219 / 274
兄の想い
しおりを挟む
王宮の私室で兄からの呼び出しを待つミリアとムスティは、緊張感なく
久しぶりに飲む、白兎印の紅茶を楽しんでいる。
「ねぇ、ムスティ。お兄様怒ってると思う?」
「神がお怒りならば私たちはここで気楽にお茶を飲んでいられないですよ?」
「そうかな?」
「そうだぞ!ミリア!お帰り。」
「お兄様‥いきなり現れるとか心臓に悪いから!」
「悪かったな?で?あの手紙何なの?俺に分かるように説明して!それと‥何でムスティがお前と一緒にいるの?」
ミリアとムスティが、どちらが先に話すかじゃんけんで決めているのを見て
「お前ら仲良すぎ!先ずはミリアからにしなさい。」と笑いながら指示した。
「えー。言いたい事は手紙に書いたんだけど?」
「あの手紙だと何もわからないからお前を呼んだわけだが?何で探し物が見つかったから聖女を辞める必要があるのか説明してくれないか?」
「最初に探してた物は自分が聖女でいる理由なんだけどね。見つけたのは違うものなんだ。」
「もっとわかりやすく!それじゃわからないぞ?」
「じゃあ、結論言うね。ジュビアで聖女修行してる子たちは真剣に全身全霊で聖女である為に‥って、それしかない毎日を送ってるのよね。私には、そんな情熱ないからやっぱ向いてないなってハッキリしたの。だから、聖女は辞めたいです。」
「成る程な。だがなお前のその常に溢れだしそうな魔力がこの国を平和に維持する為に必要なんでな。俺個人としてはお前に無理は言いたくないが、神王としては‥聖女を辞めさせるわけにはいかないんだよ。わかるか?」
「お兄様!大丈夫!私より、膨大な魔力があって魔力コントロールもバッチリで賢くて美しい聖女候補をスカウトしてきたから!」
「何だって?それは誰だ?そんな人材が埋もれてたのか?」
「ジュビアにいたの!でもね。お祖父様がアーライ出身なんだって。一緒に聖女合宿してたアマンダ様の従妹のロレッタ様なんだけど‥」
「アウグストの孫か‥それならこっちに呼んでも問題はないな。アマンダには話は通してあるのか?」
「勿論よ。アマンダ様はロレッタの好きなようになさいって仰ってたわよ。ロレッタはアーライ神国の神殿が好きみたいなの。小さい時にお祖父様と一緒に来た事があって、その時にお祈りをしていた聖女様に憧れて聖女を目指したって言ってたわ。アーライの聖女の正装も着てみたいらしいし‥」
「んー。聖女になりたくて頑張ってきた娘なんだな。ロレッタ嬢は‥分かった!彼女をこっちに呼んで面接して決めるわ。彼女が三大聖女にふさわしいかどうかは‥まだわからないからな。お前が聖女を辞めるのは保留だからひとまずこっちに帰って来なさい。」
「わかったわ。お兄様。」
「で?何でムスティが一緒にいるのか聞いてもいいか?」
「あのね。もうひとつの探し物はムスティなの。私‥ずっとムスティが何処に行ってしまったのか気になってたから‥」
「見つかったから連れてきただけじゃないだろ?」
「アーライ神様、ミリア姫が聖女を辞した時に聖女の最後の願いとして私と一緒になる事をお許し頂きたいのです。」
「何だと?ミリア‥それは本当か?」
「本当よ。私、聖女という名誉職よりも、ムスティと一緒に生きていく道を選びたいの。彼と色んな国を旅して暮らしたいのよ。ワガママだと思うけど‥私には、一生神殿で祈りを捧げるのは向いていないもの。」
「ロレッタ嬢次第だな。だがな、直ぐには無理だ。ムスティお前も一度こっちに戻って来なさい。風の賢者の席がまだ埋まっていないのは知っているな?お前が風の賢者になって後継者を育ててからならミリアを嫁に出してもいいぞ!」
「わかりました。今日からこちらに戻ります。後継者の目処はついてます故‥厳しく指導しましょう!」
「ミリアもそれでいいな?」
「はい。お兄様。ロレッタ様は明日にもこちらに呼び寄せますから面接お願い致します。」
「お前は明日からは花嫁修業に励め!いつまでも、ムスティにお茶を入れさせるわけにいかんだろ?」
「‥はい‥努力します。ジュビアでちょっと家事は出来るようになったんですよ?」
「まぁ、頑張ってなふたりとも。」
「「はい!アーライ神様!」」
◇◇◇◇
どうやら無事に話がまとまったようですね。
じいは嬉しゅうございます!
