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第二部第二章〈夏休み編〉act.08
テニス部~夏合宿4-香織と瑠璃-
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〈テニス部…夏合宿1日目…〉
テニス部夏合宿初日。
翔は瑠璃との約束を守るため自分の
トレーニングがてらいつもよりかなり
早めにテニスコートに顔を出した。
まだ部員は集まっておらず、準備を
している部員が数人集まっている
感じだった。
「…早く来すぎたか。瑠璃ちゃんも
香織ちゃんもまだ来てないのか?」
翔はやれやれと大きくため息をつき、
そのままベンチに座り瑠璃を
待つことにした。
翔がボーっと部員達の準備を眺めていると
後ろから香織が声を掛けてきた。
「翔せんぱい」
「おはよう、香織ちゃん」
「おはようございます。
せんぱい。 今日は凄く早いんですね?
私、ビックリしちゃいました」
「いや…時間がわからなくて…」
翔は罰が悪そうに鼻の頭をポリポリと
掻いて答える。
香織はそんな翔を見て、『ははは』と笑い
ながら翔の隣に腰を降ろす。
香織の身体からは朝シャンの匂いなのか
良い香りが漂ってくる。
「せんぱい。何を見てたんですか?」
香織は嬉しそうに翔の顔を覗き込むように
聞いてきた。
「えっ?ああ、暇だから…
テニスの準備をしている様子を眺めてた。
…そういえば、香織ちゃんは手伝わなくて
良いのか?」
翔が少し照れくさそうに答え質問をすると
香織は嬉しそうに答えてきた。
「はは。手伝っても良いんですけど
一応、部長の方針で完全当番制に
なってるんです。
だから手伝っちゃうと…他の部員達も
手伝うようになっちゃうと思うから…
止めておきます。
それに今日は合宿だから、みんな合宿所に
寄って荷物を置いてから来る事になってて。
今日の当番の人達は学校の近くに
住んでいる部員がメインかな?
いつもより始まるのが遅いはずですし…
まだ時間がありますから」
「へーそうだったんだ。
だから下級生だけじゃなく
上級生も準備してるんだ」
翔が見るその方向には下級生と一緒に
ネットを張っている自分と同じ学年の
部員の姿も見られた。
香織はニコニコと微笑んで翔の顔を
見ながら言ってきた。
「翔せんぱい。せんぱいも大変ですね?
私にレシーブを教えながら瑠璃に
レシーブとサーブを教えるってだけでも
忙しいのに、瑠璃のコーチまで
引き受けるだなんて…」
「まあ、乗りかかった船だから」
翔も香織の笑顔に釣られるように
笑顔で答える。
「だけど、あの子に教えるのって
難しくないですか?」
今度は少し真面目な顔で聞いてきた香織。
「そう?」
「だって、一見あかるくて素直だけど、
実は強情で融通がきかないところが
あるから……納得しないとゼッタイに
『うん』って言わないし」
自分の顎に片手を添えて考えてるポーズを
しながら話を続ける香織。
翔はその話を聞いて意外そうに答える。
「えっ…………そっかなぁ?
俺がアドバイスしたことは、
すぐうなずいてくれて、なるべく直そうと
努力してるよ」
翔の返事を聞いて感心するように
言ってくる香織。
「そうなんですか?
へえ~、ちょっと意外」
「……なにが?」
翔が不思議そうに聞き返すと香織は
少し不貞腐れたように説明をしてきた。
「だって、私が言うことなんか
ちっとも聞き入れてくれないんですよ?
