転生したけど平民でした！もふもふ達と楽しく暮らす予定です。

最終試験は魔獣狩り

筆記試験と面接をクリア出来たのは僅か10名足らずであった。

当初の予定では３チームに分かれる事になっていたがあまりにも少ないので一気に試験を決行する事になった。

いわゆる勝ち抜き戦だ。

魔獣を見つけた時にいち速く反応して倒した者から合格にするという事になるらしい。

ランクによって倒す数は変わるが規定数倒せば合格となる。

ランク以上の動きが出来た者は飛び級とする事になった。

これを聞いて新人冒険者たちの気持ちは高まっていった。

◇◇◇◇

午前中の試験をクリアした中で女性はただひとり。

辺境伯の末娘であるルキアだけであった。

ルキアの父である辺境伯は剣聖と呼ばれるジュビアの有名人。

長い間、ジュビアの騎士団長として活躍し今でも騎士たちの憧れの人でもある。

ルキアも父に憧れ、小さい時から私は女性だけの騎士団を作ると言っていたのだが、残念な事に平和なジュビアでは、騎士団が活躍するような事もなく

騎士団自体の人員も少ない為、女性騎士団を作るような計画は今後もないらしい。

がっかりしたルキアだったが、それなら冒険者になろうと考えを改め渋る父を説得し、ギルドに登録。

様々なクエストをこなし、今回の昇級試験に挑んだのである。

今回、昇級が叶わなければ冒険者として生きるのは諦めて花嫁修業をしてもらうと兄と兄嫁から言われているので

もうやるしかないのだ。

ルキアが今回挑むのはAランクだ。

現在のルキアはCランクだから飛び級を狙っている。

Aランク以下なら冒険者として認めない！と父と兄から言われているのだ。

ちなみにふたりともSランクである。

兄ロベルトは、冒険者時代は暗黒鬼と呼ばれて恐れられていたらしい‥

彼と目が合うと殺されるとまで恐れられていた兄だが妹であるルキアには単なるヤンデレ兄貴である。

◇◇◇◇

そんなヤンデレ兄貴は、かつての戦友であるジルにうちのルキアちゃんを落としてくれ！

あの娘には、戦いを日常としては欲しくないんだ。とお願いしてきたらしいのだが。

ジルは、「戦うのが彼女の宿命であるなら仕方がないよ。

俺は才能がある者の芽を摘むような事は出来ない。

だが冒険者の道が険しい事はお前がよく知っているはずだ？

ちょっと強いだけじゃ冒険者は務まらないからな。

お前の妹がどれだけの気持ちで冒険者になろうとしているのか？

どれほど強いか？

これから冒険者としてやって行けるのか？

それを試験するんだ。

お前は黙って見てるしかないよ。

今回、お前が邪魔してもまた彼女なら挑戦するだろうからな。」

そう言ってロベルトを宥めたのだった。

「わかった。お前がそこまで言うなら俺も腹をくくろう。黙って見ているよ。」

「それでいい。お前だって、冒険者になる時に父上から反対されて家出してきたじゃないか？もう忘れたのか？」

「忘れてはいないよ。ただ、俺は男だがルキアは女だ。来年には社交界デビューも控えているんだぞ？」

「だからだよ！彼女なりのけじめだよ。今回の昇級が無理なら諦めて花嫁修業に励むつもりなんだろうよ。妹の最後の挑戦なんだ！お前も黙って見守れよ！」

「ジル‥お前変わったな。いつのまにそんなに‥」

「ロベルト‥俺だっていつまでもやんちゃなガキじゃないさ。一応、ギルドマスターなんだぞ。これでも！」

「そうだな。すまない。どうしても昔一緒に暴れ回ってた頃のイメージが抜けなくて。」

「いやいや。お前こそ、辺境騎士団をまとめて素晴らしい働きをしてるじゃないか？」

◇◇◇◇◇

『ふたりとも！そろそろいいかしら？』

「「ミディ？」」

『新人たちが試験はまだかとお待ちかねよ？ロベルトも暇なら試験に同行しない？どうせ、妹君が心配で隠れてついてくるつもりなんでしょ？』

「ミディにはかなわないな。では、我らが女神の承諾を得た事だし、私も同行させてもらうよ。」

「俺は先に森に入っているムスティと合流する！ロベルトはミディと試験の邪魔になる魔獣を倒してくれないか？」

「「了解。」」

ようやく最終試験が始まりましたね。

ルキアさん‥

昇級出来るといいですね。