精霊術学院の死霊魔術使い

ワガドゥー男子

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第45話:『第一部終了』入学編最終話

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ギャラールホルツ西方地域からもっと西にある【ケスクス大海】の中心海域にて:




海が荒れる海域にて、一つ大きな島があって、その島の中心には雲を突き破って天まで聳え立つような超巨大な大樹がある。



太くて高いその樹こそは、『世界樹(ワールドツリー)』と呼ばれていて、枝葉の多くには鬱蒼と生い茂る沢山の色で彩られた草木がある。



天頂まで昇っていく樹の本体は『神界』にまで到達していき、今この世界樹のすぐ正面の地面には真っ黒いコンパクトな禍々しい霧に全身を覆われている【人影】がそこで座って、瞑想している様子だ。



パチーーーーン!


『ゼナテスだニェ―?』


「如何にも。指示した通りに動いてくれているようだったが、フェクモにまで樹界脈を伸ばさせてた意図は何だったんだー!そういうのは契約に入ってないと思うのだがな……」



『単なる遊びだニェー。気にすることじゃないだろうにニェー』



「ふ~ん?坊やのおじを狙う意味が【単なる遊び】、だとでも言うのかね?」



『うむ。儂はただ黒坊のファーザーが亡くなれば、黒坊がどんな反応するのか楽しみで仕方ないだけじゃニェー!まあ、一時の気まぐれみたいなもんじゃから勘弁せぬかいニェ―?これからヤンチャなこともうせぬわいー!』



「君という男は~!まあ、いいけどさあ、けけけ……では、それっきりで今度は勝手な真似をしないでくれたまえー。坊やの【邪なる渇望】が目覚めるまでに好き勝手されては堪ったものじゃないからね、けけか!」



『善処するわい!じゃ、心臓部にでも戻って聖魔力気の注入をしに行くのじゃぞ?大丈夫、もう今回の【大いなる愛呼の儀】って儀式的な実験が終わったから、きゃつらにちょっかいかけるのはまだこれから先なんで、休ませる期間ぐらい与えるわいー!』



それだけいって、すぐに世界樹の中へと入る入り口みたいな大穴を潜っていった濃い霧を身に纏って顔も見えないような妙な人物だった。



世界樹の本体は確かに実体があって、物理的な存在としてそこで鎮座し、天高くまで聳え立つような物体なのだが、その大樹からの本体や枝葉から伸ばされていく『樹界脈』だけが霊体な存在で、見えない分脈として古来より規定されている路線でしか脈が伸びていなかったのである。



それを最近になって、霧に身体中を追われているあのしわがれた声した人影が心臓部の操縦部位を支配下におき、容器に貯めていた聖魔力気の注入と分脈の伸縮を自由自在に操っている様子だ。それを何度も繰り返してきて、本来で自然に通ることのない地域にまで分脈を伸ばしているのだ。



「予想した通り、手綱を握るのは厄介そうな相手だがそれも計算の内さあー!なにせ、計画に支障が出るほどのことには絶対にならないからなー!けけけ……」



ゼナテスも観念したように、ただその島から飛び上がって、下の海の空域から離脱していっただけだった。





………………………………………………




………………………





午後5:30時の王都、クレアハーツの王城内にて、謁見の間からもっと奥にある国王陛下の事務室にて:




「以下が、今回の樹界脈の可視化状態、あのイリナ……いいや、今はユニス・フォン・ゴッドフリーと変名したんで御座いましたね!彼女が言うにはそれが『樹界域展開』 と呼ばれているらしいと、遠いところから観察していた斥候が耳にありったけの聖魔力を集中してやっと聞き取れた言葉で御座いました!」



「なるほどな。じゃ、可視化した樹界脈を『樹界域展開』っていっておったな、あの化け物は?」



「はっ!」



「実体を得て可視化する正確的な位置の条件とはなんだー?流石に人も多く集まる一か所か、人一人の人間が既に立って占拠している空間にいきなり樹界脈が現れたりはせんじゃろうー?そうなれば、無差別な人体破壊と『生命体存在の上書き』ができても不思議じゃあるまいー?」



