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第1章 オムカ王国独立戦記
第31話 初めての2人旅
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ハワードの守るカルゥム要塞への出発は決まったが、実際の出発となると1週間ほどの時間を要した。
一応、ジルの副官という立場上、そう簡単に王都を留守にできないのだった。
ジルたちに言った論理が、まさか自分に返ってくるとは思わなかった。
だが俺が東に行くことはロキン宰相もハカラも反対はしなかった。
俺が王都にいると色々やりづらいと感じているのかもしれないし、俺とジルたちをなるだけバラバラにしたいという雰囲気も感じる。
だからつまりこの1週間という期間は、ジルの副官である俺が王都を留守にする理由を作るのに要した時間となる。
ただ結局、
『ハワード将軍への軍使、および敵国の戦略偵察』
というとってつけたような適当な任務を帯びて俺は出発することになった。
カルゥム要塞までは100キロほどの距離があるから、馬で走ったとして2日以上はかかる。
自然の広がる街道を、馬の背に揺られながら行く。
澄んだ空気に、東京では味わえない開放感。
この世界に来てから半月以上経つというのに、こうした気ままな時間を持つのは初めてだから、鼻歌でも歌いたい気分だ。
それを阻害するものは2つ。
まずは俺の服装。
一応、女王の使者という立場だから、変な服装で行くわけにはいかない。
マリアとニーアが張り切っていたので不安に思いこっそりマリアの部屋に忍び込むと、そこには圧倒的に布面積の少ないビキニみたいな下着に軍装を施したものを作っていたのに出くわした。あれが噂に聞くビキニアーマーというものだろうか。
ともかく俺はあんなのを着るくらいなら死んだ方がマシだ、と猛烈に抗議し、3日かけてようやく今の服装に落ち着いた。
全体的に青を基調とした作りで(青はオムカの国を示す色だ)、上はハイネックのノースリーブに装飾を施したもの。下はハーフパンツに青のブーツ。それだけではあまりにも簡素、ということなので腰にスカーフを巻く形になったのだが、はっきりいって邪魔でしかない。
だが、
「余の名代で行くのじゃから、少しは見栄えを気にするのじゃ」
と言われてしまえば否とは言えない。
あのビキニアーマーよりははるかにマシだし。
問題はもう1点。
そしてそれは今も隣にいて、
「隊長殿、体は大丈夫ですか?」
「ん、問題ない」
「そろそろお腹すきませんか?」
「いや、まだいい」
「えっと、えっと……きょ、今日はいい天気ですね!?」
「…………」
我ながら大人げないとは思うが、気楽な一人旅が邪魔され、新たな悩みが増えた状況を思えばこれくらいの塩対応は許してくれ。
といのも今朝、俺たちの出立を見送りに来てくれたジルやサカキといった面々の中に、ニーアがいた。
その時のニーアとクロエのやり取りを思い出せばさらに気が滅入るというものだ。
『うう、ジャンヌと小旅行……クロクロ許すまじ』
『人徳の差ですね。教官殿みたいに日頃の行いが悪いとそうなるのです』
『わかった。でもクロクロ、これ持ってって』
『なんですか、これ』
『よくわかんないんだけど、エイン帝国で開発されたカメラっていう道具なんだって。それを使うと、この世の一場面を切り取って絵にしてくれるって評判みたい』
『はぁ……それで?』
『これで夜のジャンヌを絵にしてあたしに頂戴』
『ば、馬鹿じゃないですか! なんでそんなこと…………許しません! 隊長殿の安全のため、これは私が没収します。決して私が使おうとするわけじゃないですからね! 悪の手に渡る前に処分です! …………ちなみにこれってどうやって使うんです?』
ブルータスお前もか。
もう聞いていて頭が痛くなった。
そんなわけだからクロエに対する対応も雑になってしまうのもしょうがないだろ。
てか写真機って確か近代の技術じゃなかったか? 日本で言うなら幕末。まだ鉄砲すらない国にあって良い物じゃない気がする。
