知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

文字の大きさ
32 / 627
第1章 オムカ王国独立戦記

第30話 恩賞という名の政治ゲーム

しおりを挟む
 独立は正義なのか。
 マリアたち上流階級が、革命というテンションに毒されて躍起やっきになっているだけじゃないのか。何より他の人の意見というものを聞いたことはなかった。

 その答えの1つがブリーダたちだ。
 正義かどうかは別として、それを望む勢力が王都以外にいるということが何よりの力となるのだ。1千におよぶ兵力以上に、そのことを知れたのが何よりの収穫に思う。

 そもそも正義が何かを論ずるのだって、俺はまだ知識も経験も足りていない。
 人はその時々で正解と思う選択肢を選ぶしかないのだ。
 だから俺も今はこれが正解だと信じて、それを進めていくしかない。

  そう、思った。

「――して、山賊を焼殺し殲滅しました。以上が今回の出兵の顛末てんまつでございます」

 クロエが朗々たる弁舌で、報告を締めくくった。

 ここは王宮。謁見の間。
 そろそろ見飽きた面々の前に俺とクロエが立っている。

 本来なら俺が1人で来て報告するはずだったのだが、直前にクロエが呼ばれて報告も彼女がすることになった。
 ロキン宰相が俺の失態をクロエに報告させようと裏で手を回したのだろう。

 だがその前にクロエのスパイ活動は俺に見破られ、ロキン宰相の二重スパイとなったのだ。
 だからこの報告に俺の落ち度は1つもない。

「そ、そうか。他に何かなかったのか。その、何か失敗とか」

「いえ、ございません。ジャンヌ隊長殿の指揮は完璧で、1人の脱落もなく千もの山賊を殲滅しました」

 はっきりとした物言いに、そして功績に周囲がどよめく。

「しかしだね、クロエ・ハミニス。君は――」

「もういいのではないかね、ロキン殿。彼女らの作戦は見事成功を収めた。それでよいではないか」

 こみ上げるにやけ顔を抑えるでもなく、ハカラが口を挟んだ。

「ぐ、む……だがねハカラ殿」

「ロキン殿は軍事のことはからきしだからな。それ以上口をはさんで恥をさらすこともあるまい」

「口が過ぎますぞハカラ将軍。あなたこそ政治のことなど何もしらないくせに」

「なんだと!」

 まさに一色触発の雰囲気に、こほん、と小さな、だが威圧感のある咳払いが2人を止めた。

「失礼したのじゃ。今日は少し体調が思わしくなくての」

 マリアだ。
 これまでお飾りだった彼女が、俺の知る限り初めて僅かではあるがその意思を露わにした。

「う、うむ。そうですな。では山賊討伐の報告は以上とする。褒賞は各自に渡るよう手配する。特にジャンヌ隊長。その、よくやってくれた。その……聞くところによると貴殿はまだ家を持たないのだな。よって貴殿には王都に邸宅を授ける。今後も励むように」

 それで散会となった。
 謁見の間からクロエと共に出た途端、俺は吹き出してしまった。

「ぷっ、見たか。『よくやってくれた』とか言ってたくせに顔が引きつって嫌々なのが丸わかりだ」

「何かなかったのかー、だなんておかしくて笑っちゃいそうになりました」

 クロエもお腹を抱えて笑っている。
 その笑顔が歳相応の少女のもので、とても先日死にそうな顔をしていたとは思えないほど活気に満ちていた。あるいは今回の一番の収穫は彼女なのかもしれない。

「さて、じゃあそろそろ戻るか」

「そうですね。サリナたちも結果が気になるでしょうし」

「サリナって、昔から知り合いなの?」

「え、まぁそうですね。といっても徴兵されてからの知り合いですが……あ、もしかしてアレが隊長殿に無礼を!?」

「いやいや。仲いいんだなと思って」

「ま、まぁ。なんというか、昔は私も色々やんちゃしてたので……それの抑えるのがいつもサリナだっただけで」

 などと雑談しながら隊のメンバーについて色々と話に花を咲かせていた時だ。通路の角から2つの影が現れた。

「よっ、俺がいなくなくて寂しくなかった――がぁ!? ぐ、グーはやめよう、ジャンヌちゃん……」

 サカキが腹を抱えてうずくまる。
 こいつは出会うたびに口説かないと気が済まないのか?