「はっ!それに関しても下調べの結果、『樹界域展開』と名付けられたあの現象は陛下が仰る通りに、正確的な出現、…というか実体化できる位置は『聖魔力』の反応がある位置から少なくとも10メートル以上離れたところにじゃないと実体化することが不可能らしいと判明致しまた!」



「やはり予測した通りのことじゃな、リノールト大臣」



「そうみたいで御座いますね!これで我々レイクウッドの民は夜、床に就ている時にいきなり家の中に樹界脈が突然に出現し、すべてを丸のみするか存在を位置と箇所ごとかき消すこともないで御座いましょうし」



生きている人間は誰もが魂を持ち、その魂が聖魔力の発生源なんだから、そう簡単に10メートル以内にひとのいる位置で出現したりはしないはず。



「ならば、この朗報に続いてもっと良い展開が明白になっていくように調査を続行してくれ!余も書類の山と向き合って色んなのチェックしておかないといかんからじゃ。だから、こっちも忙しくて仕方ないのうー。そなたも余のように仕事に専念するように。民を我々が護らなければならんじゃからな!」



「かしこまりました!仕事に戻らせて頂きますので失礼致しますね、陛下ー!」



バ―ン!



それだけいって、急いで国王陛下の事務室を出ていった【魔術発動権管理省】のリノールト・フォン・ソームヘルン大臣。





………………………………………………………………






……………………………





聖神歴895年、1月の20日、水曜日の午後8:00時、オケウエー達が王城内の宴会場にて軽い~晩餐会を終えてからの謁見の間にて:




「では、聖エレオノール精霊術学院の『チーム・オケウエー』!レイクウッド8世国王陛下様が間もなく奥からお見えになられるので全員はそこで一列に並んでから跪けー!」



「「「「「「「「「「畏まりましたーー!!」」」」」」」」」」



一声で了承の言葉を述べた俺達は言われた通りにこの綺麗なピカピカに磨かれた大理石の床へ膝を折ると、王様が玉座の後ろにある赤色の垂れ幕から出てくるのを待つ。


謁見の間の司会を務める不愛想な顔しているおっさん(顔立ちを見る限り、どうやら俺のガランクレッドおじちゃんよりもっと年を取っている様子で、白髪が軍服っぽい帽子から覗けるようだ。


ちなみに、オードリーはまだ起きてくる気配がなかったので、彼女の寮での自室においてきて、まだ眠っているままのお姉さんであるニールマリエーも当分、オードリーの側にいたいだろうという配慮でマティ―ルダに頼んで、オードリーと一緒の寮内の自室にしばらくの間どどまることの許可を得た。


そして、この王城の中へと入る前に、外から見れる外観は本当に壮観すぎて、良く本で読んでいた【ロマネスク建築】で作られていて、分厚い壁と小さな窓が一等間隔で並んでいる様は荘厳すぎて、白と灰色の混合色で出来た王城は清潔さと聖なる厳かな雰囲気を両立させたものとなっている様子だ。


「国王陛下様のご来場ですーー!!みんなご静粛にして下さい―!」


司会のおっさんがそう告げると、やっとカーテンの奥から白髪の老人が出てきて、分厚い紅色のマントを纏っているまま仰々しい赤と白と黄金色が混じっている如何にも高級そうなローブを着ながら、玉座に腰を降ろしている。



「もう立って良いぞ、『チーム・オケウエー』の諸君」


「仰られた通りにして下さいー!」


「「「「「「「「「「はいーー!!」」」」」」」」」」


言われた通りに立ち上がる俺達を見たら、



「そなた、そのチョコ色の肌しておる少年…そなたこそはチームリーダーのオケウエー・ガランクレッドじゃな?フェクモ出身の天才肌の若者で、イルレッドノイズの墨付きをもらって精霊術学院に『客人』という立場で通ってる子なんじゃよな?」



「そうです、陛下」



王様の質問に答えると、



「じゃ、まずは余から先に感謝の言葉を送ろう。そなたのお陰で、運よくその…イリナだった【新型剛力級】の脅威から王都のみんなを護れたんじゃ。ありがとうじゃぞ!」



「どういたしまして、陛下。お力になれて何よりです」



「ほっほっほっ!頼もしいのう、最近の若者は~!って、そなたの場合は外国出身で、しかもまさかあの【呪われた大地】が出身地ならば王国にとっての一大事な不祥事でも学院長の後ろ盾があって、【南地不干渉条約】に署名した我が国でありながらも巧みにいくつかの理由と狡猾な手腕で官僚達と外交官を納得させられたのが良かったな!フェクモ少年!」



