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冒険者ギルドにて

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ダンジョンを攻略し、ミディとパミラが黒の森から帰り、ギルドへ報告に行くと…

ギルマスが慌てて受付にやってきた。

「どうした?

黒の森に行ったのではないのか?

何か用事かい?」


「ダンジョン制覇したよ!

はい!コレ見て!

確認してよ?」

二人は、黄金製のプレートを手渡してきた。

「なんだ?これは…

黒の森ダンジョン攻略記念だと?

日付と攻略者の名前入り??

誰がコレを?」


「なんかね。

ラスボスの火喰い鳥さんが彫金が趣味みたいで初攻略記念に彫ってくれたの、ねぇミディ!」

「そうなのよ、次に攻略したら銀のプレートになるみたいよ?

恐ろしい魔獣もいないし、天然石と珍しい薬草がドロップするから新人さん向けのダンジョンだよね、パミラ」

「うんうん!

ミディなんてさぁ。

魔獣餌付けしちゃったから、桜庵の和菓子買いに来るって魔獣さんが言ってた」

「お前ら…規格外過ぎない?

魔獣を和菓子で手懐けたのかよ!

確かにデイブさんの作る和菓子は魔獣が食べても美味しいだろうな。

食べたら強くなれそうだし!」

ギルマスは、引きつりながらも納得したように呟く。

「だね!

魔獣の心をつかんだどら焼き食べる?

はい!粒あん入り!」

ミディがどら焼きを差し出すとギルマスは礼を言いながらかぶりついた。

「うまっ!

しみるわぁ。強くなれそ!」

こんな単純そうなオッサンにギルマス任せて大丈夫かね?と能天気なミディに心配されているのだが…

このギルマス、中々に出来る人物であるし、現役時代は冒険者としても有名人だったのだ。

◇◇◇◇◇

「二人が言うなら黒の森のダンジョンは、今日から誰でも入れるようにするかな?

ところで、アーライの姫君は冒険者登録するのかい?

あの娘、ワシの見立てでは聖女じゃないの?

ミディやアイリス様みたいに戦う聖女は珍しいだろ?」

「ギルマス…鑑定持ちでしたか。

ミルは次世代の大聖女候補だと思います。

光属性の魔法以外は使っていない感じですし…

冒険者向きではないでしょう」

「そうだろ?

彼女ちょっと危うい感じで心配なんだよ。

本当に、冒険者登録させるのかい?」

「とりあえず、ギルドに連れてきて本人の意志を確かめてからですね。

私に憧れているみたいで冒険者になりたいらしくて…」

「成程なぁ。

身内にお前やアイリス様がいたら憧れるのも、仕方ない。

登録だけするお嬢様もいるから、とりあえず身分証としてギルドカード発行するのも有りだな」

「そうなのよ、しばらくうちで預かるからギルドにもお世話になるから宜しくね。

じゃあ、私たちは帰るね」

話が終わると二人は直ぐに帰って行った。

はぁ…

厄介事の予感しかないよな。

しかし…あの娘…

冒険者時代のアイリス様にそっくりだよ…

あの娘がうちのギルドに出入りしたら、オッサン冒険者が山程復帰しそうだよなぁ。

聖女アイリスの再来!とか言ってパーティー組みたがるぞ…

ギルマスは、また胃が痛くなってきたらしい。
 

    
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