「俺は男だっつってるだろうに。それに俺のパンチを受けるなんて、なまってんじゃないのか? 謀略の方に精を出すのはいいけど、本業をおろそかにしちゃまずいだろ」

「へへっ、ま、それだけ効果があったってことで」

「ん、それは認める」

 サカキにはロキン宰相とハカラの離間工作を頼んでいた。
 ハカラの周囲に『ロキン宰相が採掘した金を元手に自分の軍を作るつもりだ。その際、邪魔なハカラは金で雇った殺し屋に始末させる』みたいな感じで噂をばらまいたのだ。

 もちろん根も葉もない内容だが一部は事実だ。
 ロキン宰相はこれまでも金や集めた税を横領して着服していることはスキルで掴んでいる。その事実がある限り、噂は完全消滅せずに相互の不審は膨張を繰り返しいずれは破裂する。

 出立の前にサカキに頼んだことが、さっきのやり取りを見るとかなり効果的だった。
 根が正直なジルだと難しいと思い、期待薄ながらもサカキに振ってみたのだが、思いがけない効果をあげてくれたみたいだ。

「ほらー、俺ってすごいっしょ! だからもっと褒めて。こう頭をなでなでって、いたたたた! 髪をむしり取らないでぇ!」

 調子に乗ったサカキに罰を与えていると、ジルの視線に気づく。

「おかえりなさいませ、ジャンヌ様」

「ん、ただいま。ジル」

 何気ない挨拶だが、それだけで安心できた。それが嬉しい。
 男女というよりは男友達、というのがどこかしっくりくる阿吽あうんの呼吸だ。

「ところでジャンヌ様、そちらのお嬢さんは?」

 ジルが俺の後ろにいるクロエに話を振った。

「ああ。彼女はクロエ。今回の出征で色々手伝ってくれたんだ。ほら、クロエ。この2人がサカキとジル――じゃない、ジーンだ」

 クロエに挨拶を促すが、当の本人は冷凍庫に放置されたようにカチンコチンに凍り付いている。

「クロエ?」

「ひゃ、ひゃい!」

 聞いたことのない素っ頓狂とんきょうな返事をするクロエ。
 どうしたんだ、こいつ。

「聞いてたか?」

「いえ、知ってま、ちゅ! じ、ジーン隊長殿に、さ、サカン連隊長殿!」

「噛んだんだよな? 俺の名前、知らないんじゃなくて噛んだんだよな!?」

「知っててくれたのですか、ありがとうございます。でもそんな緊張しなくていいんですよ」

「い、いえ! おふたりはこの国を守る柱石ですので! その、憧れですので!」

 あぁ、なるほど。緊張してたのか。

 どんな場所にも先達に憧れる後進というのも必ずいるものだ。
 先達のジルとサカキ、そしてそれに憧れる後進のクロエ。
 こんな殺伐とした場所でも――いや、殺伐としているからこそ、この光景が微笑ましいものに思えてたまらない。

 クロエをからかうサカキと、親切に話しかけるジルたちの会話に耳を傾けていたが、ジルがそういえばと俺に話を振ってきた。

「ところでジャンヌ様。邸宅をいただいたとか」

「耳が早いね、ジル」

「そりゃもう! あのジャンヌちゃんの家だもん。女王様が張りきって準備してくれたみたいだよ」

 マリアが? なんだか嫌な予感。

「……い、行くのは後にしようかな」

「えー、行こうぜー。ジャンヌちゃんの新宅ー。そうだ、任務達成祝いにパーティしようぜ!」

「お前が飲みたいだけだろ」

「ばれたか。さすがジーン」

「しかしジャンヌ様。パーティとはいかないまでも、少し羽目を外してもよいと思います。お疲れでしょうが、心を切り替えるのも我々の重要なしごとですので」

「ん……そうか。考えてみるよ」

「はい」

「しかしあれだな。褒賞に家って、ジャンヌちゃんはとことんロキンの奴に嫌われてるな」

「ど、どうしてですかサカキ連隊長殿。家をもらえるなんて凄いことじゃないですか」

 クロエがまだどもりながらも話に入ってきた。
 サカキはジルと一瞬視線を合わせて肩をすくめると、

「ま、お前にはまだ分からないかもしれないけどなクロエ。安すぎるんだよ、ジャンヌちゃんの功績に対して」

「そうだな。新兵300で賊徒1千を討伐。手前みそだが、普通なら昇進、勲章ものだ」

「それを奴らはケチって、家がないことを良いことにそれで恩賞を済ませちまった。しかもお前ら新兵には報奨金だけだぜ。普通なら部隊として編成されて、ジャンヌちゃんの直属とかもっと良い目見させてくれるぜ」

