97 / 113
忘れられた男は今…
しおりを挟む
ザックは絶望していた。
地方の神殿で聖騎士としての修行をし、昇格試験に合格して無事に大神殿勤務になったというのに…
彼の絶賛片想い中の麗しの聖女マリアと第3王子であるエディアスが婚約間近であるという話を小耳に挟んだのだ。
何だって?
エリック様ならまだしも、エディアス様とは…
これは、もう俺には勝ち目は無かったんだな。
エディアス様は天才魔導師なだけでなく、政治的にも国を支えているお方だし…
彼が本気を出せば帝国も一瞬で滅ぶと言われている恐ろしい方だからな…
マリアさんは脳筋王子ではなく、腹黒王子を選んだのか…
エリック様はどうしているのだろう?
落ち込んでいないのだろうか?
ザックは自分の辛い気持ちを分け合うのに最適なエリックに会いたいものだと思いながら、大神殿勤務の心得について神官からの話を聞いていた。
ザックの担当はどうやら大神殿内部に国外から諜報員が入り込んでいないか調査したり、地方の神殿で不正が行われていないかを調査する暗部になるようである。
帝国で特殊部隊を率いていた事や地方の神殿で不正が行われていたのを内部告発した事がきっかけのようだ。
俺はやはり汚れ仕事が似合う男なのだな。
無垢で眩い輝きを放つマリアさんのような女性の隣に立てる男ではないか…
暗部の長と細かい打ち合わせをしていると、今後はザックが中心となり暗部をまとめて欲しいと懇願された。
暗部の長であるテオドールは地方住みの高位貴族の長男で大神殿ではなく、地方に転勤願いをずっと出し続けていたのだが、大神官様から君以外の任せられる人材が育つまでは暗部をまとめて欲しいと言われて長い間暗部から離れる事が出来なかったらしい。
今回の移動でようやく、自分の後を任せても安心な男がやってきたとテオドールは感動のあまり涙を流している。
テオドールは自分の領地に結婚を約束した女性をずっと待たせているのだとか。
しばらくは地方から大神殿に通う生活になりそうだが、君が慣れたら私は地方の神殿に本格的に移るから宜しく!と頭を下げられたザックは…
えっ?俺の婚期がまた遅れるって事?とため息をついた。
同じ大神殿勤務でも暗部の仕事柄、ほとんど大神殿には顔を出さないザックは未だマリアを遠目に見る事さえ叶わないのだ。
マリアさんのいる、この国の平和な未来の為に!
俺は仕事するぞ!
ひとり気合いを入れる男ザックはクールなイケメンであるが恋愛はサッパリである。
しばらくはマリアへの想いを胸に秘めたままなのであろう。
ザックの未来が幸せである事を神にお願いしてあげたくなる!と彼の片想いを察している聖女見習い達からは秘かに人気があるらしいのだが…
彼に直接アタックする猛者はまだ現れないようである。
地方の神殿で聖騎士としての修行をし、昇格試験に合格して無事に大神殿勤務になったというのに…
彼の絶賛片想い中の麗しの聖女マリアと第3王子であるエディアスが婚約間近であるという話を小耳に挟んだのだ。
何だって?
エリック様ならまだしも、エディアス様とは…
これは、もう俺には勝ち目は無かったんだな。
エディアス様は天才魔導師なだけでなく、政治的にも国を支えているお方だし…
彼が本気を出せば帝国も一瞬で滅ぶと言われている恐ろしい方だからな…
マリアさんは脳筋王子ではなく、腹黒王子を選んだのか…
エリック様はどうしているのだろう?
落ち込んでいないのだろうか?
ザックは自分の辛い気持ちを分け合うのに最適なエリックに会いたいものだと思いながら、大神殿勤務の心得について神官からの話を聞いていた。
ザックの担当はどうやら大神殿内部に国外から諜報員が入り込んでいないか調査したり、地方の神殿で不正が行われていないかを調査する暗部になるようである。
帝国で特殊部隊を率いていた事や地方の神殿で不正が行われていたのを内部告発した事がきっかけのようだ。
俺はやはり汚れ仕事が似合う男なのだな。
無垢で眩い輝きを放つマリアさんのような女性の隣に立てる男ではないか…
暗部の長と細かい打ち合わせをしていると、今後はザックが中心となり暗部をまとめて欲しいと懇願された。
暗部の長であるテオドールは地方住みの高位貴族の長男で大神殿ではなく、地方に転勤願いをずっと出し続けていたのだが、大神官様から君以外の任せられる人材が育つまでは暗部をまとめて欲しいと言われて長い間暗部から離れる事が出来なかったらしい。
今回の移動でようやく、自分の後を任せても安心な男がやってきたとテオドールは感動のあまり涙を流している。
テオドールは自分の領地に結婚を約束した女性をずっと待たせているのだとか。
しばらくは地方から大神殿に通う生活になりそうだが、君が慣れたら私は地方の神殿に本格的に移るから宜しく!と頭を下げられたザックは…
えっ?俺の婚期がまた遅れるって事?とため息をついた。
同じ大神殿勤務でも暗部の仕事柄、ほとんど大神殿には顔を出さないザックは未だマリアを遠目に見る事さえ叶わないのだ。
マリアさんのいる、この国の平和な未来の為に!
俺は仕事するぞ!
ひとり気合いを入れる男ザックはクールなイケメンであるが恋愛はサッパリである。
しばらくはマリアへの想いを胸に秘めたままなのであろう。
ザックの未来が幸せである事を神にお願いしてあげたくなる!と彼の片想いを察している聖女見習い達からは秘かに人気があるらしいのだが…
彼に直接アタックする猛者はまだ現れないようである。
0
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる