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第6章 知力100の美少女に転生したので、世界を救ってみた
第45話 旗を振る者
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理解ができなかった。
どういうことだ。
里奈は、あの帝国最強と言われる堂島元帥を1人で打ち破るほどの力を持っている。
それに匹敵する何かを、あの九神は持っているというのか。
いや、あるいはあいつも里奈と同じようなスキルを。
だが待て。
前にこいつのスキルは嘘発見器だと聞いた。
それがスキルで強化された里奈と、互角以上に戦える理由はない。
つまり――
「嘘発見器ってスキルは……嘘か」
俺が正直にスキルの内容を言わなかったように、こいつもスキルのことを黙っていた。
そして今、本当のスキルを使っているということ。
「ふっ……別に嘘じゃあないさ。ただ昔からそういう特技があったってだけで。特技をスキルと言い換えれば、これもスキル。だから僕は嘘をついていない? 違うかな?」
「そんなことを……」
「それに、なんで好んで馬鹿正直に手の内をさらさないといけないのかな? そうやって馬鹿正直に生きれば、それこそ搾取されて終わるだけだというのに。この世はね、だまくらかした奴の方が勝ちなんだよ。そうだろう、アッキー?」
九神が俺に視線を向ける。
その隙を里奈は逃さない。
自分に向けた注意が切れた途端、地面を蹴り飛ばして九神に迫る。
蹴りだ。打つ。鈍い音。
「ぐっ……」
九神の肘が里奈の右すねを打ち砕いていた。
嫌な音。骨が折れた音だ。
九神はちらっと里奈の方を見て、
「今、僕がしゃべってるだろ!」
里奈の足首に手を添え、煩わしそうに後ろへ振る。
「あっ!」
受け身も取れず、里奈が壁に激突した。
「里奈!」
「今は僕が君と話しているんだよ」
里奈の元へ駆け寄ろうとして、だができない。
九神が、圧倒的な強者のオーラを振りまいて俺の進路に立ちふさがる。
筋力最低ランクの俺が、曲がりなりにも突破できる相手ではないのは今見た通りだ。
諸葛孔明といえど、呂布に一騎討ちを挑まれれば一撃で叩き落されて討ち死にするしかない。
「所詮この世は騙し騙され、虚偽と欺瞞と権謀が渦巻くクソみたいな世の中だ。力のないものは淘汰され、踏みにじられる。富むも者は富み、貧しい者はさらに貧しくなる。まさにその通りの地獄みたいな世界。なら、こちらが強者にならなきゃね。誰だって、弾圧されるのは、死ぬのは嫌だから」
「だから、こんなことをした、というのか」
「当然だろ? 僕は二度と死にたくない。もう二度と、あんな目には遭いたくない。なら強者であるしか、富める者になるしかないだろう?」
それの何が悪い、と言わんばかりに九神が両手を広げる。
その言葉に、俺の口が止まる。
彼の言っていることに一理はあると思ってしまったのだ。
それは俺が辿ってきた道。
俺には物理的な力がなかった。
さらにこんな世界で、何も寄るべき場所がなかった。
だから騙した。
敵を、他人を、時には味方さえも。
性別を偽り、年齢を偽り、出身を偽る。
それだけじゃない。
様々な偽りを駆使して、俺は他人の命をいくつも奪った。
1人、2人じゃない。
この3年で、万以上の人間が、俺の嘘偽りで命を落としていった。
そうしなければ、俺が死んでいたとはいえ。
殺したのだ。俺が。俺のために。
だからこそ、今のこの九神の言葉には感じるものがあったわけで。
そしてそれは、俺を糾弾するにふさわしい断罪の言葉でもあったのだ。
「ふふ、アッキーには分かってるみたいだね。そうさ。君もやってきたことだろう? 分かりつつも、知りつつも、他人の屍を乗り越えて生きてきたアッキーには。この僕の言葉がよぅく分かるはずだ」
「…………」
俺は答えない。
