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人狼と眼鏡男子魔法使い1話
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フィールド実習は、かなり広い学園の敷地内で行われる。敷地内とは言うものの、山はたくさんあるし、川もあるしで、多分詳しい地図作りしたら、一年どころか3年ぐらい平気でかかりそうだった。さすが世界最高峰の魔法学園。下手しなくても遭難しそうだ。後、魔獣とかも平気で出るので、学校の近くは先生方と警備の方、後結界がはられているが、その範囲を超えると、簡単にサバイバル出来るという寸法だ。今回のフィールド実習は、オリエンテーリング。地図とコンパスを使って、指定された地点を順番に回りゴールする時間を競う。二、三日かかる過酷なものだ。もちろん、緊急時には先生方を呼べる魔法の鈴を持たされ、それを鳴らすと箒で駆けつけてくれるという。ちなみに参加している学生は、箒を含め空を飛ぶ手段は禁止とされている。
そして、僕とノヴァは、その緊急時に直面していた。
「な、あんな化け物、聞いてないっ!!?」
黒い巨体を揺らして大きな魔獣が僕たちを追いかけていた。幸いなことに、攻撃力は高いが素早さの低い種であるらしく、悪路でも僕たちの方が早く移動することができた。
「鈴は鳴らしたか?」
「とっくの昔に!!!」
僕は魔法の杖とは別の手に持った、長銃型の魔法銃を手にしていた。専門的に魔法銃を使う技術を取得しているが、あいにく実践はあんまり経験していない。それに逃げている時は、完全に使えない代物になっている。
僕と一緒に逃げているノヴァの獲物は、魔法剣。魔法使いの道具としては、魔法銃に次いで扱いに専門的な技術が必要というか、要するに体を鍛えた体育会系でないと扱えない代物だ。
汗かいてる僕とは違って、毎日の鍛錬を欠かせないのか、息すらも乱れていないノヴァ。なんか無駄にかっこいいと思うのは僕だけか……。
「迎え討つ。絶対零度」
「えっ!?」
森の中で開けた場所につくと、体制を整えたノヴァは化け物に向かって、剣を構え、刃に青白い炎みたいな光を纏わせた。炎とは違う、高濃度の冷気の魔力だ。魔力が見えるほど圧縮されるのを見るのは中々見れないものだ。
僕も慌てて、岩陰に隠れたのち、魔法銃を構え、ノヴァに向かって補助魔法を打ち込む。身体能力を爆発的に向上させる補助魔法。一瞬展開される魔法陣の向こうに、ノヴァが化け物の上の方までジャンプしたのを見て、思わずすげぇ……と言葉を漏らした。魔獣の首元まで辿り着くと、一気に魔法剣をぐさりと刺す。
「うっ……。」
大量の血吹雪がプシャーと放出されてノヴァを濡らす。トドメをきっちり叩き込んだノヴァが、剣から血を拭う魔法をかけ、鞘に戻そうとしたところで、こちらを見て目を見開いた。
「な……に……?」
倒れたからといって気を抜くんじゃなかった。相手は、一匹だとは限らないのだから……。
後ろから、また一体黒い獣が出てきた。魔法銃を向けるが、攻撃魔法の展開する間もなく、鋭い爪が僕の身を引き裂こうとした。
「あ……」
目の前には、耳と尻尾を晒したノヴァが、剣で爪を防いでいた。だが、それは片方の腕だけ。もう片方の腕が空気を裂く。
あっという間に吹き飛ばされたノヴァの体を、ぼんやりと見ていた僕の方に、獣が来る。我に返った。
「濃霧爆発っ!!」
それはとっておきの魔法。胸元のペンダントに前もって込められた、高濃度に圧縮された魔力を使って、今の自分には唱えられるが展開は出来なかったはずの高度な呪文を使った。あたり一面魔法の霧で覆われて、視界ゼロの何が何やらな状態になりながら、僕はよろよろとノヴァが飛ばされた方へと行こうとした。がしっと何かにはばまれ、そしてあっという間に肩の上に乗せられてしまった。身の丈に合わない高度な呪文を使ったが為にガンガンと痛む頭で、僕を連れて移動しているのはノヴァだと確信した。
「避難小屋……近くにあるはずだ……。ペンデュラムを……。」
「分かってる」
