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第46話:『第二部(氷竜討伐任務編)開幕』プロローグ
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………
黒い……
真っ黒い………
漆黒のようにただただ、一条の光も差していない極黒な監獄のような感覚がその場所すべてを覆い尽くす。
……………………
とにかく、闇夜より真っ暗な空間に、人々の声が聞こえてきた!
「うおおおあーー!?なんだここはー!?いきなり暗くなって何も見えなくなるぞーー!?」
「隊長ーー!?どこですかー!?今どのような状況で、どうすればー」
「落ち着け―!今は慌てずに、正確な状況の分析をすべきだ、クラーク!」
「でも、さっきは太陽も見えるような真っ昼間な峡谷だったのに、なんでいきなり月のない、魔道光灯の一つも一切つけられなくなってる極黒の夜みたいなところになったのかーーーー!!?
「助けて―!私、真っ黒いとこ嫌あああああああ―――ーーーーーーー!!!」
恐怖。戦慄。絶望感。
様々な負の感情が巻き起こされ、その場にいる全ての人間をも混乱させ、冷静さを失くさせるのに十分な恐怖感を呼び起こさせた、その不可解の現象の真っただ中に、
「えー!?ぎゃあああああああああぁあーーーーーーーーーー!!!!?」
「うわぁ~!?なにこれ!?腕に!腕に!ぞわぞわした蛇と蚯蚓のような感覚がー!?」
「ふぎゃあーーあうぅ~~!?おらの股間がー!?股間がぁあ~!?っんつッー!………」
「わふぅぎう~!はへえぇ~~!わたひの歯ハあぁあーー!?歯ハー!ーーなひはおこっはーー!?」
「ううおおああぁぁッ~~!?しっぐー!もうしっぐーー~~!?」
「はぎゃああああああーーーーーーーーー!!あヴぁヴぁー!?痛ヴいたいー!!!~!?」
「真っ黒い――@?#-!?真っ黒い何かーー!?あたしの目にーー@!?あたしの脳裏に~~!@>?」
………………
………
阿鼻叫喚が終わった後に、
その場所に残っているのは……たった一人!
「……んっ」
「あら?君だけ?残っているのは…」
「こんな子供騙しな『黒絶暗狂』に、私が倒せるとでも思ったか?」
ぱちいいいいーーーーーーーーつ!!
ピカアァーーーーーーーーーーーーーー!!!
たったぱっちと鳴らした指だけで、暗獄のような絶望感しか湧かないその極黒な空間でさえも圧倒的な光の本流が迸ってきて、その峡谷のドまん中を聖なる真っ白い閃光で全てを浄化し、断罪することができた純粋で無垢なる光源となった!
……………
「流石は『正義の大聖霊』だわ……。なぜ味方を助けなかったのか、なぜ『うちのように』力を他のみんなから隠さなきゃいけないのか判明してないようだけれど、そっちが全力を出す気になったら撤退するしかないのねー」
「逃げるのか?」
「勘違いしないで。うちはただ……」
………………
「慎重すぎる女の子なだけよ」
ターー!
悪夢……だったのような光景から一転して、
夢が……
……………
別の場面に移行するように、今度はー!
「おはようー。…オケウエー君…。もう元気…なのね?」
砂浜がいっぱい広がるような気持ちの良い陽気を感じるところに、俺の視界を上から覆い尽くす一人の少女の顔が見えた!
「ふふふ……予想した通りに、『暗黒魔術』に対抗できる唯一な能力…聖なる力を持つ君達の『3体の大聖霊』なのよね?…でも、君だけは特別な存在よ?なにせー」
「クレ……アリス?」
確かに、俺の視界を埋めつくしている今の彼女は、青い髪の毛ストレートヘアで前髪が斜め流しの少女、クレアリス・フォン・シュナイダーという子だった。
上から見下ろしている彼女の言葉を訝しむように、それだけ声を漏らした俺に、
「『聖なる能力と性質を持つ愛の大聖霊』と契約しておきながら、唯一『漆黒の魔王』になれる英雄的な存在となっていけるのだからよ」
それだけいって、目線と目線との距離が縮んでくるなり、顔を近づけてきたクレアリスに、
「んむふっ」
軽い口づけをされたのだった!
………………
………
『ちゅっ』
「うぅぅ…」
『ちゅ!ちゅちゅ…』
「んぐ?ん~」
『んちゅっ~!ちゅちゅうー!』
「~~!?」
もうくすぐった過ぎたので、完全に覚醒したーー!
「イーズーー!!」
ガーン!
『痛だー!』
「許可もなく人の乳首に吸いついてきたからそうなるんだぞー?」
『はい~』
今の時間は…っと、もうこんな時間ー!?
「やばいー!遅刻しちゃうから早く行くぞ!」
『イエース、マイ―マスター』
取り合えず早く着替えて寮内の食堂へ軽い朝食のパンを取りに行って、齧りながら登校しないと!
それにしても、さっきの変な夢は何だったのだー!?
『暗黒魔術』は確かに、昔フェクモにいた頃で、【死の魔道書】に参照して死霊魔術の数々を練習していた時に書の中に記されたことあるそれは、確かに死霊魔術とは別系統な魔術なんだったっけ?
それも、既に絶滅した類の魔術で、正確な発動方法も分からない程に使い手がまったくいないとされてる【失われた魔術】って書いてなかったっけ?
それも、『死の息吹』を力の源にせず、ただ普通な『聖魔力』を暗黒物質に近い方面に持っていくことでしか使用できない魔術だって書いてあったっけ?
なんか、俺のイーズが【改:絶清大聖魔術技】という究極な【大聖霊級の精霊魔術】を発動する際に聖魔力を【大聖魔力】に変換する必要があるように、【暗黒魔術】というのは聖魔力を【黒魔力】と【大黒魔力】に変換することでしか発動できないって記されたんだよね?
なんで夢の中のクレアリスがそんなこと言ってたのか分からなかったけど、さすがにただの夢だったし、クレアリスはまさか【失われた魔術】のあれを使えるはずないもんね、きっと!
まあ、分からないことを考えていてもしょうがないので早く歯磨きや髪とかししてから制服に着替えろ、我が手よ~!
……………………
「……ん。これでよし!」
一夜して聖魔力すべても回復した俺が身支度を整え終え、聖剣イーズベリアを腰の鞘に仕舞うと、すぐに自室を出ていった。
「あら、オケウエークン、朝食はパンだけなんです?遅刻しそうな時間帯とはいえ、いつもそんなんじゃ育たないですよ?身長~」
「ははは!忠告してありがとう、マティ―ルダさん!でも大丈夫!たまたま今日がこうなってるだけだ!」
他のみんなも既に先へ行っちゃってたので、取り残された俺は早く教室につかないとなー!
寮の玄関にある両開きの扉を開け、そのすぐ正面にある綺麗に切りそろえて整えられた草が両脇から美しい花々の咲き乱れる植物たちに挟まれてるそこを通ってから寮の門を潜り抜けようとしたらー
「お、オードリー!俺と同じでお前も遅刻しそうなのかよー?」
本来、ホームルームの時間が始まる午前7時:40分に、生徒がそれより20分も早くて教室について準備するよう求められるので、今の腕時計を見る限りは7時:28分になったので遅刻しそうになるのは明白だ。
「オケウエー!…そうだわ。昨日、色々ありすぎたから…」
「……それもそうかぁ……じゃ、身体の方は…もう大丈夫?」
昨日、あのイリナって子がオードリーを『混沌の波力』がいっぱい詰まってる魔術的の柱で閉じ込めながら味わわせた激痛のためか、つらく苦しんでいた様子のオードリーを上から屋敷の屋根を突き破りながら下降した時に見たので、その影響が未だに残ってるのか心配で訪ねると、
「…昨夜、あんた達が王城へ叙勲式に参加するために行っていた頃、起き出したばかりのあたくしの容体を確かめてくれたお姉様とマティ―ルダが側にいてくれたので、どうやら身体中の正常なる機能と聖魔力の全回復を確認できて異常がなさそうだって診断が下されたわ。……なので、こうしてあたくし自身も痛みも怠さも感じなくなった訳だから、その診断に間違いないと思うわよ」
「良かった~!あの柱はマジでヤバそうな感じがしたから、オードリーの身体に長期的な害を及ぼしてくるんじゃないかって気が気じゃなかったんだったね!」
「それならもう安心していいわよ。この通り、ピンピンしてるわー!」
オードリーに何も異常がないことを確認すると、
「…………」
急に黙り込んで言葉を発するのが辛そうに俯きだしているオードリーに、
「……過去に、何か……あったそうだが、ごめんね。俺の手で、その……お前の昔の…友人?…だったっけ?の………イ…リナを、俺が…」
「……オケウエー…、もうそんなに声を濁したり、躊躇しながら言う必要はないわ…。あたくし、お父様、……そして我がドレンフィールド家みんなの責任よ。イリナがああなってしまったのも……全部、あたくしが昔で、彼女のために何もしてあげられなかったのが全ての原因よ。オケウエーが責任を感じることは一切ないわ。ただバケモノの『新型剛力級』を討伐しただけのことでしょー?」
「たとえ…そうだとしてもー!俺にもっと別の力があればー!彼女のために、何かしてあげられたはずー!でも、俺に……イーズに……そんな力、なかった…から」
実際に、俺の死霊魔術の能力にも、人の魂を別の『生物学的に近い容器』つまり、……俺の特性のホーマンキュラスへ移植することも可能と、【死の魔道書】をフェクモで読んでいた頃から知っていた。でも、実際に人に試して行ったことはないので、どういうものになるのか想像することもできないが。
イリナのペンダントの能力が発動する前、彼女に試すこともできたが、生憎と彼女は友達でもなんでもなかったので、あの時に怒り心頭な俺がイリナを助けよう、なんて気が起きなかったので試そうという衝動が湧かなかった。でも、今のオードリーの悲しそうな顔を見てたら、やっぱりイリナの魂が【聖体正義戦獣】に移植される前に、ゾンビー化でもなく【ホーマンキュラス霊魂移植】を試すべきだったかもね。
でも、ゾンビー化にせよ、【ホーマンキュラス霊魂移植】にせよ、結局周りの人に俺が死霊魔術を使えるという事実は最後まで隠し通さなければならないので、たとえイリナを俺の術で助けられてもずっと【異空間収納】で保管するしかないんだよなぁー。
「………結局、あたくし達は最後まで運命に抗えなかったってだけ……わよ。イリナも……すべてを失って、ああなってしまうのも………」
「………」
俺とオードリーが暗い気持ちになりかけたところで、ふと思い出したことがあるので、
「ん?そういえば、…お前の姉さん、ニールマリエー嬢はどこに?まだ部屋にいるの?」
「…ええ。昨日の大事件から、もっと精神的に参っているかと思っていたけれど、流石はお姉様といったところか、記憶喪失中な障害者となった今でも心持ちがしっかりしてるようわね」
「それは良かった!でも一人に残してきて大丈夫?護衛をつけなくても」
「それに関しては平気だわ。ここ精霊術学院には、あの……イーリ~!って子~っ…以外は危害を加えてこようとする子はまったくいないし、それどころか、現役時代のお姉様に憧れて、今でも親切にドアの外で見張っていてくれた寮母の部下のスタッフが二名まで志願したわ。一人だけ、…リディアだったっけ?…が昔に風系魔術が得意な魔術師だから王国軍に従軍したって話も聞いたわ…だから、お姉様はもう大丈夫だと思うわ。昨日の今日だし、黒幕であるあのクレガーキールもさすがにまた奇襲をかけにくることはない…はずよ?」
「なるほどな」
「……それに、ついさっきお父様とも連絡をとって、お姉様を屋敷まで連れて帰るよう魔道飛行車を出すって言われたわ」
そう付け加えたオードリーに、
「それなら安心だね。姉さんにしっかりした護衛がつくことで」
「…ふ~ん!お姉様の心配をあんたがしてても何も出ないわね、ふん!……まあ、でも、一応、……感謝ぁ…はぁ…するぅ……けど?」
なんか急に照れだしてきたオードリーを微笑ましいと思いながらも遅刻はダメなので構わずに門を開けて学院へと歩き出すと、
「あ、ちょっとー!あたくしも行くわ!」
慌てて俺に続いて、学院の本棟の玄関まで急いで向かっていった。
………………
それから、玄関を通ってきて、一年生用の三つの教室が並んでいる一階の右側の廊下へと差し掛かると、
「あ!ジュディにクレアリスだー!」
この前、イリーズカ先生と共にアイデールスの町へ世界獣の大群を討伐しに行った時、同じ組み合わせのジュディとクレアリスが廊下で何やら立ちながら話し合っているのが見えたので、二人の前まで近づいて挨拶すると、
「オケウエーさん、オードリーさん!おはよう!」