答えられない。
否定しようにも、肯定しようにも、様々な思惑が積み重なって、口から出るのを妨げているのだ。
「僕と君は同種だ。同類項だ。だから君に僕を断罪する権利はないよ。抵抗する権利はあるけど。ま、そちらの切り札とも言える2人が戦闘不能だ。頭でっかちで何もできない君にはもう術がない。さ、これで終わりにしようか」
これで終わり。
里奈がやられ、ニーアも傷を負った。
クロエたちもいるけど、あの里奈が勝てなった相手に誰が勝てるというのか。
無駄に死者を出すだけならば。あるいは――
そう思った矢先のことだ。
1つの声が、広場に響いた。
「それは、違うのじゃ」
「なに?」
九神が心底不快そうにその発言の主を見やる。
「マリア……」
「ジャンヌは違うのじゃ。ジャンヌは皆のために、やったこと。独りよがりのお主と一緒にするでない!」
言い切った。
マリアが、はっきりと。
九神に対し、俺を、俺を……。
「ほぉ、皆のため。それなら許されるとでも?」
「許す許されるの問題ではない。確かにジャンヌによって命を奪われた人間はいるじゃろう。けど、ジャンヌによって救われた人間だって大勢いるのじゃ!」
「それは勝者の論理だ。勝ったから、自分の命を保全できたからそう言える綺麗ごとだ」
「綺麗ごとでもなんでもいいのじゃ! 現に救われた人間がいる! それだけで、何も救ってこなかったお主とジャンヌを一緒にするでない!」
「……言わせておけば。そいつがそんな大した玉かよ。人の影に隠れてこそこそ悪だくみしかしないやつが」
「違うのじゃ。お主はジャンヌのことを何もわかってない。ジャンヌは人の影に隠れたことはない。いつも先頭を切って、矢面に立って戦ってきたのじゃ! じゃから皆、ジャンヌを信じられる! 余も昔はそうじゃったから分かる。王宮の奥底に籠って金勘定ばかりしているお主は、ジャンヌの足元にも及ばぬ!」
「この、ガキ……」
九神の顔色が変わった。
まさか糾弾を受けるとは、夢にも思わなかったのだろう。
「たとえジャンヌのしたことで、石を投げられることがあったとしても! 余だけは最後までジャンヌの味方じゃ! ジャンヌだけを地獄に行かせはしない!」
胸が、苦しい。
物理的な痛みじゃない。
マリアにここまで言ってくれたことに、感謝と罪悪感と、それでもやっぱり素直な感動が俺の中に渦巻いていた。
しかもそれだけに終わらない。
「女王様だけに、そんなことさせられないからね。あたしもジャンヌのために一肌、いや、人肌脱いじゃおうかな」
ニーアがマリアの肩に手を置いて、そう告げる。
「隊長殿は私を救ってくれました! だから隊長殿が行けと言われれば火の中水の中ベッドの中!」
「ま、きっとウィットやマール、皆も同じ意見だろうしねー」
クロエにルック、さらに部下たちが同調する。
さらに声は続く。
「兄が満足して死んだのも、私がここに今いられるのも、ジャンヌさんのおかげ。最後の最期まで、お供します」
サールが深く、けど誇り高く吐息を吐きながらそう答える。
そして、
「ミカ……」
瀕死の雫が声を上げた。
「雫、大丈夫なの」
「……わかんない。けど、ミカはどうする」
「え……」
「ミカは、ミカだから。ミカの道、行って」
「……私は……」
「ん」
雫が笑った。
それで、水鏡は何かが吹っ切れたように、九神に対して宣言する。
「明。やっぱり間違ってる。こんなこと。本当はもっと早く言わなくちゃいけなかった。だからもうやめよう。やめて、降参して、それで元の世界へ帰ろう」
水鏡が、今まで死人のような目をしていた水鏡が、目に輝きを取り戻してそう言った。
よかった。
水鏡は何も変わってなかった。
こんなだまし討ちを受け入れるような彼女じゃなかった。
そしてそれは、九神の完全な孤立に他ならない。
その中心にいる人物は、顔をいびつにゆがめて吐き捨てる。
