聴かせてよ愛の歌を…翔と華那恵のラブストーリー

かのん

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第二部第二章〈2学期編〉act.49

雪乃-YUKINO-3-Ⅴ~ストーカー撃退作戦!その7~

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グギャ! グギャ! グギャッ!!
バキッ! バキッ! バキッ!

「グスッグスッこのっこのっ!!グスッ…
 私の身体に触って良いのは、グスン…
 ハクだけなんだから!このっつ!グスン」

目の前に転がっている男達の体と持っている
カメラを『これでもか』っと言わんばかりに
踏みつける美月だった。
そのたびに男達から『ウゲッ!』といった
小さな悲鳴とカメラの壊れる音が
聞こえてくる。

「美月…それくらいで…」

玲子は少し遠慮がちに美月に近づき
声をかけてみた。
玲子の声に振り返ってきた美月の
その瞳には、よほど嫌だったのだろう
涙が溜まっていた。

「うぇえん。玲子さん~~」

美月は泣きながら玲子に抱きついてきた。
玲子は『よしよし』と美月の頭を撫でながら
その身体を優しく抱きしめた。

「玲子! 大丈夫だった…か?」

駆けつけてきた隆二は抱き合っている
二人の足元に転がっている男達を見て
思わず足を止めた。
その足元には口から泡を吹いて倒れている
男三人とその近くには何やら高そうな
カメラの残骸が散らかっていた。

いつのまにか集まってきた康介の仲間達が
三人以外の転がっている男達を縛り上げ、
その手からスマホとカメラを
取り上げていた。

「玲子、美月とこっちへ…」

隆二は二人を近くのベンチに座らせた。

キキキキキキキィーーーー!
バタン

「美月!」

その時路地裏の道に車が停まり、
その車からハクが飛び出してきた。

「ハク~~~~」

美月は自分の名前を呼ぶハクに気づくと
ベンチから立ち上がりハクのもとへ
駆け寄っていく。
そしてそのままハクの体にしがみつく様に
抱きついた。

「あちゃ~。やっぱりやっちゃたか…
 美月大丈夫だったか?」

ハクは美月の頬の涙を拭きとりつつ頭を
撫でて慰めていた。

翔は車のサイドドアの前に立ち、
周囲を警戒しつつその様子を眺めていた。
玲子も隆二と合流していた。
6人の男達は次々に縄で縛られていく。
その前の地面にはおそらく本人のスマホや
カメラ等の撮影機器が置かれている。

「無事終わったみたいだな。あれ?
 隆二さんなんか玲子さんに謝っている
 みたいな…。それに男達の前のカメラ
 一部粉々になっているような…」

翔は『やれやれ』とため息をつき
車の扉を開けて中にいる雪乃に声をかける。

「雪乃、とりあえず大丈夫みたいだ。
 一段落ついたみたいだよ」

「本当ですか?よかった…」

雪乃は車の一番後部座席に隠れるように
座っており安心したような表情をみせた。

「でも、本当にハクさんの言うとおりに
 なってたね?」

翔は雪乃に笑いかけながら話しかけ、
先ほどの車の中での会話を思い出していた。





「ちくしょう…美月、早まるなよ!」

ハクは車の運転をしながら玲子達と別れた
ビルに向かって車を走らせて行く。

「ハクさんしっかりしてください?
 美月さん大丈夫ですきっと…
 隆二さん達が守ってくれる
 でしょうから?」

「いや、美月よりも相手がヤバい…。
 美月の奴、合気道の全国大会で何度も
 優勝している有段者なんだ。
 その辺のオタクが手を出したら…
 きっとやりすぎるくらい…
 ボコボコにしてしまう」

