聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

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第二部第二章〈2学期編〉act.48

雪乃-YUKINO-3-ⅩⅠ~ストーカー撃退作戦!その6~

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「えっ!? なんだって??」

「玲子達とはぐれた?」

一方その頃…玲子達が居る4階の
フロアーから二つ上、6階で玲子達を
待っている隆二と康介は慌しく鳴り響く
スマホの対応に追われていた。

康介のスマホに玲子達のガードをしている
男達から緊急の連絡が入ってきていた。

康介のスマホから飛ばしているイヤホンを
それぞれの耳に入れながら隆二が康介の
代わりにガードの男に話し掛ける。

「ちょ、ちょっと待て!
 どう言う事なんだ?」

『すみません!
 上のフロアーに向かうはずだった
 お二人が…急に下りのエレベーターに
 乗ってしまいまして!
 慌ててそのエレベーターに乗ろうと
 走ったんですが…
 間に合いませんでした!

 直に1階に待機している他のガードに
 連絡したんですが…
 1階に到着したエレベーターには
 お二人の姿は無く…。
 たぶん、2階か3階で降りられたと
 思われます。

 1階のガードはそのまま出入り口で
 待機させて…自分達は今階段で、
 3階に向かっています』

焦りながら状況を説明する男に
隆二は大きく溜息を吐いた。

「はぁぁぁぁ~。あの…バカ娘達が…」

康介が隆二の顔を真面目な表情で
見つめていた。

隆二は康介の顔を見て大きく頷いてから
口を開いた。

「お前たちはそのまま3階を探してくれ!
 俺と康介は2階に向かう。
 1階のガードはそのまま出入り口を
 見張るように伝えてくれ!」

『解りました!!』

電話の返事を聞かないうちに隆二は
イヤホンを耳から外し、康介に渡す。

「康介!行くぞ!2階だ!!」

そして、その場から階段の方に
走り出していた。

その後を追いかけていく康介であった。
 
 ・
 ・
 ・

「玲子さん…どこへ行くんですか?
 ここ、2階ですよ?」

美月の手を引っ張りながら2階で降りる
玲子に美月は心配そうに聞いてきた。

「うふふ…。
 ここのビルの裏側に噴水公園があるのよ。
 ビルに囲まれている感じで…
 照明もしっかりしてるし…
 この時間でも静かで明るいの。
 道的には裏道からしか来れないから
 変な人達もいないしね…。
 そこだったら人目を気にせずに…
 ゆっくり話もできると思うから…」

玲子はニコニコと笑いながら
美月にこれから行こうとする公園の
説明をしてくる。

「1階からだと直接出られないから、
 遠回りになっちゃうの。
 2階にある連絡通路で行けば…
 そのまま階段で出られれるから…」
 
そう説明して2階の出入り口から
隣のビルに移る連絡通路にでる。

昼間なら人気の多い通路も深夜近くの
せいか人影は殆どいない。

玲子と美月は途中にある噴水公園へと
下る階段をゆっくり降りていく。
玲子の説明通り公園内には誰もいなかった。

二人は噴水近くのベンチに仲良く座り、
美月がバッグの中から自分のスマホを
取り出し電話を掛け始めた。

「もしもし夜分遅くにごめんね。
 今電話平気かな?……うん。
 ちょっと健兄に頼みたいことがあって。
 ……私の頼みなんか聞かないって
 ……判っているわよそんな事…。
 頼みたいのは、私じゃなくて
 玲子先輩だから…。
 ……解ったって…すぐ変わるから。
 玲子さん、健兄が変われって…」

美月はスマホを玲子に渡す。
玲子は緊張した表情でスマホを受け取った。

「もしもし。お久しぶりです健さん。
 …あ、はい。元気ですよ。
 ええ、じつはですね…健さんにお願いが
 ありまして……はい」





「ええ、そんな感じです。
 肩章(エポーレット)は赤をベースに
 金色の飾りで、飾緒(モール)金色でハイ。
 それで問題ないです。
 サーベルはハイそれで大丈夫です。
 ええ。よろしくお願いします。
 ハイ。では美月ちゃんに代わりますね?」

玲子は美月の兄に必要なモノの説明をし
提供をしてもらう約束をした。
そのまま、美月にスマホを渡す。

「うん。わかった。ありがとうね健兄。
 えっ?明日持って帰ってくる?
 わかった。助かったよ」

ピッ ツーツーツー

美月はスマホの通話を切り黙って
バッグの中にスマホを戻した。

「なんか、昔コスプレ用に作ったモノが
 あるから、これから少し改造して明日
 には自宅に持ってくるって。
 マントもついているって言ってた。
 サーベルは刀身が金属らしいから
 改造せずにそのまま持参するって…」