「滅相もありません、陛下。俺…『私』はただ切実な事情があって、精霊術を学ばなければならなかったから、こちら『北大陸』の精霊術学院に赴いてきた次第です。その過程で思わぬ学院長からのお膳立てを貰えるなら、こちらとしても有難い限りですね」



「そっか、そうかー!それは良かったのう、少年よ!ほーほっほっ!」



と、そんな弾んでいる会話を王様と続けていると、



「《陛下、これから時間の予定が一杯詰まっております故、ご本題にお切り出しになっては頂けませんでしょうか?》」



なにやらヒソヒソと耳元で囁いているさっきのシリアス顔のおっさんが見えたので、次に改まって、こほんとせき込んでから王様が俺達の方へ向き直って、こういう、



「どうやらここからはあまり時間がなさそうなので、手早く済ませるんじゃよ!でも、勲章を授ける前に、まずは悲報から伝えなければならんのでどうか心の準備を今から備え、良く耐えて聞くがよいー!」



ん?



なんだ、改まって…



あ!もしかして!



…オードリーのドレンフィールド家が被った被害?



…オードリーのニールマリエー姉さんが攫われてきた時に、その……邸宅に侵入された時で家の者が抵抗してて、それで犠牲者が出てるって『悲報』が-!?



「リノールト大臣 …続け!」



「はっ!…オードリー・フォン・ドレンフィールド、その姉であるニールマリエー・フォン・ドレンフィールドが正体不明な『全頭部を覆う金属製の仮面』を被っている男に攫われた時、奴がドレンフィールド邸宅を父であるロバート・フォン・ドレンフィールド公爵の不在で襲撃し、門番の兵士も邸宅内の人間すべてをも虐殺したのを確認できました!さらに、一人だけ家にいるべき重要人物であるオデット貴婦人だけが予定変更のお陰で旦那と一緒にこちら王城へ仕事関連な執務室へ訪ねることによって難を逃れた唯一の女性だと判明できました!」



「「「「「「「「「「-----!!?」」」」」」」」」」





……………………………




やっぱり……かぁ……



まさかメイド達も使用人すべてを皆殺しだなんて……



クレガーキールのヤツ!外道にも程があるぞーー!!



それに、『全頭部を覆う金属製の仮面』って…………



『仮面』って言葉を聞くと、真っ先に思い浮かべる人物がいるとしたら、『あの胡散臭い雰囲気を出したあいつ』しかないんだけど、……あいつの仮面は全頭部を覆うものじゃなくて、ただ顔の上半分だけを覆っているものだしな…………



別の仮面に切り替えて被る……ということはないと、流石に…思いたい!



「オードリー…サン……くっ~!」



俺の右隣に偶然に並ぶ事になった金髪ツインテ―ルのドリル型の髪の毛してるヒルドレッドの横顔を見てみると、何かを耐えるように悲痛そうな顔を浮かべて、親指を噛みながら俯いている様子だ。



「オケウエーさん……」



左隣に立っているジュディからも悲しそうな表情を浮かべながら、俺の腕の袖をぎゅ~っと握って離れない。ストレートヘアな濃いオレンジ色のセミロング髪の毛の元々可愛らしい印象が常に維持してあるジュディであろうとも、両目が潤みそうになって、一粒、二つ粒の涙を流してしまいそうな様子。



「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」



あそこに並んでいたジェームズ一行も軽く盗み見ると、確かに誰もかれもが沈痛な表情を浮かべ、ここの場の空気が居たたまれなくて、まずくなっていく一方だ。



ぱーぱーぱーぱあーー!!



そんな重くて暗い雰囲気を打ち破るように、誰かが手を叩き合っている音が聞こえてきたーー!