「ふふ、おはようさん、二人とも」
「お前達だけ?なんで廊下に向かい合って話し合ってるの?もうすぐホームルームだよ?」
この学院は基本的に学院行事や重要な用事や知らせがない以上、全校集会で生徒を集めて恒例のように毎日に集合させられることはないので、こうしていつも即行で教室へ行ってホームロームの先生がやってくることを待つだけでいい学風というか習慣になってるんだ。
「うちらはただ昨日の『ケルノット平野』での戦闘経験を活かして、これからどうやって二人一緒のコンビで上手く敵を制圧できるのかを論議していただけよ」
「そうですよねー!クレアリスはいつも敵を眠らせられる矢を射れますし、その特性を活かしてオケウエーさん達と他のチームメイトが不在の場合でも私達二人だけで敵を倒せるよう戦術プランを練っていきたいだけですよ」
「なるほどな」
健気だな、二人とも。いつも俺とオードリー、そしてヒルドレッドとジェームズの力に頼らなくてもいいように備えておきたいってことか。
「その割には、中で座って話し合わないようにしているのだけれど…もしかして関係のない、チームメイトでもない他の同級生に話を邪魔されないように?」
「そうね、オードリー。そんなところよ」
「あ~ははは……クラスメイトには冷たいことしてるかもしれませんけど、チームメイト同士の話はチームメイト同士だけで聞かせ合っているだけ良いですからね」
それもそうかぁー。部外者に聞かれる可能性高い方の教室でわざわざ座って話をするでもないしな。
ん?気になってることがもう残ってるので、
「そういや、ジェームズってどこなのか知らない?もうC組に入ってるの?」
「あ、もしジェームズさんの事が気になりましたら、私も寮の玄関を通った時から彼とは会ってませんよ?C組の窓から覗き込んでも彼の姿は見えなかったし、恐らくまだ寮内の自室にいると思いますね。でも門から出ようとしたら偶然にもクレアリスさんと鉢合わせしてましたからそれで一緒にここまで登校してきたんです」
「道理でジェームズがどこにもいないって訳」
……ふとクレアリスの端正な顔を見つめてしまうけど、なんかあの悪夢のことが鮮明に呼び起こされ、クレアリスが夢の中で『地獄絵図に見える何かをしていたのか』が脳内をよぎって得も言われぬ寒気が走ったので思わず目をそらしてしまった。
「ふ~ん、あんたの唯一の同性友達だから、やっぱり気になるの?」
「まあ、そんなところかな?」
神妙な顔してるオードリーの質問に答えたら、今度は、
「多分、ジェームズさんならまだ疲れで眠っていたかもしれませんね。前に彼に言われたことありましたけれど、魔術を使ってから朝起きる時はなんか怠すぎ~とか言ってましたよ?ですから、手に入れたばかりの契約精霊で使った精霊魔術でも同じようになるんじゃないかなって」
それほどに軟弱体質なのかよー!ジェームズは!【四元素魔術】の使用後だけじゃなくて【精霊魔術】を使った後も怠くなり過ぎかよー!?
声に出すと彼に失礼なので脳内セルフ突っ込みをしてると、
「あるいは、シャルロットっていう子と一緒に明朝よりもっと早い時間から起きて訓練場で修行をしていただけかもしれないのよ?昨夜、オケウエーがヒルドレッド嬢から逃げていった時から、シャルロットとジェームズはそれなりに喋ってたのね。あの時、用事を思い出していたからうちも早めにみんなと別れて退散していたけれど、あの感じだと一緒に訓練する約束でも交わし合っていたんじゃないのかしら?」
「へええ……ジェームズとシャルロットってそんな関係なんだっけ?4人が一緒だった討伐任務に、なにかあったのかな…」
「…まあ、あの男がどんな女の子と二人っきりな時間を過ごそうと、あたくし達には関係のないことだわ。さあ、みんな、早く教室にいく?先生が着いてくるわよ」
ん?オードリーの発言が気になり、彼女に向き直ると後ろに視線を感じたから、どうやら歩いてきたイリーズカ先生と目があった。先生もう着いたんだね!
「はい~はい~!B組の子もう揃ったようで嬉しいわ~!さ~て、ホームルームを始めるから、早く中へ入って入って、オケウエー君、オードリーちゃんにジュディちゃん~!後、クレアリスちゃんもね~」
タタタタタターーーー!!!
「ま、待って下さいましーー!」
え?
誰かが走ってきた足音が聞こえてきたので、あそこを見てみると、
「はぁーはぁ…って、なに緊張して息切らしてますの、わたくしー!?」
そう、確かに精霊と契約してる者は精霊魔術や魔術に対する耐性が強くなって、強靭な身体を持ってる我々『精霊術使い』でもある程度の身体能力も上がってきた。余ほどのことじゃないと、こんな近距離で走ってきてそこまで息切らすこともないだろう。
つまり、ヒルドレッドが息も絶え絶えになってるのは、実際に疲労感からくるものじゃなくて、単なる気持ち的な部分な方が大きい。
「こほーん!さーて、そこのオケウエーサン!覚悟はもういい~?今日こそ、わたくしと決闘してもらいますわ、それも放課後の訓練場で!」
「ああ、その件に関してはもう了承済みだけど?」
「それもどうかしらね!わたくしと戦うのが怖くて何か理由でもつけて延期させてこないとも限りませんわよー?」
「そうはしないよ?ったく、お前の中に俺がどんなふうに映ってるんだよ?一応、つい先日で『愛の大聖霊』と契約してきたばかりの男子精霊術使いの一人だぜ?それに、約束も守れずに逃げ出すとか俺の性分じゃないしね」
「それなら良かったですわね~!お~ほほほほほー!早く放課後にならないか今から楽しみで仕方ありませんわよ、お~ほほほほー!」
「あ、あのう~~ヒルドレッドちゃん、オケウエー君……一応、ホールルームの時間はもう始まっちゃってるわよ~?早く教室へ入っていかないと~」
俺とヒルドレッドの掛け合いを見て困惑してるのか、珍しく困った顔してる先生が見えたー!
…………………………………………
……………………
カチャ―!
