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第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた
閑話7 立花里奈(オムカ王国軍師相談役)
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殺気が来た。
それを先に感じてから、衝撃が来た。
優勢に戦っていた味方が、どんどん押されて潰されていく。
先頭の馬。
黒い鎧。
見覚えのある顔がいた。
身震いがする。
彼女の戦いは何度も見てきた。
その時はのすさまじさは知っていたが、味方だということですぐに慣れた。
けど今は違う。
彼女を目の前にして。敵として対して初めて知った。
堂島元帥の前に立つというのがどういうものか。
圧倒的威圧感。
彼女の前に立ちふさがることが罪だと思うほどの威圧。
あんな細い体のどこにそんな力があるのか。
馬が怖がって前に出ない。
だから乗り捨てた。
もとより地面に足がついていた方がいい。地面をしっかりと踏みしめる。それで生きる力が湧く。そう思うから。
前へ。走る。
『収乱斬獲祭』
発動した。
視界が赤く、いや、紅く染まる。
嫌悪しつつも、この力があったからこそ、ここまで生きて来れた。
明彦くんを守ってこれた。
だからこれは私。私はこの力。
そう理解して剣を抜いた。
出陣前に、妹にもらったもので、由緒正しいものらしい。
華美な装飾の柄に、ぞっとするような美しい銀色が伸びている。
けど妹が私の身を案じて贈ってくれたのだ。
だからこれで戦う。
堂島さんを……この私の手で。
明彦くんを狙う相手を――殺す。
先頭。
黒い鎧。
敵。堂島。剣。迎え撃った。金属音。地面に足がめり込む。
馬の体重が乗った一撃。普通ならそのまま両断されていただろう。
「はぁっ!」
けど今の私は普通じゃない。それに妹のくれた由緒ある剣がある。
膝の伸縮を使って、思いっきり上に伸びる。
それで相手の体を、馬ごと弾き飛ばす。
相手の馬が1メートルほど浮いて、なんとか着地。
その上では、少し驚いた様子の堂島さんがこちらを見る。
「里奈くんか……」
「お久しぶりです」
言いながら、斬りつけた。
それを馬上の元帥に防がれる。
「元気そうで何よりだ」
「おかげさまで」
「帝国に戻るつもりはないか?」
「すみません。姉として、守りたい人がいるので」
「そうか……惜しいな」
言葉だけ追えば、そこそこ普通の会話。
近況を聞いて、それに対する受け答え。
だが状況が尋常じゃない。
血と汗と泥にまみれた戦場。それもお互い必殺の一撃を放ちながらの会話なのだから。
「ならば死んでくれ」
「お断りします!」
剣を振る。タイミングを変え、上からの斬りおろしでなく下からの斬りあげ。初の攻撃パターン。だがよけられた。馬を横っ飛びさせたのだ。なんて技術。
振り返る。数百キロの塊が飛んできていた。
馬が飛ぶ。
いや、障害物レースとかあるくらいだから、馬だって跳ぶ。
だがそれを前にすれば、トラックが突っ込んでくるくらいの迫力がある。
さらにその上から、乗った人間が剣を振り下ろされればたまったものじゃない。
馬の全体重が乗った一撃。
それを受ければいかに由緒ある剣だって折れる。
だから横に跳んだ。
刹那、元いた場所を馬の蹄が潰し、剣が薙ぐ。
2回転がって、立ち上がる。
その際に、すぐそばにいた相手を反射的に斬った。
こっちに殺気を見せた。だから敵。多分敵。
もう思考が回らない。
もはや問答もない。
別れの挨拶もない。
あれは敵。
ただ殺すためだけにある存在。
「…………アァァァァァァァァァ!」
叫び、跳んだ。
馬上の堂島。目が合った。
その高さ。横なぎで首を取れる。
金属音。
防がれた。
ならもう一撃。
だが相手の方が早い。
押された。馬の力も加わり、力負けしたのだ。空中で。
そこへ堂島の攻撃が来る。
宙に浮いた状態。方向転換も回避もできない。
あと数秒後に、私の胴体は両断される。
だから蹴り飛ばした。
堂島の馬を。
反発の力で体は横に跳ぶ。
痛みが走った。
左肩。剣を振るのは、殺すのに支障はない。
着地。背後から気配。堂島が追ってくる。振り返ったら死ぬ。だから前へ。走る。
別の馬上の人物。敵。今度は間違えない。
跳躍して男の体を蹴り飛ばした。
乗り手がいなくなった馬の背。その鞍に着地した。背後の殺気は消えない。
跳んだ。
鞍を地面にして。背後に。
視界が回転する。
殺気が足元を通過する。
目が合った。
逆さになった堂島だ。
瞳孔が開いて、感情といったものを排除した表情。少なくとも、バク宙に驚いているようではないようだ。
逆さの堂島に向かって剣を振る。
取った。堂島は剣を振り切った後。
だからこちらの攻撃を防ぐ手立てはない。
さようなら。
そう、口の中でつぶやく。
だが、相手の反応は予想を超えた。
馬が棹立ちになった。
斬った。
舞ったのは――馬の首。
防がれた。
奇襲に似た完璧な一撃を。馬を犠牲に防がれた。
だが、馬を仕留められたのは大きい。
あの人馬一体の動き。それがなくなる。そういうことにしよう。
回転して、着地。
同時、近くにいた馬上の敵を斬り落としていた。