「はいはいー!そこまでよ、皆の衆!レイクウッド国王陛下様の御前ですよー?落ち込む暇がおありでしたら、この後たっぷりの傷のなめ合いっこができそうなので今は控えて下さっては如何でしょうか?」



無神経にも聞こえるそんな言葉を発してきたのは30代前半の女性のようだ。どうやら分厚い真っ白い高格な魔術師が被りそうな帽子をつけながらも腰まで伸びる長いウェーブ型の銀色の髪の毛を隠すことができないみたい。



なんか高級な神官が来ていそうな真っ白いローブを着ており、赤色の線も入っているその服は右側の太ももと美しい脚だけが出ているようなデザインの格好をしながら俺達に向かって王様が見てるから態度を改めるよう訴えかけてくる!



「クローディッシアー大司祭!余のためを思ってあちらの暗澹たる気分を咎めるのはお主の仕事柄故に分からんでもないが少しはあちらの気持ちも汲んでやっておいたらどうなのじゃー!?明らかに辛そうにしてるんじゃぞえー!?」



「し…しかし、陛下!」



「もうその話はいい!じゃ、そこのオケウエーよ、良く聞いた方が良いんじゃぞ?」



「……はい。なん…でしょうか?」



「…そなたらが悲しむのも無理はない。仲間であるオードリー嬢の家族内における大事な付き人と従者達が亡くなった大惨事に対して悼む気分はよ~~く分かる権利。……じゃが、肝心のニールマリエー嬢が今、こうしてオケウエーの少年が助けられたことによって少しは救われる心境にでもなっておるじゃろうー?現当主のローバト君も運よくこの王城に働いていた時間だったため、あやつも無事で何よりじゃろうー?じゃから、落ち込むのもほどほどにせいって、クローディッシアーの言う通りに控えめにして追悼するのも手じゃと思うぞー?」



……………それもそうか。故人のためにいつまでも立ち止まっていてはいかんしな。



改めて決意のこもった表情になっている俺達を見て、王様も微笑んでこう続く、



「では、勲章の授与式を始めるぞー!リノールト大臣!」



「はっ!まずは『チーム・オケウエー』のリーダーの一人、オケウエー・ガランクレッド!前へ出ろー!」



「承知しました」



言われた通りに列の中に入っていた俺が前へ出ると、



「そなたには昔からこの王国どころか大陸全体において、世間では評判の悪いフェクモからの出身者であるのにも関わらず、学院に入ってから偏見の視線と差別的発言を晒されてきおったのも構わず、ここまで我慢して数多くの試練を乗り越えてやっと『3体の大聖霊』の内のひとりと契約でき、差別されながらも寛大に王都の住民を脅かしていた黒幕らしき『クレガーキール』からの差し金の『新型世界獣』と化したイリナ嬢を倒してくれたので、そなたには特別に、銅メダルの授与と聖騎士の称号を授けると同時に、レイクウッド王国にとってフェクモ人初の移住権と貴族称号の男爵家の爵位を与えよー!リノールト大臣!」



「こちらへ寄って下さい」



「…………へえー?」



俺、何か聞き違えたかな?



え?



へえええーー!?



「俺がー!?貴族になる~~ーー!!!!?」



素っ頓狂な声を出してみんなをびっくりさせた後、





……………………………



「これにて、汝はレイクウッド王国のために戦い、余のために仕え、そしてこれからも良く聖騎士としてあらんことを」


王様の真っ白い儀式用の剣が俺の両肩に触れた後、次は刀身にキスするように求められ、やっちゃったので、次は、



「余の指輪にも誓いの印を」


言われたので、王様の老いぼれた人差し指に嵌った指輪も口づけする羽目になった俺。


ったく、王族の指輪とキスするなら、せめて王妃様か王女のにしろよねー!こんな自分のお爺ちゃんにもなりそうな年くってる老人にやっちゃってても役得って感じしないよね、あはは……って、王女はもう攫われちまったっけ、魔神に?