B組の教室のドアを開けて、俺、オードリーやジュディだけが中へ入ると、
「「「「「「……………」」」」」」
「…え?」
どうしてなのか、クラスに入ってすぐそこの先生が立つべき段差のすぐ下の位置で、学生席がずらりと斜め上へと続いていくあそこより、もっとここから身近にあるその開き空間に、クラスメート全員……だろうか?、の数の女子生徒達が集まっていて、俺達が入ってくるのを待つみたいにそこでじっとしてて動かない様子だ。
みんな真剣な表情を浮かべていて、何かをもじもじと照れたり、困っているように俺の方に向いているままだ。そういえば、確かにこの前、学院に通ってた時に俺は未だに疎まれてる者だったっけ?いいや、『嫌われ者』と言った方が正しいかぁー。
「オケウエーくん!」
「-ん?お前は……ニナだ!」
どうしたのか、集団の中に入っているニナがいて、弾んでいる声と表情で俺の名を呼んでいるようだ。
「…昨日、…王都の外れにある、第2区画の廃墟群の住宅街だったところに、超~巨大な『新型世界獣』が出現したってニュースが出回ってたんですよねー?なんかここからあの巨体を視認して確認できた子も多かったしー!」
「…そうだったよ。学院のここからでもあの姿を見取れるなら、やっぱり相当なサイズを誇っていたなぁって再認識させられたね」
「ここの学生領近くにも樹界脈が見えるようになって世界獣を出現させてたそうでしたけど、あの超巨人な世界獣と同じ、全部チームオケウエーの皆さんが倒してくれたんですよねー?特に巨人の方はオケウエーさん単独で討伐できたと今朝のマジック・クリスタル中継のニュースで知っちゃったけど本当でしたよねー?」
「ああ……確かに、先日の野外遠征の授業でルネヨー・フラックシスの愛の大聖霊と契約できた俺がその大聖霊、イーズベリアと共にあの『聖体正義戦獣』って呼ばれた新型剛力級を俺が苦戦の末、やっと撃滅できたんだけど?」
実際には、確かにイーズの攻撃すべてが無効化されたから愛の大聖霊に頼るだけじゃあの純粋な聖なる存在と化したイリナを倒せなかったっていうのもあるんだけど、死霊魔術で戦ったら簡単に滅ぼせたので苦戦と言った方があやしいが、とりあえず無難そうに聞こえるこの返事でいくと、
「それならっ!王都のみんなも、私達学院生のみんなを助けてくれたことも!何もかも本当にありがとうございましたーー!!!」
深々と頭を下げてくる茶髪セミロングのニナにつられるように、他の子達も一斉に彼女に倣って、俺に向かってお辞儀した後、
「「「「「今までの無礼を働いてきたことー!本当に心の底からお詫び申し上げます!たかがフェクモからが出身地ってだけで差別的な態度を取ってきてすみませんでした!ですから、どうか私達をお許しになって頂けないでしょうかー!?聖騎士オケウエーフォン・オケウエーー様!!」」」」」
「…………」
......どうやら、俺の男爵家の名前もニュースで知っちゃってる様子だね。
こ、これはなんていえばいいんだろう、こんな状況……
今までこういうの経験したことないからどういう反応と返事をすればいいか分かんないやー。
「あ~はははは……どうやら、私達のB組教室のみんなも今までのオケウエーさんに対する扱いに関して反省してるみたいですし、早速に英雄って感じになったりしませんか、彼?」
「まあ、そうなるわね。不当な扱いばかりしてきたから、いざ、その散々バカにしてた相手のおかげで上級世界獣の脅威から守られでもしたら、手のひら返してくるに違いないわよ。彼女達だって根っから悪い人ばかりじゃないから、善意の姿勢でも見せられたらさすがに評価してくれるわ」
ジュディの言葉にそう返したオードリー。さ~て、俺も彼女達の真摯な気持ちに対して返答を述べないとな!
「みんな、頭を上げてくれ!確かに、俺は学院のみんな、王都のみんなまでも複数の剛力級から守り通すことができたということなんだけど、全ての敵を俺一人が倒したわけじゃないよ?ケルノット平野での大群、そして王都の2か所の中等学院、そこに現れた世界獣の群れをやっつけたのは俺じゃなくて、ここのイリーズカ先生と俺の仲間達だったからね!だから、評価してくれたのは嬉しいけど、あまり大袈裟に受け取ったりしなくても……」
困惑したそうな顔うかべる俺に、
「それでもすごく感謝したくなりますよー!ね、シルフイー?」
銀髪ウェーブ型ショートな髪を持つ子に話を振ったニナ。
「そうだね!悪い噂だけで、そしてただ魔術がまったく使えない大陸からやってきただけで大罪扱いは良くないー!偏見を持つのが駄目だって、言ってたのにねー!」
「あたしもそう思ってたんだよ?出身地がどこだろうとそれで人の価値を判断するのはナンセンスだって前々から知ってるのに~みんながああまでして頑固にオケウエー君をイジメようとしてたから同調圧力が怖くて仕方なく付き合わされてただけだよー?」
「それに、よくよく歴史書を読んでみたら、確かに天頂神様のご意志には『フェクモ人』との交流をしてはならないって決まりが一切ないってはずですわよー?ただただ各国のお偉いさんが昔からで、もしも魔術が全然使えないあそことの交流が普通に許されたら、不便なフェクモから魔術が自由自在に学べたり修行できるここギャラ―ルホルツへと移民してくる方が一杯になるかもしれないって政治的な懸念があったから、『南地不干渉条約』が結ばれたってだけですよねー?つまり、神様からの御決定でもなく、私達人間が勝手に決めたことだけですし!」
「天頂神がどういう考えを持ってフェクモにあんな枷を施すことになったか知らんがそれだけでオケウエーを見た目や出身地だけで悪く思うこと自体は貴族家のオレらモリアナ家にとって大恥だけだったぞー!」
オレっ子もいるこの教室で、口々に俺を今まで差別してきたことが単なる『同調圧力』だったって言ってくれてることに感極まった俺は思わず、涙が滲み出てしまって、そしてー
「しくっ~!ぐずっ…み、みんなー!本当の気持ちー!…を伝えてくれてありがとうー!まさかあれほど俺のことを嫌っていたみんなからこうも優しい言葉をかけて貰える日がくるなんてー!思ってもみなかったよぉ~!ひっくっ!」
「あらまあ、泣いちゃ駄目ヨ―?かっこいいところ台無しだワ~、うフ!」
パチーーン!
「~~~!?」
どういう訳か、俺の尻を叩いてじゃれついてきた女子生徒がいるようだったけど、誰―!?
「ニナちゃんの良き友人、イサベラだヨー?美味しそうだったから前々からずっと叩いてみたかったワ~、オケウエーちゃんのチョコ色しそうなお美味っ尻~ィ」
「セクハラ女子かよお前ーーー!?」
バシ――――!
「痛イー!」
イーズにやったのと同じ要領で、ヘッドバンド装着の黒髪ロングしてるイサベラにも拳骨を見舞いしたー!向こうが先に手を出してきたんだから、男女平等の軽~い暴力で返すだけのことさあー!
ったく、人の身体をおもちゃに扱うからこうなるんだぞー?
って、なんか今日だけで二回までもこういう同じ台詞ばかり言ってる気がした!
「むっ~」
ん?なんかそこにいるオードリーを見てみたら、むすっとした顔してるんだけど、なんでー?
それに、すっごい顔してそこで蹲ってるイザベラのことを睨んでるんだけど、まさか俺の尻叩いたことに怒って仕返しとかするつもりじゃないだろうなー、さすがに!もう拳骨もお見舞いしたし、そんなに大袈裟なこと考えなくても...
パチパチパチパチーー!!
「はいはい~~!みんな騒ぎすぎよ~?オケウエー君への仲直りが出来たのなら早速ホームルーム始めるわよ――?残り時間もう1分以下しかないわ~~」
それから、イリーズカの短い連絡事項が終わって、1時限目の授業である……数学が始まった…ったく、朝っぱらから数学とは気が滅入るなぁ、ははは……
………………………………………………
………………………
________________________________________
黒い……
真っ黒い………
漆黒のようにただただ、一条の光も差していない極黒な監獄のような感覚がその場所すべてを覆い尽くす。
……………………
とにかく、闇夜より真っ暗な空間に、人々の声が聞こえてきた!
