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✽✽ユーリシア姫の帰還
ロガルドの王宮はいつもより騒がしかった。
…というのも、内乱が治まるまで他国へ避難していた末の王女が帰って来たからである。
厨房では、料理長が吠えている。
「ユーリシア様の新しいレシピだぞ!挑戦してみたい者は前へ!」
「「「「「「挑戦させて下さい!」」」」」」
若手からベテランまで腕に自信がある者達が料理長の前に並んだ。
「よし!お茶の時間に間に合うように作る事が出来た者はユーリシア様から直接お褒めの言葉が頂けるぞ!急げ!だが…手は1ミリも抜くなよ!」
「「「「「「「心得ました!」」」」」」」
「残った者は晩餐の準備に入れ!本日は第2王子殿下もお戻りになられると聞いている。
殿下の嫌いな物は出さないように献立をもう一度確認して材料を厳選し直してくれ!
私からは以上だ!」
◇◇◇◇◇◇◇
ロガルドの王宮では、厨房に入る事が出来るのは大変名誉な事なのだ。
文官や騎士よりも憧れの職業と言っても過言ではない。
何故か?と言うと…
ロガルド王宮の厨房には…
野薔薇姫の愛称で国民に大人気のユーリシア様が常に出入りしているからである。
巷では、ユーリシア様からロガルドの食の流行が発信されると言われているのだ。
ユーリシア様が自由に出入りする場所である事から安全性を確保する為にも料理人は家柄や料理の腕だけではなく、魔法や武術の腕も試験されるのだ。
騎士団か、魔導師団のどちらかで修行を積んだ後に選抜され料理の腕が認められて初めて試験を受ける権利を得る事が出来るという。
それを勝ち抜いた精鋭である50人が現在ロガルド王宮の厨房で働いている。
◇◇◇◇◇
ユーリシア様が国外に避難されていた間も新しいレシピは送られてきていたのだが、ユーリシア様から指導や味のチェックが入るのは久しぶりなので厨房は心地好い緊張感に溢れている。
ユーリシア様がいない時期に厨房に入った新人達は、野薔薇姫様にようやく会えると浮足立っている。
「みんな手を止めて聞いてくれ!1時間後にユーリシア様がこちらにいらっしゃる。
それまでに、ユーリシア様に見て欲しい1品をそれぞれ用意してくれ!
くれぐれもユーリシア様に失礼のないようにな!頼んだぞ!」
畏まりました!と応え、料理人達は丁寧にユーリシアのレシピを再現していく。
その様子は全て別室でユーリシアが確認しているのだが…彼らは知らない。
「私がいなくてもここは大丈夫そうね」そう呟くユーリシアに、
「ユーリ?まさか…他国に嫁入りするつもりなの?私は聞いてないよ?」とシスコン国王は半泣きである。
「兄上?私…そんな事は言ってないわよ?私、ローズマリーの仕事をサポートしているんだけれど、それが楽しいからしばらくあっちにいるつもりなの。
結婚はしばらくしないわ。来年から学園にも通うつもりだから…ローズマリーと一緒にね!
ミリアも一緒と言いたいところだけれど…」
国王は半泣きから、号泣に変化してしまったようだ…
「…私のミリアまで…うっ…グスッ…連れて行かないでくれ…グスッ……」
泣き叫ぶ兄を心から面倒くさいと思ったユーリシアであった。
「兄上?
泣き止まないとミリアに言いますからね!国王になっても泣き虫が直らないって…
ミリアにドン引きされますよ?
愛想つかされちゃうかも…」
「…グスッ…ユーリのバカァ…」
ロガルド国王はシスコンなだけではなく、泣き虫だったようです。
ロガルドのこれからが心配になってきましたよ?
ミリア様がこの王を見限って真実の愛を探しに行った気持ち…
察しました!
頼りない男に魅力感じないよね?
好みにもよるだろうけど…
頼りない国王って…
どうなの?