どうもここら辺の技術レベルはよく分からない。
もしかしたら、そういうのに詳しい現代人が俺みたいにこの世界に来て作ったとか? ……まさかね。
まぁそんなこんなで俺の旅は、暗鬱と気重のうちに始まったのだった。
「あのー、隊長殿?」
「なに?」
「あ、いや……なんでもないです」
あーぁ、もう。なんでこうなっちゃったかなぁ。
いや、大人げないのは分かってる。
けどさ。いくら行動を共にしたといっても打ち解けたわけでもないし、年来の友人でもない。
クロエが何を考えて、逆にクロエが俺のことを分かってくれるほどツーカーじゃないのだ。これであと何日も過ごさなきゃいけないなんて辛すぎる。
引き返そうか。いや、逆に撒いてしまうか。
うんそれがいいと判断すると、さっそく行動に移す。
俺は『古の魔導書』を発動し、地図を表示させる。
街道は東にずっと伸びているが一直線というわけではない。
この先は南東に進んでからまた北東に進むようなカーブを描く道のりが数キロ続く。
だが地図には街道とは違った細い道がある。街道のカーブを弓とすると弦に該当する直線の細い道だ。
街道がわざわざ迂回しているのは地理的な影響があるのだろうが、こちらは馬一頭が通れれば良いのだ。
「よし、俺は先に行くから。クロエは戻って俺が独りで行ったってみんなに伝えておいてくれ」
そう言って、馬に鞭をくれて走り出す。
「あ、隊長殿!?」
意表を突かれたクロエの声もすぐに小さくなる。
よし、これで自由だ!
馬が疾走する爽快感。誰にも気づかいしなくて良い安心感。本と水と食料があれば1週間はのんびり暮らせる。最高だね。
だがその時、俺は考えてなかった。
何故街道がこちらに伸びていないのか。
何故ここには人通りがないのか。
何故この世界を独りで生きていけると思ったのか。
とにかく気まずい状況から逃げ出したくて、短絡的な行動をとっていた。
だから突如、目の前の地面に矢が突き立った時には驚いたし、それに驚き棹立ちになった馬から振り落とされそうになったときはパニックだった。
そして何とか態勢を立て直したときには囲まれていた。
「ひゅう、これはこれは。お一人でどこに行こうというのかな?」
「最近獲物が少なくなったところに、天からの恵みだな。しかもめんこい女の子」
「ダメじゃないか。護衛もなしにこんなところに来ちゃあ?」
左右の高みから飛び降りてきたらしい。
山暮らしが長かったのだろう。薄汚れたボロ布に髪や髭も伸び放題と、あからさまな山賊と言った風体。武器は山刀というべきか、鉈のようなものでところどころ錆びているから切れ味はよくなさそうだ。ただそれでも殴打に限れば立派な武器になるし、斬れないこともないだろう。
ブリーダたちと比べてもはるかに劣る身なりの男たちが5人。前に3人、後ろに2人だ。
迂闊といえば迂闊。
俺はまだこの世界というものを甘く考えていたようだ。
各地で騒乱が起きている状態で人心が不安定ならば、全国的に治安が低下しているのは分かっていたはず。なにせ軍が王都に集中しているから、取り締まる敵がいないのだ。
道が広く往来も激しい街道はまだしも、こんな細道となればこういった連中が跋扈する無法地帯というのは少し考えればわかることだった。
しかも左右が人の背丈ほどの高台になっているなど、伏兵の置き場としては格好の場所じゃないか。
猛省すべき内容だが、今はそれをどう切り抜けるかだ。
『古の魔導書』で仲間割れを誘うか。いや、無理だ。
相手は軍じゃなく賊で規律なんてものはない。
なら武器は、というのに関してはもう今さらだ。あの女神のせいで、筋力はないし、武器が持てない体になっている。
今や愛用となったオムカ国の旗を馬に括り付けているが、それでどうこうなる問題でもない。
思考を巡らせている間にも、男たちはげひた笑みを浮かべて口々に相談している。
「へへ、こりゃ楽しみだな。安心しろよ、俺たち全員で可愛がってやるからよ」
絶拒。
「楽しんだ後は売っぱらっちまおうぜ。これほどの上玉だ。たいそうな額で売れるだろ」
却下。
「こ、殺しちまおうぜ。や、や、柔らかな白い肌に、お、俺の刀を、つ、つ、つ、突き立てて!」
問題外!