なのにどうして――あ、そうか」
話の途中で何かを思いついた
ように顔を上げて翔を見つめる香織。
「…………?」
急に見つめられ不思議そうに
香織の顔をみる翔。
香織はニコニコと嬉しそうに
笑いながら話し始めた。
「あの子……
よっぽど翔せんぱいのこと
あこがれてるんですね?」
「えっ?」
「だからせんぱいからの
アドバイスは、すべて正しいと思って
従ってるんだぁ……」
「そ、そうなのか?」
「せんぱい。瑠璃の期待に応えるためにも、
頑張って教えてあげてくださいね?」
「う、うん……」
香織は翔の手にそっと自分の手を載せ、
ゆっくりとした口調でお願いしてきた。
翔はその香織の行為に少しドギマギ
しながら頷いていた。
「でも、選手の座は渡しませんよ?
私も負けないようにいっぱい練習して、
どんどん上手くなっちゃいますから」
そして元気良く胸を張って
翔に宣言してきた。
「朝倉~っ」
「あっ、部長……」
遠くから桜庭に呼ばれ立ち上がる香織。
「じゃあ、私。
ちょっと部長のところに行ってきます」
翔の方に体を向きなおしチョコンと
頭を下げて走り出していった。
「ああ。香織ちゃんも頑張って!」
「はいっ!」
翔は走っていく香織に声を掻けると
振り向きながら返事をした。
翔は桜庭の所へ駆けていく
香織の後姿を見詰めていた。
翔には香織の背中が嬉しそうに見えていた。
「………………。
いい子だな、香織ちゃんて。
ほんと、明るくて面倒見がよくて、
いつも友人のことを気遣ってて……
かなりイケてるよな?」
「翔せんぱいっ!」
「おわっ!?」
翔の後ろから元気良く声を掛けてくる瑠璃。
翔は驚きながら振り返った。
「る、瑠璃ちゃん……」
「せんぱい今日早いです。
瑠璃、なんだか嬉しいです。
でも早く来れるなら
瑠璃に言って欲しいです。
そしたらせんぱいを
待たせること無かったです」
顔は嬉しそうに見えるのに
なぜか声は怒っている瑠璃に
翔は素直に謝っていた。
「ご、ごめん……」
「いいです!それより早く練習、
始めるです!」
ぐいっ
「あ……」
翔は瑠璃に腕をつかまれ、
コートへ引っ張られていった。
・
・
・
テニス部夏合宿初日。
翔は瑠璃との約束を守るため自分の
トレーニングがてらいつもよりかなり
早めにテニスコートに顔を出した。
まだ部員は集まっておらず、準備を
している部員が数人集まっている
感じだった。
「…早く来すぎたか。瑠璃ちゃんも
香織ちゃんもまだ来てないのか?」
翔はやれやれと大きくため息をつき、
そのままベンチに座り瑠璃を
待つことにした。
翔がボーっと部員達の準備を眺めていると
後ろから香織が声を掛けてきた。
「翔せんぱい」
「おはよう、香織ちゃん」
「おはようございます。
せんぱい。 今日は凄く早いんですね?
私、ビックリしちゃいました」
「いや…時間がわからなくて…」
翔は罰が悪そうに鼻の頭をポリポリと
掻いて答える。
香織はそんな翔を見て、『ははは』と笑い
ながら翔の隣に腰を降ろす。
香織の身体からは朝シャンの匂いなのか
良い香りが漂ってくる。
「せんぱい。何を見てたんですか?」
香織は嬉しそうに翔の顔を覗き込むように
聞いてきた。
「えっ?ああ、暇だから…
テニスの準備をしている様子を眺めてた。
…そういえば、香織ちゃんは手伝わなくて
良いのか?」
翔が少し照れくさそうに答え質問をすると
香織は嬉しそうに答えてきた。
「はは。手伝っても良いんですけど
一応、部長の方針で完全当番制に
なってるんです。
だから手伝っちゃうと…他の部員達も
手伝うようになっちゃうと思うから…
止めておきます。
それに今日は合宿だから、みんな合宿所に
寄って荷物を置いてから来る事になってて。
今日の当番の人達は学校の近くに
住んでいる部員がメインかな?
