聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

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第二部第一章 act.58

雪乃~デート・3~夏のデートって言えばこれでしょう♪

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「翔さーん!」

プールサイドを水着姿の雪乃が走ってくる。

今日は二人で隣町にある遊園地のプール
に遊びに来ていた。

「雪乃…また…走ってきた…」

翔は一人で呟きながら雪乃に手を振った。

「翔さん…待ちました?
 …すみません…。
 女子更衣室…混んでいて…ハア」

「気にしない…気にしない…」

翔は雪乃の水着姿をじっと見つめる。

翔に水着姿を見つめられていることに
気づいた雪乃は、頬を赤くしながら
言ってきた。

「いやだ…翔さん…。
 あんまり見つめないで下さい。
 そんなに見つめられると…
 恥ずかしいです」

「ああ…ごめんごめん雪乃。
 その水着似合っているね…綺麗だよ」

謝りながら、雪乃が着ている
白いタンキニワンピースの
水着を誉める翔。

「本当ですか?
 翔さん…口が上手いから…」

頬を赤らめ照れる雪乃。

「とりあえず。泳ぎに行きましょう!」

照れ隠しのためか翔の手を取って、
歩き出す雪乃であった。





プールで遊びまくった後、二人は遊園地内
で乗り物に乗って遊んでいた。

「翔さん!次はあれに乗りましょう!」

 ぐいっ……

「おいおい……。引っ張るなよ雪乃。
 そんなに急がなくても…大丈夫だって」

「ダメなんです。とにかく急いで下さい」

「えっ? 急ぐってどこへ?」

「観覧車ですっ!」

「…………………」

(観覧車って…あの…観覧車だよな…?
 それで……何で急ぐ必要があるんだ?
 ……………わからん………)

雪乃は翔の手を引っ張り、
観覧車へ向かって行った。

「ふふふ…。ちょうどいい感じです…」

「……………。
 いっぱい並んでるぜ?」

観覧車のところで並んでいる人を見て
嬉しそうに微笑む雪乃。

翔は並んでいる人の多さに
呆れながら言った。

雪乃は翔の顔を覗き込み、笑いながら
返事をしてきた。

「ふふふ……いいんです。
 30分待ちですから……」

「!?…………なんだそれ?」

「入り口の所に書いてあったんですよ……
 観覧車のおすすめ時間って。
 …日が沈む時間に…
 乗りたかったんです……。
 ロマンチックでしょ?」

雪乃が翔の腕を掴んで少し恥ずかしそうに
言ってきた。

「………………………」

(日が沈む時間……か……。
 ロマンチックね……だから…
 カップルだらけなのか?)

翔は黙って雪乃の顔を見ていた。

雪乃は頬を薄紅色に染めながら話してくる。

「あたし……。翔さんと観覧車の中から
 夕日を見たかったんです…。
 すっごく楽しみにしてて……」

「雪乃のこだわりなんだ……。
 ……観覧車の中から見る夕日も
 綺麗だろうな。
 俺も…なんか楽しみになってきた…」

翔はそんな雪乃を見ながら優しく答えた。

雪乃の頬がさらに赤くなっていった。

「………はい。きっと……綺麗です」

「………雪乃。楽しんで見ような…」

「……はい」

翔の問いに雪乃は小さな声で返事をした。

 ・
 ・
 ・

三十分ほど並び、日が暮れ始めた頃に
観覧車に乗り込む二人。

「わあぁ!綺麗!」

雪乃は観覧車から見る夕焼けに
感動していた。

「ああ…綺麗だ…」

(夕日…よりも…景色よりも……
 夕日に照らされている……
 雪乃の横顔が……まあ…その……
 なんだ……綺麗だよな……)

翔は夕日に照らされている雪乃の
横顔を見て言った。

「やだな…翔さん…。
 何処…見て言ってるんですか?
 外ですよ…外…」

雪乃は翔の視線に気がついて
言い返してきた。

「!? あっごめん!」

翔は一言だけ言って、夕焼けを見る。

(…………ははは。やばいやばい……
 つい…マジマジと雪乃の顔を
 眺めてしまった……。
 ……………………。
 ん~~~っ。本当に綺麗だ)

  チュッ……

 「!?」

(……ゆ、雪乃……?
 今…俺の唇に…何か……その…
 柔らかくて暖かい物が……)

雪乃は突然、翔の唇に自分の唇を
押し当ててきた。

「あたし、翔さんのこと…すごく…大事。
 …いつも…翔さんの側に居たい…」

雪乃は唇を離し翔に抱き付き、
真っ赤になりながら言ってきた。

雪乃の身体が震えているのが
伝わってきた。

「………………」

(雪乃の気持ちはすごく嬉しい……。
 でも俺は……俺には華那恵がいて……
 まだ……俺自身……。
 どうするべきか?雪乃には正直に話そう)

「雪乃…俺は…俺には…」

翔は好きな子がいることを
雪乃に告げようとする。

「いいんです。…あたし…。
 翔さんに好きな子がいるのを知って
 言ってるんですよ…。
 そして…その子の為に…
 この街に戻ってきたこともしってます」

「………えっ? 雪乃…?」

翔が雪乃に聞き返そうかと口を開くと、
雪乃は翔の唇に人差し指を
当てて言い続けた。

「それでも…あたしが…翔さんのこと
 思うのは自由でしょう?

