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第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた
閑話27 尾田張人(エイン帝国将軍)
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最近、ひどく感じることがある。
この戦いはどこまで続くのか。
いや、終わりがあるのかどうかすらも分からない。
女神は各代表の死で終わると言っていたけど、そんなことがあり得るのかって話。
だって各国の代表は国の奥深くにこもっているから、そこまで到達するのに半年じゃあ足りなすぎる。
まぁ約1名ほど前線に出てきていて、それが味方だってのが頭に来るけど。
そう、その味方も問題だ。
あのおっさん少女が死に、それを受けてあの元帥がおかしくなった。
いや、元からおかしかったといえばおかしいけど、今までとはまた違う雰囲気。
「尾田張人、力を貸せ」
なんてことを言われた時には、さすがにムッとしたけど、彼女からあふれ出るオーラが有無を言わさない雰囲気をかもしだしていた。
というか、断ったら即座に俺の首と胴が離れていたような気がする。
ただ、その内容を聞いた後にもう一度回答権を得られたら、どうしようか迷ったかもしれない。
というのも、
「死兵?」
「そうだ。増援できた2万。あれは役に立たん」
「あー……なんか貴族様の偉そうなやつ」
「そうだ。私の指示にも従わず、劣勢になればすぐに逃げる。だから死兵にする。お前のスキルならそれができるだろう」
死兵。
つまり死ぬ気になった兵ということ。
また別の意味では“死ぬことを前提とした兵”ということ。
この場合では後者だろう。
つまり捨て駒。
はっ、まさかここまでぶっ飛んでるとは。
味方の、しかも2万もの兵を死なせてもいいから突撃させろとは。
さすがの俺もドン引きだよ。
俺じゃあ思いつかない。思いついてもやらない。
だってただ突撃して死ぬなんてかわいそうじゃん。もっと有意義に死なせてあげないと。
とはいえ、俺がその提案を断らなかったのは、堂島さんの圧に押されたのもあるけど、ちょっとあのジャンヌ・ダルクに対して思うことがあるからだったりする。
おっさん少女の仇討ちじゃないけど、ちょっとここらで一気に勝負を決めに行かないと。
あの世があるのか知らないけど、そこに行ったらおっさん少女に笑われる。
「で? 俺はその2万を指揮すればいいの? まぁただスキルで行ってこいって言うだけだけど」
「それでいい。本隊は椎葉に任せる」
「あ、そう」
「だが指揮権はお前に与える」
「え?」
これは意外。
てっきりあの椎葉達臣に渡すと思ったんだけど。
「出戻りの俺を信用してもらって嬉しいけど、本当にいいの?」
「ああ。お前が打算的で自己中心的で危ない橋を渡らないチキンだというのは知っている」
「ちょっと」
「気を悪くしたなら謝ろう。だがこれはすべて、あの女神が言っていたことだ」
あのクソ女神。
いらんことを今のこの人に吹き込むなし。絶対面白がってやったに決まってる。
「けど、じゃあなんで?」
「その方が冷静な判断ができるだろう。そう思ったからだ。椎葉、あいつは駄目だ。ジャンヌ・ダルクに入れ込み過ぎている」
ほぉ。ちゃんと見えてる。帝国不敗の判断力はまだ衰えてはいないようだ。
「そしてお前が判断したなら、私もそれに従う。だから最後の判断は好きにするといい」
「それって……」
丸投げ?