「うおおおあーー!?なんだここはー!?いきなり暗くなって何も見えなくなるぞーー!?」
「隊長ーー!?どこですかー!?今どのような状況で、どうすればー」
「落ち着け―!今は慌てずに、正確な状況の分析をすべきだ、クラーク!」
「でも、さっきは太陽も見えるような真っ昼間な峡谷だったのに、なんでいきなり月のない、魔道光灯の一つも一切つけられなくなってる極黒の夜みたいなところになったのかーーーー!!?
「助けて―!私、真っ黒いとこ嫌あああああああ―――ーーーーーーー!!!」
恐怖。戦慄。絶望感。
様々な負の感情が巻き起こされ、その場にいる全ての人間をも混乱させ、冷静さを失くさせるのに十分な恐怖感を呼び起こさせた、その不可解の現象の真っただ中に、
「えー!?ぎゃあああああああああぁあーーーーーーーーーー!!!!?」
「うわぁ~!?なにこれ!?腕に!腕に!ぞわぞわした蛇と蚯蚓のような感覚がー!?」
「ふぎゃあーーあうぅ~~!?おらの股間がー!?股間がぁあ~!?っんつッー!………」
「わふぅぎう~!はへえぇ~~!わたひの歯ハあぁあーー!?歯ハー!ーーなひはおこっはーー!?」
「ううおおああぁぁッ~~!?しっぐー!もうしっぐーー~~!?」
「はぎゃああああああーーーーーーーーー!!あヴぁヴぁー!?痛ヴいたいー!!!~!?」
「真っ黒い――@?#-!?真っ黒い何かーー!?あたしの目にーー@!?あたしの脳裏に~~!@>?」
………………
………
阿鼻叫喚が終わった後に、
その場所に残っているのは……たった一人!
「……んっ」
「あら?君だけ?残っているのは…」
「こんな子供騙しな『黒絶暗狂』に、私が倒せるとでも思ったか?」
ぱちいいいいーーーーーーーーつ!!
ピカアァーーーーーーーーーーーーーー!!!
たったぱっちと鳴らした指だけで、暗獄のような絶望感しか湧かないその極黒な空間でさえも圧倒的な光の本流が迸ってきて、その峡谷のドまん中を聖なる真っ白い閃光で全てを浄化し、断罪することができた純粋で無垢なる光源となった!
……………
「流石は『正義の大聖霊』だわ……。なぜ味方を助けなかったのか、なぜ『うちのように』力を他のみんなから隠さなきゃいけないのか判明してないようだけれど、そっちが全力を出す気になったら撤退するしかないのねー」
「逃げるのか?」
「勘違いしないで。うちはただ……」
………………
「慎重すぎる女の子なだけよ」
ターー!
悪夢……だったのような光景から一転して、
夢が……
……………
別の場面に移行するように、今度はー!
「おはようー。…オケウエー君…。もう元気…なのね?」
砂浜がいっぱい広がるような気持ちの良い陽気を感じるところに、俺の視界を上から覆い尽くす一人の少女の顔が見えた!
「ふふふ……予想した通りに、『暗黒魔術』に対抗できる唯一な能力…聖なる力を持つ君達の『3体の大聖霊』なのよね?…でも、君だけは特別な存在よ?なにせー」
「クレ……アリス?」
確かに、俺の視界を埋めつくしている今の彼女は、青い髪の毛ストレートヘアで前髪が斜め流しの少女、クレアリス・フォン・シュナイダーという子だった。
上から見下ろしている彼女の言葉を訝しむように、それだけ声を漏らした俺に、
「『聖なる能力と性質を持つ愛の大聖霊』と契約しておきながら、唯一『漆黒の魔王』になれる英雄的な存在となっていけるのだからよ」
それだけいって、目線と目線との距離が縮んでくるなり、顔を近づけてきたクレアリスに、
「んむふっ」
軽い口づけをされたのだった!
………………
………
『ちゅっ』
「うぅぅ…」
『ちゅ!ちゅちゅ…』
「んぐ?ん~」
『んちゅっ~!ちゅちゅうー!』
「~~!?」
もうくすぐった過ぎたので、完全に覚醒したーー!
「イーズーー!!」
ガーン!
『痛だー!』
「許可もなく人の乳首に吸いついてきたからそうなるんだぞー?」
『はい~』
今の時間は…っと、もうこんな時間ー!?
「やばいー!遅刻しちゃうから早く行くぞ!」
『イエース、マイ―マスター』
取り合えず早く着替えて寮内の食堂へ軽い朝食のパンを取りに行って、齧りながら登校しないと!
それにしても、さっきの変な夢は何だったのだー!?
『暗黒魔術』は確かに、昔フェクモにいた頃で、【死の魔道書】に参照して死霊魔術の数々を練習していた時に書の中に記されたことあるそれは、確かに死霊魔術とは別系統な魔術なんだったっけ?
それも、既に絶滅した類の魔術で、正確な発動方法も分からない程に使い手がまったくいないとされてる【失われた魔術】って書いてなかったっけ?
それも、『死の息吹』を力の源にせず、ただ普通な『聖魔力』を暗黒物質に近い方面に持っていくことでしか使用できない魔術だって書いてあったっけ?
なんか、俺のイーズが【改:絶清大聖魔術技】という究極な【大聖霊級の精霊魔術】を発動する際に聖魔力を【大聖魔力】に変換する必要があるように、【暗黒魔術】というのは聖魔力を【黒魔力】と【大黒魔力】に変換することでしか発動できないって記されたんだよね?
なんで夢の中のクレアリスがそんなこと言ってたのか分からなかったけど、さすがにただの夢だったし、クレアリスはまさか【失われた魔術】のあれを使えるはずないもんね、きっと!
まあ、分からないことを考えていてもしょうがないので早く歯磨きや髪とかししてから制服に着替えろ、我が手よ~!
……………………
「……ん。これでよし!」
一夜して聖魔力すべても回復した俺が身支度を整え終え、聖剣イーズベリアを腰の鞘に仕舞うと、すぐに自室を出ていった。
「あら、オケウエークン、朝食はパンだけなんです?遅刻しそうな時間帯とはいえ、いつもそんなんじゃ育たないですよ?身長~」
「ははは!忠告してありがとう、マティ―ルダさん!でも大丈夫!たまたま今日がこうなってるだけだ!」
他のみんなも既に先へ行っちゃってたので、取り残された俺は早く教室につかないとなー!
