聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

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第二部第二章〈夏休み編〉act.03

グリフォ~夏合宿3・伊豆~

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「カンパーイ!」

「「「「カンパーイ!」」」」

 チィーーーン!

2日目の夜。
翔達は大宴会に突入していった。

「ほら……伸飲め!」

「………いただきまっす!!」

「ほら雪乃ちゃん……
 グラス空になっているわよ」

「………あっ……はい」

「あっ……。私も……それ飲むぅ~」

「……蓉子。あんまり……のむな……」

「いいの!
 圭一がいるから……安心でしょ?」

「…………うがぁ……」

「ほれっ……華那恵ちゃんも
 グラス…グラス……」

「………はい。……頂きます」

「史絵ちゃんグラスは?」

「ハイ……。ここにありますよぉ……」

「もっと飲まなきゃ……」

「………あっ……伸くん、
 わたし……そんなには……」

「大丈夫…大丈夫…ボクチンがいるから…」

「伸!あんたが一番危ないの!
 ダメだよ…史絵…あんた…弱いんだから」

「………頑張って……飲みます……」

「あ~っ!華那恵ちゃんすごーい!
 一気に飲んじゃった……」

「………うふふ。これ……美味しい……」

「………………」

(なんか……すごいことになってきた…。
 このままじゃ…きっと……
 凄まじいことに……。
 ……俺…ウーロン茶にしておこう……)

「あー! 翔くん飲んでなーい!」

  ギクッ……

「ずるいです! 翔さん!」    

  ギクッギクッ……

「翔くん…わたしの…グラスの奴…
 飲みますかぁ……?」

(………見つかっちゃった……)

「……翔、テメェ……。飲めこの野郎!」

「……あのぅ……隆二さん。
 みんなで飲みまくる訳には……」

「いいから……飲め!」

「………はい」

(………………ダメだ……。
 いまのこの人達に何を言っても無駄だ。
  ……あきらめて……飲むか……)