 …あたし…。それでもいいの…。
 翔さんが…その人のこと好きでも…
 かまわないんです…。

 翔さんの側に…居られるだけで…
 あたし…あたし…幸せなんです…」

雪乃は目に涙をためながら
翔の胸に飛び込んでいった。

「翔さんが…その人に告白するときまで……
 側にいさせて下さい……」

「…………」

(………俺にとって…華那恵は……
 大切な存在で……。
 でも…雪乃は…俺の一番近い女の子で……
 だから……俺は……俺は…)

翔は悩みながら雪乃の身体を力強く
抱きしめていた。





観覧車を出て食事をし、日が暮れて
あたりが暗くなった頃、遊園地を
後にして家路につく二人。

雪乃は観覧車の事を忘れたかのように、
どうでもいい話をしてくる。

翔もあえてその話題には触れようとせず、
雪乃の話に合わせていた。

「…………。遅くなっちゃいましたね?」

翔の手を握り締め震える声で
話してくる雪乃。

翔は雪乃に優しく答える。

「そうだね……。家の方は平気?」

「あっ……平気ですよ。
 前にも言ったと思いますけど家は門限が
 ないんです。だから……平気です。
 ただ、パ…父が帰っていたら騒ぐだけで…」

「えっ? お父さんが?
 それって、平気じゃないんじゃ…」

「平気ですよ? パ…父は自由な人だから…
 好きなこと言ってくるし…マ…母は結構
 家庭では強くて、父に好きに言うんです。
 パ…父は頭上がらないんです。言う事は
 何でも聞く?みたいなぁ…結婚してから
 相当、迷惑かけていたみたいだし…」

「ははは…。無理に言い直さなくていいよ。
 家ではパパ、ママなんだろ?
 雪乃のお父さんって何したの…?
 お母さんは雪乃の味方なんだ…」

「あっやっぱりバレてますよね?
 家ではパパ、ママって呼んでます。
 外だとパパの都合で名前呼びなんです。
 その反動で『パパって呼ばなきゃダメだ!』
 って言われてるんです。
 私的には父さんとかで良いんですけどね…。

 味方っていうか…ママはパパと付き合って
 いる時に恋愛を自由にできなかったみたい
 でそれを今だにパパに言っているって感じ
 なんです。
 パパはそれを気にしているみたいで、ママ
 から娘の、行動、恋愛は自由にさせるって
 高校入学してから言い出して、アルバイト
 自由で、それもパパが渋々了解したって…
 感じなんです」

「そうだったんだ……だから遅くまでバイト
 していても大丈夫だったんだ。クラブに
 来るのも本当は反対したいんだろうね?」

「いえ、クラブは平気です。MATはパパ
 と店長の松本さんが知り合いみたいで…
 何回か中学のころ何回か連れてきて
 もらってたんです。さすがに高校生に
 なってからはないですけど…男性には
 気をつけろ!って言っていますけど」

「…へぇ」

(…………………。ぎこちない…。
 恋愛ってワードに…ぎこちなくなる。
 さっきの観覧車の件もあって…何となく…
 ぎこちなくなってしまった。
 ……何とか…しなければ………。

 ………………。そういえば……
 玲子さんの件があったんだった)

急に黙ってしまった翔に心配そうに
聞いてくる雪乃であった。

「……翔さん? どうかしましたか?」  

「あっ……ごめん。なんでもない
 雪乃……。ちょっといいか?」

「……!? はい」

翔は雪乃を帰り道にある公園に誘った。

公園のベンチに座りながら
話を切り出す翔。

「雪乃……あのさ……」

「………はい」

改まって話してくる翔に緊張気味に
返事をする雪乃。

「玲子さんが雪乃と遊びたいって……
 うるさいんだけど、どうする?」

「えっ? あたしとですか?」

突然玲子の話を出され驚く雪乃。

「………ああ。泊まりに来いって……」

「………嬉しい。 あたし…。
 泊まりに行っていいんですか?」

「………もし……都合がつけば……
 だけど……」

雪乃は嬉しそうに笑顔で答えて来た。

「……行きます。大丈夫です。
 今週……あたしの学園。
 土曜日お休みなんですよ…

 あっ……でも…
 翔さんは授業ありますよね?」

「あるけど……平気だよ。
 うるさいから…早いほうがいいし……。
 じゃあ……。次の金曜日は平気かな?」

「平気です」

「じゃあ…金曜日に…。待っているよ」

「……はい。今度の金曜日に
 バイトが終わったら、
 MATにいきますね?」

「ああ……おいで。待っているから…」

「玲子さん達にも言っておくよ……」

「ふふふ……。必ず行きますね?
 じゃあ、翔さん。あたしの家そこです
 からここでいいです。
 送ってくれてありがとうございました」

雪乃は立ち上がり翔に微笑みながら
言ってくる。

「翔さん。おやすみなさい!」

「………おやすみ……」

雪乃は翔と金曜日の約束をして、
家の中に入っていった。

 。
 。
 。
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