あーあ、男ってどうしてこんな考えしかできないんだろうか。
……いや、俺も男だった。
軽く自己嫌悪に陥りながらも、この場を切り抜けるための思考は止まらない。
助けを呼ぶ――辺りに人の気配はない。
強行突破――賭けの要素が強すぎる。
捕まって隙をついて逃げる――行動を奪われたら終わり。
時間稼ぎ――悪くないが、何に期待する?
「……強行突破かなぁ」
「あ? 何言ってんだ」
っと、危ない危ない。思考が声に漏れていたようだ。
方針は強行突破に決定。
ただ少しでも成功率を上げるために、相手の油断を誘ってみようか。
「あのー、わたし怖いところから逃げてきてー、すんごい怖くってー、だからこんなに刀を振り回されると、とってもとっても嫌で泣いちゃうんですー」
うわぁ、我ながら大根役者。
しかもバカ女っぽくて、言い回しに鳥肌が立った。
「あぁ? なんだこいつ」
「おい、ちょっとかわいそうじゃないか」
「いいんだよ。てか演技下手すぎだろ。強行突破とか言ってたから俺たちを油断させる罠だ」
「な、なんだと!? くそ、小癪な真似を」
おっと、知恵の回る奴がいたようだ。
てかあの演技じゃ当然か。
仕方ない。こうなったら強行突破に賭けようとしたその瞬間、
「ちょっと待ったぁぁ!」
声。
まさかという思いと、ほっとした思いがないまぜになって、複雑な感情が胸を占める。
「隊長殿ぉ!」
クロエが猛烈な勢いで馬を攻めて駆けてくる。
彼女の剣幕と勢いに賊たちは一瞬浮足立つ。その一瞬でクロエは腰にさした剣で――
「隊長殿に何をする!」
――賊を殴りつけた。
え? 殴った? 斬ったじゃなく?
いや、相手が賊とはいえここで血を見るのも寝覚めが悪いからいいけど。
なんて考えているうちに、クロエはもう1人を殴り倒して背後の敵を排除した。
さらに鞍の上に軽々と乗ると、走る馬の上から跳躍。
「おお……」
感嘆の声をあげたのは誰だったか、それほど見事な跳躍ぶりで、着地と同時に賊の1人を打ち倒していた。
「てめぇ!」
呆気に取られていた賊がようやく行動を開始した。
山刀を振り上げてクロエに打ちかかるも、クロエはやすやすと左にかわし、その隙だらけの側頭部を剣で殴り倒す。
「うっ……」
最後に残ったのは俺の策を見破った策士(自分で言ってて恥ずかしくなってきた)の男だ。
その男に向けて剣――いや、剣じゃない。長く厚みがあるが刃の部分がない、いわば鉄の塊だ――を突きつけた。
そして不機嫌そうな表情を隠そうともせずにこう言った。
「今、私は猛烈に機嫌が悪いんです。死にたくなかったら消えてください」
「へ、へい!」
これまでの威勢はどこへやら。賊は倒れた仲間をとりあえず脇へどかすと、平伏せんばかりにかしこまってしまった。
「さ、隊長殿。行きましょう」
「あ、ああ……」
馬に乗りながらクロエが不愛想にそう言うと、そのまま馬を進めて先に行ってしまった。
仕方ない、か。
勝手に逃げ出して、勝手にピンチになって、都合の良いことに助けてもらったんだから。あれだけ偉そうなこと言っておいてこの体たらくだ。失望されても仕方ない。
俺はクロエの言葉に、若干恐怖も手伝って唯々諾々と承知して馬を進める。
しばらくすると見晴らしの良い草原に出た。
広い。
こんな草原、東京じゃお目にかかれない。
そよと吹く風が気持ちよく、草木を揺るがす音が心地よい。心なしか馬も嬉しそうだ。
視界が開けたことにはもう1つ利点がある。ここならば賊をはじめ、狙われにくいということだ。
その草原をしばらく並足で行くと、不意にクロエが馬の足を止めて、そのままひらりと降り立った。
「隊長殿」
来た。
何を言われるのか、ずっと気が気でなかったわけだがその瞬間が来てしまった。
相変わらずクロエの表情は読めない。
俺も馬を降りてクロエの前に立つ。行動の自由を得た馬たちは、嬉々として近くの草をはみ始めた。
風が頬を撫ぜる。
だがこの周囲にある沈黙の重さは吹き飛ばしてくれなかった。
「えっと――」
いたたまれなくなって、俺が口を開くと、
「申し訳ありませんでした!」
がばっと擬音が聞こえてくるくらい勢いよくクロエが頭を下げた。
え、なに? なんで? 俺が謝るべきなのに、なんでクロエが謝ってるの?
