聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

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第二部第二章〈2学期編〉act.46

雪乃-YUKINO-3-Ⅸ~ストーカー撃退作戦!その4~

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一方、翔達と別れた後の隆二達は…。

「雪乃ちゃん!こっちこっち!」

「…………」

雪乃に変装した美月の腕を取りながら
明るくはしゃぐ玲子に、戸惑いながら
黙って頷く美月であった。

その後ろを笑いながら(もちろん周囲を
警戒しながら…)就いていく隆二と康介の
姿もあった。

『どうせおとりになるなら雪乃ちゃんの
 ために社交会の衣装作りの布地や小物を
 買っちゃおう!』と言う玲子の意見に
合わせて、玲子、美月、隆二、康介の
四人は(それ以外にガードが大勢いるが…)
駅前にある裁縫専門店のビルに訪れていた。 
 
もちろん玲子は衣装の事で雪乃と事前に
話し合っていて、
『どういう衣装を作るかも考えられな
 かったんです。だから衣装のコンセプト
 やデザイン、小物の事は良く判らない
 です。玲子さんに良い案があるなら
 全面的に玲子さんの考えに任せても
 良いですか? 申し訳ないけどよろしく
 お願いします」
と雪乃に言わせていたのであった。

夜遅くまで営業している専門店のためか、
売り場の中はそれなりに賑わっていた。

「…玲子さん。どんな衣装を作るか…
 決まっているんですか?」

周りを気にしながら小さな声で
訪ねてくる美月に、玲子は『もちろん!』
とニッコリと笑って答えた。

「あの子(雪乃)は可愛い顔立ちをして
 いるから…カッコ可愛い衣装にしよう
 かな?って思ってるの…」

美月にあわせて、周りに聞こえないような
小さな声で言ってくる玲子。

美月は『それで?』と言いたげに玲子の
顔を見つめる。

「えっとね…。イメージ的には中世の
 ドイツ王朝時代の王子様かな?
 少しファンタジーの要素も入れちゃう
 けどね?」

玲子は『うふふ』と小悪魔っぽい笑って
さらに説明をしはじめた。

美月はその顔を見ながら小さく
頷いてみせた。

「肩章(エポーレット)とか飾緒(モール)
 とかマントとか少し派手にしてね…?
 あっサーベルとかも腰に着けさせても
 良さそうよね?」

玲子は右手でそこにモノがあるような
素振りで自分の肩と胸あたりを撫でる
ように動かし、腰の方に両手を当てて
剣を握り締めるようにジャスチャーを
混ぜながら話してきた。

「たしかに…」

「でしょ!絶対に似合うと思うの!!」

呟くように頷く美月を見て興奮気味で
笑みを浮かべ、嬉しそうにはしゃぐ
玲子であった。

「ここ(このビル)には布とかボタンとか
 普通の洋装用品だけじゃなくて…
 着物とかの和装や小物、コスプレ用の
 備品から完成品まで揃っているから
 便利なのよね?
 デザインを伝えればオーダーメイドで
 作ってくれるし…
 今、美つ…ゆきのちゃんが着ている
 ジャケットも私が着ているこれも…
 ライブで使う衣装は全部この店で
 作ってもらってるのよ?」

うんうんと頷きながら話してくる玲子の
話を聞いた美月は思わず驚きながら
自分の着ているジャケットの裾を摘んで
持ち上げてた。

「えっ?そうなんですか?てっきり…
 玲子さんが作ってるんだと…
 思っていました…」
 
「う~ん…。昔は作ってたんだけど…。
 今はそんなに時間を取れないしね?
 それでもデザインだけは考えているけど…。
 でも今回の件で、私が考えた服を
 雪乃ちゃんや美月に着てもらって…
 なんだか嬉しかったのよね?
 あなた達の洋服を作るのも良いかも…
 って思っちゃった」

美月の顔を見て『うふふ』と微笑んでくる
玲子に美月は頬を紅く染めて言ってきた。

「ホ、本当ですか?
 作ってもらいたいです!」

玲子の腕を掴み興奮気味に言ってくる
美月に玲子は優しく宥めるように言った。

「うふふ。 じゃあ、雪乃ちゃんの
 洋服を作ってからね?」

「はい。 よろしくお願いします」

嬉しそうにピョコンと頭を下げる
美月であった。

「ハクくんの好きそうな洋服を
 作ってあげよう…」

腕を組みながら呟く玲子であった。 

「げっハクの好み?
 玲子さん…それは止めて!
 あいつの好みって…ゴスロリですよ?
 私には似合いませんよ…」

大きく溜息を吐きながらげんなりした
感じで言ってくる美月に玲子は思わず
笑い出す。

「ふふふ…。似合うと思うけどな~。
 大丈夫よ!ちゃんと美月に似合うように
 考えるから…ふふふ。
 それよりも早く買っちゃいましょう」

「そ、そうですよね?
 早く買っちゃいましょう」

美月の腕を取って歩き出す玲子に美月は
仕方なく頷いて答えた。

「これとこれとこれね…。
 必要な布地とボタン等はこれでよし…。
 後は装飾品かな?
 美月とりあえず一旦レジに行こうか?」

「はい」

玲子は買い物カゴに衣装作りに必要な
材料を入れて美月と一緒にレジに
向かって行く。

「税込み5800円になります」

会計を済ませ買った物を
受け取ると後ろから康介が声を掛けてきた。

「玲子さん。俺が持ちます」

「ひゃぁっ!」

玲子は突然声を掛けられ、ビクッと
身体を跳ね上げた。

「えっ?あっじゃあ…お願いね…康くん」

少し戸惑いながら返事をして康介に荷物を
渡す玲子であった。

「クックック…」

隆二はその康介の後ろで
声を殺して笑っていた。

玲子はジト目で隆二の顔を睨んだ。

「美、雪乃ちゃん…行こう!」

玲子はそのまま美月の手を握り締め
エレベーターの所に向かって行く。

「お、おい! 玲子!!」

足早に売り場から離れて行く
玲子に慌てて声を掛ける隆二であった。

「隆二はついてこないで!
 そこに康くんといればいいでしょ!!」

玲子は隆二の方に振り向いて
『イー』っと顔を顰めて文句を言ってきた。

「…………」

柳眉を吊り上げている玲子の顔はあきらか
に不機嫌な表情を浮かべていた。

隆二はその場で立ち止まり『やれやれ…』
と大きく溜息を吐いて玲子と美月を見送った。

「隆二さん…いいんですか?」

両手で荷物を抱えながら心配そうに
聞いてくる康介に隆二は引き攣った
笑顔で答えた。

「良いも何も…玲子が
 本気で怒っている時は…
 俺でも近づけねえよ…。
 それとも康介…
 お前だけでも着いて行くか?」

「無理っす! 絶対に無理っす!!」

康介は首を横に大きく振って
それに答えた。

「……だよな?しょうがねぇな…。
 康介他のガードを玲子達に廻してくれ…。
 俺たちは階段で上の階に向かうぞ!」

「はい!」

隆二は康介にそう言って階段に向かって
走って行った。

康介は少し離れた所に立っている
二人の男達に目配せをしてから
隆二の後を追っていった。

その男達は慌てて玲子達の
後を追っていった。

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