「もういい。やっぱり、人間なんてクソだ。腐ったクソでできたクソの塊だ。だから僕独りだ。ここにいるプレイヤー全員を殺して、そして女神にこの世界を破滅させて元の世界に戻ろう。それですべてが終わる。こんなクソの、クソでできた、クソのような、クソばかりある、クソだらけの、クソの世界。こっちから願い下げだ」
体内からありとあらゆる怨嗟を吐き出す九神。
その気迫に、その場にいた全員が圧される。
いや、俺は違う。
どれだけ圧倒されようとも、個の憎悪に屈するほどやわじゃない。
マリア、ニーア、ジル、ブリーダ、クロエ、ウィット、ルック、サール、アーク、イッガー、竜胆、ミスト、マツナガ、林檎、新沢、愛良、尾田、水鏡、雫。
サカキ、クルレーン、カルキュール、サリナ、マール、リュース、ヨハン、グライス、ロウ、ザイン、フレール、アヤ、グリード、煌夜、堂島、長浜、ノーネーム、天。
そして――
達臣。
里奈。
俺を苦しめ、色々な人が死に、いつまでも争いが終わらない最低の世界。
色んな人と、楽しみ、喜び、生を分かち合う人たちと出会えた最高の世界。
そんな世界に、俺は生かされ、こうして今、ここにいる。
言われてきたように、考え続けてきたように、俺の罪は決してなくならない。
だからこそ、せめて周囲の人たちでも幸せになってほしい。
その思いで戦い続けてきた。
それでもあるいは。
この世界の人たちに何か恩返しができるというなら。
それはこの世界ならざるものの追放以外にないだろう。
俺たちプレイヤーはこの世界にとっての異分子。
争いを助長する種でしかない存在。
そしてそれは、あの女神も同じこと。
だから俺たちはもとの世界に戻る。
同時に、あの女神も追放する。
それができるのは、今ここには俺しかいない。
それもまた、煌夜から託された願い。
今ここで俺の目的と合致するのが、なんだか皮肉だけど。
悪い気分じゃない。
だから言う。
最後のこの場面でも。
いや、最後のこの場面だからこそか。
旗を振る者として、俺は最後まであり続けるのだから。
「ジャンヌ・ダルクの旗のもとに集え! この戦いに勝利し、世界を救う!」
どういうことだ。
里奈は、あの帝国最強と言われる堂島元帥を1人で打ち破るほどの力を持っている。
それに匹敵する何かを、あの九神は持っているというのか。
いや、あるいはあいつも里奈と同じようなスキルを。
だが待て。
前にこいつのスキルは嘘発見器だと聞いた。
それがスキルで強化された里奈と、互角以上に戦える理由はない。
つまり――
「嘘発見器ってスキルは……嘘か」
俺が正直にスキルの内容を言わなかったように、こいつもスキルのことを黙っていた。
そして今、本当のスキルを使っているということ。
「ふっ……別に嘘じゃあないさ。ただ昔からそういう特技があったってだけで。特技をスキルと言い換えれば、これもスキル。だから僕は嘘をついていない? 違うかな?」
「そんなことを……」
「それに、なんで好んで馬鹿正直に手の内をさらさないといけないのかな? そうやって馬鹿正直に生きれば、それこそ搾取されて終わるだけだというのに。この世はね、だまくらかした奴の方が勝ちなんだよ。そうだろう、アッキー?」
九神が俺に視線を向ける。
その隙を里奈は逃さない。
自分に向けた注意が切れた途端、地面を蹴り飛ばして九神に迫る。
蹴りだ。打つ。鈍い音。
「ぐっ……」
九神の肘が里奈の右すねを打ち砕いていた。
嫌な音。骨が折れた音だ。
九神はちらっと里奈の方を見て、
「今、僕がしゃべってるだろ!」
里奈の足首に手を添え、煩わしそうに後ろへ振る。
「あっ!」
受け身も取れず、里奈が壁に激突した。
「里奈!」
「今は僕が君と話しているんだよ」
里奈の元へ駆け寄ろうとして、だができない。
九神が、圧倒的な強者のオーラを振りまいて俺の進路に立ちふさがる。
筋力最低ランクの俺が、曲がりなりにも突破できる相手ではないのは今見た通りだ。
