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第4章 ジャンヌの西進
第24話 僕と女神とプレイヤーと
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「ハロハロー、アッキー元気ー?」
はぁ……また始まった。
こないだ来たと思ったらもうかよ。
「そりゃもう! 皆勤賞目指してますから!」
なんの皆勤だよ。
わけわかんねぇ……用がないなら帰れ。いや、もう無視だ無視。
「むー、用がないと来ちゃいけないとか。最近のアッキーは冷たいよ」
元からだよ。そしてお前にだけだよ。
「アッキーのいじわる……せっかく有益な情報を教えてあげようと思ったのに」
なら早く言えよ。
有益かどうかはこっちで決めるけどな。
「おほん。実はこの度、私こと女神ちゃんは……女神オブザイヤーを受賞しましたー! わー、パチパチー」
「心底くだらねーな!」
あぁ、ツッコんじゃった。
こいつに対してのスルー、難度高すぎだろ。
てかなんだよ。女神オブザイヤーって。聞いたことねーよ。しかも時期中途半端!
はぁ……本当に何しに来たんだよこいつ。
「え? 自慢だけど?」
「本当に本題だった!?」
「当然でしょ。つまり私は女神の中の女神ってことだからね。敬いなさい?」
「全力で拒否する」
「ぶー。アッキーのいけずー。ま、しょうがないか。人間ごときに女神オブザイヤーの素晴らしさは分からないだろうし」
絶対神様だって分からないと思うぞ。
「本当に減らず口だよねー。あー、あとついでに業務連絡DEATH!」
何の業務だよ。てかどうでもいいから早く消えてくれ。
「えっとねー、この3か月でこの世界の新規プレイヤーが10人を突破しました。というわけで皆さん仲良くしてくださいねー」
転校生の挨拶かよ。そんなどうでもいいことわざわざ――
「って、はぁ!?」
プレイヤーが10人!? 増えた!?
「お、アッキー。いい反応だね。やっぱりそうでなくちゃ」
「うるさい。いや、ちょっと待て。えっと、なんだって? プレイヤーが? 突破?」
てかこっちの方が本題だろ!
重要案件すぎる。
「そう、大量投入なの! もうヤバいの。エマージェンシーなの」
「わけわからんこと言ってごまかすな。これは……マズいぞ。てかそれって……それだけ人が死んでるってことだよな」
「アッキー今さら何言ってるの? 人は死ぬ。毎日、毎時、毎分。必ずどこかで人は死んでるんだよ。ほら、アッキーの国の神様が言ってるじゃん。私は毎日1千人の人を殺すって妻が言ったのに対して、なら私は1日に1千500人の子を産ませようって夫が言ったやつ」
あぁ、黄泉比良坂の話かな。日本神話の。
「あれって、奥さんを相手に堂々と浮気宣言したってことだよね? しかも1日に1千人以上子供を生むとかどんだけ? てかそいつマジ女の敵じゃない? もう女神の敵認定だね。滅します」
いや、日本にケンカ売るなよ。
でも……うーん、そう言われれば。そういう見方も……あるのか?
「でもそれはたとえだろ。俺の周りじゃそんな死人は出てなかったし」
「そりゃアッキーの周囲ではそうそうそんな話は聞かないだろうけどね。世界中を考えれば、人が死なない時間はないんだよ。自分の周りだけが世界の全てだなんて、アッキーは視野が狭いんじゃない?」
「ぐっ……」
こいつに視野が狭いとか言われるなんて屈辱。
「ふっふっふ、屈辱、恥辱、凌辱! アッキーを辱めるためなら何でもするからね!」
「するな!」
……はぁ。しかし待て。
プレイヤーが増えた。それは大きなポイントだ。
「で、そいつらはどこにいる?」
「えー、そんなこと教えるわけないじゃん。自分で探しなよ。それにこれはコーヤくんとも同じ条件なんだから」
煌夜。あいつも知ってるのか。
「そりゃ私が教えたからね」
「なんでそんな――」
「あ、もしかしてアッキーだけ特別とか思ってる? 残念でした。女神は中立で公平なのよ。アッキーは確かに注目株だけど、それだけで肩入れすると思ったら大間違いよ。あれ? もしかしてアッキー、この女神ちゃんは俺だけになびいてくれてるとか思った? 思った? うわー、アッキー自意識過剰ー、器の小さな男代表ね」
「うるさい。分かったよ。分かりましたとも!」
つまり争奪戦ってことだ。
この世界におけるプレイヤーの価値はとてつもなく高い。プレイヤーのスキルがあれば、野戦の無双も、攻城戦も、扇動も、諜報活動もお手の物。