いや、それ以上の権利を俺に与えたか。
それはつまり、堂島さんがいち指揮官として戦うことを選んだにほかならない。
ま、そっちの方が色々動きやすいだろうし。
俺としても決定権をくれるなら拒む理由はない。
「で、勝てるの?」
「勝てるかどうかはどうでもいい。勝つ。それだけだ」
おーおー、熱いねぇ。
俺も負けるつもりはないけど、万が一のことを考えて、身の振り方を考えておくか。幸いあっちのジャンヌ・ダルクには恩を売ってるし、シータのミカ姉の方にも手掛かりはある。
なーんてことを考えていると。
フッ
風が来た。
遅れて痛み。
右頬に何か冷たいものが当たっている。そして液体がこぼれる。
斬られた。
いつの間にか堂島さんが剣を抜き放って、俺の右頬の皮を少し斬っている。
少し剣を動かすだけで、俺の首は胴体から離れるだろう。
いや、というか早すぎて気づけなかった。
居合の達人? ヤバいでしょ。冷や汗も出ないよ。
当の堂島さんは、感情といったものをすべて捨ててきたような、なにも感じていないような表情でこちらを見てくる。
睨むとかそういうのじゃない。
ただ視界に入れているという感じ。
それが、怖い。
「お前が何を考えているかは知らない。だが、今は全力を尽くせ。全力で勝ちにいけ。そうでなければ、私はお前の首を飛ばしてからオムカを全滅させる」
おーいおいおい。
なにそれ。エスパーですか?
なんで俺の考えてること分かったのさ。
てか怖いって。
言ったことが、本当に有言実行されそうでさ。
てか俺、ちびってない? 大丈夫? 下着の替えあったかな?
「返事は?」
堂島さんの重い声が腹に響く。
いや返事はって言っても、動いたら斬られそうで、というかその前に驚きすぎて反応できないんだよね。
けどなんだかそれで怖くて動けませんでした、ってのもなんか格好悪い。
だから俺は精一杯の勇気を丹田に動員して、口を開く。
「ああ、もちろん。やるからには全力でやらせていただきますよ」
「……ならいい」
言いながら剣を離すと、鞘に収める堂島さん。
そのまま俺なんかに興味を失ったかのように、くるりと踵を返すとそのまま歩き去ってしまった。
いやーーーーーーあっぶねーーーー。
俺粛清されるところだった!?
ぎりぎり生き残った感がヤバい。
つーか、こんな化け物と対決しなくちゃいけない相手。
同情するね。
ま、あのおっさん少女の仇討ちってことで。
安らかに成仏してくれや、ジャンヌ・ダルク。
この戦いはどこまで続くのか。
いや、終わりがあるのかどうかすらも分からない。
女神は各代表の死で終わると言っていたけど、そんなことがあり得るのかって話。
だって各国の代表は国の奥深くにこもっているから、そこまで到達するのに半年じゃあ足りなすぎる。
まぁ約1名ほど前線に出てきていて、それが味方だってのが頭に来るけど。
そう、その味方も問題だ。
あのおっさん少女が死に、それを受けてあの元帥がおかしくなった。
いや、元からおかしかったといえばおかしいけど、今までとはまた違う雰囲気。
「尾田張人、力を貸せ」
なんてことを言われた時には、さすがにムッとしたけど、彼女からあふれ出るオーラが有無を言わさない雰囲気をかもしだしていた。
というか、断ったら即座に俺の首と胴が離れていたような気がする。
ただ、その内容を聞いた後にもう一度回答権を得られたら、どうしようか迷ったかもしれない。
というのも、
「死兵?」
「そうだ。増援できた2万。あれは役に立たん」
「あー……なんか貴族様の偉そうなやつ」
「そうだ。私の指示にも従わず、劣勢になればすぐに逃げる。だから死兵にする。お前のスキルならそれができるだろう」
死兵。
つまり死ぬ気になった兵ということ。
また別の意味では“死ぬことを前提とした兵”ということ。
この場合では後者だろう。
つまり捨て駒。
はっ、まさかここまでぶっ飛んでるとは。
味方の、しかも2万もの兵を死なせてもいいから突撃させろとは。
さすがの俺もドン引きだよ。
俺じゃあ思いつかない。思いついてもやらない。