翔は覚悟を決め、なみなみと
注がれたグラスを一気に飲み干した。





「きゃっ! 冷たっ!」

翔が隆二と談笑していると、向かいに
座っている雪乃が小さく悲鳴をあげた。

皆の視線が雪乃に集まる。

「れ、玲子さーん。起きて下さーい」

「う、うーん…ゆ、きの…ちゃ…ん」

玲子がグラスを持ったまま、
雪乃に身体を預けていた。

潰れかけている玲子の持つグラスが
傾き雪乃のシャツを濡らしていた。

隆二は黙って立ち上がって二人の側に
行き、玲子の身体を支えながら雪乃に
笑いかける。

「雪乃ちゃんゴメンな、冷たかったろ?
 後は俺が玲子の面倒を見るから
 俺と場所を代わろう。
 雪乃ちゃんは翔の隣に座ってな」

「あ、はい、すみません……きゃっ!」

隆二に促され立ち上がった雪乃だったが、
その場でふらつき倒れそうになる。

いつの間にか近くに立っていた翔が雪乃
の身体を支える。

「あ、しょ、翔さん…
 ありがとうございます…」

「雪乃…大丈夫か?」

「は、はい…す、みません。
 ちょっと、ふらついて…しまって…」

「あー!雪乃ちゃん!!シャツ早く
 着替えないと!」

今更のように雪乃のシャツが濡れている事に
気づいた蓉子が大きな声を上げた。

「えっ!? あ、いけない!
 滲みになっちゃうー!」

その声で自分の白いシャツを見た雪乃は、
慌ててその場でロンTを脱ごうとする。

「ゆ、雪乃!!」

「えっ?」

慌てて雪乃の腕を掴む翔。
雪乃は胸のところまでシャツをたくし上げた
状態で固まっていた。

「おっ!! ラッキーー!!
 雪乃ちゃんの柔肌ぁーー!!」

「うがぁ!!」

「圭は見ちゃダメーーー!!」

「!?」

「雪乃ちゃん!!」

座っている皆の角度からは、雪乃の薄紅色に
染まった白い肌と白い下着がハッキリと
見えていた。

それを凝視する伸と石田。
目の保養にはしゃぐ伸とそれとは対照的に
純粋に驚いている石田の姿があった。

石田の眼を身体を伸ばして隠そうとする蓉子。

史絵は言葉をなくし赤くなり、華那恵は
目を大きく見開き口に両手を当てて
雪乃の名を呼んだ。

みんなの言葉を聞いて、我に返る雪乃。
見る見る間に雪乃の顔が真っ赤に染まっていく。

「きゃあああぁぁっ!!」

そして、叫びながらその場に座り込んだ。

「……雪乃」

「…………。…し、しょうさ…ん」

目に涙を浮かべ、自分の身体を抱きかかえる
ように座っている雪乃の前に屈み込み、
優しく声を掛ける翔。

「あ、あたし…はずか…しぃ」

「ま、まあ…その…と、とりあえず…
 着替えようか?」

翔は雪乃を促しながら立たせ、
洗面所に連れて行く。

「とりあえず。 早くそのシャツを脱いで
 洗っちゃいな」

雪乃を洗面所に押し込み、
翔は自分の予備のシャツを部屋に取りに行き
洗面所の扉の前から中に声を掛ける。

「雪乃。代わりのシャツを扉の前に置いて
 おくから着替えな? 俺ので悪いけど…」

『翔さん…すみません。
 今、扉を開けますから…
 隙間から渡してもらってもいいですか?』

「良いけど…」

 カチャ

翔の返事を聞いて、洗面所の扉が
少しだけ開く。翔はその隙間から手だけを
入れてシャツを雪乃に渡す。

『ありがとうございます。
 直に出ますから、待ってて下さい』

シャツを受け取った雪乃は直にシャツを
着て洗面所から出てくる。

「翔さんすみません。今、自分の部屋に
 行って着替えてきますから、
 このシャツは洗って返します」

雪乃は恥ずかしそうに下を向いて
言ってきた。

翔の渡したシャツは普通のTシャツだが、
先ほどまで雪乃が着ていたロンTよりも
大きく感じられた。

「あ、いいよ。雪乃がイヤじゃなければ
 そのまま着ていても…」

「イヤじゃなんて!そんな事ないです!
 むしろ…嬉しいっていうか…」

翔の言葉を聞いて、慌てて近づき
腕を掴むように顔を上げて言ってくる雪乃。

「じゃあ良いんじゃない?似合ってるよ…」

「は、はい。 じゃあ、お借りします」

雪乃の頬がさっきまでとは違う意味で
薄紅色に染まっていた。

「じゃあ行こうか?」

「……はい」

翔は雪乃に声を掛け、二人で並んで
皆のいるリビングに向かっていった。

「おっ戻ってきたか?雪乃ちゃんごめんな。
 玲子が迷惑掛けた」

二人がリビングに戻るなり、
隆二が玲子の身体を支えたまま謝ってきた。

「いえっそんな…迷惑だなんて…」

その言葉に慌てる雪乃に笑いながら
話しかける隆二。

「はははは。
 ちなみに……雪乃ちゃんを辱めた
 伸のバカは…軽く絞めといたから…」

「えっ?」

隆二が指差した方向には
生けるしかばねとなった伸が転がっていた。

「……伸…」

言葉を無くす雪乃とその横に立ち
屍に向かって合唱をする翔。

「まあとりあえず早く座れよ。
 飲みなおそう」

「はい」

隆二に促され翔と共に座る雪乃。

「じゃあ、改めて…」

「「「かんぱーい!」」」

二人の前に新しいグラスが出され
改めて乾杯をする皆であった。

そうして、その宴会は
夜遅くまで続くのであった…。





「ほら、華那恵ちゃん。部屋に戻らないと」

「う、う~ん。 私、もう飲めない…」

「史絵ちゃんも起きて!」

「し、翔、くん…いっぱいいます…ねぇ…」

翔が最初に懸念したとおり、メンバーの
ほとんどが飲み潰れている状態になっていた。

翔は華那恵と史絵に声を掛けて起こそうと
するが、二人共飲みつぶれて起き上がろうと
しなかった。

「隆二さんダメです。
 華那恵も史絵ちゃんも目を覚まさないです」

「こっちもダメだな?
 玲子も雪乃ちゃんも起きてこないぜ?
 圭そっちはどうだ?」

「蓉子はダメだな。
 伸は2階の廊下で力尽きてる」

「そうか。まあ、伸はそのまま
 転がしておけばOKだな?
 とりあえず、女性陣を部屋まで運ぶか?
 翔、華那恵ちゃんを頼む」

「えっ頼むって?」

翔が聞き返そうと隆二の方に
振り返ると隆二は史絵を抱きかかえて
立ち上がっていた。

「早くしろよ?」

隆二はそのまま2階に向かって歩き出す。

「は、はい。」

翔は慌てて華那恵を抱き上げようとした。

「う、ん…」

華那恵の柔らかい身体の重みが両腕にかかる。
華那恵は小さく悶えながら翔の胸に顔を埋めた。
華那恵の髪からシャンプーの香りが漂ってくる。

「…………」

(華那恵から、なんか良い香りが…。
 それに、柔らかくて温かい身体の感触。
 華那恵…昔から変ってないな…)

翔は華那恵の身体の温もりを直に感じて、
昔の事を思い出す。

(子供の頃、幼稚園で…華那恵と寄り添い
 ながら…良くお昼寝をしてたっけ…。

 華那恵の身体の匂いと温もりを感じると
 不思議と…安心して寝れたんだよな?

 華那恵も俺の身体にしがみついて
 寝てたっけ…懐かしいな…)

翔は華那恵の寝顔を見ながらゆっくりと
階段を登り始めた。





「あれ?石田さんと蓉子は?」

華那恵と史絵を布団に寝かしつけリビングに
戻った翔は先に戻っていた隆二に聞いた。

「ああ、石田の奴、蓉子ちゃんの具合が
 悪そうだからって、俺達の部屋に寝かせに
 行ったぞ。さっき布団も運んでいったな?」

「えっ蓉子が?」

「ああ、なんか気持ち悪いって言っていた
 そうだ。華那恵ちゃん達の部屋だと
 もし、吐いた時に対応できないって
 言ってたからな…」

そう言いながら隆二は玲子の身体を
優しく抱きかかえる。

「翔。お前は雪乃ちゃんとそこで待ってろ」

「あ、はい」

隆二は翔にそう言って、玲子を抱いたまま
2階に上がって行った。




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