魔獣の血か、ノヴァの血か。多分どちらともの血の匂いに溺れながら、僕は意識を失った。
フィールド実習は、かなり広い学園の敷地内で行われる。敷地内とは言うものの、山はたくさんあるし、川もあるしで、多分詳しい地図作りしたら、一年どころか3年ぐらい平気でかかりそうだった。さすが世界最高峰の魔法学園。下手しなくても遭難しそうだ。後、魔獣とかも平気で出るので、学校の近くは先生方と警備の方、後結界がはられているが、その範囲を超えると、簡単にサバイバル出来るという寸法だ。今回のフィールド実習は、オリエンテーリング。地図とコンパスを使って、指定された地点を順番に回りゴールする時間を競う。二、三日かかる過酷なものだ。もちろん、緊急時には先生方を呼べる魔法の鈴を持たされ、それを鳴らすと箒で駆けつけてくれるという。ちなみに参加している学生は、箒を含め空を飛ぶ手段は禁止とされている。
そして、僕とノヴァは、その緊急時に直面していた。
「な、あんな化け物、聞いてないっ!!?」
黒い巨体を揺らして大きな魔獣が僕たちを追いかけていた。幸いなことに、攻撃力は高いが素早さの低い種であるらしく、悪路でも僕たちの方が早く移動することができた。
「鈴は鳴らしたか?」
「とっくの昔に!!!」
僕は魔法の杖とは別の手に持った、長銃型の魔法銃を手にしていた。専門的に魔法銃を使う技術を取得しているが、あいにく実践はあんまり経験していない。それに逃げている時は、完全に使えない代物になっている。
僕と一緒に逃げているノヴァの獲物は、魔法剣。魔法使いの道具としては、魔法銃に次いで扱いに専門的な技術が必要というか、要するに体を鍛えた体育会系でないと扱えない代物だ。
汗かいてる僕とは違って、毎日の鍛錬を欠かせないのか、息すらも乱れていないノヴァ。なんか無駄にかっこいいと思うのは僕だけか……。
「迎え討つ。絶対零度」
「えっ!?」
森の中で開けた場所につくと、体制を整えたノヴァは化け物に向かって、剣を構え、刃に青白い炎みたいな光を纏わせた。炎とは違う、高濃度の冷気の魔力だ。魔力が見えるほど圧縮されるのを見るのは中々見れないものだ。
僕も慌てて、岩陰に隠れたのち、魔法銃を構え、ノヴァに向かって補助魔法を打ち込む。身体能力を爆発的に向上させる補助魔法。一瞬展開される魔法陣の向こうに、ノヴァが化け物の上の方までジャンプしたのを見て、思わずすげぇ……と言葉を漏らした。魔獣の首元まで辿り着くと、一気に魔法剣をぐさりと刺す。
「うっ……。」
大量の血吹雪がプシャーと放出されてノヴァを濡らす。トドメをきっちり叩き込んだノヴァが、剣から血を拭う魔法をかけ、鞘に戻そうとしたところで、こちらを見て目を見開いた。
「な……に……?」
倒れたからといって気を抜くんじゃなかった。相手は、一匹だとは限らないのだから……。
後ろから、また一体黒い獣が出てきた。魔法銃を向けるが、攻撃魔法の展開する間もなく、鋭い爪が僕の身を引き裂こうとした。
「あ……」
目の前には、耳と尻尾を晒したノヴァが、剣で爪を防いでいた。だが、それは片方の腕だけ。もう片方の腕が空気を裂く。
あっという間に吹き飛ばされたノヴァの体を、ぼんやりと見ていた僕の方に、獣が来る。我に返った。
「濃霧爆発っ!!」
それはとっておきの魔法。胸元のペンダントに前もって込められた、高濃度に圧縮された魔力を使って、今の自分には唱えられるが展開は出来なかったはずの高度な呪文を使った。あたり一面魔法の霧で覆われて、視界ゼロの何が何やらな状態になりながら、僕はよろよろとノヴァが飛ばされた方へと行こうとした。がしっと何かにはばまれ、そしてあっという間に肩の上に乗せられてしまった。身の丈に合わない高度な呪文を使ったが為にガンガンと痛む頭で、僕を連れて移動しているのはノヴァだと確信した。
「避難小屋……近くにあるはずだ……。ペンデュラムを……。」
「分かってる」
魔獣の血か、ノヴァの血か。多分どちらともの血の匂いに溺れながら、僕は意識を失った。
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