精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

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プロローグ

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キュルキュル...キュルキュル…



長閑な森の奥にいる俺は小鳥の囀りを耳にしながら、息をひそめている。



木の陰に身を隠している俺は前方に目を向けて、弓矢を構える。



ぴょんぴょんー



兎のいる方向へ、矢をつがえた俺はそれを弦から放すと、風切りな音を鳴らせながらあそこへと飛んでいった。



「ぴーーーーー!!」



命中できた。やった!これでやっと二人分の昼飯を獲得するが出来た。



事切れた兎へと歩いていくと、



「ほっほっほー!やっと狩れたかい、オケウェー?」



「はい!今からさばいて調理しに行くから、おじちゃんも家に戻って待ってくれるといいよ!すぐ済ませておくから!」



「がっははー!頼もしなぁー!うちの オケウェーは!じゃ、お言葉に甘えてそうすんぞっー!うぐうぇ~~!」



「ううぇ~!なんだおじちゃんー?朝早くから酒っ臭いよーー!?まったく、あれほど自重しろと言っといたのにまたかー!」



「がははつ!まあ、ちょこっとだけならいいんじゃねぇ、ちょこっと!」



「まったく、いつもそうやって自分の身体に無理強いばかりしているから、最近は調子が悪くなっていくばかりだよー?」



こればかりは正論をいったつもりだ。確かに、【ケクル病】を患ったばかりのおじちゃんは余命8年間しか残っていないと先日で俺達の住んでいる家屋一軒を訪れてきてもらった医者さんが診断してくれたんだけど、



「ぐっ!まあ、そういうなら言い返せんけど、すこし大目に見てくれてもいいんじゃぞー?後、何年もすればくたばって飲めんくなっとるんだゼ!ぎゃはははっ!うぐ~!?ゲホゲホーッ!」



このように、おじちゃんはお医者さんが断定した不治の病を患っているようになってしまっても、直す方法を諦めてただただ余年を楽しみたいだけだと言って俺の話を聞かないようである。



…………



……



先におじちゃんを家へと帰らせた俺はそことさほど離れてない裏の開けたところにいる。



メラメラメラメラ……



鍋を使って、下に灯した火で調理したばかりの兎の肉を焼いている俺。



おじちゃんと昼飯にするために、あんな可愛い顔していた兎をこんな形にしてしまったことに悪いと思いながらも割り切るしかないんだ。生きるために。



「他にも動物同士でお互いを食うためにいっぱい殺り合っていたもの多いし。少なくとも、生きたままで喰おうとしない俺達の方がマシだと言えなくもない、かぁ……」



なんと世知辛い話だよね、生きるために他の生き物の息の根を止めなくちゃならないのって。



ちなみに、俺の名はオケウェーだ。



と言っても、おじちゃんがくれた名前だから本当を言うと実名でも何でもないんだよね、あはは…



そう、さっきのおじちゃん、ガランクレッドは3年前からこの森でオケウェーと名付けられた俺を拾って養子にしてもらった恩人だ。



あの時、森の奥に気絶してるっぽい俺をおじちゃんが発見し(といっても、ここから遠く離れてないところにいたらしいんだけど)保護してくれた。



当時の俺は8歳っぽい子だとおじちゃんが説明したんだけど、それから計算していくと今年に入ってから俺は11歳になると断定できる。



でも、気絶する前の記憶が全くと言っていい程に抜け落ちているので俺の両親は誰だったか、それ以前の俺の素性、日常生活と生い立ちが何だったのかを一切知らないんだよね。



………



じゅるじゅる...じゅるじゅる…



どうやら、出来上がったようだ!



「よし!」



それから、俺はおじちゃんと二人で飯を喰って、リビングで寛げそうかと思ってたところに、



『きて……』



うん?



『きて……ワレの元へ……』



なんか小さな声が頭に響いてきてる感じなんだけど、これはー!?



「おじちゃん……」



「……みんなまで言う必要ない。薄々気づいていたことだったんだが、お前には何か使命ってもんがあってここへ『落ちてきた』ってんだろう?行ってみるといい」



「ありがとう!」



こういう時のおじちゃん、やっぱり俺を拾ってくれた恩人だけあって、いい人だなって再確認できる!



それだけ短く礼をいうと俺は振り向かずに家を出て、声の導いていく方角へと足を踏み出していくのだった。

あの時の俺は、まだ分かっていなかった。

これからは俺の未来に、多くの癖ある同年代の仲間に囲まれる学園生活を送ることになるって事に......




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