「隊長殿を危険な目に遭わせてしまい、誠に申し訳ありません。この不始末、私の命で償わなければならないのですが、もともとこの命は隊長殿に預けたもの。私の一存でどうこうできるものではなく、その裁可をいただけるまでは自裁もできませんゆえ」
「いやいやいやいや、何言ってるんだ。助かったよ。というか俺の方こそごめん。勝手をやって勝手にピンチになって。悪いのは俺だ。それを助けてくれたんだから、するべきは感謝だ」
先に猛烈な勢いで謝罪されたため、気圧された俺もいつの間にか平謝りしていた。
「しかし、そもそもが私に不手際があったのですよね。隊長殿があれほど機嫌が悪くなるのですから。もしかしたら私が何かしてしまったのかと……それで見捨てられたのかと……」
「いや、それはクロエのせいじゃない。どっちかって言うと、これからのことについて悩んでたんだ」
嘘だ。
だけど、俺が悩む以上にクロエも悩んでいたと知って、それ以上に俺の大人げなさと狭量さに恥じる思いが強い。
「そ、それでは私に怒っていたわけではないと?」
「ああ。怒ってない。見捨てたりしない。言っただろ、俺のために働いてほしいって」
「あぁ……はい!」
今にも泣きそうだった顔が一気に喜びの顔に変わる。
その笑顔を見て、もうついてくるななんて二度と言えない。
ま、いっか。
クロエがいないと困るのは証明されたし、これ以上、彼女を悲しませたくもない。
「それにしても強いんだな。その剣? いやこん棒? それもすごかった」
「あ、はいそれはもう。教官殿にひたすらにしごかれましたから…………あ、いや別に感謝とか全くないですからね。ちなみにこれは鞭といって握り手のある棒ですね。剣と違って斬れないですが、鉄製なのでそこそこ重くて威力はあります。剣と比べての利点は、剣と違って刃を立てる必要がないのでどんな状況でも使える武器というところと、剣相手なら打ち砕いて敵を倒せる点です。欠点は少し重い、ということでしょうか。これはニーア教官殿が『護衛するなら持ってけ。あいつは血が嫌いらしいから』ということで使わせてもらってます」
話題も変わり安心したのか、クロエも少し饒舌になった。
なるほどこれが鞭、か。
水滸伝に出てくる呼延灼がそんな武器を使って双鞭というあだ名を得ていたのを思い出す。
「ニーアからもらったのか。あいつも粋なことをする」
「ま、そうですね。あの人にしては上出来でしょう。普段からそれくらいしてくれれば苦労することはないんですが……。あっ、ちゃんと手加減はしました。これ、普通に殴れば頭が吹き飛びますから」
いや、クロエが手加減できる人間でよかった。
まだ殺人という戦争行為に抵抗があるのも確かだが、今度の相手は同盟先に選んだシータ王国だから人死にはできるだけ避けたかった。
そしてこれからこういった賊が現れた時も、できるだけ殺したくない。ブリーダを見ても分かる通り、彼らもオムカの民なのだ。
もし独立となった時に力になってくれる可能性がわずかだがあるのなら、それを摘み取ることは避けたかった。
だからこの武器を持たせたニーアは慧眼というべきだろう。
何も考えてないだけかもしれないけど。
「うん、わかった。これからもよろしく、クロエ。いや、違うな。やっぱりここはありがとう、だな。クロエがいなかったら、俺の旅はここで終わってた」
曲がりなりにも命の恩人になるクロエに、改めて俺は深く頭を下げた。
クロエはというと、お礼なんてされると思っていなかったらしく、困惑に狼狽を重ねて視線を超泳がせまくった挙句、
「わ、わたっ、わたしは! その! やれることを、やったまでで! その! ごちそうさまです!」
もう意味が分からないテンパり具合だった。
そして2人で轡を並べて馬を進める。
一人旅もいいけど、誰かと旅というのも悪い物じゃないのかもしれない。
友達のあまりいない俺としては、こんなことは初めてだったから。
一応、ジルの副官という立場上、そう簡単に王都を留守にできないのだった。
ジルたちに言った論理が、まさか自分に返ってくるとは思わなかった。
だが俺が東に行くことはロキン宰相もハカラも反対はしなかった。
俺が王都にいると色々やりづらいと感じているのかもしれないし、俺とジルたちをなるだけバラバラにしたいという雰囲気も感じる。
だからつまりこの1週間という期間は、ジルの副官である俺が王都を留守にする理由を作るのに要した時間となる。
ただ結局、
『ハワード将軍への軍使、および敵国の戦略偵察』
というとってつけたような適当な任務を帯びて俺は出発することになった。
