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第3章 帝都潜入作戦
第5話 3月16日
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その日は珍しく非番だった。
だから何をすることもない。
なんかこんなのも去年あったなぁ、と思いつつ、その時から全く進歩してないとも言えてなんだか寂しくなった。
だから普通に王宮に出仕したのだけど、
「あ、あれ!? ジャンヌ、今日休みじゃなかったっけ!?」
開幕からニーアかぁ……。
なんか大きな板を担いで、もう片方には工具箱を持っている姿は、DIYにいそしむただの少女に見える。
「いやちょっと暇だったから」
「そ、そそそ、そう! あ、えっと! 今日は王宮の大改修の日だから!
「大改修? そんな話、聞いてないぞ?」
「そりゃそうだもん! だって秘密のパ――いやなんでもない!」
「秘密? パ? なんの話だ?」
「なんでもない! だから今日はジャンヌに構ってる暇はないの! じゃあね!」
脱兎のごとく走り去る、というか逃げ去るニーア。
なんなんだ、あいつ。
しょうがないからマリアのところにでも行こうかと思っていると、ジル、サカキ、ブリーダの3人組と出会った。
3人とも似合わないことに、食材のたくさん入った紙袋を両手に抱えている。
「あれ!? ジャンヌちゃんがいる!?」
「ジャ、ジャンヌ様、今日はお休みではなかったのですか?」
「軍師殿……休みの日ってのは仕事するためにあるんじゃないっすよ?」
あぁ、分かってるよ。
でもジルが珍しく動揺している。
「いや、暇だったからマリアの相手でもしようかなと」
なんて軽く言ったつもりだったが、3人は驚いたようにそれぞれ顔を見合わせる。
あれ? なんか変なこと言った?
「あ、ジャンヌちゃーん。今日、女王様はそれはもう超忙しくってね。侍従長に付きっきりでハードレッスンに入ってるって。だから絶対近寄っちゃ駄目! いいね!」
「お、おう……そうか」
サカキが柄にもなく強い口調で言ったので、俺はなんとか相槌をうつしかなかった。
「じゃあ仕方ないな。ところでその紙袋。何か料理でもするのか?」
「え、ええ……その、なんといいますか。これはその、ジャ――」
「あのなジャンヌちゃん。俺たち男やもめだろ。だからたまにこうやって集まって料理するんだよ。な? ブリーダ」
「え、ええ。そうなんすサカキ師団長殿は結構達者なので、色々学ばせてもらってるっす」
「え、そうだったんですか? サカキがそんな料理達者だとは――いっ!」
「というわけなんだ。だからちょっと今日は忙しくってよ!」
「サカキ、足を踏むことはないでしょう!」
「ジーン師団長殿、黙っててほしいっす」
なんか約1名言動が不審だけど、まぁそんなこともあるだろう。
これ以上俺が邪魔しちゃ悪いな。そもそもこの時間は仕事中だろ、という苦言はおいておいて。
「それじゃあ、ジャンヌちゃん。また会おうぜ」
サカキがジルを急き立てるようにして俺たちから離れていく。
うーん、なんだろう。なんか不自然。
とはいえ休暇中の俺が言う事でもないだろう。
明日、また問い詰めればいいだけの話だ。
だから執務室でのんびりと書類でも見ようかと思った時。
「あ、隊長殿! まだここにいらした!」
うるさいのが来た。
「どうした、クロエ?」
「あのですね! 教官殿と総司令官殿に、ここにいらっしゃると聞いて」
あぁ、ニーアか。
あいつも口が軽い。ハワードにまで言う事ないだろうに。
「まぁ本来は休日だからな。執務室に寄ったらすぐ帰るよ」
「あ、いえ。総司令殿が『どうせ休日といっても仕事するじゃろ。だからとっておきの仕事を渡してやる』とかで、この親書をある人物に届けて欲しいとのことです」
「爺さんが? 珍しいこともあるもんだ」
クロエが出したのは、一通の白い封筒のようなもの。
軍の印も押されていない質素なものだから私的なものだろう。
「ったく、あの爺さん人を使いっパシリにして」
「そのようですが、どうもその相手の方。軍の重要な人物だった人らしく」
「はぁ、あの爺さんより重要な人物っているのかよ。ま、いいや。暇だったし。ちょっと行ってくるよ。場所はどこだ?」
クロエからその住所を聞いた時、ちょっと首を傾げた。
どこか記憶にあるような場所だ。
けどそこは考えることじゃないと割り切ると、さっそく出発の準備にかかる。
「あ、隊長殿。自分も行きます!」
「いや、クロエも仕事あるだろ」
「いえ、総司令殿から『あやつはちょっと目を離すと余計なことをして、ちゃんと今日中に帰ってくるか分からん。だからお目付け役として頼んだぞ』と言われたので」
「あの爺。俺のことなんだと思ってやがる」
などと言いつつも、クロエとの旅は久しぶりで
なんだかんだ言って、クロエと一緒にいると気が楽だ。無理に取り繕わなくていいし、出来の悪い妹が出来たみたいでちょっとほっこりする。
まぁ今の俺からすれば年上だし、炊事家事洗濯すべてにおいてクロエ頼みというところはあるけど。
そういえばこうやってクロエと一緒に外出した時があったな。
あの時はまだハカラが宰相になってその統治下に会った時のことだからもう1年近くになる。
その時はうっとおしく思ったクロエも、なんだかんだで、心休まる関係になったのだから人生というものは分からない。
しばらく馬を走らせると、次第に見覚えがある風景が流れてくる。
あぁそうか。
場所的に覚えがあると思ったけど、あの場所か。
「もう1年か……」
「え、な、なにがでしょうか!?」
「いや、前もクロエとこうやって外に出たよなって」
「そ、そうですね!? そっちですよね! いやぁ、懐かしいなぁ」
なんだか変な言い方。
まぁクロエだからいっか。
そして昼過ぎに目的の場所に着いた。
森の中にポツンと建つログハウス風の小屋。
変わってない。
ノックをするとすぐに返事が来た。ドアが開くと、おばあさんが目を丸くして出迎えてくれた。
「どうも、ご無沙汰してます」
「あらあら、これはまた。ジャンヌちゃんにクロエちゃんね。何もないところだけどどうぞどうぞ」
俺がこの世界に来てすぐ。
ビンゴ王国の軍に追われてここにかくまってもらった。
その後も何回か足を運んだが、南郡の件があってかなりご無沙汰だったわけで。
「…………」
おじいさんも元気そうだ。喋らないけど。
「この時間じゃあお腹空いたでしょう。何か食べていくかしら?」
「ではご好意に甘えます」
「そんなかしこまらないでいいのよ。ここは貴女のもう1つの家と思っていいんだから」
なんだろう。
あまり人付き合いとか苦手な俺だけど、このおばあさんにははっきりと甘えられる。遠慮なくだけど打算もなく好意だけでずかずかと踏み込んでくれるからなのだろうか。
っと、その前に仕事だけは済ませておかないと。
「おじいさん、うちのハワード総司令から手紙を預かってます」
おじいさんはハワードの名前を聞いた時にピクリと眉を動かしたが、それ以上は特に反応らしい反応を見せず、黙って封筒を受け取った。
おじいさんが開いた手紙を黙々と読んでいる間、俺とクロエは手持ち無沙汰に椅子に座っていた。
ただ色々聞きたい思いがある。
何でハワードの爺さんと知り合いなのか。
もしかして結構偉い人だったのか。
今になって手紙を俺に託すのは何か意味があるのか。
だがそれのどれも聞けない。
聞いたら、この2人もまた、これから始まる血みどろの争いに引きずり込んでしまいそうで。
だから、俺は黙っておじいさんが手紙を読むのを待ち、それが終わっても食事が出て来るまではぼんやりと座っていた。
それからはちょっとした時間だった。
おばあさんの作ってくれた料理は、やはり豪華とは言えないけど心のこもった暖かいものだった。野菜のスープとサラダは、畑でとれたばかりというから新鮮でおいしいし、魚の塩焼きも絶品だった。
「ごめんなさいね。本当はお肉の方が良かったんでしょうけど、私たちには魚の方が合ってしまうの」
「いえ、お気になさらず。とても美味しいです。……って、クロエ! もうちょっと綺麗に食べろ!」