「さて、今日この日から、そなたは晴れて王国にとっての初めてのフェクモ出身の貴族階級の男爵称号を与えられたんじゃが、まずは家の名前を先に決めてもらうぞ?貴族用のな」



「家……ですか?」



「うむ。そなたを育て上げたのは養父であるガランクレッドと学院長から聞いたんじゃ。じゃから、そなたの男爵家の名前も養父のを借りてつけたいのか?」



「~~んんん……」



これは難しい課題。



……そうだな、強いて言うなら、俺が自分の男爵家を命名するってなったら、やっぱり、



「いいえ、私が自分のレイクウッド王国での家系の名前はひとつしか思い至りません。そうですね、私は自分の名前で、オケウエーを男爵家の名前にしてもいいと思っております故、如何でしょうか?何故なら、自分のおじちゃんの名前を勝手に許可も取らずに借りてのもなんですしね」



こればかりは本音だ。まあ、これ以上、容体の芳しくないおじちゃんに対して彼が困りそうな真似を慎むべきだね。



「なら良いぞ、ほうほうほう!大臣!」



「はっ!」



それから、俺に書類、メダルと指定された王都の『とある空き屋敷』への扉と門のカギを手渡されてから、



「つぎ!ジュデイ・トームプソン!そして、ジェームズ・リッチモンドじゃ!」



それから、つつがなく叙勲式も順調に進み、晴れてジュディもジェームズも、まさか自分達が敬遠して、ずっと複雑な思いを抱いていた『貴族』って階級にも自分達がなる番に回るとは想像も出来なかったらしいよね!いずれも俺と同様に、『男爵家』らしい!けれど、俺のような『聖騎士』の称号はもちろんないけどね。俺と違って二人は大聖霊と契約してる訳じゃないし。



そして、これは後からになって分かることだが、どうやら俺がオールグリン王国出身でもこの国の貴族になれたのは、俺が祖国の領土であるあの森に住んでた頃、あっちの国の王様と一度も会っておらず、ましてや都市部のどっちの住民でもなかったから、国の市民としての戸籍がなに一つ持たなかったのが幸いして、こうして簡単に違う国の王様に仕えてもいいよう、解釈されたのである!



まあ、元々俺は自分のいた『オールグイン王国』の民であるという自覚や感覚も薄くて、ただ他に誰も暮らしたがらない森の奥の住民だったから、国の一市民か臣民であるよりなんか森の住民って感じが強くてなあ、あははは~。



でも、ここのレイクウッド王国の貴族になったからには、最早俺はあの森に戻って帰っても、既にオールグリンの民ではなくなり、皮肉なことにただの外国人になったのと同然なんだね、ふむふむ。良くも悪くも、俺は今、白い人らの国の少数派フェクモ系でありながらも住民の一人になったのだ。




……………………………………







……………





そして、ついに叙勲式も終了した午後8:50時となり、謁見の間から退室命令が下され今外の王城の廊下にて出口へと向かっていく俺達10人で、




「いいや~~!まさか自分も貴族の階級を与えられることになるとは~~!夢にまで思わなかったっす!」



「でも、そのお陰でやっと『リッチモンド』というジェームズがあまり好きじゃない苗字を捨てて、新しくウィンチェスターって名前で男爵の家系を始められますよねー?」



「おう!もうあのクソ親父とは会いたくねえしねー!ザマっす!」



どうやら、過去に自分の実の父であるリッチモンドが有名作家として落ちぶれてから手酷い虐待を彼から受けたそうで、早く自立してマイホームを獲得したかったので今回の授与式は渡りに船ってことらしい。



「ふふふ……おめでとう、ジェームズ・フォン・ウィンチェスター男爵~『様』。今まで散々な偏見な言葉並べ立てていたようだったけれど、いざ君が貴族になった番の今の感想はどうなの?」



「ー!?…クレアリス嬢さん、もうからかうのやめてほしいっすよー!初めてこういうのなってるんすからどう振舞えばいいかわんないってー」



「それなら、自然体がいいと思うんだよね。そうすれば、あなたが誰にも舐められないよう、自尊心と誇り高い男爵家となることができるでしょうとも!」



ジェームズの後押しをするように、シャルロットも会話に参加してきた。



「さ~て、オ・ケ・ウエー・サ・ン・?明日、わたくし達の決闘~~が控えている明日、覚えていますわよねー?」



「ひっ~!」



いきなり耳元で声をかけてきた笑顔満載のヒルドレッドがいたので、背筋に寒気が走って思わず彼女から身体を離した!