「えっ明日?」

「うん。急いでるんだろ?って…
 なんか優しくって気持ち悪かった」

「わたしも…何も見返り請求されなかったよ?」

美月は『なんだか信じられない』と
呟きながら笑っていた。

「お礼にお酒買ってくるから
 健さんに渡してね?」

玲子は笑いながら美月に伝えた。

「でも、玲子さんこれでよかったですね?
 完璧に作れますよ?」

「そうね、とりあえずは上着とパンツ部分の
 衣装作ってしまえばすぐに完成できるわ」

~♪?♪??♪???♪?♪??~

「あっハクからだ」

二人で談笑している時に美月のスマホから
音楽が流れてくる。
美月はすかさずスマホをバッグから
取り出し通話ボタンを押して話し始める。

「もしもし…」

『美月か!今どこにいるんだ!
 玲子さんと一緒か?
 康介から電話があってお前らが
 見つからないって大騒ぎしてるぞ!』

「「あっ…」」

スマホの向こうでハクが慌てているのが
伝わってくる。

その声を聴いたとたん二人はおとり中
だったことを思い出した。

玲子は慌てて顔の前で両手を併せ
『ゴメン』と頭を下げる。

美月はベンチから立ち上がり
少し前の方に出て話し始めた。

「ハク…ごめん。
 うん、今ビルの裏の噴水公園にいるの。
 うんちょっと健兄に電話してた。
 それでね……キャァァァッァッ!」

その時、茂みの陰から男が飛び出し、
美月の身体を後ろから抱きかかえてきた。

「美!…あんたたち何するのよ!」

慌てて立ち上がり美月の側に行こうとした
玲子の前にも三人の男が飛び出してきて
二人の間を遮るように待ち構える。

「!!」

玲子は立ち止まり思わずその場で
固まってしまう。

「やだっ! 離して!!」

『おいっ!大丈夫か!?美っ…』

プツン ツーツーーツー

もう一人男が現れ、美月の正面から
両出を掴む。
手に掴んでいたスマホは取り上げられ
通話を着られてしまう。

「やっと…捕まえられたよ…
 雪乃ちゃん…」

正面に立った男の口から雪乃の名前が
出てきたのであった。





『キャァァァッァッ!
 やだっ! 離して!!』

「おいっ!大丈夫か!?美月!
 美月!返事をしろ!!」

運転中のハクの口から美月の名前を
叫んでいるのが後部座敷にまで
聞こえてきた。

「「!?」」

「翔さん…」

「大丈夫だ雪乃はここに座っていて」

コク

翔は心配そうにしている雪乃に一言声を
かけてから運転席の間にあるカーテンを
開いた。
そこにはレシーバーに向かって『美月!』
と叫んでいるハクの姿があった。

「ハクさん!何があったんですか!」

ハクは翔の声に我に返り、
すぐに康介への電話を掛けなおす。

「康介! 美月が襲われている!
 噴水公園だ! 頼むなんとかしてくれ!
 俺達も今からそこに向かう!」

電話で康介に指示を出し車を
急発進させるハクであった。





「隆二さん!美月たちが襲われている!
 外の噴水公園だそうです!」

6階から階段を駆け下りている隆二に
向かって叫ぶ康介であった。

「あのバカ玲子!外に出ているなんて!」

叫びながら2階に向かう隆二であった。




「……………………」

美月は大人しく捕まっていたが、
その瞳はサングラスの奥で目の前にいる
男を睨んでいた。

「へへへへへ。
 とりあえず俺から写真撮らして
 もらおうかな?
 写真撮るから俺の代わりに
 手を抑えてくれ。
 後ろだと写真に入っちゃうから横から
 抑えるようにな?」

男がそのように伝えると美月の前に立って
いるもう一人の男が横に回り込み両手で
右手を抑える。それと同時に後ろから
抱きかかえていた男も左側に移動して
左手を両出で掴む。
美月自身は身体は自由になったが、
すぐに抵抗はせず、両腕のみ挙げた状態で
捕まっていた。

カメラの男は自分の指示通りに美月が
大人しくなっていると勘違いしているのか
安心してカメラを手に取って構え始める。

その男の背中越しには別の男に行動を
邪魔されている玲子の姿が映っていた。

美月はサングラス越しに玲子の顔を
見つめていた。

「……………!?」

玲子はその視線に気づき美月が何が
言いたいのか解った。

「あなた達、美月の手を離しなさい!」

「えっ?みつき?雪乃ちゃんじゃなくて?」

「え?どういうことだよ?」

「雪乃ちゃんじゃないのか?」

玲子の一言で、まずカメラを構えた男が
カメラを構えたまま唖然となり、
美月の両腕を抑えている男も驚いたの
掴んでいる力を緩めてしまう。

その時、美月が動いた。
腰を低く落とし、大きく一歩前に
左足を踏み出し両腕を大きく前かがみに
振り下ろす。

ギュン!

「「うぅわぁぁぁぁああっ!」」

美月の両腕を掴まえている男達は
体を一回転させて背中から地面に
叩きつけられ同時に頭を地面にぶつける。

ドサッ! ゴン!!

「えいっ!!」

そしてそのまま前に進み、カメラを構えて
いる男の股間に右足を蹴り上げた。

バキッ!

「ウッギャアァァッ!!」

玲子の前にいた男達は思わず振り返り美月の方をみる。

玲子もすかさず目の前にいる男の股間を蹴り上げた。

バキッ!

「ウギャァッ!!」

玲子の前にいる男の一人が地面に
転がり込み、残りの男二人は慌てて
逃げ始める。

「逃げろ~~!」

「こっちだ!」

男は階段を上って雑居ビルの中に
逃げようとする。

「逃がすかよ!」

ビュン
バッキィイッィィィ!!!

「うぎゃぁぁぁぁっ!!!!」

その時、階段の上から隆二が
飛び降りながらキックを蹴りだしていた。
その姿は仮面ライダーのライダーキックの
ように男の体にきれいに決まる。
その男は5メートルは後方に
吹き飛んでいた。

「ヒイッ! ギャワァ!」

ゴン!!!

もう一人の男はその相方の吹っ飛ぶ姿を見て
小さく悲鳴を上げて階段を登って
いこうとする。その時遅れてきた康介が
階段から飛び降りて来てアックスボンバー
(首に腕を廻し後方に倒す技)を決める。
男は階段を登る前に地面にその後頭部を
叩きつけられた。

あっという間に6人の男達は地面に
転がっていた。




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