寮の玄関にある両開きの扉を開け、そのすぐ正面にある綺麗に切りそろえて整えられた草が両脇から美しい花々の咲き乱れる植物たちに挟まれてるそこを通ってから寮の門を潜り抜けようとしたらー
「お、オードリー!俺と同じでお前も遅刻しそうなのかよー?」
本来、ホームルームの時間が始まる午前7時:40分に、生徒がそれより20分も早くて教室について準備するよう求められるので、今の腕時計を見る限りは7時:28分になったので遅刻しそうになるのは明白だ。
「オケウエー!…そうだわ。昨日、色々ありすぎたから…」
「……それもそうかぁ……じゃ、身体の方は…もう大丈夫?」
昨日、あのイリナって子がオードリーを『混沌の波力』がいっぱい詰まってる魔術的の柱で閉じ込めながら味わわせた激痛のためか、つらく苦しんでいた様子のオードリーを上から屋敷の屋根を突き破りながら下降した時に見たので、その影響が未だに残ってるのか心配で訪ねると、
「…昨夜、あんた達が王城へ叙勲式に参加するために行っていた頃、起き出したばかりのあたくしの容体を確かめてくれたお姉様とマティ―ルダが側にいてくれたので、どうやら身体中の正常なる機能と聖魔力の全回復を確認できて異常がなさそうだって診断が下されたわ。……なので、こうしてあたくし自身も痛みも怠さも感じなくなった訳だから、その診断に間違いないと思うわよ」
「良かった~!あの柱はマジでヤバそうな感じがしたから、オードリーの身体に長期的な害を及ぼしてくるんじゃないかって気が気じゃなかったんだったね!」
「それならもう安心していいわよ。この通り、ピンピンしてるわー!」
オードリーに何も異常がないことを確認すると、
「…………」
急に黙り込んで言葉を発するのが辛そうに俯きだしているオードリーに、
「……過去に、何か……あったそうだが、ごめんね。俺の手で、その……お前の昔の…友人?…だったっけ?の………イ…リナを、俺が…」
「……オケウエー…、もうそんなに声を濁したり、躊躇しながら言う必要はないわ…。あたくし、お父様、……そして我がドレンフィールド家みんなの責任よ。イリナがああなってしまったのも……全部、あたくしが昔で、彼女のために何もしてあげられなかったのが全ての原因よ。オケウエーが責任を感じることは一切ないわ。ただバケモノの『新型剛力級』を討伐しただけのことでしょー?」
「たとえ…そうだとしてもー!俺にもっと別の力があればー!彼女のために、何かしてあげられたはずー!でも、俺に……イーズに……そんな力、なかった…から」
実際に、俺の死霊魔術の能力にも、人の魂を別の『生物学的に近い容器』つまり、……俺の特性のホーマンキュラスへ移植することも可能と、【死の魔道書】をフェクモで読んでいた頃から知っていた。でも、実際に人に試して行ったことはないので、どういうものになるのか想像することもできないが。
イリナのペンダントの能力が発動する前、彼女に試すこともできたが、生憎と彼女は友達でもなんでもなかったので、あの時に怒り心頭な俺がイリナを助けよう、なんて気が起きなかったので試そうという衝動が湧かなかった。でも、今のオードリーの悲しそうな顔を見てたら、やっぱりイリナの魂が【聖体正義戦獣】に移植される前に、ゾンビー化でもなく【ホーマンキュラス霊魂移植】を試すべきだったかもね。
でも、ゾンビー化にせよ、【ホーマンキュラス霊魂移植】にせよ、結局周りの人に俺が死霊魔術を使えるという事実は最後まで隠し通さなければならないので、たとえイリナを俺の術で助けられてもずっと【異空間収納】で保管するしかないんだよなぁー。
「………結局、あたくし達は最後まで運命に抗えなかったってだけ……わよ。イリナも……すべてを失って、ああなってしまうのも………」
「………」
俺とオードリーが暗い気持ちになりかけたところで、ふと思い出したことがあるので、
「ん?そういえば、…お前の姉さん、ニールマリエー嬢はどこに?まだ部屋にいるの?」
「…ええ。昨日の大事件から、もっと精神的に参っているかと思っていたけれど、流石はお姉様といったところか、記憶喪失中な障害者となった今でも心持ちがしっかりしてるようわね」
「それは良かった!でも一人に残してきて大丈夫?護衛をつけなくても」
「それに関しては平気だわ。ここ精霊術学院には、あの……イーリ~!って子~っ…以外は危害を加えてこようとする子はまったくいないし、それどころか、現役時代のお姉様に憧れて、今でも親切にドアの外で見張っていてくれた寮母の部下のスタッフが二名まで志願したわ。一人だけ、…リディアだったっけ?…が昔に風系魔術が得意な魔術師だから王国軍に従軍したって話も聞いたわ…だから、お姉様はもう大丈夫だと思うわ。昨日の今日だし、黒幕であるあのクレガーキールもさすがにまた奇襲をかけにくることはない…はずよ?」
「なるほどな」
「……それに、ついさっきお父様とも連絡をとって、お姉様を屋敷まで連れて帰るよう魔道飛行車を出すって言われたわ」
そう付け加えたオードリーに、
「それなら安心だね。姉さんにしっかりした護衛がつくことで」
「…ふ~ん!お姉様の心配をあんたがしてても何も出ないわね、ふん!……まあ、でも、一応、……感謝ぁ…はぁ…するぅ……けど?」
なんか急に照れだしてきたオードリーを微笑ましいと思いながらも遅刻はダメなので構わずに門を開けて学院へと歩き出すと、
「あ、ちょっとー!あたくしも行くわ!」
慌てて俺に続いて、学院の本棟の玄関まで急いで向かっていった。
………………
それから、玄関を通ってきて、一年生用の三つの教室が並んでいる一階の右側の廊下へと差し掛かると、
「あ!ジュディにクレアリスだー!」
この前、イリーズカ先生と共にアイデールスの町へ世界獣の大群を討伐しに行った時、同じ組み合わせのジュディとクレアリスが廊下で何やら立ちながら話し合っているのが見えたので、二人の前まで近づいて挨拶すると、
「オケウエーさん、オードリーさん!おはよう!」
