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44話 女神ちゃんTV
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「え、じゃあマジで狙ってやったわけじゃないの? アード卿の失脚って」
当然ですわ。
だって私に予知能力はありませんから。本当に“たまたま”あーなっただけです。
「それはそうだけど……って、やばっ。始まってるじゃん。はーい、女神ちゃんでーす! 皆、元気ー? というわけで来ました、女神ちゃんTV! 今回はついに44話ということでねー、いやー、ラッキーナンバーですよわたし的に!」
なんですの、それ。女神様?
「ん? いやー、最近この番組の視聴率よくってさー。それでせっかくだからエリちゃんもとい琴音ちゃんに登場してもらいましたー!」
私は聞いてませんが?
「まーまー、いーじゃんいーじゃん。それはそれ。これはこれ。というわけで、今回、色々動いたよねー。まさかアード卿が選挙戦から脱落だなんて」
まぁ、彼は運がなかったですわね。
「でた、ですわね。これが怖いのよー」
いえいえ。まさか本当に1週間以内に何か起こすとは思ってもませんでした。
「本当?」
嘘です。やらかすと思ってました。
「うわー、でた。これだよ、怖いのパート2!」
だってあの人。なんか視野が狭窄で思考回路も単純で、何より血統を重んじているでしょう? そういう人が何に腹を立てるか、ご存じ?
「うーん、なんだろうね。分かった、“愛”だね!」
答えは名誉を傷つけられる、ですわ。
彼は自分の下にいると思っていたガーヒルがいつの間にか対等の立場となって、自分の座るべき椅子に横入りしようとしてきた。
それが彼のくだらないプライドを刺激したのです。飼い犬に手を噛まれるってやつですね。
「ふーん。それでああなると?」
何が何でもガーヒルに負けるわけにはいかないでしょう。
だって仮に負けちゃったら、自分が見下していた相手以下ということになっちゃいますから。
「なるほど」
だからある程度強硬策に出ると思ったんです。
その一番がやっぱり実弾ですね。
「チャカ? チャカなの? トゥーハンドでレッツパーリィなアスタラビスタベイベーな感じなのね!」
その弾じゃないです。実弾。つまり“金”です。
「あー、なるほど。さすが政治家の娘」
そうなればあとは簡単。
彼がやらかすのを待てばいい。もちろん同じ貴族の中でやらかすはずもない。となれば上町か下町。そして下町に金がないのであれば、上町でやらかすしかない。
だからそこで待っていればきっと来ると信じてました。
「…………え、あの選挙事務所とかいうのを上町に作ったのってそのため!? そこから考えてたの!?」
そりゃ当然そうでしょう。
前パパは言ってましたわ。土地のつながりは大事だって。だから匂いが臭くても、態度が気に入らなくても、殴りたい顔面をしてても、グッと我慢して彼らの人気取りをするんだ。そうすれば浮動票やまとまった組織票がこちらに流れて来る仕組みだって。
「わぁ、出た前パパ。うん、てか前パパそんなことしてたの? 政治家だわー」
ま、問題は1週間という短い期間にちゃんと動いてくれるかってことでしたけど。意外とこらえ性がないのね、殿方って。
「あぁーい! いただきましたぁ! 男って、殿方って。もう琴音ちゃん、エロいわー!」
エロくないです。
「ふーん。てか色々企んでたねぇ、やっぱり」
何も企んでませんわ。ただ成り行きでそうなったというだけで。
「琴音ちゃん、未必の故意って知ってる?」
知りませんわ。
「即答してるー! これ知ってる反応ー! うわー、琴音ちゃん。極悪人だわー」
それはおかしいですわね。
だって私は何もしてませんもの。むしろ積極的に善を行っていましたわ。上町の人たちを助けて、犯罪者をしっかり逮捕させた。悪は強盗容疑のアード卿の方ですわ。
「うわー、怖いわー、琴音ちゃんといると、女神ちゃんも何か犯罪起こされそう」
大丈夫です。女神様に恨みはないので。今のところは。
「今のところって言ったー!! 怖い! この娘、神にも容赦なしだよ! 生きてるなら神様だって罪に落としてみせるだよ!」
大丈夫です。その場合でも私は何もしませんから。
ほら、昔から言うでしょう? 『私は悪くない。だって私は悪くないんだから』
「それどっちかっていうとわたしが言うやつー! わたしは悪くないー!」
ふふっ。大変ですね、女神様も。
「うー、誰のせいだと……。あ、はい! じゃあ今回はここまでー。というわけで面白くなってまいりましたねー。ついに宿敵との決戦! って感じで。はい、じゃあバイ女神ー!」
あ、そういえば女神様。勝手にこんな番組に私を呼んでましたよね。私に断りなく。ちょっと恨みパワーが……。
「わー! わー! 悪かったから! 今度はちゃんと琴音ちゃんに断り入れて、てかギャラ出す! 出すから私を貶めないでー! 今年も女神オブザイヤーの連覇が――――」
当然ですわ。
だって私に予知能力はありませんから。本当に“たまたま”あーなっただけです。
「それはそうだけど……って、やばっ。始まってるじゃん。はーい、女神ちゃんでーす! 皆、元気ー? というわけで来ました、女神ちゃんTV! 今回はついに44話ということでねー、いやー、ラッキーナンバーですよわたし的に!」
なんですの、それ。女神様?