ロガルドの王宮はいつもより騒がしかった。
…というのも、内乱が治まるまで他国へ避難していた末の王女が帰って来たからである。
厨房では、料理長が吠えている。
「ユーリシア様の新しいレシピだぞ!挑戦してみたい者は前へ!」
「「「「「「挑戦させて下さい!」」」」」」
若手からベテランまで腕に自信がある者達が料理長の前に並んだ。
「よし!お茶の時間に間に合うように作る事が出来た者はユーリシア様から直接お褒めの言葉が頂けるぞ!急げ!だが…手は1ミリも抜くなよ!」
「「「「「「「心得ました!」」」」」」」
「残った者は晩餐の準備に入れ!本日は第2王子殿下もお戻りになられると聞いている。
殿下の嫌いな物は出さないように献立をもう一度確認して材料を厳選し直してくれ!
私からは以上だ!」
◇◇◇◇◇◇◇
ロガルドの王宮では、厨房に入る事が出来るのは大変名誉な事なのだ。
文官や騎士よりも憧れの職業と言っても過言ではない。
何故か?と言うと…
ロガルド王宮の厨房には…
野薔薇姫の愛称で国民に大人気のユーリシア様が常に出入りしているからである。
巷では、ユーリシア様からロガルドの食の流行が発信されると言われているのだ。
ユーリシア様が自由に出入りする場所である事から安全性を確保する為にも料理人は家柄や料理の腕だけではなく、魔法や武術の腕も試験されるのだ。
騎士団か、魔導師団のどちらかで修行を積んだ後に選抜され料理の腕が認められて初めて試験を受ける権利を得る事が出来るという。
それを勝ち抜いた精鋭である50人が現在ロガルド王宮の厨房で働いている。
◇◇◇◇◇
ユーリシア様が国外に避難されていた間も新しいレシピは送られてきていたのだが、ユーリシア様から指導や味のチェックが入るのは久しぶりなので厨房は心地好い緊張感に溢れている。
ユーリシア様がいない時期に厨房に入った新人達は、野薔薇姫様にようやく会えると浮足立っている。
「みんな手を止めて聞いてくれ!1時間後にユーリシア様がこちらにいらっしゃる。
それまでに、ユーリシア様に見て欲しい1品をそれぞれ用意してくれ!
くれぐれもユーリシア様に失礼のないようにな!頼んだぞ!」
畏まりました!と応え、料理人達は丁寧にユーリシアのレシピを再現していく。
その様子は全て別室でユーリシアが確認しているのだが…彼らは知らない。
「私がいなくてもここは大丈夫そうね」そう呟くユーリシアに、
「ユーリ?まさか…他国に嫁入りするつもりなの?私は聞いてないよ?」とシスコン国王は半泣きである。
「兄上?私…そんな事は言ってないわよ?私、ローズマリーの仕事をサポートしているんだけれど、それが楽しいからしばらくあっちにいるつもりなの。
結婚はしばらくしないわ。来年から学園にも通うつもりだから…ローズマリーと一緒にね!
ミリアも一緒と言いたいところだけれど…」
国王は半泣きから、号泣に変化してしまったようだ…
「…私のミリアまで…うっ…グスッ…連れて行かないでくれ…グスッ……」
泣き叫ぶ兄を心から面倒くさいと思ったユーリシアであった。
「兄上?
泣き止まないとミリアに言いますからね!国王になっても泣き虫が直らないって…
ミリアにドン引きされますよ?
愛想つかされちゃうかも…」
「…グスッ…ユーリのバカァ…」
ロガルド国王はシスコンなだけではなく、泣き虫だったようです。
ロガルドのこれからが心配になってきましたよ?
ミリア様がこの王を見限って真実の愛を探しに行った気持ち…
察しました!
頼りない男に魅力感じないよね?
好みにもよるだろうけど…
頼りない国王って…
どうなの?
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