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✽✽堅物の高位貴族が下町で天使を見つけたお話
私には、控えめで可愛らしい年下の妻と騎士団に入って出世コースを歩み始めた容姿端麗で次世代の剣聖と呼ばれる長男、
そして、妻の家系から膨大な魔力を引き継ぎ見た目は妻に似て可憐な乙女のようだが中身は苛烈な美少年である次男がいる。
私も王の側近として長らく務めている事もあり、絵に描いたような高位貴族の暮らしを日々送っている。
そんな毎日を何の疑いもなく…
これからも過ごしていくはずだったのだ。
彼女に出逢うまでは…
◇◇◇◇◇
運命のあの日、下町に用事があった私はひとりで出かけたのだ。
違法の人身売買が定期的に行われているとタレコミがあったからなのだが…
その日は残念ながら人身売買の現場を押さえる事は出来なかったのだが…
質の悪そうな男達に絡まれている…
天使に…出逢ってしまったのだ。
私は天使を悪の手先から救出する事に成功した。
天使のように清らかで美しい少女の名前はセレナ。
家出した兄を探しに王都にひとりでやってきたというのだ。
セレナが心配になった私は乳母のところに彼女を連れていき、彼女の兄が見つかるまで面倒を見て欲しいとお願いした。
セレナは遠慮していたが、
乳母も若い娘が王都でひとり人探しをするのは危険だから、うちに泊まりなさいと説得したようで…
家事を手伝うのを条件に乳母の家でしばらく暮らす事になった。
息子しかいない乳母は、まるで娘が出来たかのように…
セレナを可愛がり、ふたりでセレナの兄を探し歩いていたが…
セレナの兄はいっこうに見つからず、1度田舎に帰るというセレナを乳母が引き止め…
セレナはそのまま乳母の家に居着いてしまった。
乳母には騎士団員の未婚の息子がいるので…
その息子の花嫁にならないか?と言われたんですけど…
私は…
あの時、あなたに助けてもらった時からずっと…
あなたをお慕いしているのです…
セレナから告白された私は動揺した。
「私は…セレナにはふさわしくない年寄りだよ?
しかも…妻も子供もいるから…
君の気持ちを受け取る事は出来ないんだ」
私はキッパリと断ったのだけれど、
「あなたをひっそり想う事も許されませんか?」と泣き顔を見せるセレナを抱きしめていたのだ。
そして、セレナの煌めく瞳に吸い込まれるようにキスをしていた…
その後は…
なし崩しに男女の関係が始まっていく事になる。
勿論、乳母には内緒で…
私はセレナと逢い引きをする為だけの部屋を借り、休日はそこに通い詰めるようになった。
私は恋にうつつを抜かす若者のようだった。
セレナとの日々は…
長くは続かなかった。
ある日、ふたりの隠れ家に行くと中の荷物は全て運び出され空っぽになっていた。
おかしい?と思い、乳母の家にセレナがいないのか確認しに行くと…
数日前に田舎に帰ったと言われ、預かっていたらしい手紙を渡された。
手紙には、さよならお元気で!とひと言だけ…
私だけの天使は…
天に帰ったみたいだ。
どうやら真実の愛だと思っていたのは私だけだったらしい。
私には、控えめで可愛らしい年下の妻と騎士団に入って出世コースを歩み始めた容姿端麗で次世代の剣聖と呼ばれる長男、
そして、妻の家系から膨大な魔力を引き継ぎ見た目は妻に似て可憐な乙女のようだが中身は苛烈な美少年である次男がいる。
私も王の側近として長らく務めている事もあり、絵に描いたような高位貴族の暮らしを日々送っている。
そんな毎日を何の疑いもなく…
これからも過ごしていくはずだったのだ。
彼女に出逢うまでは…
◇◇◇◇◇
運命のあの日、下町に用事があった私はひとりで出かけたのだ。
違法の人身売買が定期的に行われているとタレコミがあったからなのだが…
その日は残念ながら人身売買の現場を押さえる事は出来なかったのだが…
質の悪そうな男達に絡まれている…
天使に…出逢ってしまったのだ。
私は天使を悪の手先から救出する事に成功した。
天使のように清らかで美しい少女の名前はセレナ。
家出した兄を探しに王都にひとりでやってきたというのだ。
セレナが心配になった私は乳母のところに彼女を連れていき、彼女の兄が見つかるまで面倒を見て欲しいとお願いした。
セレナは遠慮していたが、
乳母も若い娘が王都でひとり人探しをするのは危険だから、うちに泊まりなさいと説得したようで…
家事を手伝うのを条件に乳母の家でしばらく暮らす事になった。
息子しかいない乳母は、まるで娘が出来たかのように…
セレナを可愛がり、ふたりでセレナの兄を探し歩いていたが…
セレナの兄はいっこうに見つからず、1度田舎に帰るというセレナを乳母が引き止め…
セレナはそのまま乳母の家に居着いてしまった。
乳母には騎士団員の未婚の息子がいるので…
その息子の花嫁にならないか?と言われたんですけど…
私は…
あの時、あなたに助けてもらった時からずっと…
あなたをお慕いしているのです…
セレナから告白された私は動揺した。
「私は…セレナにはふさわしくない年寄りだよ?
しかも…妻も子供もいるから…
君の気持ちを受け取る事は出来ないんだ」
私はキッパリと断ったのだけれど、
「あなたをひっそり想う事も許されませんか?」と泣き顔を見せるセレナを抱きしめていたのだ。
そして、セレナの煌めく瞳に吸い込まれるようにキスをしていた…
その後は…
なし崩しに男女の関係が始まっていく事になる。
勿論、乳母には内緒で…
私はセレナと逢い引きをする為だけの部屋を借り、休日はそこに通い詰めるようになった。
私は恋にうつつを抜かす若者のようだった。
セレナとの日々は…
長くは続かなかった。
ある日、ふたりの隠れ家に行くと中の荷物は全て運び出され空っぽになっていた。
おかしい?と思い、乳母の家にセレナがいないのか確認しに行くと…
数日前に田舎に帰ったと言われ、預かっていたらしい手紙を渡された。
手紙には、さよならお元気で!とひと言だけ…
私だけの天使は…
天に帰ったみたいだ。
どうやら真実の愛だと思っていたのは私だけだったらしい。
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