「あ、こらー!待って下さいまし!どこへ行こうとするんですのーー!?」



「決闘の件は必ず約束通りにお前とするから、今夜だけはもっとリラックスさせてよー!オードリーの家が悲惨な状態になってるばっかだからせめて俺が寮のオードリーに会って様子を見てからお前とのあれを話させてよーーーー!!」



慌てて逃げるように、俺は真っ先に走って先に王城を出て、【魔術発動権管理省】に指定された通りに王城の門を潜り抜けてから 【空中浮遊魔術】を発動して精霊術学院の寮へと帰っていったのである。王城の敷地内での不許可な魔術発動は禁じられてるから。




…………………………………………





…………………………





オードリーの自室にて:




「……お、オードリーは?」



どうやら、オードリーはもう起きたのか、彼女の自室にはベッドで横たわっている両脚が殆どないニールマリエー嬢だけがいるようだ。



「…あら、オケウエー君。もう帰ってきたのネ。さっきあたし達を助けてくれた時のことは本当にかっこよかったわ~。うちドレンフィールド家のお婿さんに来てほしいぐらいよ~?」



「…冗談はいいよ、ニールマリエーさん。俺が今、すごくオードリーと会いたいんだ。どこにいるか…教えてもらえる?…いいや、教えて『下さい』!この通り!」



深々と頭を下げてお辞儀してる俺の真摯な態度を見て何か感じたのか、



「…まあ、そこまでうちのオードリーに~?……わかったわ。彼女なら、『いつもの場所』よ?中等学院でもここでも、彼女がいそうな場所はひとつしかないわ」



「サンキュー」



それだけいって、『あの場所』へと駆け出していった俺。



タタタタ…………



「あらまあ、最近の若者はせっかちねえー。こうもハラハラな思いにさせてくれちゃって。ただ見てるだけのこっちにも…」




…………………………………




……………





聖エレオノール精霊術学院の敷地内、午後9:10時の闘技場のある【訓練場】にて:




…………



「そこにいたんだね」



「………」




案の定、数多くの強い魔道具の照明に照らされてるここなので、夜になっても彼女の姿が遠くからもはっきりと見える。他に誰一人もいないことを見るに、やっぱり昼間にあった襲撃があったばかりで、それでみんなが寮内へ引きこもってても不思議じゃない(確かにジュディが壊した壁とか窓ってあったんだけど、すべての部屋がそういった甚大な被害を被ってもないしな)……





「お姉さんが無事で良かったね。好きなんでしょう、彼女のことが…。だったら、なんでこんななんにもないとこで道草を食ってるんだー?攫われて怖い思いしたはずの姉さんの側にいるべきじゃないのー?」



「…………」



ただただその観客席の最上階な座席である、……前に学院長が座っていた台座のそこの特等席で腰を下ろして俯いているオードリーの近くまで寄ると、



「……ど……してぇ…」



ん?



彼女の俯いてるとこを見降ろすと、この近くにはただ彼女の金髪ウェーブ型しかはっきり見れないんだけど、その途切れ途切れな小さな声はー



「どう……どうして……何も……できなか…ったの?あたくしが…」



「オードリー……」



悲痛な声を出して、何かを堪えるように下を向いてるままで一向に俺の方へと見上げようとしない彼女の弱り果てた姿を見てると、



「ねえー!オケウエー!どうしてなの~~!どうしてあたくしがぁ~こオーどお…もおのぅ…頃から~!良く頑張ってぇぇー!きたぁ~…のに~ィ!結局ぅ…なぁに~も出来なかった、のーー!?ねえー!オケウエーぇぇ、ひくっ!どうじて~~んん~!ひク~!うあああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」



胸に詰まっていた全ての重りを吐き出すように、ただただ泣きじゃくって、立ち上がったオードリーはただただ、乱暴に俺の服を握りながら縋り付いてきて、俺に助けでも求めるようにありったけの気持ちをこめてワンワンと号泣してるだけだった。




