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「本日はお茶会にお誘い頂きありがとうございます。

マイヤーズ商会のアイラです。

私、お茶会がどういったものか、まだわからないものですから皆様におすすめしたい我が商会の新製品を沢山お持ちしましたので、気になる商品があればこちらの担当にお尋ねくださいませ」


トワイエ公爵夫人アンナから紹介を受けたアイラは、最初からぶちかます事にしたようだ。


お忍びで来ているらしい王妃様に、好きな商品を選んでもらう作戦である。


アイラ本人ではなく、みんなの興味は商品と認識しているからこそ言える事であろう。


アイラの同級生たちの姿が見えないところを見ると、午前中は王妃様のお買い物がメインと考えてよいだろう。


アンナ様と王妃さまを中心とする買い物好きの方々は、テーブルの上に広げられた商品をひとつひとつ確認している。


「興味がある物を担当に伝えて頂けたら商品説明を致しますので、遠慮なく申し付け下さいませ」


アイラは、主催であるアンナ夫人と密談をしている。


王妃様がアーライでファッションリーダーを気取っている妹の鼻っ柱をへし折りたいと相談を持ちかけてきたという話をアイラに伝えたのだ。


「それなら良い案がございますよ。

アーライでは、まだ売り出していない和国の民族衣装である着物をオーダーメイドで作って見ませんか?

王妃様が気に入る反物から、この世にひとつだけの着物を職人が手縫いで仕上げるのでお時間は頂きますが必ず満足して頂けると自負しております。

エリ、浴衣を出してくれないかしら?」


エリが、大きな衣装箱から浴衣を取り出すとアンナ以外の夫人達も気になるらしく、我先にと近づいて浴衣をガン見している。


「これは、どうやって身につけるのかしら?

想像つかないわ…」


「試着されますか?」


アンナ夫人は、濃紺の生地にあやめが描かれた浴衣を手に取った。


「これを試着したいのだけど…」


「そうしましたら、帯の色も選んで頂けますか?」


アンナ夫人は、迷いながら薄紫の帯を選んだ。


「浴衣に合う髪形もありますので、うちの者が着付けと髪結いをさせて頂きますね」


アイラは、エリにアンナ夫人を預けた。


王妃様は、浴衣が気に入ったようで、どれにするか悩んでいるようだ。


「私、この浴衣を試着してみたいのだけどよいかしら?

浴衣に合うアクセサリーも見繕って頂けないかしらね。

出来れば、マリーベルブランドの物がよいのだけれど…」


「それなら、このシリーズは如何ですか?

この浴衣と同時リリースするマリーベル和コレクションの3点セット。

かんざし、耳飾り、帯留め。

どれも一点物で、今しか出逢えない商品となっております。

お気に召す商品が無い場合は、オーダーとなりますのでお時間を頂く事になります」


「浴衣は、向日葵柄にしたいのだけれど似合うかしらね?

アクセサリーは、私の瞳に合わせてエメラルドを使っている物にしたいのだけれど…」


「そうですね。

美しいブロンドヘアに向日葵が映えると思いますよ。

エメラルドを使っている3点セットはこちらになりますが、如何でしょうか?」


「そう、ならば紺地に向日葵柄で決まりね!

凄いわ!

このエメラルドの帯留めは、私の瞳の色と同じだわ。

かんざしというのは、髪飾りなのね。

繊細で素敵なデザインだわ。

耳飾りも素晴らしいわ。

風に揺れると目を奪われるようね…

流石、マリーベル様が作られた作品だわ!

私買いますから!

誰にも売らないで下さいね」


王妃様は、浴衣と和のアクセサリーが気に入ったようである。


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