諸葛孔明といえど、呂布に一騎討ちを挑まれれば一撃で叩き落されて討ち死にするしかない。
「所詮この世は騙し騙され、虚偽と欺瞞と権謀が渦巻くクソみたいな世の中だ。力のないものは淘汰され、踏みにじられる。富むも者は富み、貧しい者はさらに貧しくなる。まさにその通りの地獄みたいな世界。なら、こちらが強者にならなきゃね。誰だって、弾圧されるのは、死ぬのは嫌だから」
「だから、こんなことをした、というのか」
「当然だろ? 僕は二度と死にたくない。もう二度と、あんな目には遭いたくない。なら強者であるしか、富める者になるしかないだろう?」
それの何が悪い、と言わんばかりに九神が両手を広げる。
その言葉に、俺の口が止まる。
彼の言っていることに一理はあると思ってしまったのだ。
それは俺が辿ってきた道。
俺には物理的な力がなかった。
さらにこんな世界で、何も寄るべき場所がなかった。
だから騙した。
敵を、他人を、時には味方さえも。
性別を偽り、年齢を偽り、出身を偽る。
それだけじゃない。
様々な偽りを駆使して、俺は他人の命をいくつも奪った。
1人、2人じゃない。
この3年で、万以上の人間が、俺の嘘偽りで命を落としていった。
そうしなければ、俺が死んでいたとはいえ。
殺したのだ。俺が。俺のために。
だからこそ、今のこの九神の言葉には感じるものがあったわけで。
そしてそれは、俺を糾弾するにふさわしい断罪の言葉でもあったのだ。
「ふふ、アッキーには分かってるみたいだね。そうさ。君もやってきたことだろう? 分かりつつも、知りつつも、他人の屍を乗り越えて生きてきたアッキーには。この僕の言葉がよぅく分かるはずだ」
「…………」
俺は答えない。
答えられない。
否定しようにも、肯定しようにも、様々な思惑が積み重なって、口から出るのを妨げているのだ。
「僕と君は同種だ。同類項だ。だから君に僕を断罪する権利はないよ。抵抗する権利はあるけど。ま、そちらの切り札とも言える2人が戦闘不能だ。頭でっかちで何もできない君にはもう術がない。さ、これで終わりにしようか」
これで終わり。
里奈がやられ、ニーアも傷を負った。
クロエたちもいるけど、あの里奈が勝てなった相手に誰が勝てるというのか。
無駄に死者を出すだけならば。あるいは――
そう思った矢先のことだ。
1つの声が、広場に響いた。
「それは、違うのじゃ」
「なに?」
九神が心底不快そうにその発言の主を見やる。
「マリア……」
「ジャンヌは違うのじゃ。ジャンヌは皆のために、やったこと。独りよがりのお主と一緒にするでない!」
言い切った。
マリアが、はっきりと。
九神に対し、俺を、俺を……。
「ほぉ、皆のため。それなら許されるとでも?」
「許す許されるの問題ではない。確かにジャンヌによって命を奪われた人間はいるじゃろう。けど、ジャンヌによって救われた人間だって大勢いるのじゃ!」
「それは勝者の論理だ。勝ったから、自分の命を保全できたからそう言える綺麗ごとだ」
「綺麗ごとでもなんでもいいのじゃ! 現に救われた人間がいる! それだけで、何も救ってこなかったお主とジャンヌを一緒にするでない!」
「……言わせておけば。そいつがそんな大した玉かよ。人の影に隠れてこそこそ悪だくみしかしないやつが」
「違うのじゃ。お主はジャンヌのことを何もわかってない。ジャンヌは人の影に隠れたことはない。いつも先頭を切って、矢面に立って戦ってきたのじゃ! じゃから皆、ジャンヌを信じられる! 余も昔はそうじゃったから分かる。王宮の奥底に籠って金勘定ばかりしているお主は、ジャンヌの足元にも及ばぬ!」
「この、ガキ……」
九神の顔色が変わった。
まさか糾弾を受けるとは、夢にも思わなかったのだろう。
「たとえジャンヌのしたことで、石を投げられることがあったとしても! 余だけは最後までジャンヌの味方じゃ! ジャンヌだけを地獄に行かせはしない!」