…………………………………




…………………




「もう大丈夫ー?」



「……しくっ~!………ん…もう…落ち着いて…きたわ」



「……俺さあ」



「…?」



「昔、俺が10歳か、11歳だった時にフェクモにいた頃にさあ」



「…うん」



どうやら相槌だけならかろうじて声が出るようになったオードリーを見て続くと、



「実は、当時の俺も……なにも出来なかった。強くなかったから……」



確かに、俺の今までの人生における境遇はオードリーほどに波乱万丈ってわけじゃない。小さい頃から厳しい訓練を参加させられたこともないし、7歳だってのに世界獣、【剛力級クラス】の討伐任務にも姉と一緒に同行して戦う必要のない幼少時代だった。そもそも8歳としておじちゃんに発見される前、記憶なかったしね。



「でも……ある日が来たら、なんか分かった気がするんだよね。……努力だけじゃなんにも出来ないのって」



実際に努力だけじゃなくて、運よく『あの声』が導いてくれて、そして【死の魔道書】まで異空間か何処からいきなり俺の手元に落ちちゃって来たようなものだったからね。



確かにその後、『死の息吹』についても死霊魔術全般の魔技の詠唱方法と使い方が記されてる『死の魔道書』を手にいれてから沢山の訓練を経てやっと一流の死霊魔術使いにはなったんだけど、明らかにきっかけがあったから、最初にそのきっかけを与えてくれる『誰か』もしくは『なにか』があったから、俺がこうして様々な能力を習得したと言っても同然。



なのでー!別の言い方でも、…『あれ』に関して触れないようにしていても、助言ぐらい自分の人生経験に基づいてるものぐらい言えるんだよ!



「たまにはさぁ、側に立ってくれる仲間とか……何かきっかけがあれば、もっと強くなるじゃん?」



「……オケウエーにも、弱かった時…落ち込んだりする時も……あるの?」



徐々に泣きはらしていた顔に光が灯るように希望の開いた目が向けられてくると、



「ああ……オードリーほど苛烈な過去を経験したことがなくても、ある程度の苦い汁を飲まされたこともあったからな……」



半分嘘だ。だって、確かにオードリーみたいな自分の実の姉が悪者との一戦で両脚がなくなったのをただ見ることしか出来なかったトラウマ的な経験は一切ないけれど、こっちにも唯一の家族、恩人にして育ての親であるおじちゃんの命も助けたくてここへ精霊術を習得しにきたんだよねー!



自分の大事な家族が何かによって、全てを失うのって、命も危うい状況に晒されるのって、お前も俺も同じじゃないかー!ただお前の姉の命を脅かしたのはあのイリナって子で、そして俺のおじちゃんの命を脅かしてくるのは【ケクル病】っていう些細な違いがあるってだけだ。



「だから、頑張ってオードリー!昔のようにお前はもう一人じゃない。大事な仲間が。手助けしてくれる友人が。こんなにも一杯いるんだよ」



「……オケウエー……。どうやら……あたくしはあんたのことを……見誤っていたわね」



「そう思うなら有難いけれど、まだ俺の話が終わってないので最後まで付き合ってほしいね。…そうだな……今、お前は確かにもう一人じゃない。お前には契約精霊、ベネフォーロッス もいるし、そして……もしそれでも足りないというのなら、……俺が」



「……あんたが?」



俺の目を覗き込むようにただ神妙な、落ち着いているような真剣な表情を向けてくるオードリーに、



「俺がお前の『契約人間』になってやってもいいぞ?」



「~!ぷふー!」



「えー?」



「ぷふ~!あは!あっははははははははははあ~~!なにそれ~~!変なオケウエーー!」



「なー!?人が真剣にお前のためを思って提案してやっただけなのにそりゃ酷いぞ、オードリー!」



「はっははは!はは~~。もう~!始めは泣かせに来たっていうのに、今度は笑わせに~~?オケウエーって本当におバカさんみたいわね~!あっははは~!」



「……もう平気?気分は?」



「ええ…。さっきはみっともないところを見せてしまって悪かったわね。もうそんなことしないから」



「それならいいけど」



「オケウエー…。でも、さっきあんたの言ってた言葉…本気…なのよねー?」



「もちろんだ。俺はいつまでも本気だぞ?」



「実は、あたくしも…怖かったわよね。お姉さんと向き合うのって…」



「だから逃げてきたんだったよね?俺達が初めて出会うことになったこの訓練場にまで寄ってきて…」



「ええ…。昔、お慕いしていたお姉様……。お姉様が一番輝かしかった『大聖霊術師』の時代から尊敬していて、憧れでもしていたあの方に対して、……ある日を境に魔神に敗れて両脚を失うほどに障害者となってから、あたくしはいつしかお姉様が無様にも契約精霊を失ったまでに負けたことによって……幻滅…っていうか、落胆…みたいな気持ちを感じてたことあったわよね…」



