聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

文字の大きさ
76 / 121
第二部第二章〈夏休み編〉act.07

テニス部~夏合宿3

しおりを挟む
「おっ、やってるやってる。」

「センパーイ! 翔センパーイッ!」

「よっ。瑠璃ちゃん」

「せんぱい、約束したとおり
 来てくれたですね。
 瑠璃、うれしいですぅ」

「あはは。
 俺は約束破るようなひどい奴じゃないよ」

「えへへへっ」

目の前にはニコニコと笑顔で見上げている
瑠璃の姿があった。

昨日、瑠璃と香織にサーブとレシーブを
教える約束をした翔は今日からのテニス部の
合宿に参加して欲しいことを瑠璃から頼まれた。

「あれ? 翔じゃないか?」

「おはようさん、桜庭」

「おはようっておまえ、もう昼すぎてるぞ」

「いやいや、夏休みだからさ」

「まあいいけど……なんだ、合宿も
 見学するのか?」

「瑠璃が、翔せんぱいを呼んだです。
 瑠璃にサーブを教えてもらいたいのと、
 頑張ってるところ、せんぱいに見て
 もらいたくて呼んだです」

「はぁ~ん。浅倉の事と言い菅野の事と言い
 翔おまえも隅に置けないな~」

「…………あのなぁ」

「でもちょうどいいや。来たんなら、
 ついでだからサーブだけじゃなく、
 菅野に技術指導してやってくれないか?」

「せ、せんぱいっ! るるっ瑠璃からも、
 お願いしますですっ!」

「だけど、部外者なのに合宿にまで
 立ちあっちゃあ……」

「頼むよ。俺もやっぱり合宿するんだから、
 指導だけじゃなくて、
 自分の練習もしたいし。

 でもそれをやると、全員にまで手が
 回らなくなるんだよな」

「そういえば上手い奴って
 桜庭ぐらいしかいなかったよな?」

(………なんか、桜庭…切実だったりして。
 それに瑠璃ちゃんもやる気満々な顔つきを
 してるし……)

「………わかった。引き受けるよ」

「やったぁ!」

「助かるよ、ホント。
 じゃあ今まである程度見てきてるから、
 菅野のレベルはわかるだろ?あとは頼む」

桜庭は両手を合わせて頭を下げてそのまま
コートの向こう側に走り去っていった。

「マジで忙しそうだな。
 あいつ、もう他のヤツに教え始めてる…」

「翔せんぱい。よろしくお願いしますです」

「あ、ああ……。こちらこそ、よろしく」

「そうだ、翔せんぱいも
 学校に泊まればいいです」

「へ?」

「そうすれば合宿のあいだ
 ずっといられるです。
 ということは夜も一緒に……
 …………えへへ」

「あの、瑠璃ちゃん……?」

「えへへへっ。もう、せんぱい。
 えっちですぅ」

「…………よ、喜んでるところ
 悪いんだけど、俺、学校には泊まれないや」

「えっ?」

「バイトとかグリフォの練習とライブとかが
 あって、時間都合つかないんだ。
 ごめんな?」

「そ、そうなんですか?
 瑠璃、悲しいですぅ~」

「………………」

「あうぅ~……」

顔を下に向けて涙を拭っている
瑠璃を見つめる翔。

(………こんなに悲しまれると、
 ちょっと、罪悪感を感じてしまう。
 だけど、時間に余裕がないのは確かだし…)

「そ、そういえば、
 日曜ならなんとかなるかもしれないよ?
 夜なにもなかったはずだから
 たぶん――泊まれると思う」

「本当ですか?えへへへへっ!」

「あ、あれ? 瑠璃ちゃん、今……?」

「えへへ、ウソ泣きで~すっ。
 やったぁ!瑠璃、うれしいですぅ!」

(だ、だまされた……まさか瑠璃ちゃんに
 これほど演技力があるとは……

 でも、ま、いっか。
 すごく喜んでくれてるから)

「じゃ、じゃあ。練習、始めようか?」

「はいです!瑠璃、がんばるですっ!」

瑠璃のにこやかな笑顔につられ、
翔の顔もいつのまにか笑っていた。





しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

remo
恋愛
「…溶けろよ」 甘く響くかすれた声と奔放な舌にどこまでも落とされた。 本宮 のい。新社会人1年目。 永遠に出来そうもない彼氏を夢見つつ、目の前の仕事に奮闘中。 なんだけど。 青井 奏。 高校時代の同級生に再会した。 と思う間もなく、 和泉 碧。 初恋の相手らしき人も現れた。 幸せの青い鳥は一体どこに。 【完結】 ありがとうございました‼︎