「ん? いやー、最近この番組の視聴率よくってさー。それでせっかくだからエリちゃんもとい琴音ちゃんに登場してもらいましたー!」
私は聞いてませんが?
「まーまー、いーじゃんいーじゃん。それはそれ。これはこれ。というわけで、今回、色々動いたよねー。まさかアード卿が選挙戦から脱落だなんて」
まぁ、彼は運がなかったですわね。
「でた、ですわね。これが怖いのよー」
いえいえ。まさか本当に1週間以内に何か起こすとは思ってもませんでした。
「本当?」
嘘です。やらかすと思ってました。
「うわー、でた。これだよ、怖いのパート2!」
だってあの人。なんか視野が狭窄で思考回路も単純で、何より血統を重んじているでしょう? そういう人が何に腹を立てるか、ご存じ?
「うーん、なんだろうね。分かった、“愛”だね!」
答えは名誉を傷つけられる、ですわ。
彼は自分の下にいると思っていたガーヒルがいつの間にか対等の立場となって、自分の座るべき椅子に横入りしようとしてきた。
それが彼のくだらないプライドを刺激したのです。飼い犬に手を噛まれるってやつですね。
「ふーん。それでああなると?」
何が何でもガーヒルに負けるわけにはいかないでしょう。
だって仮に負けちゃったら、自分が見下していた相手以下ということになっちゃいますから。
「なるほど」
だからある程度強硬策に出ると思ったんです。
その一番がやっぱり実弾ですね。
「チャカ? チャカなの? トゥーハンドでレッツパーリィなアスタラビスタベイベーな感じなのね!」
その弾じゃないです。実弾。つまり“金”です。
「あー、なるほど。さすが政治家の娘」
そうなればあとは簡単。
彼がやらかすのを待てばいい。もちろん同じ貴族の中でやらかすはずもない。となれば上町か下町。そして下町に金がないのであれば、上町でやらかすしかない。
だからそこで待っていればきっと来ると信じてました。
「…………え、あの選挙事務所とかいうのを上町に作ったのってそのため!? そこから考えてたの!?」
そりゃ当然そうでしょう。
前パパは言ってましたわ。土地のつながりは大事だって。だから匂いが臭くても、態度が気に入らなくても、殴りたい顔面をしてても、グッと我慢して彼らの人気取りをするんだ。そうすれば浮動票やまとまった組織票がこちらに流れて来る仕組みだって。
「わぁ、出た前パパ。うん、てか前パパそんなことしてたの? 政治家だわー」
ま、問題は1週間という短い期間にちゃんと動いてくれるかってことでしたけど。意外とこらえ性がないのね、殿方って。
「あぁーい! いただきましたぁ! 男って、殿方って。もう琴音ちゃん、エロいわー!」
エロくないです。
「ふーん。てか色々企んでたねぇ、やっぱり」
何も企んでませんわ。ただ成り行きでそうなったというだけで。
「琴音ちゃん、未必の故意って知ってる?」
知りませんわ。
「即答してるー! これ知ってる反応ー! うわー、琴音ちゃん。極悪人だわー」
それはおかしいですわね。
だって私は何もしてませんもの。むしろ積極的に善を行っていましたわ。上町の人たちを助けて、犯罪者をしっかり逮捕させた。悪は強盗容疑のアード卿の方ですわ。
「うわー、怖いわー、琴音ちゃんといると、女神ちゃんも何か犯罪起こされそう」
大丈夫です。女神様に恨みはないので。今のところは。
「今のところって言ったー!! 怖い! この娘、神にも容赦なしだよ! 生きてるなら神様だって罪に落としてみせるだよ!」
大丈夫です。その場合でも私は何もしませんから。
ほら、昔から言うでしょう? 『私は悪くない。だって私は悪くないんだから』
「それどっちかっていうとわたしが言うやつー! わたしは悪くないー!」
ふふっ。大変ですね、女神様も。
「うー、誰のせいだと……。あ、はい! じゃあ今回はここまでー。というわけで面白くなってまいりましたねー。ついに宿敵との決戦! って感じで。はい、じゃあバイ女神ー!」
あ、そういえば女神様。勝手にこんな番組に私を呼んでましたよね。私に断りなく。ちょっと恨みパワーが……。
「わー! わー! 悪かったから! 今度はちゃんと琴音ちゃんに断り入れて、てかギャラ出す! 出すから私を貶めないでー! 今年も女神オブザイヤーの連覇が――――」
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