「だから、今回の件でお前がそれを負い目に感じて、今度こそ姉さんを絶対に助け出してやるーってなった時に…」



「またしても…何も出来なったわね。あの『最悪な日』と同じようにね」



「……だから、結局は二人ともを俺が無事に助け出して、助けようとしたお前だったが失敗したことにより、『どの面下げて姉ちゃんと顔向けできるのか』って、どうやって一緒の部屋で口が利けるのかってなって、 今まで感じてきた様々な負の感情や後悔の念が混じっていて、罪悪感に苛まれるように感じたお前がここへ逃げてきたんだよね?」



「……うん。あたくしがあまりにも弱かったから。お姉さんを助け出すどころか、結局、……家のみんなまでも巻き込んでしまって、誰も彼も迷惑ばかりかけていたって、……自分の弱さに対して、嫌悪感と絶望感しか、……湧いてこないわよね…」



「…………人間、いつか全てから逃げたいって、……休憩したいって……そういう時もあるよね?」



「ええ…って、オケウエー!あんたはいつからそんな哲学的な男子になってるっていうのよー?らしくないわよ、そんなの」



「そう?ただなんとなく言ってみたかったってだけだぞ?」



「ねえ、オケウエー……さっき言ってくれた言葉……が本当なら、…本気……よね?『俺がお前の【契約人間】になってやってもいい』って」



「…ああ、もちろん真剣さー」


「なら、そういうことなら……」

ぎゅむ~!



えー!?

「ちゅっ!んむふ~!ちゅちゅ~!」


俺の顔をオードリーの美しい白い顔が近づいて、そして身体ごとも寄せてきた彼女が右手で俺の服を掴んでいて、強引にディ―プな口づけを交わしてくれた。


「ちゅ!んむっ~!」


「……ちゅっ~」


「…ちゅ……」

「………ちゅ~!」




………………………………




「……やりすぎて…しまったわね」



「ああ…」



「ねえ、オケウエー…」



「うん?」



「いいわよ」



「何が?」



「あんた、……あたくしの『契約人間』になっていても」



「そう……。ならー!」



「ほえー!?」



驚いているオードリーがいても不思議じゃない。



何故ならー!



「俺達は~!いつも~!いつになっても~!良い戦友として共に戦っていく大事な仲間同士だからね~!」



オードリーの右手を握り持って、天高く掲げて誓いの言葉でもするように(確かに痛く見えたけどそれもご愛敬ってことで)、俺達はただただ夜空の果てまでを眺め続けるだけだった。心なしか、なんか俺が『いつになっても~!良い戦友として』って言ってたあたりからオードリーの顔に少しだけ憮然とした色が滲み出るように見えたけど、あれって気のせい...なのかな?.........




まあ、とりあえず!




……………………………



これから、起こるであろう様々な出来事が如何にも手に負えないように感じても、



……………



最後は、俺達、『チーム・オケウエー』が、



………



力を合わせて、どんな困難も、どんな過酷な戦いがあっても、



……



勝てる気がしちゃう!オードリーと一緒なら。



そして、.....



ジュディも、クレアリスも、ヒルドレッドも、ジェームズも!



皆がいてくれるから、強くなれたー!



(実際に、俺がまだ愛の大聖霊と契約してなかった最初の決闘で、精練魔剣を貸してくれたのもクレアリスだったしね)



なので!



クレガーキールも氷竜もどんとこいー!



怖くないし、負けないからなー!





……………………………………





…………





『第一部、終了』



____________________________________



これにて、『第一部:入学編』が完了して、第二部に続きます。



第二部、『氷竜討伐任務編』は書籍化したら2巻(上と下)も要るようなとても長い一編になるので、オケウエー達の行く末をこれからも見守って頂けると幸いです。
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