「えっ?」

「あの電話の様子だと、あいつら
 不用意に美月に触っている。
 絶対にボコボコにされている。
 間違いない」

「えっ?」

「早くいかないと殺しかねん…」

「……………美月さんて…」

翔は小さく呟いて雪乃の顔を見た。
雪乃は心配そうな顔で翔を見つめていた。





「みんなお茶にしよう」

あの後、男達の処理は康介達に頼んで、
翔と雪乃、ハクと美月、隆二と玲子の
6人は隆二の家に戻ってきていた。

買い物したものや雪乃の荷物を一旦
客間に置いて、リビングに集まって
来ていた。

翔達の目の前にはコーヒーや紅茶等の
飲み物が並んでいた。

翔達の対面に座るハクと美月はベッタリと
身体を寄せて座っていた。

「隆二さん、玲子さん、ハクさん、
 美月さん…ありがとうございました」

「あたしのためにご迷惑をおかけして
 申し訳ございませんでした」

翔と雪乃はきちんと姿勢を正し、
二人で同時に頭を下げた。

「雪乃ちゃん。そんな事気にすることない。
 迷惑だなんて思っていないから…」

「そうよ、わたしなんてそのおかげで
 雪乃ちゃんと縛らく一緒にいられるんだし
 むしろ感謝している感じ?」

その二人に対して隆二と玲子が返事をする。
ハクも美月と一緒に返事をしてきた。

「俺も雪乃ちゃんのおかげで久しぶりに
 隆二さんとつるめたから嬉しかったよ」

「私もそう。久しぶりに玲子さんに
 会えたし、ちょっとやりすぎちゃった
 けど…楽しかったよ?」

「ちょっとだ?
 美月あれは『かなりやりすぎた!』
 だよ…カメラまで粉々にするのは
 やりすぎだぞ」

「だって、抱きつかれたんだよ?
 写真も撮られたし、腕も掴まれた!
 あれぐらいは当然じゃない?」

「たしかにそうだけど…」

美月の言い訳にタジタジになるハク。
それを見ていた玲子は大きく溜息をつく。

「……はぁ。美月わたしが悪かったわ。
 もっと注意すべきだったわ」

「玲子さん…いえ、私もうかつでした」

「まあまあ玲子、今日はその辺でしまいに
 しとけ…。それよりもハク。
 今日はどうするんだ?
 泊まっていくのか?」

「えっ?まぁ康介があいつらの事を
 対応しているので明日には連絡が
 入ると思います。
 隆二さんがよろしければこのまま
 泊まれれば助かります。
 美月も大丈夫ですね…。
 二人の着替えは車に積んであります
 から問題ないですが大丈夫ですか?」

ハクは美月の顔を見てそして隆二の方に
向かって答えた。美月はコクコクと頷き
泊まりたいことをアピールしていた。
玲子は『仕方ないなぁ…』とあきらめた
ようにうなずいた。

「わかった。じゃあとりあえず風呂に入ろう。
 みんな汗をかいただろうからな?
 翔、お前の部屋の風呂を使わせてくれ。
 男衆は翔の部屋で交代で風呂に入ろう。
 玲子達は家の風呂でのんびり入ってくれ。
 ハクは荷物を取ってこい!」

「じゃあ、わたしは客間の用意をしてくるわ」

「玲子さん手伝います」

「わたしも手伝います」

玲子が立ち上がり客間の用意をしにいく。
その後を追うように美月と雪乃が後を追う。

「じゃあ俺も荷物を取ってきます」

ハクが立ち上がりマンションの駐車場に
向かって行こうとする。

「ハク玄関にあるカギを持って行けよ?」

ハクは了解といわんばかりに片手をあげて
隆二の問いに答えた。

「隆二さん。じゃあ俺はいったん部屋に
 戻って風呂の用意をしてきます」

翔は『きっと飲むんだろうな…』と
なかばあきらめたように立ち上がって
自分の部屋に向かって行った。





「「「「かんぱ~い」」」」

翔の予感通り全員が風呂に入った後の深夜
に飲み会が開催された。
全員が風呂上りという事でパジャマ
パーティーのような流れだった。
男性陣はいずれもハーパンにTシャツと
いった格好であったが、玲子や美月、雪乃
はいつの間に用意されているのか羊のような
白いモコモコの部屋着で現れた。
玲子と美月はまったくおそろいの部屋着
だったが、雪乃に至っては羊を模した
帽子風の被り物まで用意されていて
本人は真っ赤になりながら翔の横に
座ってきた。

「翔さん…どうですか?この格好…」

「あっ…うん。可愛いと思う…」

頬を赤く染めながら言ってくる雪乃に
対して翔も自分の頬が赤くなるのを
感じながら返事をしていた。

「ハク…どう?似合う?」

「………」

コクコクコク

美月に至ってはたぶんハクが可愛い恰好が
好きなんであろう、ハクは美月を見て
黙って何回も頷いていた。

「で、これが雪乃ちゃんの衣装の
 草案なんだけど…どうかな?」

「玲子さん靴はひざ下ブーツでなくて
 普通の靴で良いと思います。
 ブーツにするとミリタリー色が
 強くなっちゃって先生方が嫌がるかも
 しれません」

「そっか、靴ならわたしの持っている
 靴で代用できるからお金がこれ以上
 かからないから、良いよね?」

美月と玲子はスケッチブックを開いて
衣装の打ち合わせをしていた。
なぜか、雪乃ではなく美月と衣装の
打ち合わせをする玲子であった。

ちなみに翔や雪乃も強制参加だったが、
雪乃が明日もバイトがあるということで
早めに引き上げる約束での飲み会だった。

お酒も隆二とハク以外は全員がお茶等での
飲み会である。
隆二さん曰く『衣装の件があるから、
玲子はしばらく禁酒するだろうな。
そのかわり、完成した時は思いっきり
飲むぞ。覚悟して置け…』だそうだ。



翔は思わず雪乃に手を合わせて
拝んでしまった。
もちろん、雪乃はそんな事は知らないで
真剣な表情の玲子の顔を見つめていた。




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