 そう、そこなのだ。この恩賞の悪質なところは。

「でもならどうして……」

「答えは簡単だよ、クロエ。奴らは俺に、俺たちに力をつけて欲しくないのさ」

 これは政治ゲームの一部だ。
 ロキン宰相らは失敗すると見て俺に無茶難題を吹っ掛けてきたが、それに成功した場合にも手を打っていた。
 誰が見ても無茶だと思える軍令を、たった1人の犠牲もなく果たした戦功が小さいわけがない。だからといってそれに応じた報酬を出せば、俺もといオムカ王国の国力を増加させることになる。

 被支配国の力が強くなるのを望む支配者はいない。
 ましてや軍事的な力を持たないロキン宰相ならなおさらだ。

 だから俺が家を持たないのを良いことに、それを与えて恩を売ったという形にしたのだ。
 もちろん今はまだ耐える時だ。これを不服に思って反発する愚は犯さない。

「はぁ、なるほど……」

 クロエが目を白黒させて話を聞いている。きっとわかってないだろう。
 それも仕方ない。これは戦術ではなく政略の話。彼女には本来関係のない話なのだから。

「ジル、そっちも大丈夫だったのか。俺より帰りはもう少し後になると思ったんだけど」

「ええ。こっちは不気味なほど何も起こらず。私がいなくても問題がなさそうだったので、早めに切り上げてきたのです」

 金山開発も順調。関所の撤廃も動き始めているという。元山賊の兵も問題はなさそうだ。
 じわじわと、だが息を呑むほど素早く事態は動き始めている。

 そうなるとそろそろ一番の難題を解決する頃合いか。

「サカキ、お前は確か知り合いだったよな」

「ん? 誰と?」

「ハワードとかいうおっさんだよ。東の国境で踏ん張ってるっていう」

「それは、まぁ、そうだけど。え、ジャンヌちゃん、まさか……」

「あぁ、ハワードと話をしてみたい。それに、その向こうの国に行ってみようかなと」

 ハワードが守る城。その向こうにある国。
 シータ王国。
 ビンゴ王国と共に、オムカ王国にとって数十年来の仇敵でかつ貿易によって多大な利益を得ている国。

 そのシータと同盟を結び、さらに鉄砲を輸入する。
 それが成功すれば、このオムカ王国の独立も近いだろう。

「ジャンヌちゃん、本気?」

「もちろん」

「しかし、ジャンヌ様自身で行かなくともよいのではないですか?」

「俺がいかなきゃ誰が行くんだよ。お前らはそう簡単に王都から離れられない。ニーアに任せるにはおつむが足りない。ほらみろ。消去法で考えても俺しかいないだろ」

「う、ううむ……」

 正常な理論の前に、ジルとサカキは黙りこくってしまう。

 ふぅ、危ない危ない。内心ため息をつく。
 選定方法は嘘ではないが、どうしても俺が行く必要があるのだ。行く必要というか行きたい。外に出たい。正直、この国に来てまだ2週間あまり。それだけなのに色々ありすぎてちょっと疲れた。戦争に新人のお守り、謀略に政争、そしてセクハラ女王。心の休まる暇もない。

 だから少し気分転換でもしたい気分だったのだ。ジルも言ってたことだし。

 それに1人で考えたいこともあるし、この国を外から見るのも重要なことだと思った。
 未知の世界で青春1人旅。それもまた乙なものじゃないか?

 だが俺のささやかな夢は、1人の勇気によって粉砕された。

「安心してください! 隊長殿は私が守ります!」

 え、クロエ。何言い始めちゃってるの?

「おお、そうか。ここ数日ジャンヌちゃんと一緒にいたんなら気心も知れてるな」

「しかもニーアに仕込まれたというなら、ジャンヌ様の警護にはもってこいですね」

 いやいやいやいやいや、勝手に決められても困るんだが!

 だが俺の抗議も意味をなさず、あれよあれよという間に俺の出発が決まってしまった。
 もちろんクロエ付きだ。

 ああもう! どうにでもなりやがれ!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限に進化を続けて最強に至る

お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。 ※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。 改稿したので、しばらくしたら消します

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

処理中です...