アラフォーリサの冒険 バズったSNSで退職からリスタート

MisakiNonagase
恋愛
堅実な会社員として働いてきた39歳のリサ。まだまだ現役の母親と二人暮らしで高望みしなければ生活に困ることはなく、それなりに好きなことを楽しんでいた。 周りが結婚したり子育てに追われる様子に焦りがあった時期もあるなか、交際中の彼氏と結婚の話しに発展した際は「この先、母を一人にできない」と心の中引っ掛かり、踏み込めないことが続いてきた。 ある日、うっかりモザイクをかけ忘れインスタグラムに写真を上げたとき、男性から反応が増え、下心と思える内容にも不快はなく、むしろ承認欲求が勝り、気に入った男性とは会い、複数の男性と同時に付き合うことも増え、今を楽しむことにした。 その行動がやがて、ネット界隈で噂となり、会社の同僚達にも伝わり… リサは退職後、塞ぎ込んでいたが、同じような悩みを抱えていたカナリア(仮名)と話すようになり立ち上がった。ハローワーク経由で職業訓練を受講したり、就活したり、その間知り合ったり仲間と励まし合ったり、生きる活力を取り戻していく… そして新たな就業先で、メール室に従事する生涯枠採用の翔太という男性と知り合い、リサの人生は変わる… 全20話を予定してます

疎遠だった叔父の遺産が500億円分のビットコインだった件。使い道がないので、隣の部屋の塩対応な美少女に赤スパ投げまくってる件

月下花音
恋愛
貧乏大学生の成瀬翔は、疎遠だった叔父から500億円相当のビットコインが入ったUSBメモリを相続する。使い道に困った彼が目をつけたのは、ボロアパートの薄い壁の向こうから聞こえる「声」だった。隣人は、大学で「氷の令嬢」と呼ばれる塩対応な美少女・如月玲奈。しかしその正体は、同接15人の極貧底辺VTuber「ルナ・ナイトメア」だったのだ! 『今月ももやし生活だよぉ……ひもじい……』 壁越しに聞こえる悲痛な叫び。翔は決意する。この500億で、彼女を最強の配信者に育て上げようと。謎の大富豪アカウント『Apollo(アポロ)』として、5万円の赤スパを投げ、高級機材を即配し、彼女の生活を神の視点で「最適化」していく。しかし彼はまだ知らなかった。「金で買えるのは生活水準だけで、孤独は埋められない」ということに。500億を持った「見えない神様」が、神の座を捨てて、地上の女の子の手を握るまでの救済ラブコメディ。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

隣の席のクールな銀髪美少女、俺にだけデレるどころか未来の嫁だと宣言してきた

夏見ナイ
恋愛
平凡な高校生、相沢優斗。彼の隣の席は『氷の女王』と噂のクールな銀髪美少女、雪城冬花。住む世界が違うと思っていたが、ある日彼女から「私はあなたの未来の妻です」と衝撃の告白を受ける。 その日から、学校では鉄壁の彼女が、二人きりになると「未来では当然です」と腕を組み、手作り弁当で「あーん」を迫る超絶甘々なデレモードに! 戸惑いながらも、彼女の献身的なアプローチに心惹かれていく優斗。これは未来で結ばれる運命の二人が、最高の未来を掴むため、最高の恋をする糖度MAXの青春ラブコメディ。

27歳女子が婚活してみたけど何か質問ある?

藍沢咲良
恋愛
一色唯(Ishiki Yui )、最近ちょっと苛々しがちの27歳。 結婚適齢期だなんて言葉、誰が作った?彼氏がいなきゃ寂しい女確定なの? もう、みんな、うるさい! 私は私。好きに生きさせてよね。 この世のしがらみというものは、20代後半女子であっても放っておいてはくれないものだ。 彼氏なんていなくても。結婚なんてしてなくても。楽しければいいじゃない。仕事が楽しくて趣味も充実してればそれで私の人生は満足だった。 私の人生に彩りをくれる、その人。 その人に、私はどうやら巡り合わないといけないらしい。 ⭐︎素敵な表紙は仲良しの漫画家さんに描いて頂きました。著作権保護の為、無断転載はご遠慮ください。 ⭐︎この作品はエブリスタでも投稿しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...