一応王女です

まゆら

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「嫌よ…

私が王子を産むの!

側妃なんて認めないわ」


「バカを言うな。

   お前も知っての通り、この国では婚姻して三年が経過して世継ぎの王子が生まれない場合は側妃を娶るという法律がある。

 だが安心しなさい。

側妃候補は、お前とは敵対しない者を選定してある。お前は、次の子種を頂けるように体を休めておきなさい。

わかったかい?」


「お父様、その法律は変えられないの?

側妃なんて嫌よ!

私だけが唯一の妃でいたいの」


「シャロン…

お前が王妃である事に変わりはないのだ。

側妃を娶る事は決定事項だ。

我が派閥の力だけで法律は変えられない。

次は男が生まれるようにと、これを預かっている。

この御守りをいつも身につけていなさい。

私だって可愛い娘の為に頑張っているんだよ?

賢いお前なら分かるね?」


 宰相は、シャロンが住む薔薇の宮から足早に去って行った。


 残された王妃は…


 お父様なんて、私の気持ちなんて全く理解していないのよと苛立ちを侍女にぶちまけていた。


 一方、離宮(白百合の宮)に隔離されているユーレリアは…


「今、笑いましたよね?」


「ユーレリア様…お可愛らしい」


   乳母と侍女達からは大切に育てられているようである。


   父母及び親族からは生まれた事すら忘れられているユーレリアであるが、毎日お世話をしている乳母や侍女は愛らしいユーレリアを我が子のように慈しんでいる。


「ユーレリア様はお可哀想だ。男でなかったばっかりに…」


「本当にねぇ。

こんなに可愛らしいのに…

第一王女様のテレサ様よりも、可愛らしいのに…」


「シーッ。ダメよ。誰かに聴かれたら私たち不敬罪で牢屋行きよ?」


「大丈夫よ。

この離宮にいるのは、私達三人とユーレリア様と下働きの者だけだもの。

ここで働く者はみんなユーレリア様に同情しているわ。

生まれてから一回も顔を見に来ない父親と母親って…

人としてどうかと思う!

許せないのよ私」


 一番年若い侍女のセーラは、国王様と王妃様の仕打ちに怒りがおさまらないようである。


「まぁまぁ、そんなに怒ると可愛らしい顔が台無しよセーラ。

私達だけでも、ユーレリア様の味方でいましょう。

私はユーレリア様の嫁入り先までついて行くつもりでお世話すると決めているの」


 王太后様の専属侍女の娘であるマーガレットは、王太后様から直々に第二王女であるユーレリアを城内外の敵から護るようにと密命を受けている。


 表向きには、ユーレリアに無関心を装っている王太后様であるが孫であるユーレリア様の事は第二王女として、しっかり教育するつもりなのだ。





    
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