カルゥム要塞までは100キロほどの距離があるから、馬で走ったとして2日以上はかかる。
自然の広がる街道を、馬の背に揺られながら行く。
澄んだ空気に、東京では味わえない開放感。
この世界に来てから半月以上経つというのに、こうした気ままな時間を持つのは初めてだから、鼻歌でも歌いたい気分だ。
それを阻害するものは2つ。
まずは俺の服装。
一応、女王の使者という立場だから、変な服装で行くわけにはいかない。
マリアとニーアが張り切っていたので不安に思いこっそりマリアの部屋に忍び込むと、そこには圧倒的に布面積の少ないビキニみたいな下着に軍装を施したものを作っていたのに出くわした。あれが噂に聞くビキニアーマーというものだろうか。
ともかく俺はあんなのを着るくらいなら死んだ方がマシだ、と猛烈に抗議し、3日かけてようやく今の服装に落ち着いた。
全体的に青を基調とした作りで(青はオムカの国を示す色だ)、上はハイネックのノースリーブに装飾を施したもの。下はハーフパンツに青のブーツ。それだけではあまりにも簡素、ということなので腰にスカーフを巻く形になったのだが、はっきりいって邪魔でしかない。
だが、
「余の名代で行くのじゃから、少しは見栄えを気にするのじゃ」
と言われてしまえば否とは言えない。
あのビキニアーマーよりははるかにマシだし。
問題はもう1点。
そしてそれは今も隣にいて、
「隊長殿、体は大丈夫ですか?」
「ん、問題ない」
「そろそろお腹すきませんか?」
「いや、まだいい」
「えっと、えっと……きょ、今日はいい天気ですね!?」
「…………」
我ながら大人げないとは思うが、気楽な一人旅が邪魔され、新たな悩みが増えた状況を思えばこれくらいの塩対応は許してくれ。
といのも今朝、俺たちの出立を見送りに来てくれたジルやサカキといった面々の中に、ニーアがいた。
その時のニーアとクロエのやり取りを思い出せばさらに気が滅入るというものだ。
『うう、ジャンヌと小旅行……クロクロ許すまじ』
『人徳の差ですね。教官殿みたいに日頃の行いが悪いとそうなるのです』
『わかった。でもクロクロ、これ持ってって』
『なんですか、これ』
『よくわかんないんだけど、エイン帝国で開発されたカメラっていう道具なんだって。それを使うと、この世の一場面を切り取って絵にしてくれるって評判みたい』
『はぁ……それで?』
『これで夜のジャンヌを絵にしてあたしに頂戴』
『ば、馬鹿じゃないですか! なんでそんなこと…………許しません! 隊長殿の安全のため、これは私が没収します。決して私が使おうとするわけじゃないですからね! 悪の手に渡る前に処分です! …………ちなみにこれってどうやって使うんです?』
ブルータスお前もか。
もう聞いていて頭が痛くなった。
そんなわけだからクロエに対する対応も雑になってしまうのもしょうがないだろ。
てか写真機って確か近代の技術じゃなかったか? 日本で言うなら幕末。まだ鉄砲すらない国にあって良い物じゃない気がする。
どうもここら辺の技術レベルはよく分からない。
もしかしたら、そういうのに詳しい現代人が俺みたいにこの世界に来て作ったとか? ……まさかね。
まぁそんなこんなで俺の旅は、暗鬱と気重のうちに始まったのだった。
「あのー、隊長殿?」
「なに?」
「あ、いや……なんでもないです」
あーぁ、もう。なんでこうなっちゃったかなぁ。
いや、大人げないのは分かってる。
けどさ。いくら行動を共にしたといっても打ち解けたわけでもないし、年来の友人でもない。
クロエが何を考えて、逆にクロエが俺のことを分かってくれるほどツーカーじゃないのだ。これであと何日も過ごさなきゃいけないなんて辛すぎる。
引き返そうか。いや、逆に撒いてしまうか。
うんそれがいいと判断すると、さっそく行動に移す。
俺は『古の魔導書』を発動し、地図を表示させる。
街道は東にずっと伸びているが一直線というわけではない。
この先は南東に進んでからまた北東に進むようなカーブを描く道のりが数キロ続く。
だが地図には街道とは違った細い道がある。街道のカーブを弓とすると弦に該当する直線の細い道だ。
街道がわざわざ迂回しているのは地理的な影響があるのだろうが、こちらは馬一頭が通れれば良いのだ。
「よし、俺は先に行くから。クロエは戻って俺が独りで行ったってみんなに伝えておいてくれ」
そう言って、馬に鞭をくれて走り出す。
「あ、隊長殿!?」
意表を突かれたクロエの声もすぐに小さくなる。
よし、これで自由だ!