胸が、苦しい。
物理的な痛みじゃない。
マリアにここまで言ってくれたことに、感謝と罪悪感と、それでもやっぱり素直な感動が俺の中に渦巻いていた。
しかもそれだけに終わらない。
「女王様だけに、そんなことさせられないからね。あたしもジャンヌのために一肌、いや、人肌脱いじゃおうかな」
ニーアがマリアの肩に手を置いて、そう告げる。
「隊長殿は私を救ってくれました! だから隊長殿が行けと言われれば火の中水の中ベッドの中!」
「ま、きっとウィットやマール、皆も同じ意見だろうしねー」
クロエにルック、さらに部下たちが同調する。
さらに声は続く。
「兄が満足して死んだのも、私がここに今いられるのも、ジャンヌさんのおかげ。最後の最期まで、お供します」
サールが深く、けど誇り高く吐息を吐きながらそう答える。
そして、
「ミカ……」
瀕死の雫が声を上げた。
「雫、大丈夫なの」
「……わかんない。けど、ミカはどうする」
「え……」
「ミカは、ミカだから。ミカの道、行って」
「……私は……」
「ん」
雫が笑った。
それで、水鏡は何かが吹っ切れたように、九神に対して宣言する。
「明。やっぱり間違ってる。こんなこと。本当はもっと早く言わなくちゃいけなかった。だからもうやめよう。やめて、降参して、それで元の世界へ帰ろう」
水鏡が、今まで死人のような目をしていた水鏡が、目に輝きを取り戻してそう言った。
よかった。
水鏡は何も変わってなかった。
こんなだまし討ちを受け入れるような彼女じゃなかった。
そしてそれは、九神の完全な孤立に他ならない。
その中心にいる人物は、顔をいびつにゆがめて吐き捨てる。
「もういい。やっぱり、人間なんてクソだ。腐ったクソでできたクソの塊だ。だから僕独りだ。ここにいるプレイヤー全員を殺して、そして女神にこの世界を破滅させて元の世界に戻ろう。それですべてが終わる。こんなクソの、クソでできた、クソのような、クソばかりある、クソだらけの、クソの世界。こっちから願い下げだ」
体内からありとあらゆる怨嗟を吐き出す九神。
その気迫に、その場にいた全員が圧される。
いや、俺は違う。
どれだけ圧倒されようとも、個の憎悪に屈するほどやわじゃない。
マリア、ニーア、ジル、ブリーダ、クロエ、ウィット、ルック、サール、アーク、イッガー、竜胆、ミスト、マツナガ、林檎、新沢、愛良、尾田、水鏡、雫。
サカキ、クルレーン、カルキュール、サリナ、マール、リュース、ヨハン、グライス、ロウ、ザイン、フレール、アヤ、グリード、煌夜、堂島、長浜、ノーネーム、天。
そして――
達臣。
里奈。
俺を苦しめ、色々な人が死に、いつまでも争いが終わらない最低の世界。
色んな人と、楽しみ、喜び、生を分かち合う人たちと出会えた最高の世界。
そんな世界に、俺は生かされ、こうして今、ここにいる。
言われてきたように、考え続けてきたように、俺の罪は決してなくならない。
だからこそ、せめて周囲の人たちでも幸せになってほしい。
その思いで戦い続けてきた。
それでもあるいは。
この世界の人たちに何か恩返しができるというなら。
それはこの世界ならざるものの追放以外にないだろう。
俺たちプレイヤーはこの世界にとっての異分子。
争いを助長する種でしかない存在。
そしてそれは、あの女神も同じこと。
だから俺たちはもとの世界に戻る。
同時に、あの女神も追放する。
それができるのは、今ここには俺しかいない。
それもまた、煌夜から託された願い。
今ここで俺の目的と合致するのが、なんだか皮肉だけど。
悪い気分じゃない。
だから言う。
最後のこの場面でも。
いや、最後のこの場面だからこそか。
旗を振る者として、俺は最後まであり続けるのだから。
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