あのお転婆姫様が‥
お嫁に行きたいと言われるとは‥感無量です。
さて、皆様におやつを出しますかね。
姫様がジュビアからお土産に持ってきてくれたあんころ餅に合うお茶を淹れましょう。
アーライ神様はやはり最高ですな。
新しい聖女候補と風の賢者候補も確保して
お転婆姫も嫁に出す計画を進めるとは‥
じいがお仕えしているワガママ坊っちゃまにしては、中々やりますな!
今のは失言なので内密に!
久しぶりに飲む、白兎印の紅茶を楽しんでいる。
「ねぇ、ムスティ。お兄様怒ってると思う?」
「神がお怒りならば私たちはここで気楽にお茶を飲んでいられないですよ?」
「そうかな?」
「そうだぞ!ミリア!お帰り。」
「お兄様‥いきなり現れるとか心臓に悪いから!」
「悪かったな?で?あの手紙何なの?俺に分かるように説明して!それと‥何でムスティがお前と一緒にいるの?」
ミリアとムスティが、どちらが先に話すかじゃんけんで決めているのを見て
「お前ら仲良すぎ!先ずはミリアからにしなさい。」と笑いながら指示した。
「えー。言いたい事は手紙に書いたんだけど?」
「あの手紙だと何もわからないからお前を呼んだわけだが?何で探し物が見つかったから聖女を辞める必要があるのか説明してくれないか?」
「最初に探してた物は自分が聖女でいる理由なんだけどね。見つけたのは違うものなんだ。」
「もっとわかりやすく!それじゃわからないぞ?」
「じゃあ、結論言うね。ジュビアで聖女修行してる子たちは真剣に全身全霊で聖女である為に‥って、それしかない毎日を送ってるのよね。私には、そんな情熱ないからやっぱ向いてないなってハッキリしたの。だから、聖女は辞めたいです。」
「成る程な。だがなお前のその常に溢れだしそうな魔力がこの国を平和に維持する為に必要なんでな。俺個人としてはお前に無理は言いたくないが、神王としては‥聖女を辞めさせるわけにはいかないんだよ。わかるか?」
「お兄様!大丈夫!私より、膨大な魔力があって魔力コントロールもバッチリで賢くて美しい聖女候補をスカウトしてきたから!」
「何だって?それは誰だ?そんな人材が埋もれてたのか?」
「ジュビアにいたの!でもね。お祖父様がアーライ出身なんだって。一緒に聖女合宿してたアマンダ様の従妹のロレッタ様なんだけど‥」
「アウグストの孫か‥それならこっちに呼んでも問題はないな。アマンダには話は通してあるのか?」
「勿論よ。アマンダ様はロレッタの好きなようになさいって仰ってたわよ。ロレッタはアーライ神国の神殿が好きみたいなの。小さい時にお祖父様と一緒に来た事があって、その時にお祈りをしていた聖女様に憧れて聖女を目指したって言ってたわ。アーライの聖女の正装も着てみたいらしいし‥」
「んー。聖女になりたくて頑張ってきた娘なんだな。ロレッタ嬢は‥分かった!彼女をこっちに呼んで面接して決めるわ。彼女が三大聖女にふさわしいかどうかは‥まだわからないからな。お前が聖女を辞めるのは保留だからひとまずこっちに帰って来なさい。」
「わかったわ。お兄様。」
「で?何でムスティが一緒にいるのか聞いてもいいか?」
「あのね。もうひとつの探し物はムスティなの。私‥ずっとムスティが何処に行ってしまったのか気になってたから‥」
「見つかったから連れてきただけじゃないだろ?」
「アーライ神様、ミリア姫が聖女を辞した時に聖女の最後の願いとして私と一緒になる事をお許し頂きたいのです。」