もちろん本人の資質もあるだろうけど、戦局を大きく変える力となりうるのだ。
だからなんとしてでもプレイヤーはこちらに取り込みたい。協力しないまでも、保護して煌夜の方には回したくないのだ。
「ま、アッキーが行くビンゴって地方? あそこは支配者がいない草刈り場だから、何人かはいるんじゃない? 頑張ってー」
くそ、こいつの微妙に第三者感がうざい。
「そりゃ第三の存在、つまり高位の存在、すなわち女神ですから」
「分かった分かった。お前は凄いよ。で? それだけだな? これ以上はないな? だったら帰れ。俺は色々忙しいんだよ」
「うわ、アッキー。ことが済んだらポイ捨て? アッキーは私のこと遊びだったの!?」
「遊びもなにもまだ何も始まっちゃいねーよ」
本当、こいつどんな脳のつくりしてんだよ。
「あ、見てみるー? じゃあお互い見せっこしようか。頭を断ち割って、脳みそをずるっと引き出して。あ、大丈夫。女神パワーでここでは死なないようにしてるから。けどその代わり、10回ショック死するくらいの痛みと苦しみを味わうことになるけど、アッキーなら大丈夫だよね?」
「大丈夫なわけあるか!」
てかなに? 脳みその見せあいって。想像しただけで気持ち悪くなってきた。
「なによー。アッキーだって戦場でそんなことくらいしてるでしょ。他人の頭を立ち割って、腹を掻っ捌いて、喉を掻き切って、殺して殺して殺して殺したのに」
それは……。
「そんなアッキーが自分でやられるのは嫌ってこと? 僕は死後の世界が知りたいです。でも死ぬのが嫌です。だから君を殺します、ってやつ? うわーひどー極悪人ー」
うるさいな……。
「これをファンクラブの人たちが知ったらどう思うかなー。あ、意外とすんなり行くかもね。『憧れのジャンヌ様に脳みそ見てもらえるなら光栄です!』みたいに自分からやっちゃったりしてー」
「本当うるさい!」
「うわぁお。アッキー怖い怖い。うん。冗談だよ、アッキー。女神ジョーク。ふふ、アッキーの色んな顔を見られて余は満足じゃー」
「お前、本当最低だな」
「そりゃ女神ですもの」
「まったく意味が分からん」
はぁ……これだけ喋って得た情報がプレイヤーの新規追加だけ。
本当、こいつの半分以上は無駄だ。
「どこが無駄よー。こっちだってアッキーをちょっろーって言うためのプランが……あ! 忘れてた! ね、アッキー。ちょっともういとど最初からやらない? アッキーをちょっろーって言って馬鹿にして嘲笑う大作戦、決行DEATH!」
「誰がするか!」
……本当に無駄だった。
はぁ……また始まった。
こないだ来たと思ったらもうかよ。
「そりゃもう! 皆勤賞目指してますから!」
なんの皆勤だよ。
わけわかんねぇ……用がないなら帰れ。いや、もう無視だ無視。
「むー、用がないと来ちゃいけないとか。最近のアッキーは冷たいよ」
元からだよ。そしてお前にだけだよ。
「アッキーのいじわる……せっかく有益な情報を教えてあげようと思ったのに」
なら早く言えよ。
有益かどうかはこっちで決めるけどな。
「おほん。実はこの度、私こと女神ちゃんは……女神オブザイヤーを受賞しましたー! わー、パチパチー」
「心底くだらねーな!」
あぁ、ツッコんじゃった。
こいつに対してのスルー、難度高すぎだろ。
てかなんだよ。女神オブザイヤーって。聞いたことねーよ。しかも時期中途半端!
はぁ……本当に何しに来たんだよこいつ。
「え? 自慢だけど?」
「本当に本題だった!?」
「当然でしょ。つまり私は女神の中の女神ってことだからね。敬いなさい?」
「全力で拒否する」
「ぶー。アッキーのいけずー。ま、しょうがないか。人間ごときに女神オブザイヤーの素晴らしさは分からないだろうし」
絶対神様だって分からないと思うぞ。
「本当に減らず口だよねー。あー、あとついでに業務連絡DEATH!」
何の業務だよ。てかどうでもいいから早く消えてくれ。
「えっとねー、この3か月でこの世界の新規プレイヤーが10人を突破しました。というわけで皆さん仲良くしてくださいねー」
転校生の挨拶かよ。そんなどうでもいいことわざわざ――
「って、はぁ!?」
プレイヤーが10人!? 増えた!?
「お、アッキー。いい反応だね。やっぱりそうでなくちゃ」
「うるさい。いや、ちょっと待て。えっと、なんだって? プレイヤーが? 突破?」
てかこっちの方が本題だろ!