いつもより始まるのが遅いはずですし…
まだ時間がありますから」
「へーそうだったんだ。
だから下級生だけじゃなく
上級生も準備してるんだ」
翔が見るその方向には下級生と一緒に
ネットを張っている自分と同じ学年の
部員の姿も見られた。
香織はニコニコと微笑んで翔の顔を
見ながら言ってきた。
「翔せんぱい。せんぱいも大変ですね?
私にレシーブを教えながら瑠璃に
レシーブとサーブを教えるってだけでも
忙しいのに、瑠璃のコーチまで
引き受けるだなんて…」
「まあ、乗りかかった船だから」
翔も香織の笑顔に釣られるように
笑顔で答える。
「だけど、あの子に教えるのって
難しくないですか?」
今度は少し真面目な顔で聞いてきた香織。
「そう?」
「だって、一見あかるくて素直だけど、
実は強情で融通がきかないところが
あるから……納得しないとゼッタイに
『うん』って言わないし」
自分の顎に片手を添えて考えてるポーズを
しながら話を続ける香織。
翔はその話を聞いて意外そうに答える。
「えっ…………そっかなぁ?
俺がアドバイスしたことは、
すぐうなずいてくれて、なるべく直そうと
努力してるよ」
翔の返事を聞いて感心するように
言ってくる香織。
「そうなんですか?
へえ~、ちょっと意外」
「……なにが?」
翔が不思議そうに聞き返すと香織は
少し不貞腐れたように説明をしてきた。
「だって、私が言うことなんか
ちっとも聞き入れてくれないんですよ?
なのにどうして――あ、そうか」
話の途中で何かを思いついた
ように顔を上げて翔を見つめる香織。
「…………?」
急に見つめられ不思議そうに
香織の顔をみる翔。
香織はニコニコと嬉しそうに
笑いながら話し始めた。
「あの子……
よっぽど翔せんぱいのこと
あこがれてるんですね?」
「えっ?」
「だからせんぱいからの
アドバイスは、すべて正しいと思って
従ってるんだぁ……」
「そ、そうなのか?」
「せんぱい。瑠璃の期待に応えるためにも、
頑張って教えてあげてくださいね?」
「う、うん……」
香織は翔の手にそっと自分の手を載せ、
ゆっくりとした口調でお願いしてきた。
翔はその香織の行為に少しドギマギ
しながら頷いていた。
「でも、選手の座は渡しませんよ?
私も負けないようにいっぱい練習して、
どんどん上手くなっちゃいますから」
そして元気良く胸を張って
翔に宣言してきた。
「朝倉~っ」
「あっ、部長……」
遠くから桜庭に呼ばれ立ち上がる香織。
「じゃあ、私。
ちょっと部長のところに行ってきます」
翔の方に体を向きなおしチョコンと
頭を下げて走り出していった。
「ああ。香織ちゃんも頑張って!」
「はいっ!」
翔は走っていく香織に声を掻けると
振り向きながら返事をした。
翔は桜庭の所へ駆けていく
香織の後姿を見詰めていた。
翔には香織の背中が嬉しそうに見えていた。
「………………。
いい子だな、香織ちゃんて。
ほんと、明るくて面倒見がよくて、
いつも友人のことを気遣ってて……
かなりイケてるよな?」
「翔せんぱいっ!」
「おわっ!?」
翔の後ろから元気良く声を掛けてくる瑠璃。
翔は驚きながら振り返った。
「る、瑠璃ちゃん……」
「せんぱい今日早いです。
瑠璃、なんだか嬉しいです。
でも早く来れるなら
瑠璃に言って欲しいです。
そしたらせんぱいを
待たせること無かったです」
顔は嬉しそうに見えるのに
なぜか声は怒っている瑠璃に
翔は素直に謝っていた。
「ご、ごめん……」
「いいです!それより早く練習、
始めるです!」
ぐいっ
「あ……」
翔は瑠璃に腕をつかまれ、
コートへ引っ張られていった。
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