「何だと?ミリア‥それは本当か?」
「本当よ。私、聖女という名誉職よりも、ムスティと一緒に生きていく道を選びたいの。彼と色んな国を旅して暮らしたいのよ。ワガママだと思うけど‥私には、一生神殿で祈りを捧げるのは向いていないもの。」
「ロレッタ嬢次第だな。だがな、直ぐには無理だ。ムスティお前も一度こっちに戻って来なさい。風の賢者の席がまだ埋まっていないのは知っているな?お前が風の賢者になって後継者を育ててからならミリアを嫁に出してもいいぞ!」
「わかりました。今日からこちらに戻ります。後継者の目処はついてます故‥厳しく指導しましょう!」
「ミリアもそれでいいな?」
「はい。お兄様。ロレッタ様は明日にもこちらに呼び寄せますから面接お願い致します。」
「お前は明日からは花嫁修業に励め!いつまでも、ムスティにお茶を入れさせるわけにいかんだろ?」
「‥はい‥努力します。ジュビアでちょっと家事は出来るようになったんですよ?」
「まぁ、頑張ってなふたりとも。」
「「はい!アーライ神様!」」
◇◇◇◇
どうやら無事に話がまとまったようですね。
じいは嬉しゅうございます!
あのお転婆姫様が‥
お嫁に行きたいと言われるとは‥感無量です。
さて、皆様におやつを出しますかね。
姫様がジュビアからお土産に持ってきてくれたあんころ餅に合うお茶を淹れましょう。
アーライ神様はやはり最高ですな。
新しい聖女候補と風の賢者候補も確保して
お転婆姫も嫁に出す計画を進めるとは‥
じいがお仕えしているワガママ坊っちゃまにしては、中々やりますな!
今のは失言なので内密に!
0
あなたにおすすめの小説
転生幼女は追放先で総愛され生活を満喫中。前世で私を虐げていた姉が異世界から召喚されたので、聖女見習いは不要のようです。
桜城恋詠
ファンタジー
聖女見習いのロルティ(6)は、五月雨瑠衣としての前世の記憶を思い出す。
異世界から召喚された聖女が、自身を虐げてきた前世の姉だと気づいたからだ。
彼女は神官に聖女は2人もいらないと教会から追放。
迷いの森に捨てられるが――そこで重傷のアンゴラウサギと生き別れた実父に出会う。
「絶対、誰にも渡さない」
「君を深く愛している」
「あなたは私の、最愛の娘よ」
公爵家の娘になった幼子は腹違いの兄と血の繋がった父と母、2匹のもふもふにたくさんの愛を注がれて暮らす。
そんな中、養父や前世の姉から命を奪われそうになって……?
命乞いをしたって、もう遅い。
あなたたちは絶対に、許さないんだから!
☆ ☆ ☆
★ベリーズカフェ(別タイトル)・小説家になろう(同タイトル)掲載した作品を加筆修正したものになります。
こちらはトゥルーエンドとなり、内容が異なります。
※9/28 誤字修正
【完結】スキルを作って習得!僕の趣味になりました
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》 どんなスキル持ちかによって、人生が決まる。生まれ持ったスキルは、12歳過ぎから鑑定で見えるようになる。ロマドは、4度目の15歳の歳の鑑定で、『スキル錬金』という優秀なスキルだと鑑定され……たと思ったが、錬金とつくが熟練度が上がらない!結局、使えないスキルとして一般スキル扱いとなってしまった。
どうやったら熟練度が上がるんだと思っていたところで、熟練度の上げ方を発見!
