人狼と眼鏡男子魔法使い

フェレイル

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人狼と眼鏡男子魔法使い2話

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不本意にも自分よりもタッパのデカい男にほぼ抱きしめられながら、車で来たのはどうやら王都の郊外らしい。建物は見えるが、なんだかのどかな丘に辿り着き、車から降りると、緑が美しい森が見えた。



「ここがとっておきの場所なのか?」



「……少し歩くところにある。少し待て。今封印を解く」



「は?……ヤバめなところなのかそこ」



「ある意味はな」



苔むした岩というか、何かの石碑みたいなものの前に着くと、ノヴァは呪文を唱え始めた。現代の魔術は基本、無詠唱か、単語一つの短縮詠唱なので、長々と連なる呪文を聞くのは久しぶりだ。

呪文の詠唱が終わると、木々がぶわっと二つに分かれて、一本の道が出来上がった。



「行くぞ」



「あ、ああ……。」



車の運転手に見送られながら、二人でその道を辿ることになった。暫し緩やかな坂を登っていくと、綺麗な泉と、そこに鎮座する大きな木が見えてきた。



「デカいな……。街の中にあるエルフの棲家だっけか、あれよりもデカい木だな」



はあ、と感嘆のため息を漏らすと、こっちだと言わんばかりに、ノヴァに手を取られて木のそばまで行く。ごつごつとした表皮がよく見えて、触ると硬いがなぜか温かい気持ちにさせられる。



「これが俺の国の宝の木だ。エルフが棲家としている木は、全てこの木の苗木だと言われている。昔は獣人もこの木の子孫達の周りで暮らしていた。実も皮も葉っぱも魔力が満ち満ちていて、この国の大気に満ちている魔力は、この木が由来とされている。昔からな。今は、他の国のものに害されることがないように、王族の他は先祖返りとその番しか入れないように厳重な封印をされている」



「……とりあえず、ものすごい木で、会えるのは一握りなんだな。そこはわかった。で……王族は分かったが先祖返りってなんだ……?」



聞いたことない単語に遭遇したので、率直に聞いてみる。僕を見るアイスブルーの瞳が、少し憂いを含んでいるように見えたのは、僕の気のせいか?



「先祖返りというのは、俺にみたいに完全に獣の姿になれる者のことを言う。普通の獣人は、せいぜい耳や尻尾、稀に目など、一部分を獣と化すことが出来るのだが、全部を獣にすることは出来ない。だが、先祖返りは、完全に獣の姿になることができ、そして……莫大な魔力を保持している。俺の種は先祖返りの魔狼フェンリルだ。」



「フェンリル……。おとぎ話で聞いたことがあるような……。たしか……一匹で国を滅ぼした……っていう。」



顎に手をやり昔の記憶を引っ張り出す。



「魔狼フェンリルは野を凍らせ、山を凍らせ、国を凍らせたというおとぎ話は、事実だ。凍ったのはこの国じゃないがな……。」

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