だってただ突撃して死ぬなんてかわいそうじゃん。もっと有意義に死なせてあげないと。
とはいえ、俺がその提案を断らなかったのは、堂島さんの圧に押されたのもあるけど、ちょっとあのジャンヌ・ダルクに対して思うことがあるからだったりする。
おっさん少女の仇討ちじゃないけど、ちょっとここらで一気に勝負を決めに行かないと。
あの世があるのか知らないけど、そこに行ったらおっさん少女に笑われる。
「で? 俺はその2万を指揮すればいいの? まぁただスキルで行ってこいって言うだけだけど」
「それでいい。本隊は椎葉に任せる」
「あ、そう」
「だが指揮権はお前に与える」
「え?」
これは意外。
てっきりあの椎葉達臣に渡すと思ったんだけど。
「出戻りの俺を信用してもらって嬉しいけど、本当にいいの?」
「ああ。お前が打算的で自己中心的で危ない橋を渡らないチキンだというのは知っている」
「ちょっと」
「気を悪くしたなら謝ろう。だがこれはすべて、あの女神が言っていたことだ」
あのクソ女神。
いらんことを今のこの人に吹き込むなし。絶対面白がってやったに決まってる。
「けど、じゃあなんで?」
「その方が冷静な判断ができるだろう。そう思ったからだ。椎葉、あいつは駄目だ。ジャンヌ・ダルクに入れ込み過ぎている」
ほぉ。ちゃんと見えてる。帝国不敗の判断力はまだ衰えてはいないようだ。
「そしてお前が判断したなら、私もそれに従う。だから最後の判断は好きにするといい」
「それって……」
丸投げ?
いや、それ以上の権利を俺に与えたか。
それはつまり、堂島さんがいち指揮官として戦うことを選んだにほかならない。
ま、そっちの方が色々動きやすいだろうし。
俺としても決定権をくれるなら拒む理由はない。
「で、勝てるの?」
「勝てるかどうかはどうでもいい。勝つ。それだけだ」
おーおー、熱いねぇ。
俺も負けるつもりはないけど、万が一のことを考えて、身の振り方を考えておくか。幸いあっちのジャンヌ・ダルクには恩を売ってるし、シータのミカ姉の方にも手掛かりはある。
なーんてことを考えていると。
フッ
風が来た。
遅れて痛み。
右頬に何か冷たいものが当たっている。そして液体がこぼれる。
斬られた。
いつの間にか堂島さんが剣を抜き放って、俺の右頬の皮を少し斬っている。
少し剣を動かすだけで、俺の首は胴体から離れるだろう。
いや、というか早すぎて気づけなかった。
居合の達人? ヤバいでしょ。冷や汗も出ないよ。
当の堂島さんは、感情といったものをすべて捨ててきたような、なにも感じていないような表情でこちらを見てくる。
睨むとかそういうのじゃない。
ただ視界に入れているという感じ。
それが、怖い。
「お前が何を考えているかは知らない。だが、今は全力を尽くせ。全力で勝ちにいけ。そうでなければ、私はお前の首を飛ばしてからオムカを全滅させる」
おーいおいおい。
なにそれ。エスパーですか?
なんで俺の考えてること分かったのさ。
てか怖いって。
言ったことが、本当に有言実行されそうでさ。
てか俺、ちびってない? 大丈夫? 下着の替えあったかな?
「返事は?」
堂島さんの重い声が腹に響く。
いや返事はって言っても、動いたら斬られそうで、というかその前に驚きすぎて反応できないんだよね。
けどなんだかそれで怖くて動けませんでした、ってのもなんか格好悪い。
だから俺は精一杯の勇気を丹田に動員して、口を開く。
「ああ、もちろん。やるからには全力でやらせていただきますよ」
「……ならいい」
言いながら剣を離すと、鞘に収める堂島さん。
そのまま俺なんかに興味を失ったかのように、くるりと踵を返すとそのまま歩き去ってしまった。
いやーーーーーーあっぶねーーーー。
俺粛清されるところだった!?
ぎりぎり生き残った感がヤバい。
つーか、こんな化け物と対決しなくちゃいけない相手。
同情するね。
ま、あのおっさん少女の仇討ちってことで。
安らかに成仏してくれや、ジャンヌ・ダルク。
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