『それはこの世界の理ですので…』
「…とりま、ジャスパーをお願いね。私は戻って
色々と準備しないとだから」
『わかりましたあ…』

はあ…後で時間ある時使ってみるかな。でも、今の私もかなり強いよね?それなのに限界なんて
あるんだねえ…。

「はあ…さて。今夜の食事会はどんな修羅場になる
のかな…」

ーペリドット達の部屋ー

『今日は特に頑張って髪を整えさせて頂きます!』
「うん…ありがとうクォーツ」
『では、あまり動かないでくださいね!』
「うん」

慣れた手つきで私の長い銀髪が結われていく。鏡に
映る今の私は、既にドレスは着ていて、殿下から貰ったペンダントが首に付けられている。キラリと
輝く緑色の石はペリドットだろう。わざわざ私の
為にやったのだと思うと、変な気持ちになる。

『ん~…。あっ!ふふふ…』
「…」

ふとクォーツがニヤリと笑った。すると、メイド服のポケットから小さな箱を取り出し、私の前に
置いた。

『ペリドット様!この中にあるアクセサリーを頭に
付けたいのですが、どれがいいですか?』
「え?え~と…?」

そこには頭に付けるリボンがあった。幾つかある
が、どれも縛っている部分に宝石が嵌っている。
名前は流石にわからないが、どれも輝いていて
手入れはされているのだとわかる。

「…じゃあ、これで」
『ジャスパーですか!わかりました!お付け
致しますね!』

あ、この宝石ジャスパーなんだ…。赤っぽいから
てっきり珊瑚かなんかだと思ってた…。まあ
いいや。決めれたし。

『どうでしょう⁈ 自信ありますよ!』
「っ…! 凄い…こんなことできたんだ…」
『ふふっ。私も頑張ってますから!』
『…ペリドット様。そろそろ時間』
「そっか。ありがとうアンバー。じゃあ、行こう」

椅子から立ち上がり、私達は歩き出した。何気に
似合っているアンバーのメイド服からは目を
背けた。褒めるのはこれから起こるであろうことが
全部終わってからだからね。
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