魚をばらばらに解剖するクロエに俺は苦言をていした。
「けど隊長殿、これどうやれば綺麗になるんですかー?」
「うふふ……こう見ていると姉妹みたい。ねぇ、あなた」
「…………」
ただそんな心安らぐ時間もそう長くはなかった。
ハワードからさっさと帰って来いという命令もあったため、長居はできなかったのだ。
「またいらしてね。今度はもっと美味しいデザートを用意しておくから」
「…………」
おばあさんの優しい眼差しと、おじいさんのどっしりとした峻厳たる眼差しに見送られ、俺たちは急いで王都に戻った。
王都の門をくぐった時には、もう陽は暮れようとしていた。
「はぁ……なんとか間に合いました」
治安上の問題で、陽が暮れると門が閉まり、翌日まで入れなくなるから結構な強行軍だった。
そうしてまで帰らなければならない理由はなかったのだが、まぁそういう命令なのだから仕方ない。
「隊長殿。少し汗を流していきませんか? それから王宮に行きましょう」
「ん、そうだな。でも何でまた王宮に……あぁ、爺さんに報告か」
「そういうことです」
そう言ったクロエは何か満足そうな表情をしていたが、その真意はつかめなかった。
というわけで家に戻って適当に汗を流し、着替えたうえで出仕した。
「うむ。ご苦労だった。非番の日に悪かったな」
ハワードは大仰に頷く。
悪かったなと言う割には、なんだかニヤニヤしているのが気になる。
「別に。何かしてた方が気が楽だし」
「そうか。では女王様には挨拶しておくのじゃぞ」
「ん。そうする。っと、もういいのか?」
「何がじゃ?」
「え、いや。なんか今日は侍従長にしごかれてるって聞いたから」
「おお、そうか。そうだな。ひどくお疲れのようだ。慰めてやるといい」
「慰めるって……まぁ、いいや。マリアに挨拶してから帰るよ」
「うむ。また後でな」
別れ際の挨拶にしては妙だと思ったが、まぁ明日にもまた会うだろうと納得。
ハワードの執務室を出るが、もうクロエはいなかった。
薄情な奴め。
と思ったが、仕事に戻ったんだろうと勝手に納得。
一緒にマリアの部屋に入るわけにもいかないだろうし。
というわけで王宮の奥まったところにあるマリアの私室へ向かう。
ここ最近、ここを訪れる頻度が多くなった。
それはマリアとの距離が近くなったということで悪い事じゃないとは思うが、もうあいつも14だ。
日本で言えば中学2年生くらい。女王という立場も含めると少し自立心を芽生えさせた方がいいのかもしれない。
なんてことを考えていると、いつの間にか部屋の前まで来ていた。
とりあえずノック。
だが反応がない。
いや、何かドタドタと暴れる音が響いてくる。
何やってんだか。
「おーい、マリア。俺だ。ジャンヌだ。開けていいのか?」
『ちょ、ちょっと待――いや、ど、どうぞなのじゃ』
なんか慌ただしそうな。
とはいえ招きは受けたので俺はドアを開けた。
途端、
パパパパーン!!
破裂音が連続して響いた。
火薬!? いや、鉄砲!? 撃たれた!? 避けろ! なんでマリアの部屋で!?
咄嗟に身をかがめる。
だがそれ以降何もない。
いや、あったのは声。
「ジャンヌ、誕生日おめでとうなのじゃー!」
え?
誕生日?
おめでとう?
しかもマリアを筆頭に、ニーア、ジル、サカキ、ブリーダ、イッガー、クロエにウィット、ザイン、マール、ルック。さらにメル、侍従長などなど、国の主だった人間がマリアの部屋に集まっていた。
「はっは、その格好は何さ? そんなびびっちゃって。これはあれさ。クラッカーを即席で作ったのさ。本物の火薬を使ったから結構音もしてびっくりさ」
ミストまでもいた。
そうか……クラッカーだったのか。
「え、でもなんで?」
「聞いてなかったさ? ほら、あれさ」
ミストが指さすのは、ドアと対面の壁に大きな板がかけられていた。
そこにはこの大陸の文字で、
『ジャンヌ・ダルク誕生日おめでとう!!』
と書かれてあった。
さらに紐飾りよろしく、マリアの部屋の天井に装飾が施されている。
「……へ?」
誕生日って……そういう?