ふぅぅぅぅ。
大きく息を吐く。
それでも集中は切らせない。敵はすぐ来る。だから。
一瞬の静寂。
だがそれはすぐに新たな戦いの幕開けなのだ。
それを先に感じてから、衝撃が来た。
優勢に戦っていた味方が、どんどん押されて潰されていく。
先頭の馬。
黒い鎧。
見覚えのある顔がいた。
身震いがする。
彼女の戦いは何度も見てきた。
その時はのすさまじさは知っていたが、味方だということですぐに慣れた。
けど今は違う。
彼女を目の前にして。敵として対して初めて知った。
堂島元帥の前に立つというのがどういうものか。
圧倒的威圧感。
彼女の前に立ちふさがることが罪だと思うほどの威圧。
あんな細い体のどこにそんな力があるのか。
馬が怖がって前に出ない。
だから乗り捨てた。
もとより地面に足がついていた方がいい。地面をしっかりと踏みしめる。それで生きる力が湧く。そう思うから。
前へ。走る。
『収乱斬獲祭』
発動した。
視界が赤く、いや、紅く染まる。
嫌悪しつつも、この力があったからこそ、ここまで生きて来れた。
明彦くんを守ってこれた。
だからこれは私。私はこの力。
そう理解して剣を抜いた。
出陣前に、妹にもらったもので、由緒正しいものらしい。
華美な装飾の柄に、ぞっとするような美しい銀色が伸びている。
けど妹が私の身を案じて贈ってくれたのだ。
だからこれで戦う。
堂島さんを……この私の手で。
明彦くんを狙う相手を――殺す。
先頭。
黒い鎧。
敵。堂島。剣。迎え撃った。金属音。地面に足がめり込む。
馬の体重が乗った一撃。普通ならそのまま両断されていただろう。
「はぁっ!」
けど今の私は普通じゃない。それに妹のくれた由緒ある剣がある。
膝の伸縮を使って、思いっきり上に伸びる。
それで相手の体を、馬ごと弾き飛ばす。
相手の馬が1メートルほど浮いて、なんとか着地。
その上では、少し驚いた様子の堂島さんがこちらを見る。
「里奈くんか……」
「お久しぶりです」
言いながら、斬りつけた。
それを馬上の元帥に防がれる。
「元気そうで何よりだ」
「おかげさまで」
「帝国に戻るつもりはないか?」
「すみません。姉として、守りたい人がいるので」
「そうか……惜しいな」
言葉だけ追えば、そこそこ普通の会話。
近況を聞いて、それに対する受け答え。
だが状況が尋常じゃない。
血と汗と泥にまみれた戦場。それもお互い必殺の一撃を放ちながらの会話なのだから。
「ならば死んでくれ」
「お断りします!」
剣を振る。タイミングを変え、上からの斬りおろしでなく下からの斬りあげ。初の攻撃パターン。だがよけられた。馬を横っ飛びさせたのだ。なんて技術。
振り返る。数百キロの塊が飛んできていた。
馬が飛ぶ。
いや、障害物レースとかあるくらいだから、馬だって跳ぶ。
だがそれを前にすれば、トラックが突っ込んでくるくらいの迫力がある。
さらにその上から、乗った人間が剣を振り下ろされればたまったものじゃない。
馬の全体重が乗った一撃。
それを受ければいかに由緒ある剣だって折れる。
だから横に跳んだ。
刹那、元いた場所を馬の蹄が潰し、剣が薙ぐ。
2回転がって、立ち上がる。
その際に、すぐそばにいた相手を反射的に斬った。
こっちに殺気を見せた。だから敵。多分敵。
もう思考が回らない。
もはや問答もない。
別れの挨拶もない。
あれは敵。
ただ殺すためだけにある存在。
「…………アァァァァァァァァァ!」
叫び、跳んだ。
馬上の堂島。目が合った。
その高さ。横なぎで首を取れる。
金属音。
防がれた。
ならもう一撃。
だが相手の方が早い。
押された。馬の力も加わり、力負けしたのだ。空中で。
そこへ堂島の攻撃が来る。
宙に浮いた状態。方向転換も回避もできない。
あと数秒後に、私の胴体は両断される。
だから蹴り飛ばした。
堂島の馬を。
反発の力で体は横に跳ぶ。
痛みが走った。
左肩。剣を振るのは、殺すのに支障はない。
着地。背後から気配。堂島が追ってくる。振り返ったら死ぬ。だから前へ。走る。
別の馬上の人物。敵。今度は間違えない。
跳躍して男の体を蹴り飛ばした。
乗り手がいなくなった馬の背。その鞍に着地した。背後の殺気は消えない。
跳んだ。
鞍を地面にして。背後に。
視界が回転する。
殺気が足元を通過する。
目が合った。
逆さになった堂島だ。
瞳孔が開いて、感情といったものを排除した表情。少なくとも、バク宙に驚いているようではないようだ。
逆さの堂島に向かって剣を振る。
取った。堂島は剣を振り切った後。
だからこちらの攻撃を防ぐ手立てはない。
さようなら。
そう、口の中でつぶやく。
だが、相手の反応は予想を超えた。
馬が棹立ちになった。
斬った。
舞ったのは――馬の首。
防がれた。
奇襲に似た完璧な一撃を。馬を犠牲に防がれた。
だが、馬を仕留められたのは大きい。
あの人馬一体の動き。それがなくなる。そういうことにしよう。
回転して、着地。
同時、近くにいた馬上の敵を斬り落としていた。
ふぅぅぅぅ。
大きく息を吐く。
それでも集中は切らせない。敵はすぐ来る。だから。
一瞬の静寂。
だがそれはすぐに新たな戦いの幕開けなのだ。
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