「ふふ、おはようさん、二人とも」
「お前達だけ?なんで廊下に向かい合って話し合ってるの?もうすぐホームルームだよ?」
この学院は基本的に学院行事や重要な用事や知らせがない以上、全校集会で生徒を集めて恒例のように毎日に集合させられることはないので、こうしていつも即行で教室へ行ってホームロームの先生がやってくることを待つだけでいい学風というか習慣になってるんだ。
「うちらはただ昨日の『ケルノット平野』での戦闘経験を活かして、これからどうやって二人一緒のコンビで上手く敵を制圧できるのかを論議していただけよ」
「そうですよねー!クレアリスはいつも敵を眠らせられる矢を射れますし、その特性を活かしてオケウエーさん達と他のチームメイトが不在の場合でも私達二人だけで敵を倒せるよう戦術プランを練っていきたいだけですよ」
「なるほどな」
健気だな、二人とも。いつも俺とオードリー、そしてヒルドレッドとジェームズの力に頼らなくてもいいように備えておきたいってことか。
「その割には、中で座って話し合わないようにしているのだけれど…もしかして関係のない、チームメイトでもない他の同級生に話を邪魔されないように?」
「そうね、オードリー。そんなところよ」
「あ~ははは……クラスメイトには冷たいことしてるかもしれませんけど、チームメイト同士の話はチームメイト同士だけで聞かせ合っているだけ良いですからね」
それもそうかぁー。部外者に聞かれる可能性高い方の教室でわざわざ座って話をするでもないしな。
ん?気になってることがもう残ってるので、
「そういや、ジェームズってどこなのか知らない?もうC組に入ってるの?」
「あ、もしジェームズさんの事が気になりましたら、私も寮の玄関を通った時から彼とは会ってませんよ?C組の窓から覗き込んでも彼の姿は見えなかったし、恐らくまだ寮内の自室にいると思いますね。でも門から出ようとしたら偶然にもクレアリスさんと鉢合わせしてましたからそれで一緒にここまで登校してきたんです」
「道理でジェームズがどこにもいないって訳」
……ふとクレアリスの端正な顔を見つめてしまうけど、なんかあの悪夢のことが鮮明に呼び起こされ、クレアリスが夢の中で『地獄絵図に見える何かをしていたのか』が脳内をよぎって得も言われぬ寒気が走ったので思わず目をそらしてしまった。
「ふ~ん、あんたの唯一の同性友達だから、やっぱり気になるの?」
「まあ、そんなところかな?」
神妙な顔してるオードリーの質問に答えたら、今度は、
「多分、ジェームズさんならまだ疲れで眠っていたかもしれませんね。前に彼に言われたことありましたけれど、魔術を使ってから朝起きる時はなんか怠すぎ~とか言ってましたよ?ですから、手に入れたばかりの契約精霊で使った精霊魔術でも同じようになるんじゃないかなって」
それほどに軟弱体質なのかよー!ジェームズは!【四元素魔術】の使用後だけじゃなくて【精霊魔術】を使った後も怠くなり過ぎかよー!?
声に出すと彼に失礼なので脳内セルフ突っ込みをしてると、
「あるいは、シャルロットっていう子と一緒に明朝よりもっと早い時間から起きて訓練場で修行をしていただけかもしれないのよ?昨夜、オケウエーがヒルドレッド嬢から逃げていった時から、シャルロットとジェームズはそれなりに喋ってたのね。あの時、用事を思い出していたからうちも早めにみんなと別れて退散していたけれど、あの感じだと一緒に訓練する約束でも交わし合っていたんじゃないのかしら?」
「へええ……ジェームズとシャルロットってそんな関係なんだっけ?4人が一緒だった討伐任務に、なにかあったのかな…」
「…まあ、あの男がどんな女の子と二人っきりな時間を過ごそうと、あたくし達には関係のないことだわ。さあ、みんな、早く教室にいく?先生が着いてくるわよ」
ん?オードリーの発言が気になり、彼女に向き直ると後ろに視線を感じたから、どうやら歩いてきたイリーズカ先生と目があった。先生もう着いたんだね!
「はい~はい~!B組の子もう揃ったようで嬉しいわ~!さ~て、ホームルームを始めるから、早く中へ入って入って、オケウエー君、オードリーちゃんにジュディちゃん~!後、クレアリスちゃんもね~」
タタタタタターーーー!!!
「ま、待って下さいましーー!」
え?
誰かが走ってきた足音が聞こえてきたので、あそこを見てみると、
「はぁーはぁ…って、なに緊張して息切らしてますの、わたくしー!?」
そう、確かに精霊と契約してる者は精霊魔術や魔術に対する耐性が強くなって、強靭な身体を持ってる我々『精霊術使い』でもある程度の身体能力も上がってきた。余ほどのことじゃないと、こんな近距離で走ってきてそこまで息切らすこともないだろう。
つまり、ヒルドレッドが息も絶え絶えになってるのは、実際に疲労感からくるものじゃなくて、単なる気持ち的な部分な方が大きい。
「こほーん!さーて、そこのオケウエーサン!覚悟はもういい~?今日こそ、わたくしと決闘してもらいますわ、それも放課後の訓練場で!」
「ああ、その件に関してはもう了承済みだけど?」
「それもどうかしらね!わたくしと戦うのが怖くて何か理由でもつけて延期させてこないとも限りませんわよー?」
「そうはしないよ?ったく、お前の中に俺がどんなふうに映ってるんだよ?一応、つい先日で『愛の大聖霊』と契約してきたばかりの男子精霊術使いの一人だぜ?それに、約束も守れずに逃げ出すとか俺の性分じゃないしね」
「それなら良かったですわね~!お~ほほほほほー!早く放課後にならないか今から楽しみで仕方ありませんわよ、お~ほほほほー!」
「あ、あのう~~ヒルドレッドちゃん、オケウエー君……一応、ホールルームの時間はもう始まっちゃってるわよ~?早く教室へ入っていかないと~」
俺とヒルドレッドの掛け合いを見て困惑してるのか、珍しく困った顔してる先生が見えたー!
…………………………………………
……………………
カチャ―!