サプライズパーティってこと?
「あの……俺の誕生日まだなんだけど?」
俺は空気を悪くするのを承知だが、ここははっきりさせておくべきだと思った。
だが返ってきたのは意外な答えだった。
「だってジャンヌの誕生日知らないのじゃ」
「はぁ?」
俺の疑問に対して、メルが一歩前に出て説明してくれた。
「女王陛下のお言葉に私ごときが口を挟むのは僭越極まる行為ではございますが、このメルが説明させていただきます。ジャンヌ・ダルクというお方の資料は帝国統治下において、ジーン師団長殿の私的な側近として軍部とは異なる場所におりました。ただその後は……まぁありていに言えば独立のごたごたで忘れ去られており」
「つまり、俺の戸籍がないってこと?」
「はい」
おいおい、そんなの超ド級の不祥事じゃねぇか。
国の軍事を預かる人間が身元不明って。
「はい、というわけで遡ってジャンヌ・ダルクというお方の戸籍を作成しました。その際に誕生日を記載しなければいかず、どうしたものかと閣議にかけた結果、このようになった次第です」
「うむ、説明ご苦労なのじゃメル! というわけで今日なのじゃ! 今日がジャンヌがオムカ王国に来て1年! だから今日を誕生日にしたのじゃ!」
あぁ、なるほど。だから今日か。
確かに今の俺は写楽明彦ではないわけで、その誕生日をジャンヌ・ダルクに当てはめるのは少し違うと言える。
ま、いっか。
皆がここまでしてくれたんだ。これはもう降参だ。
「分かった。俺の誕生日は今日だ。今日が、ジャンヌ・ダルクの生まれた日だ」
俺の言葉に、周囲がわっと声をあげる。
「どうどう? あの看板、あたしがデザイン!」
「あぁ、そういえば朝に何か持ってたな……」
「ジャンヌ様、お誕生日おめでとうございます。その、今日は変なことを言ってしまい、申し訳ありません」
「ジャンヌちゃん誕生日おめな! てかジーン嘘下手すぎなんだよ! もうちょっとでボロがでるところだったぞ!」
「っす。次からこういう時は師団長殿には黙っていてもらうっす」
「ジル、サカキ、ブリーダも。ありがとうな」
「それなら親衛隊隊長の報告を聞いて見事、ジャンヌを追い出したわしの機転に感謝するんじゃな。ほれ、どうだジャンヌ。大人の階段を登った暁に、今宵はわしの――ぐほっ!」
「いつの間に来てたんだよ。てか爺さんも天国の階段を登らせてやろうか?」
「はいはーい! そして隊長殿の見張りをしたのがこのクロエなのです!」
「ふん、貴様が何もできないから厄介払いだろう。どうですか隊長。この装飾、美しい配色だと思いませんか? ええ、大いに腕を振るわせていただきましたとも!」
「てめ、ウィット! なに自分だけアピールしてんだよ! 俺もやったすよ! 隊長!」
「はいはい、ウィットもザインもうっとおしいのはほどほどに。あ、それで隊長。この後よろしければジャンヌ隊の方にも顔をだしていただけると」
「もう皆待ってますからねー。今日は羽目外すのもよいかとー」
「お前ら……」
うん、なんだろう。
誕生日会とかここ数年、いや十年近く縁のないもので、大学生にもなってやるなんてただの騒ぎたい口実だろうなんて冷めて見てたけど。
こうして皆にお祝いされて。
色々準備してくれてたのを見て。
こういうのも悪くない。
そう思える自分に驚いた。
良い変化なのだろうか。
うん、きっとそうだ。
だから願ってしまう。
もし可能なら、来年もこのメンバーで集まりたい、と。
そんなささやかな願いをこの世界が許してくれるのであれば、だが……。
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読んでいただきありがとうございます。
一応、オムカ国内でのどんちゃん騒ぎはここにて終了となり、次回からはオムカ、シータ、ビンゴの3か国合同会議という真面目とどんちゃん騒ぎの混じったような展開、そして帝国との開戦となっていきます。
戦火が拡大していく中で、ジャンヌがどういった決断をしていくか、新たな敵とは、里奈との関係は、など様々な展開がされていきますので、ひきつづき読んでいただけると幸いです。
また、いいねやお気に入りをいただけると励みになります。軽い気持ちでもいただけると嬉しく思いますので、どうぞよろしくお願いします。
だから何をすることもない。
なんかこんなのも去年あったなぁ、と思いつつ、その時から全く進歩してないとも言えてなんだか寂しくなった。
だから普通に王宮に出仕したのだけど、
「あ、あれ!? ジャンヌ、今日休みじゃなかったっけ!?」
開幕からニーアかぁ……。
なんか大きな板を担いで、もう片方には工具箱を持っている姿は、DIYにいそしむただの少女に見える。
「いやちょっと暇だったから」
「そ、そそそ、そう! あ、えっと! 今日は王宮の大改修の日だから!
「大改修? そんな話、聞いてないぞ?」
「そりゃそうだもん! だって秘密のパ――いやなんでもない!」
「秘密? パ? なんの話だ?」
「なんでもない! だから今日はジャンヌに構ってる暇はないの! じゃあね!」
脱兎のごとく走り去る、というか逃げ去るニーア。
なんなんだ、あいつ。
しょうがないからマリアのところにでも行こうかと思っていると、ジル、サカキ、ブリーダの3人組と出会った。
3人とも似合わないことに、食材のたくさん入った紙袋を両手に抱えている。
「あれ!? ジャンヌちゃんがいる!?」
「ジャ、ジャンヌ様、今日はお休みではなかったのですか?」
「軍師殿……休みの日ってのは仕事するためにあるんじゃないっすよ?」
あぁ、分かってるよ。
でもジルが珍しく動揺している。
「いや、暇だったからマリアの相手でもしようかなと」
なんて軽く言ったつもりだったが、3人は驚いたようにそれぞれ顔を見合わせる。
あれ? なんか変なこと言った?
「あ、ジャンヌちゃーん。今日、女王様はそれはもう超忙しくってね。侍従長に付きっきりでハードレッスンに入ってるって。だから絶対近寄っちゃ駄目! いいね!」
「お、おう……そうか」
サカキが柄にもなく強い口調で言ったので、俺はなんとか相槌をうつしかなかった。
「じゃあ仕方ないな。ところでその紙袋。何か料理でもするのか?」
「え、ええ……その、なんといいますか。これはその、ジャ――」
「あのなジャンヌちゃん。俺たち男やもめだろ。だからたまにこうやって集まって料理するんだよ。な? ブリーダ」
「え、ええ。そうなんすサカキ師団長殿は結構達者なので、色々学ばせてもらってるっす」
「え、そうだったんですか? サカキがそんな料理達者だとは――いっ!」
「というわけなんだ。だからちょっと今日は忙しくってよ!」
「サカキ、足を踏むことはないでしょう!」
「ジーン師団長殿、黙っててほしいっす」
なんか約1名言動が不審だけど、まぁそんなこともあるだろう。
これ以上俺が邪魔しちゃ悪いな。そもそもこの時間は仕事中だろ、という苦言はおいておいて。
「それじゃあ、ジャンヌちゃん。また会おうぜ」
サカキがジルを急き立てるようにして俺たちから離れていく。
うーん、なんだろう。なんか不自然。
とはいえ休暇中の俺が言う事でもないだろう。
明日、また問い詰めればいいだけの話だ。
だから執務室でのんびりと書類でも見ようかと思った時。
「あ、隊長殿! まだここにいらした!」
うるさいのが来た。
「どうした、クロエ?」
「あのですね! 教官殿と総司令官殿に、ここにいらっしゃると聞いて」
あぁ、ニーアか。
あいつも口が軽い。ハワードにまで言う事ないだろうに。
「まぁ本来は休日だからな。執務室に寄ったらすぐ帰るよ」
「あ、いえ。総司令殿が『どうせ休日といっても仕事するじゃろ。だからとっておきの仕事を渡してやる』とかで、この親書をある人物に届けて欲しいとのことです」
「爺さんが? 珍しいこともあるもんだ」
クロエが出したのは、一通の白い封筒のようなもの。
軍の印も押されていない質素なものだから私的なものだろう。
「ったく、あの爺さん人を使いっパシリにして」
「そのようですが、どうもその相手の方。軍の重要な人物だった人らしく」
「はぁ、あの爺さんより重要な人物っているのかよ。ま、いいや。暇だったし。ちょっと行ってくるよ。場所はどこだ?」
クロエからその住所を聞いた時、ちょっと首を傾げた。
どこか記憶にあるような場所だ。
けどそこは考えることじゃないと割り切ると、さっそく出発の準備にかかる。
「あ、隊長殿。自分も行きます!」
「いや、クロエも仕事あるだろ」
「いえ、総司令殿から『あやつはちょっと目を離すと余計なことをして、ちゃんと今日中に帰ってくるか分からん。だからお目付け役として頼んだぞ』と言われたので」
「あの爺。俺のことなんだと思ってやがる」
などと言いつつも、クロエとの旅は久しぶりで
なんだかんだ言って、クロエと一緒にいると気が楽だ。無理に取り繕わなくていいし、出来の悪い妹が出来たみたいでちょっとほっこりする。
まぁ今の俺からすれば年上だし、炊事家事洗濯すべてにおいてクロエ頼みというところはあるけど。
そういえばこうやってクロエと一緒に外出した時があったな。
あの時はまだハカラが宰相になってその統治下に会った時のことだからもう1年近くになる。
その時はうっとおしく思ったクロエも、なんだかんだで、心休まる関係になったのだから人生というものは分からない。
しばらく馬を走らせると、次第に見覚えがある風景が流れてくる。
あぁそうか。
場所的に覚えがあると思ったけど、あの場所か。
「もう1年か……」
「え、な、なにがでしょうか!?」
「いや、前もクロエとこうやって外に出たよなって」
「そ、そうですね!? そっちですよね! いやぁ、懐かしいなぁ」
なんだか変な言い方。
まぁクロエだからいっか。
そして昼過ぎに目的の場所に着いた。
森の中にポツンと建つログハウス風の小屋。
変わってない。
ノックをするとすぐに返事が来た。ドアが開くと、おばあさんが目を丸くして出迎えてくれた。
「どうも、ご無沙汰してます」
「あらあら、これはまた。ジャンヌちゃんにクロエちゃんね。何もないところだけどどうぞどうぞ」
俺がこの世界に来てすぐ。
ビンゴ王国の軍に追われてここにかくまってもらった。
その後も何回か足を運んだが、南郡の件があってかなりご無沙汰だったわけで。
「…………」
おじいさんも元気そうだ。喋らないけど。
「この時間じゃあお腹空いたでしょう。何か食べていくかしら?」
「ではご好意に甘えます」
「そんなかしこまらないでいいのよ。ここは貴女のもう1つの家と思っていいんだから」
なんだろう。
あまり人付き合いとか苦手な俺だけど、このおばあさんにははっきりと甘えられる。遠慮なくだけど打算もなく好意だけでずかずかと踏み込んでくれるからなのだろうか。
っと、その前に仕事だけは済ませておかないと。
「おじいさん、うちのハワード総司令から手紙を預かってます」
おじいさんはハワードの名前を聞いた時にピクリと眉を動かしたが、それ以上は特に反応らしい反応を見せず、黙って封筒を受け取った。
おじいさんが開いた手紙を黙々と読んでいる間、俺とクロエは手持ち無沙汰に椅子に座っていた。
ただ色々聞きたい思いがある。
何でハワードの爺さんと知り合いなのか。
もしかして結構偉い人だったのか。
今になって手紙を俺に託すのは何か意味があるのか。
だがそれのどれも聞けない。
聞いたら、この2人もまた、これから始まる血みどろの争いに引きずり込んでしまいそうで。
だから、俺は黙っておじいさんが手紙を読むのを待ち、それが終わっても食事が出て来るまではぼんやりと座っていた。
それからはちょっとした時間だった。
おばあさんの作ってくれた料理は、やはり豪華とは言えないけど心のこもった暖かいものだった。野菜のスープとサラダは、畑でとれたばかりというから新鮮でおいしいし、魚の塩焼きも絶品だった。
「ごめんなさいね。本当はお肉の方が良かったんでしょうけど、私たちには魚の方が合ってしまうの」
「いえ、お気になさらず。とても美味しいです。……って、クロエ! もうちょっと綺麗に食べろ!」
魚をばらばらに解剖するクロエに俺は苦言をていした。
「けど隊長殿、これどうやれば綺麗になるんですかー?」
「うふふ……こう見ていると姉妹みたい。ねぇ、あなた」
「…………」
ただそんな心安らぐ時間もそう長くはなかった。
ハワードからさっさと帰って来いという命令もあったため、長居はできなかったのだ。
「またいらしてね。今度はもっと美味しいデザートを用意しておくから」
「…………」
おばあさんの優しい眼差しと、おじいさんのどっしりとした峻厳たる眼差しに見送られ、俺たちは急いで王都に戻った。
王都の門をくぐった時には、もう陽は暮れようとしていた。
「はぁ……なんとか間に合いました」
治安上の問題で、陽が暮れると門が閉まり、翌日まで入れなくなるから結構な強行軍だった。
そうしてまで帰らなければならない理由はなかったのだが、まぁそういう命令なのだから仕方ない。
「隊長殿。少し汗を流していきませんか? それから王宮に行きましょう」
「ん、そうだな。でも何でまた王宮に……あぁ、爺さんに報告か」
「そういうことです」
そう言ったクロエは何か満足そうな表情をしていたが、その真意はつかめなかった。
というわけで家に戻って適当に汗を流し、着替えたうえで出仕した。
「うむ。ご苦労だった。非番の日に悪かったな」
ハワードは大仰に頷く。
悪かったなと言う割には、なんだかニヤニヤしているのが気になる。
「別に。何かしてた方が気が楽だし」
「そうか。では女王様には挨拶しておくのじゃぞ」
「ん。そうする。っと、もういいのか?」
「何がじゃ?」
「え、いや。なんか今日は侍従長にしごかれてるって聞いたから」
「おお、そうか。そうだな。ひどくお疲れのようだ。慰めてやるといい」
「慰めるって……まぁ、いいや。マリアに挨拶してから帰るよ」
「うむ。また後でな」
別れ際の挨拶にしては妙だと思ったが、まぁ明日にもまた会うだろうと納得。
ハワードの執務室を出るが、もうクロエはいなかった。
薄情な奴め。
と思ったが、仕事に戻ったんだろうと勝手に納得。
一緒にマリアの部屋に入るわけにもいかないだろうし。
というわけで王宮の奥まったところにあるマリアの私室へ向かう。
ここ最近、ここを訪れる頻度が多くなった。
それはマリアとの距離が近くなったということで悪い事じゃないとは思うが、もうあいつも14だ。
日本で言えば中学2年生くらい。女王という立場も含めると少し自立心を芽生えさせた方がいいのかもしれない。
なんてことを考えていると、いつの間にか部屋の前まで来ていた。
とりあえずノック。
だが反応がない。
いや、何かドタドタと暴れる音が響いてくる。
何やってんだか。
「おーい、マリア。俺だ。ジャンヌだ。開けていいのか?」
『ちょ、ちょっと待――いや、ど、どうぞなのじゃ』
なんか慌ただしそうな。
とはいえ招きは受けたので俺はドアを開けた。
途端、
パパパパーン!!
破裂音が連続して響いた。
火薬!? いや、鉄砲!? 撃たれた!? 避けろ! なんでマリアの部屋で!?
咄嗟に身をかがめる。
だがそれ以降何もない。
いや、あったのは声。
「ジャンヌ、誕生日おめでとうなのじゃー!」
え?
誕生日?
おめでとう?
しかもマリアを筆頭に、ニーア、ジル、サカキ、ブリーダ、イッガー、クロエにウィット、ザイン、マール、ルック。さらにメル、侍従長などなど、国の主だった人間がマリアの部屋に集まっていた。
「はっは、その格好は何さ? そんなびびっちゃって。これはあれさ。クラッカーを即席で作ったのさ。本物の火薬を使ったから結構音もしてびっくりさ」
ミストまでもいた。
そうか……クラッカーだったのか。
「え、でもなんで?」
「聞いてなかったさ? ほら、あれさ」
ミストが指さすのは、ドアと対面の壁に大きな板がかけられていた。
そこにはこの大陸の文字で、
『ジャンヌ・ダルク誕生日おめでとう!!』
と書かれてあった。
さらに紐飾りよろしく、マリアの部屋の天井に装飾が施されている。
「……へ?」
誕生日って……そういう?
サプライズパーティってこと?
「あの……俺の誕生日まだなんだけど?」
俺は空気を悪くするのを承知だが、ここははっきりさせておくべきだと思った。
だが返ってきたのは意外な答えだった。
「だってジャンヌの誕生日知らないのじゃ」
「はぁ?」
俺の疑問に対して、メルが一歩前に出て説明してくれた。
「女王陛下のお言葉に私ごときが口を挟むのは僭越極まる行為ではございますが、このメルが説明させていただきます。ジャンヌ・ダルクというお方の資料は帝国統治下において、ジーン師団長殿の私的な側近として軍部とは異なる場所におりました。ただその後は……まぁありていに言えば独立のごたごたで忘れ去られており」
「つまり、俺の戸籍がないってこと?」
「はい」
おいおい、そんなの超ド級の不祥事じゃねぇか。
国の軍事を預かる人間が身元不明って。
「はい、というわけで遡ってジャンヌ・ダルクというお方の戸籍を作成しました。その際に誕生日を記載しなければいかず、どうしたものかと閣議にかけた結果、このようになった次第です」
「うむ、説明ご苦労なのじゃメル! というわけで今日なのじゃ! 今日がジャンヌがオムカ王国に来て1年! だから今日を誕生日にしたのじゃ!」
あぁ、なるほど。だから今日か。
確かに今の俺は写楽明彦ではないわけで、その誕生日をジャンヌ・ダルクに当てはめるのは少し違うと言える。
ま、いっか。
皆がここまでしてくれたんだ。これはもう降参だ。
「分かった。俺の誕生日は今日だ。今日が、ジャンヌ・ダルクの生まれた日だ」
俺の言葉に、周囲がわっと声をあげる。
「どうどう? あの看板、あたしがデザイン!」
「あぁ、そういえば朝に何か持ってたな……」
「ジャンヌ様、お誕生日おめでとうございます。その、今日は変なことを言ってしまい、申し訳ありません」
「ジャンヌちゃん誕生日おめな! てかジーン嘘下手すぎなんだよ! もうちょっとでボロがでるところだったぞ!」
「っす。次からこういう時は師団長殿には黙っていてもらうっす」
「ジル、サカキ、ブリーダも。ありがとうな」
「それなら親衛隊隊長の報告を聞いて見事、ジャンヌを追い出したわしの機転に感謝するんじゃな。ほれ、どうだジャンヌ。大人の階段を登った暁に、今宵はわしの――ぐほっ!」
「いつの間に来てたんだよ。てか爺さんも天国の階段を登らせてやろうか?」
「はいはーい! そして隊長殿の見張りをしたのがこのクロエなのです!」
「ふん、貴様が何もできないから厄介払いだろう。どうですか隊長。この装飾、美しい配色だと思いませんか? ええ、大いに腕を振るわせていただきましたとも!」
「てめ、ウィット! なに自分だけアピールしてんだよ! 俺もやったすよ! 隊長!」
「はいはい、ウィットもザインもうっとおしいのはほどほどに。あ、それで隊長。この後よろしければジャンヌ隊の方にも顔をだしていただけると」
「もう皆待ってますからねー。今日は羽目外すのもよいかとー」
「お前ら……」
うん、なんだろう。
誕生日会とかここ数年、いや十年近く縁のないもので、大学生にもなってやるなんてただの騒ぎたい口実だろうなんて冷めて見てたけど。
こうして皆にお祝いされて。
色々準備してくれてたのを見て。
こういうのも悪くない。
そう思える自分に驚いた。
良い変化なのだろうか。
うん、きっとそうだ。
だから願ってしまう。
もし可能なら、来年もこのメンバーで集まりたい、と。
そんなささやかな願いをこの世界が許してくれるのであれば、だが……。
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読んでいただきありがとうございます。
一応、オムカ国内でのどんちゃん騒ぎはここにて終了となり、次回からはオムカ、シータ、ビンゴの3か国合同会議という真面目とどんちゃん騒ぎの混じったような展開、そして帝国との開戦となっていきます。
戦火が拡大していく中で、ジャンヌがどういった決断をしていくか、新たな敵とは、里奈との関係は、など様々な展開がされていきますので、ひきつづき読んでいただけると幸いです。
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