馬が疾走する爽快感。誰にも気づかいしなくて良い安心感。本と水と食料があれば1週間はのんびり暮らせる。最高だね。
だがその時、俺は考えてなかった。
何故街道がこちらに伸びていないのか。
何故ここには人通りがないのか。
何故この世界を独りで生きていけると思ったのか。
とにかく気まずい状況から逃げ出したくて、短絡的な行動をとっていた。
だから突如、目の前の地面に矢が突き立った時には驚いたし、それに驚き棹立ちになった馬から振り落とされそうになったときはパニックだった。
そして何とか態勢を立て直したときには囲まれていた。
「ひゅう、これはこれは。お一人でどこに行こうというのかな?」
「最近獲物が少なくなったところに、天からの恵みだな。しかもめんこい女の子」
「ダメじゃないか。護衛もなしにこんなところに来ちゃあ?」
左右の高みから飛び降りてきたらしい。
山暮らしが長かったのだろう。薄汚れたボロ布に髪や髭も伸び放題と、あからさまな山賊と言った風体。武器は山刀というべきか、鉈のようなものでところどころ錆びているから切れ味はよくなさそうだ。ただそれでも殴打に限れば立派な武器になるし、斬れないこともないだろう。
ブリーダたちと比べてもはるかに劣る身なりの男たちが5人。前に3人、後ろに2人だ。
迂闊といえば迂闊。
俺はまだこの世界というものを甘く考えていたようだ。
各地で騒乱が起きている状態で人心が不安定ならば、全国的に治安が低下しているのは分かっていたはず。なにせ軍が王都に集中しているから、取り締まる敵がいないのだ。
道が広く往来も激しい街道はまだしも、こんな細道となればこういった連中が跋扈する無法地帯というのは少し考えればわかることだった。
しかも左右が人の背丈ほどの高台になっているなど、伏兵の置き場としては格好の場所じゃないか。
猛省すべき内容だが、今はそれをどう切り抜けるかだ。
『古の魔導書』で仲間割れを誘うか。いや、無理だ。
相手は軍じゃなく賊で規律なんてものはない。
なら武器は、というのに関してはもう今さらだ。あの女神のせいで、筋力はないし、武器が持てない体になっている。
今や愛用となったオムカ国の旗を馬に括り付けているが、それでどうこうなる問題でもない。
思考を巡らせている間にも、男たちはげひた笑みを浮かべて口々に相談している。
「へへ、こりゃ楽しみだな。安心しろよ、俺たち全員で可愛がってやるからよ」
絶拒。
「楽しんだ後は売っぱらっちまおうぜ。これほどの上玉だ。たいそうな額で売れるだろ」
却下。
「こ、殺しちまおうぜ。や、や、柔らかな白い肌に、お、俺の刀を、つ、つ、つ、突き立てて!」
問題外!
あーあ、男ってどうしてこんな考えしかできないんだろうか。
……いや、俺も男だった。
軽く自己嫌悪に陥りながらも、この場を切り抜けるための思考は止まらない。
助けを呼ぶ――辺りに人の気配はない。
強行突破――賭けの要素が強すぎる。
捕まって隙をついて逃げる――行動を奪われたら終わり。
時間稼ぎ――悪くないが、何に期待する?
「……強行突破かなぁ」
「あ? 何言ってんだ」
っと、危ない危ない。思考が声に漏れていたようだ。
方針は強行突破に決定。
ただ少しでも成功率を上げるために、相手の油断を誘ってみようか。
「あのー、わたし怖いところから逃げてきてー、すんごい怖くってー、だからこんなに刀を振り回されると、とってもとっても嫌で泣いちゃうんですー」
うわぁ、我ながら大根役者。
しかもバカ女っぽくて、言い回しに鳥肌が立った。
「あぁ? なんだこいつ」
「おい、ちょっとかわいそうじゃないか」
「いいんだよ。てか演技下手すぎだろ。強行突破とか言ってたから俺たちを油断させる罠だ」
「な、なんだと!? くそ、小癪な真似を」
おっと、知恵の回る奴がいたようだ。
てかあの演技じゃ当然か。
仕方ない。こうなったら強行突破に賭けようとしたその瞬間、
「ちょっと待ったぁぁ!」
声。
まさかという思いと、ほっとした思いがないまぜになって、複雑な感情が胸を占める。
「隊長殿ぉ!」
クロエが猛烈な勢いで馬を攻めて駆けてくる。
彼女の剣幕と勢いに賊たちは一瞬浮足立つ。その一瞬でクロエは腰にさした剣で――
「隊長殿に何をする!」
――賊を殴りつけた。
え? 殴った? 斬ったじゃなく?
いや、相手が賊とはいえここで血を見るのも寝覚めが悪いからいいけど。
なんて考えているうちに、クロエはもう1人を殴り倒して背後の敵を排除した。
さらに鞍の上に軽々と乗ると、走る馬の上から跳躍。
「おお……」
感嘆の声をあげたのは誰だったか、それほど見事な跳躍ぶりで、着地と同時に賊の1人を打ち倒していた。
「てめぇ!」
呆気に取られていた賊がようやく行動を開始した。
山刀を振り上げてクロエに打ちかかるも、クロエはやすやすと左にかわし、その隙だらけの側頭部を剣で殴り倒す。
「うっ……」
最後に残ったのは俺の策を見破った策士(自分で言ってて恥ずかしくなってきた)の男だ。
その男に向けて剣――いや、剣じゃない。長く厚みがあるが刃の部分がない、いわば鉄の塊だ――を突きつけた。
そして不機嫌そうな表情を隠そうともせずにこう言った。
「今、私は猛烈に機嫌が悪いんです。死にたくなかったら消えてください」
「へ、へい!」
これまでの威勢はどこへやら。賊は倒れた仲間をとりあえず脇へどかすと、平伏せんばかりにかしこまってしまった。
「さ、隊長殿。行きましょう」
「あ、ああ……」
馬に乗りながらクロエが不愛想にそう言うと、そのまま馬を進めて先に行ってしまった。
仕方ない、か。
勝手に逃げ出して、勝手にピンチになって、都合の良いことに助けてもらったんだから。あれだけ偉そうなこと言っておいてこの体たらくだ。失望されても仕方ない。
俺はクロエの言葉に、若干恐怖も手伝って唯々諾々と承知して馬を進める。
しばらくすると見晴らしの良い草原に出た。
広い。
こんな草原、東京じゃお目にかかれない。
そよと吹く風が気持ちよく、草木を揺るがす音が心地よい。心なしか馬も嬉しそうだ。
視界が開けたことにはもう1つ利点がある。ここならば賊をはじめ、狙われにくいということだ。
その草原をしばらく並足で行くと、不意にクロエが馬の足を止めて、そのままひらりと降り立った。
「隊長殿」
来た。
何を言われるのか、ずっと気が気でなかったわけだがその瞬間が来てしまった。
相変わらずクロエの表情は読めない。
俺も馬を降りてクロエの前に立つ。行動の自由を得た馬たちは、嬉々として近くの草をはみ始めた。
風が頬を撫ぜる。
だがこの周囲にある沈黙の重さは吹き飛ばしてくれなかった。
「えっと――」
いたたまれなくなって、俺が口を開くと、
「申し訳ありませんでした!」
がばっと擬音が聞こえてくるくらい勢いよくクロエが頭を下げた。
え、なに? なんで? 俺が謝るべきなのに、なんでクロエが謝ってるの?
「隊長殿を危険な目に遭わせてしまい、誠に申し訳ありません。この不始末、私の命で償わなければならないのですが、もともとこの命は隊長殿に預けたもの。私の一存でどうこうできるものではなく、その裁可をいただけるまでは自裁もできませんゆえ」
「いやいやいやいや、何言ってるんだ。助かったよ。というか俺の方こそごめん。勝手をやって勝手にピンチになって。悪いのは俺だ。それを助けてくれたんだから、するべきは感謝だ」
先に猛烈な勢いで謝罪されたため、気圧された俺もいつの間にか平謝りしていた。
「しかし、そもそもが私に不手際があったのですよね。隊長殿があれほど機嫌が悪くなるのですから。もしかしたら私が何かしてしまったのかと……それで見捨てられたのかと……」
「いや、それはクロエのせいじゃない。どっちかって言うと、これからのことについて悩んでたんだ」
嘘だ。
だけど、俺が悩む以上にクロエも悩んでいたと知って、それ以上に俺の大人げなさと狭量さに恥じる思いが強い。
「そ、それでは私に怒っていたわけではないと?」
「ああ。怒ってない。見捨てたりしない。言っただろ、俺のために働いてほしいって」
「あぁ……はい!」
今にも泣きそうだった顔が一気に喜びの顔に変わる。
その笑顔を見て、もうついてくるななんて二度と言えない。
ま、いっか。
クロエがいないと困るのは証明されたし、これ以上、彼女を悲しませたくもない。
「それにしても強いんだな。その剣? いやこん棒? それもすごかった」
「あ、はいそれはもう。教官殿にひたすらにしごかれましたから…………あ、いや別に感謝とか全くないですからね。ちなみにこれは鞭といって握り手のある棒ですね。剣と違って斬れないですが、鉄製なのでそこそこ重くて威力はあります。剣と比べての利点は、剣と違って刃を立てる必要がないのでどんな状況でも使える武器というところと、剣相手なら打ち砕いて敵を倒せる点です。欠点は少し重い、ということでしょうか。これはニーア教官殿が『護衛するなら持ってけ。あいつは血が嫌いらしいから』ということで使わせてもらってます」
話題も変わり安心したのか、クロエも少し饒舌になった。
なるほどこれが鞭、か。
水滸伝に出てくる呼延灼がそんな武器を使って双鞭というあだ名を得ていたのを思い出す。
「ニーアからもらったのか。あいつも粋なことをする」
「ま、そうですね。あの人にしては上出来でしょう。普段からそれくらいしてくれれば苦労することはないんですが……。あっ、ちゃんと手加減はしました。これ、普通に殴れば頭が吹き飛びますから」
いや、クロエが手加減できる人間でよかった。
まだ殺人という戦争行為に抵抗があるのも確かだが、今度の相手は同盟先に選んだシータ王国だから人死にはできるだけ避けたかった。
そしてこれからこういった賊が現れた時も、できるだけ殺したくない。ブリーダを見ても分かる通り、彼らもオムカの民なのだ。
もし独立となった時に力になってくれる可能性がわずかだがあるのなら、それを摘み取ることは避けたかった。
だからこの武器を持たせたニーアは慧眼というべきだろう。
何も考えてないだけかもしれないけど。
「うん、わかった。これからもよろしく、クロエ。いや、違うな。やっぱりここはありがとう、だな。クロエがいなかったら、俺の旅はここで終わってた」
曲がりなりにも命の恩人になるクロエに、改めて俺は深く頭を下げた。
クロエはというと、お礼なんてされると思っていなかったらしく、困惑に狼狽を重ねて視線を超泳がせまくった挙句、
「わ、わたっ、わたしは! その! やれることを、やったまでで! その! ごちそうさまです!」
もう意味が分からないテンパり具合だった。
そして2人で轡を並べて馬を進める。
一人旅もいいけど、誰かと旅というのも悪い物じゃないのかもしれない。
友達のあまりいない俺としては、こんなことは初めてだったから。
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