B組の教室のドアを開けて、俺、オードリーやジュディだけが中へ入ると、
「「「「「「……………」」」」」」
「…え?」
どうしてなのか、クラスに入ってすぐそこの先生が立つべき段差のすぐ下の位置で、学生席がずらりと斜め上へと続いていくあそこより、もっとここから身近にあるその開き空間に、クラスメート全員……だろうか?、の数の女子生徒達が集まっていて、俺達が入ってくるのを待つみたいにそこでじっとしてて動かない様子だ。
みんな真剣な表情を浮かべていて、何かをもじもじと照れたり、困っているように俺の方に向いているままだ。そういえば、確かにこの前、学院に通ってた時に俺は未だに疎まれてる者だったっけ?いいや、『嫌われ者』と言った方が正しいかぁー。
「オケウエーくん!」
「-ん?お前は……ニナだ!」
どうしたのか、集団の中に入っているニナがいて、弾んでいる声と表情で俺の名を呼んでいるようだ。
「…昨日、…王都の外れにある、第2区画の廃墟群の住宅街だったところに、超~巨大な『新型世界獣』が出現したってニュースが出回ってたんですよねー?なんかここからあの巨体を視認して確認できた子も多かったしー!」
「…そうだったよ。学院のここからでもあの姿を見取れるなら、やっぱり相当なサイズを誇っていたなぁって再認識させられたね」
「ここの学生領近くにも樹界脈が見えるようになって世界獣を出現させてたそうでしたけど、あの超巨人な世界獣と同じ、全部チームオケウエーの皆さんが倒してくれたんですよねー?特に巨人の方はオケウエーさん単独で討伐できたと今朝のマジック・クリスタル中継のニュースで知っちゃったけど本当でしたよねー?」
「ああ……確かに、先日の野外遠征の授業でルネヨー・フラックシスの愛の大聖霊と契約できた俺がその大聖霊、イーズベリアと共にあの『聖体正義戦獣』って呼ばれた新型剛力級を俺が苦戦の末、やっと撃滅できたんだけど?」
実際には、確かにイーズの攻撃すべてが無効化されたから愛の大聖霊に頼るだけじゃあの純粋な聖なる存在と化したイリナを倒せなかったっていうのもあるんだけど、死霊魔術で戦ったら簡単に滅ぼせたので苦戦と言った方があやしいが、とりあえず無難そうに聞こえるこの返事でいくと、
「それならっ!王都のみんなも、私達学院生のみんなを助けてくれたことも!何もかも本当にありがとうございましたーー!!!」
深々と頭を下げてくる茶髪セミロングのニナにつられるように、他の子達も一斉に彼女に倣って、俺に向かってお辞儀した後、
「「「「「今までの無礼を働いてきたことー!本当に心の底からお詫び申し上げます!たかがフェクモからが出身地ってだけで差別的な態度を取ってきてすみませんでした!ですから、どうか私達をお許しになって頂けないでしょうかー!?聖騎士オケウエーフォン・オケウエーー様!!」」」」」
「…………」
......どうやら、俺の男爵家の名前もニュースで知っちゃってる様子だね。
こ、これはなんていえばいいんだろう、こんな状況……
今までこういうの経験したことないからどういう反応と返事をすればいいか分かんないやー。
「あ~はははは……どうやら、私達のB組教室のみんなも今までのオケウエーさんに対する扱いに関して反省してるみたいですし、早速に英雄って感じになったりしませんか、彼?」
「まあ、そうなるわね。不当な扱いばかりしてきたから、いざ、その散々バカにしてた相手のおかげで上級世界獣の脅威から守られでもしたら、手のひら返してくるに違いないわよ。彼女達だって根っから悪い人ばかりじゃないから、善意の姿勢でも見せられたらさすがに評価してくれるわ」
ジュディの言葉にそう返したオードリー。さ~て、俺も彼女達の真摯な気持ちに対して返答を述べないとな!
「みんな、頭を上げてくれ!確かに、俺は学院のみんな、王都のみんなまでも複数の剛力級から守り通すことができたということなんだけど、全ての敵を俺一人が倒したわけじゃないよ?ケルノット平野での大群、そして王都の2か所の中等学院、そこに現れた世界獣の群れをやっつけたのは俺じゃなくて、ここのイリーズカ先生と俺の仲間達だったからね!だから、評価してくれたのは嬉しいけど、あまり大袈裟に受け取ったりしなくても……」
困惑したそうな顔うかべる俺に、
「それでもすごく感謝したくなりますよー!ね、シルフイー?」
銀髪ウェーブ型ショートな髪を持つ子に話を振ったニナ。
「そうだね!悪い噂だけで、そしてただ魔術がまったく使えない大陸からやってきただけで大罪扱いは良くないー!偏見を持つのが駄目だって、言ってたのにねー!」
「あたしもそう思ってたんだよ?出身地がどこだろうとそれで人の価値を判断するのはナンセンスだって前々から知ってるのに~みんながああまでして頑固にオケウエー君をイジメようとしてたから同調圧力が怖くて仕方なく付き合わされてただけだよー?」
「それに、よくよく歴史書を読んでみたら、確かに天頂神様のご意志には『フェクモ人』との交流をしてはならないって決まりが一切ないってはずですわよー?ただただ各国のお偉いさんが昔からで、もしも魔術が全然使えないあそことの交流が普通に許されたら、不便なフェクモから魔術が自由自在に学べたり修行できるここギャラ―ルホルツへと移民してくる方が一杯になるかもしれないって政治的な懸念があったから、『南地不干渉条約』が結ばれたってだけですよねー?つまり、神様からの御決定でもなく、私達人間が勝手に決めたことだけですし!」
「天頂神がどういう考えを持ってフェクモにあんな枷を施すことになったか知らんがそれだけでオケウエーを見た目や出身地だけで悪く思うこと自体は貴族家のオレらモリアナ家にとって大恥だけだったぞー!」
オレっ子もいるこの教室で、口々に俺を今まで差別してきたことが単なる『同調圧力』だったって言ってくれてることに感極まった俺は思わず、涙が滲み出てしまって、そしてー
「しくっ~!ぐずっ…み、みんなー!本当の気持ちー!…を伝えてくれてありがとうー!まさかあれほど俺のことを嫌っていたみんなからこうも優しい言葉をかけて貰える日がくるなんてー!思ってもみなかったよぉ~!ひっくっ!」
「あらまあ、泣いちゃ駄目ヨ―?かっこいいところ台無しだワ~、うフ!」
パチーーン!
「~~~!?」
どういう訳か、俺の尻を叩いてじゃれついてきた女子生徒がいるようだったけど、誰―!?
「ニナちゃんの良き友人、イサベラだヨー?美味しそうだったから前々からずっと叩いてみたかったワ~、オケウエーちゃんのチョコ色しそうなお美味っ尻~ィ」
「セクハラ女子かよお前ーーー!?」
バシ――――!
「痛イー!」
イーズにやったのと同じ要領で、ヘッドバンド装着の黒髪ロングしてるイサベラにも拳骨を見舞いしたー!向こうが先に手を出してきたんだから、男女平等の軽~い暴力で返すだけのことさあー!
ったく、人の身体をおもちゃに扱うからこうなるんだぞー?
って、なんか今日だけで二回までもこういう同じ台詞ばかり言ってる気がした!
「むっ~」
ん?なんかそこにいるオードリーを見てみたら、むすっとした顔してるんだけど、なんでー?
それに、すっごい顔してそこで蹲ってるイザベラのことを睨んでるんだけど、まさか俺の尻叩いたことに怒って仕返しとかするつもりじゃないだろうなー、さすがに!もう拳骨もお見舞いしたし、そんなに大袈裟なこと考えなくても...
パチパチパチパチーー!!
「はいはい~~!みんな騒ぎすぎよ~?オケウエー君への仲直りが出来たのなら早速ホームルーム始めるわよ――?残り時間もう1分以下しかないわ~~」
それから、イリーズカの短い連絡事項が終わって、1時限目の授業である……数学が始まった…ったく、朝っぱらから数学とは気が滅入るなぁ、ははは……
………………………………………………
………………………
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