重要案件すぎる。
「そう、大量投入なの! もうヤバいの。エマージェンシーなの」
「わけわからんこと言ってごまかすな。これは……マズいぞ。てかそれって……それだけ人が死んでるってことだよな」
「アッキー今さら何言ってるの? 人は死ぬ。毎日、毎時、毎分。必ずどこかで人は死んでるんだよ。ほら、アッキーの国の神様が言ってるじゃん。私は毎日1千人の人を殺すって妻が言ったのに対して、なら私は1日に1千500人の子を産ませようって夫が言ったやつ」
あぁ、黄泉比良坂の話かな。日本神話の。
「あれって、奥さんを相手に堂々と浮気宣言したってことだよね? しかも1日に1千人以上子供を生むとかどんだけ? てかそいつマジ女の敵じゃない? もう女神の敵認定だね。滅します」
いや、日本にケンカ売るなよ。
でも……うーん、そう言われれば。そういう見方も……あるのか?
「でもそれはたとえだろ。俺の周りじゃそんな死人は出てなかったし」
「そりゃアッキーの周囲ではそうそうそんな話は聞かないだろうけどね。世界中を考えれば、人が死なない時間はないんだよ。自分の周りだけが世界の全てだなんて、アッキーは視野が狭いんじゃない?」
「ぐっ……」
こいつに視野が狭いとか言われるなんて屈辱。
「ふっふっふ、屈辱、恥辱、凌辱! アッキーを辱めるためなら何でもするからね!」
「するな!」
……はぁ。しかし待て。
プレイヤーが増えた。それは大きなポイントだ。
「で、そいつらはどこにいる?」
「えー、そんなこと教えるわけないじゃん。自分で探しなよ。それにこれはコーヤくんとも同じ条件なんだから」
煌夜。あいつも知ってるのか。
「そりゃ私が教えたからね」
「なんでそんな――」
「あ、もしかしてアッキーだけ特別とか思ってる? 残念でした。女神は中立で公平なのよ。アッキーは確かに注目株だけど、それだけで肩入れすると思ったら大間違いよ。あれ? もしかしてアッキー、この女神ちゃんは俺だけになびいてくれてるとか思った? 思った? うわー、アッキー自意識過剰ー、器の小さな男代表ね」
「うるさい。分かったよ。分かりましたとも!」
つまり争奪戦ってことだ。
この世界におけるプレイヤーの価値はとてつもなく高い。プレイヤーのスキルがあれば、野戦の無双も、攻城戦も、扇動も、諜報活動もお手の物。
もちろん本人の資質もあるだろうけど、戦局を大きく変える力となりうるのだ。
だからなんとしてでもプレイヤーはこちらに取り込みたい。協力しないまでも、保護して煌夜の方には回したくないのだ。
「ま、アッキーが行くビンゴって地方? あそこは支配者がいない草刈り場だから、何人かはいるんじゃない? 頑張ってー」
くそ、こいつの微妙に第三者感がうざい。
「そりゃ第三の存在、つまり高位の存在、すなわち女神ですから」
「分かった分かった。お前は凄いよ。で? それだけだな? これ以上はないな? だったら帰れ。俺は色々忙しいんだよ」
「うわ、アッキー。ことが済んだらポイ捨て? アッキーは私のこと遊びだったの!?」
「遊びもなにもまだ何も始まっちゃいねーよ」
本当、こいつどんな脳のつくりしてんだよ。
「あ、見てみるー? じゃあお互い見せっこしようか。頭を断ち割って、脳みそをずるっと引き出して。あ、大丈夫。女神パワーでここでは死なないようにしてるから。けどその代わり、10回ショック死するくらいの痛みと苦しみを味わうことになるけど、アッキーなら大丈夫だよね?」
「大丈夫なわけあるか!」
てかなに? 脳みその見せあいって。想像しただけで気持ち悪くなってきた。
「なによー。アッキーだって戦場でそんなことくらいしてるでしょ。他人の頭を立ち割って、腹を掻っ捌いて、喉を掻き切って、殺して殺して殺して殺したのに」
それは……。
「そんなアッキーが自分でやられるのは嫌ってこと? 僕は死後の世界が知りたいです。でも死ぬのが嫌です。だから君を殺します、ってやつ? うわーひどー極悪人ー」
うるさいな……。
「これをファンクラブの人たちが知ったらどう思うかなー。あ、意外とすんなり行くかもね。『憧れのジャンヌ様に脳みそ見てもらえるなら光栄です!』みたいに自分からやっちゃったりしてー」
「本当うるさい!」
「うわぁお。アッキー怖い怖い。うん。冗談だよ、アッキー。女神ジョーク。ふふ、アッキーの色んな顔を見られて余は満足じゃー」
「お前、本当最低だな」
「そりゃ女神ですもの」
「まったく意味が分からん」
はぁ……これだけ喋って得た情報がプレイヤーの新規追加だけ。
本当、こいつの半分以上は無駄だ。
「どこが無駄よー。こっちだってアッキーをちょっろーって言うためのプランが……あ! 忘れてた! ね、アッキー。ちょっともういとど最初からやらない? アッキーをちょっろーって言って馬鹿にして嘲笑う大作戦、決行DEATH!」
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