知力99の美少女に転生したので、孔明しながらジャンヌ・ダルクをしてみた

巫叶月良成

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第2章 南郡平定戦

挿話 これは女神ですか?いいえ悪魔です

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「……あーあ。なんかもうなぁーーーーこれどうすんのよーったくー」

「…………」

「煌夜なにやってんのよーっていうか、張人きゅんがふがいないというか。帝国の弱体は望むところだったんだけど。ぼりぼり」

「…………」

「やっぱあの写楽明彦しゃらくあきひこってのを置いたのがまずかったかなー。でもこれで面白くなるというかなんというか」

「…………」

「けど、やっぱジャンヌ・ダルクはないわよねー。あれ、マジ面白。普通、やる? 女の子になって、知力99とはいえ筋力1で。いやー、ないわ。わたしが勝手に暇つぶしに面白100%で勝手につけたパラメータなのに、よくもまぁ律儀と言うか真面目というか。いやいや、それが明彦くんのいいところなんだけど」

「おい」

「さってと、こうなったらわたしもひとっぷろ浴びて、女神の沐浴ー、なんて」

「おい!」

「ん? …………え?」

「誰が、なんだって?」

「…………え、え、え!? ちょ、ちょっと待った! いつの間に!? え、もう始まってる!? ちょっとー! 言いなさいよー! わたし寝起きNGって言ったじゃないー。なのにこんなドッキリなんて、もう、っ、だからね!」

「めっ、じゃねぇよ。今、お前色々やっちゃいけない態度してたよな? ごろ寝してせんべい片手とか」

「…………えっと」

「とりあえず言い訳聞く前に話を聞こうか。まず帝国がどうかとか、そこに出てきた名前とか」

「いや、あのね明彦くん?」

「それ以上に俺のこと、なんだって? 面白100%で? 勝手につけた? 暇つぶし?」

「……………………」

 女神は黙り込み、ばつの悪そうな顔をすると、

「いやだなー、明彦くんったら。冗談よ、じょ・う・だ・ん! ほら、今日ってエイプリルフールじゃない? ほら、世間じゃ嘘言ってもいいじゃない? 企業広告とかソシャゲとかでさ」

「そんなので誤魔化せると思ってんの? てかそのエイプリルネタ。さっきのせんべいと合わせて、お前やっぱ日本人だろ!」

「明彦くんのそのツッコミ。久々すぎて……あ、ダメ、いっちゃう!」

「うるせー」

 色気も何もない。そんなんで俺を騙せると思うな。
 ただの悪魔の所業だった。

「むー、童貞あきひこくんのくせにー」

「おい、お前今とんでもない当て字をしただろ!」

「え? なんのことでござる? 拙者にはちんぷんかんぷんでござるー」

「誰だよ!」

「てか悪魔って酷くない!? このめんこい女神ちゃんを捕まえてさ! そもそもこのサブタイなんだとコラ! 誰が悪魔だコラ!! 何がやりたいんだコラ! オムカ独立させて! 吐いた言葉飲み込むなよ? ナニコラタココラ!」

「何にツッコんでるの!?」

「てへ、なんか言わないといけない気がした。だってわたし女神だし?」

 意味が分からなかった。分かりたくもなかった。

 あー、もう。こいつ早くかえらないかなー…………無に。

「むー、言わせておけば。明彦くんのくせにー」

「てかその明彦くんってのやめてくんない?」

「え、なんで?」

「それは……その……」

「あ、分かった。あの立花里奈って子に言われてるからでしょ。うふふ、明彦くんったら純情っていうかなんというか。甘酸っぱい、ええ、甘酸っぱいわ明彦くん。けどそれが童貞あきひこくんらしいっていうか、童貞あきひこくんらしいというか、童貞あきひこくんでしかないというか」

 くそ、そうだ。こいつ。俺が考えたこと、なんでも聞こえるとかいうのだった。夢の中とか言ってたな。てかくそ恥ずかしい。あと明彦くん連打するな。

「てか絶対なんか当て字してるだろ!」

「不是。ワタシ日本語ワカラナイアルネ! 大三元四暗刻大四喜字一色清老頭単騎100倍役満アルネ!」

 どこの怪しい中国人だよ。それとその役満はおかしい。

「もう、ぶつくさうるさいよ明彦くんは。勝手にやってきて勝手に居座って……え、まさかアタイ、狙われてる!?」

「ねーから。全力でねーから」

「ぶー、それでもちょっとは可能性を感じさせてよー。これでも乙女心、恋心、いや女神心? うーん、女神心で!」

 心底どうでもよかった。
 てか死ぬ思いで独立果たして、クソ忙しいなかでこれかよ。

「あ、オムカ王国独立オメ」

「軽いノリ!?」

「だってー、明彦くんなら楽勝っしょ。てか知力99あるなら余裕っしょ?」

「紙一重過ぎたんだがな? てかなんだアレ。あの敵のスキル。チートじゃねぇか」

「それは仕方ないじゃん。そういう仕様なんだから」

「仕様の穴を突いてきたとか言ってたじゃねぇか」

「あれ? 記憶残ってた?」

「え?」

「あ、いやいやいやいや、なんでもない! なんでもないよ、なんでもないったら!」

 なんか怪しいな。けどこいつ意外と策士だからな。ちょっと油断させてボロを出させる方法でいくか。

「作戦丸わかりなんだけど?」

「うるさいな。くそ、つかそういうスキル持ってるの? プレイヤーっていうのか。それがなんでオムカは俺1人であっちは2人なんだよ。不公平だろ」

「2人どころじゃないんだけど」

「ん? またなんか言ったか?」

「いや、なんでもにゃーで! 気にすんな、気にすんな!」

「何弁だよ」

「ま、そこらへんはさ。バランス見て一応やったつもりだよ。てか『収乱斬獲祭ハーヴェスト・カーニバル・カニバリズム』は想定外だったんだからしょうがないでしょー」

「しょうがないで済まされたら、俺の立つ瀬がないんだけどな」

「ほら、だからさ。明彦くんの周りにも、そのプレイヤーをいっぱい配置した――」

「え、そうなのか!?」

「らいいなぁと思ってるのよ」

「このクソ女神!」

「あははー、まぁそういうことなので。それはそれとしてー」

「ん、なんだそのハンマー……いや、なんか嫌な予感がする!?」

「あ、そこまでは戻ってないのね。じゃ、遠慮なくー」

「何が遠慮なくだ! 鬼! 悪魔! 鬼畜!」

「はいじゃあ今日はここまでー、ばははーい」



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