スキルの扱いを錬金にしてもらおうとするも却下された為、仕方なくあきらめた。だが、ふと「作成条件」という文字が目の前に見えて、その条件を達してみると、新しいスキルをゲットした!
天然ロマドと、タメで先輩のユイジュの突っ込みと、チェトの可愛さ(ロマドの主観)で織りなす、スキルと笑いのアドベンチャー。
子育てスキルで異世界生活 ~かわいい子供たち(人外含む)と楽しく暮らしてます~
九頭七尾
ファンタジー
子供を庇って死んだアラサー女子の私、新川沙織。
女神様が異世界に転生させてくれるというので、ダメもとで願ってみた。
「働かないで毎日毎日ただただ可愛い子供と遊んでのんびり暮らしたい」
「その願い叶えて差し上げましょう!」
「えっ、いいの?」
転生特典として与えられたのは〈子育て〉スキル。それは子供がどんどん集まってきて、どんどん私に懐き、どんどん成長していくというもので――。
「いやいやさすがに育ち過ぎでしょ!?」
思ってたよりちょっと性能がぶっ壊れてるけど、お陰で楽しく暮らしてます。
【一秒クッキング】追放された転生人は最強スキルより食にしか興味がないようです~元婚約者と子犬と獣人族母娘との旅~
御峰。
ファンタジー
転生を果たした主人公ノアは剣士家系の子爵家三男として生まれる。
十歳に開花するはずの才能だが、ノアは生まれてすぐに才能【アプリ】を開花していた。
剣士家系の家に嫌気がさしていた主人公は、剣士系のアプリではなく【一秒クッキング】をインストールし、好きな食べ物を食べ歩くと決意する。
十歳に才能なしと判断され婚約破棄されたが、元婚約者セレナも才能【暴食】を開花させて、実家から煙たがれるようになった。
紆余曲折から二人は再び出会い、休息日を一緒に過ごすようになる。
十二歳になり成人となったノアは晴れて(?)実家から追放され家を出ることになった。
自由の身となったノアと家出元婚約者セレナと可愛らしい子犬は世界を歩き回りながら、美味しいご飯を食べまくる旅を始める。
その旅はやがて色んな国の色んな事件に巻き込まれるのだが、この物語はまだ始まったばかりだ。
※ファンタジーカップ用に書き下ろし作品となります。アルファポリス優先投稿となっております。
転生チート薬師は巻き込まれやすいのか? ~スローライフと時々騒動~
志位斗 茂家波
ファンタジー
異世界転生という話は聞いたことがあるが、まさかそのような事を実際に経験するとは思わなかった。
けれども、よくあるチートとかで暴れるような事よりも、自由にかつのんびりと適当に過ごしたい。
そう思っていたけれども、そうはいかないのが現実である。
‥‥‥才能はあるのに、無駄遣いが多い、苦労人が増えやすいお話です。
「小説家になろう」でも公開中。興味があればそちらの方でもどうぞ。誤字は出来るだけ無いようにしたいですが、発見次第伝えていただければ幸いです。あと、案があればそれもある程度受け付けたいと思います。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
スローライフ 転生したら竜騎士に?
梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。
魔物が棲む森に捨てられた私を拾ったのは、私を捨てた王子がいる国の騎士様だった件について。
imu
ファンタジー
病院の帰り道、歩くのもやっとな状態の私、花宮 凛羽 21歳。
今にも倒れそうな体に鞭を打ち、家まで15分の道を歩いていた。
あぁ、タクシーにすればよかったと、後悔し始めた時。
「—っ⁉︎」
私の体は、眩い光に包まれた。
次に目覚めた時、そこは、
「どこ…、ここ……。」
何故かずぶ濡れな私と、きらびやかな人達がいる世界でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる