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第73話:一体二人のリーリス
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ジェームズの視点:
さっき、なにが起こったのか、最初は認識することができなかったんっすけど、良く分かったことは僕のすぐ目の前に紫色と紅色の閃光が走ったかと思えば、いきなりリーリスの屈んでいる姿がいて、僕へと片方のナイフを振り上げようとした姿勢をしている最中に気づいたので、あの時はどういう動きと思考をしていたかも記憶にない僕は、気づかぬうちに頭が判断をした前に本能が警鐘を鳴らして、それで鞭を打たれた僕の身体はまるで自動的に上へと避けるために真っ直ぐに空へと飛び上がっていたのを今になってようやく一連の過程を認識できた!
でも、その後は投げつけられたナイフが背中で命中しながら鋭い痛みを感じたから、こうしてー!
「優しくー~!やっぱり優しくされたいっす!-だからー」
抱きかけてきたリーリスからの力強い鷲掴みに身体全身が悲鳴を上げる中、早く彼女からの責め苦を解放されたい僕は慌てて答えてみたがー!
シュウウ――――――――!!!
「なーー!?」
バーサーー!!
いきなりお姫様抱っこされていた僕をまるでボロボロになった縫いぐるみでも投げ捨てたように僕の身体を投擲したリーリスだったので、今は遠くの地面へと落ちてきた僕!木々が近くになくて良かったー!
「うぅぅぅ……くッ!」
まだ背中に感じたナイフの突き刺さった痛みが消えないままなので、どうにか苦痛を感じながら立ち上がった僕に、
「優しくされたいので~すね?いいなのですよ、そ~れ!」
フシュウ――――――――――――!!!
「----!!?」
真っ直ぐに駆け出してきたリーリスが僕目がけて、左右に広げている両腕をそれぞれが手に持っている2方のコンバットナイフを早く僕のこの位置まで到達しながらXの字に交差させることで僕の身体を切り裂きたい意図にいち早く気づいた自分は素早くこっちの武器化した姿の魔道ライフルとなった【セフィーブレニエル】を構えて照準をリーリスへと向けるとー!
バンバンバンバンーーー!!!!!!
今度は【セフィーブレニエル】の連続射撃である4発連続を打ち出すとーー!
「当たらないのですよーーー!!」
「ちぇーー!!」
避けられたっすー!
舌打ちを出しながら悔しそうにしている僕!
僕の【セフィーブレニエル】の精霊魔弾4発に当たる前に今度は紫色と紅色の閃光を発生させたリーリスは瞬間移動でもしたように既に空の上へ転移することで回避でき、そして今はーー!!
「貰いましたなのですよーーー!!」
斜め下のこっちへと真っ直ぐに飛び降りてこようとして、早くこっちを2刀の刃で切り刻みたいみたいっす!
「こ~のーー!!」
バンバンバンバンーーー!!!!!!
「ふひ~!」
ガチャガチャガチャガチャ――!!!
タ――――ング!
「なにーー!?」
X字のように2刀のナイフを顔の前に交差させたリーリスはそんな構えをとりながら向かってくると、まるで障壁か壁でもできたように僕からの4発の弾を当たった瞬間に破壊され、彼女の身体へと一切当たらないようにしたみたいっすーー!!
バカな――!!
僕の聖魔力がそんなに高くないから、才能もないから僕の撃ったすべての弾がリーリスの張ったその障壁っぽいものを貫けないとでもいうんっすかーー!!?
ゴ――ド!!!
「うーふ!?」
「ふひひひ~~!」
いくら打っても彼女の障壁を崩せないので、今はライフルをガード用に顔を覆ったことで押し倒された僕は彼女のX字の2刀のナイフからせめて顔だけを護ることができたー!
「ぐぬぐぬぐぬ~~!」
「そ~れーッ!」
ガチャ―――――ング!!!
「なーーー!?」
あろうことか、リーリスのありったけの力で以って、俺の魔道ライフルとなった【セフィーブレニエル】を僕の手から外すように後ろへと吹き飛ばしていったみたいー!!
「どうなのですー?リリは強いなのでしょうー?ふひひ……」
どうやら、僕から武器を外させた後もすぐに慌てて気絶させるような最後の攻撃を加えてくることもなく、ただ僕の上に跨ったまま微笑んできてるだけっす!
「本当に強すぎっすよーー!リーリス嬢さんー!でも、まだ1年生なのにあれほどの強さはなんなのだー!?それではまるでーー!?」
「『オードリー様より強い』、と言いたげそうな顔しているようなのですねー?」
「え、ええー!それっすよー、リーリス嬢さんー!でもでも~!確かに前の貴族だけが受けていい最初の入学試験に、あの僕達平民組と別に行われたあの時に、オードリー嬢さんの受かった【実技魔術試験】にて彼女の成績が1学年の2番目を記録したことの他に、一番目の強さが示唆された一位の成績を記録したのが確かに『カストリア』なる女子学生だって聞いたんっすー!なんでも、特別の事情がありそうで他の貴族令嬢とも別の一室で試験を受けた彼女は、見事に1年生の中に1位の成績を残した!そして、あれから学院のどこにも彼女の姿が見えなかったのは家の事情も含めて複雑な状況のせいで学院に通い始めるのは来月からなのだって聞いたんっすけど……」
「あ、……実はその『カストリア』って子、……本当はリリの事なのですよーー?」
「ええええーーーーーーーー!!?嘘っすよー!!」
こればかりはショックだ!
まさかオードリー嬢より強いと言われていた『カストリア』って子は実はクリスティーナ嬢さんの妹であるリーリス嬢さんだなんて~~!
「リリこそ、1年生の中で1番の強さを持っている子なのですよ~~!今まではホームスクールでしか授業を受けたことがないので、初めて大勢の生徒が通うこの学び舎へ在籍することで、まずは安全であるかどうかを見極めるために、偽名を使っての入学試験に臨んだけなのですよー」
「なるほど!で、あんたがオードリー嬢さんより強いってんならお手上げっすよなー!なので、今この瞬間から、僕は降ふー~うむふ~!?うむふ~~?」
なんてことっす!僕が降伏すると宣言しようとしたら、いきなり僕の口を彼女が取り出したハンカチで塞いで来たリーリスがいるようだがー!?
「まだ退場するの早すぎるなのデーッド!まずはアタイ様の鬼なる手にいたぶられてからが先なのデーッド!優しくするのもう無し~~なのデースぞ、てへぺろー!」
「~~!?むふ~!?むふううッ~~!?!?」
(勘弁してくれよーー!!)
僕はあんだけ強すぎるオードリー嬢さんを倒しちゃうようなオケウエーの野郎じゃあるまいし、どうやって彼女より聖魔力量も強さも段違いな高さと凄さを持っているこのリーリスからの攻撃を耐えられるっていうんっすかーーー!?
くそー!姉と違ってリーリスだけはきっと、ただの普通な精霊術使いだって思ってた僕が迂闊だったっす!
もしも彼女の事が本当は1年生最強だって知っておいたら、リーリスの相手を僕より強いはずのジュディ、そして他にはクレアリス嬢さんとかに2対1で任せて、僕の方はオケウエー、オードリー嬢さんと3人の支援し合いやすい1サブチームを形成してクリスティーナ先輩とジュリア先輩と戦うはずなのにーー!!
…………………………………………
………………………
学生寮の屋根にて:
「2重人格を持っている『契約精霊』ですかーーー!?」
「ええ……あたしちゃんが昔に『とある情報源』に聞いたところによれば、確かに精霊の中にはそういう類のモノもいるらしくて、契約を交わした人間にも憑依したりとか影響を与え、たまに狂わせられることも可能だとか………」
ニナの問いに答えたイザベラだが、今度はシャルロットが、
「つまり、今あの状態のリーリスは、まさに人格が切り替わった瞬間だというのかー?」
「そのようネー!可哀想なジェームズちゃんだこトー!」
手を頬に当ててジェームズのこれから待つであろう悲惨な思いを憂えているイザベラがいるのだった!
…………………………………………………
「むふ~~!?むふう~~!(放せー!今すぐ僕を解放してよ~~!!頼むよーー!!!プリーズ!!)」
「みゃはひひひ~~~~!!怖いでしょー、震えてるでしょーー!?でも安心するのがいいなのデースぞーー?なにせ、これからがアタイ様の楽しみとしてる時間なのデーッドさねー!?とびっきり痛すぎるのを見舞いするのもう先になるっしょー!?きゃはひふへへえエッ~~!」
「むふ~!?むっふ~~!?(なんだよ、いきなり片方のナイフを高々と上げちゃいそうなその格好はーーー!!ひいーーー!!!お願いだから僕のことを許してよ――!!プリーズ~レット・ミー・アウト・オブ・ヒィァー!)」
「そーれッ!」
バ――――コオオォォォ!!!!」
「がああああああ#%@ーーーーーーーーーー!!!!?」
………………………
「はアァ……はぁあ……はぁあ……」
さっき、この世にいるとは思えないような激しい激痛がリーリスの振り下ろしてきたナイフが僕の腹へと直撃したことで発生したので、今はこうして息を整えて痛みを和らげられるよう深呼吸をー!
いくら学院長の発動してくれた『あれ』のお陰で深い物理的なダメージを負わずとも、精神的と神経に直接訴えるような痛みがまだ感じられるので痛いったらありゃしないよーー!!!
くそー!でもさっきの痛みならきっと気絶できたはずなのに、どういう訳か気絶にまでは至らない様子で酷いよ―――!!リーリス!
「今度はこっちだけどいいなのデーッドかいー!?」
「------!!!!!?むふふふむ~~~~~~~!!?(ノーノーのノノノノーーー!!?ぷプリーズ・ノット・ザットーーーーー!!!!)」
あろうことか、今度は嗜虐的な笑みと狂ったような怖い目を浮かべたリーリスがそのナイフを僕のここの心臓のとこへーーーーー!?
「そこまでだ、我が娘ー!見ろ、その戦意喪失の彼の目ー!明らかに戦える状態じゃなくなったのだから彼を強制的に辞退させるぞー!」
ター!
「……彼女の母親かぁー?ちぇー!」
バサー!
どうやら、近くに着地した審判役を務める学院長がいるので、渋々といった体でジェームズの上から馬乗り状態から起き上がった【ベリヘリアヤール】に憑りつかれている状態のリーリスは、
「それじゃ、身体を返すねー!あいよ、リリたんー!」
びゅーぐ~~!
「-!はぁ…はぁ…」
タータータ!
2年生だけが所属していい【特別治療遊撃隊】の面々に痛みと恐怖のあまり失禁しながら気絶したジェームズの身体を運び出していく2年生の少女達二人がいるのだ!
「またも【ベリヘリアヤール】の仕業なのですかー!もう少しだけでリリが優しく擽りながら降参へと持っていけたのに~~!なんて乱暴な子かしらねーー!」
タータータ………
「どこへ行くのだ?」
学院長に尋ねられたリーリスは、
「リリは辞退するなのです!興が覚めたのですから後の事はレイーザリン様とジュリア様!…後は姉者|ルビを入力…《あねじゃに任せるなのですねー!じゃ、バイバイー!母様に他のチームメイトもー!」
ビュウウ―――――!!
それだけいって、【空中浮遊魔術】にて、【静寂の霊群森】から離脱していったリーリスへ、
「やれやれ、困った娘だな……【虐げようとする衝動】に負けて、愚かにも自分の御すべき契約精霊に憑りつかれていようとはな……そして、運も悪く娘と戦うことになったあの坊やも大変だがな……」
溜息をついた学院長は遠くの空を見つめながら、自分の末っ子の娘の後ろ姿をしばらくの間、眺めてから何かを考え込んでいるだけだった……
…………………………………………………………
……………………………………
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さっき、なにが起こったのか、最初は認識することができなかったんっすけど、良く分かったことは僕のすぐ目の前に紫色と紅色の閃光が走ったかと思えば、いきなりリーリスの屈んでいる姿がいて、僕へと片方のナイフを振り上げようとした姿勢をしている最中に気づいたので、あの時はどういう動きと思考をしていたかも記憶にない僕は、気づかぬうちに頭が判断をした前に本能が警鐘を鳴らして、それで鞭を打たれた僕の身体はまるで自動的に上へと避けるために真っ直ぐに空へと飛び上がっていたのを今になってようやく一連の過程を認識できた!
でも、その後は投げつけられたナイフが背中で命中しながら鋭い痛みを感じたから、こうしてー!
「優しくー~!やっぱり優しくされたいっす!-だからー」
抱きかけてきたリーリスからの力強い鷲掴みに身体全身が悲鳴を上げる中、早く彼女からの責め苦を解放されたい僕は慌てて答えてみたがー!
シュウウ――――――――!!!
「なーー!?」
バーサーー!!
いきなりお姫様抱っこされていた僕をまるでボロボロになった縫いぐるみでも投げ捨てたように僕の身体を投擲したリーリスだったので、今は遠くの地面へと落ちてきた僕!木々が近くになくて良かったー!
「うぅぅぅ……くッ!」
まだ背中に感じたナイフの突き刺さった痛みが消えないままなので、どうにか苦痛を感じながら立ち上がった僕に、
「優しくされたいので~すね?いいなのですよ、そ~れ!」
フシュウ――――――――――――!!!
「----!!?」
真っ直ぐに駆け出してきたリーリスが僕目がけて、左右に広げている両腕をそれぞれが手に持っている2方のコンバットナイフを早く僕のこの位置まで到達しながらXの字に交差させることで僕の身体を切り裂きたい意図にいち早く気づいた自分は素早くこっちの武器化した姿の魔道ライフルとなった【セフィーブレニエル】を構えて照準をリーリスへと向けるとー!
バンバンバンバンーーー!!!!!!
今度は【セフィーブレニエル】の連続射撃である4発連続を打ち出すとーー!
「当たらないのですよーーー!!」
「ちぇーー!!」
避けられたっすー!
舌打ちを出しながら悔しそうにしている僕!
僕の【セフィーブレニエル】の精霊魔弾4発に当たる前に今度は紫色と紅色の閃光を発生させたリーリスは瞬間移動でもしたように既に空の上へ転移することで回避でき、そして今はーー!!
「貰いましたなのですよーーー!!」
斜め下のこっちへと真っ直ぐに飛び降りてこようとして、早くこっちを2刀の刃で切り刻みたいみたいっす!
「こ~のーー!!」
バンバンバンバンーーー!!!!!!
「ふひ~!」
ガチャガチャガチャガチャ――!!!
タ――――ング!
「なにーー!?」
X字のように2刀のナイフを顔の前に交差させたリーリスはそんな構えをとりながら向かってくると、まるで障壁か壁でもできたように僕からの4発の弾を当たった瞬間に破壊され、彼女の身体へと一切当たらないようにしたみたいっすーー!!
バカな――!!
僕の聖魔力がそんなに高くないから、才能もないから僕の撃ったすべての弾がリーリスの張ったその障壁っぽいものを貫けないとでもいうんっすかーー!!?
ゴ――ド!!!
「うーふ!?」
「ふひひひ~~!」
いくら打っても彼女の障壁を崩せないので、今はライフルをガード用に顔を覆ったことで押し倒された僕は彼女のX字の2刀のナイフからせめて顔だけを護ることができたー!
「ぐぬぐぬぐぬ~~!」
「そ~れーッ!」
ガチャ―――――ング!!!
「なーーー!?」
あろうことか、リーリスのありったけの力で以って、俺の魔道ライフルとなった【セフィーブレニエル】を僕の手から外すように後ろへと吹き飛ばしていったみたいー!!
「どうなのですー?リリは強いなのでしょうー?ふひひ……」
どうやら、僕から武器を外させた後もすぐに慌てて気絶させるような最後の攻撃を加えてくることもなく、ただ僕の上に跨ったまま微笑んできてるだけっす!
「本当に強すぎっすよーー!リーリス嬢さんー!でも、まだ1年生なのにあれほどの強さはなんなのだー!?それではまるでーー!?」
「『オードリー様より強い』、と言いたげそうな顔しているようなのですねー?」
「え、ええー!それっすよー、リーリス嬢さんー!でもでも~!確かに前の貴族だけが受けていい最初の入学試験に、あの僕達平民組と別に行われたあの時に、オードリー嬢さんの受かった【実技魔術試験】にて彼女の成績が1学年の2番目を記録したことの他に、一番目の強さが示唆された一位の成績を記録したのが確かに『カストリア』なる女子学生だって聞いたんっすー!なんでも、特別の事情がありそうで他の貴族令嬢とも別の一室で試験を受けた彼女は、見事に1年生の中に1位の成績を残した!そして、あれから学院のどこにも彼女の姿が見えなかったのは家の事情も含めて複雑な状況のせいで学院に通い始めるのは来月からなのだって聞いたんっすけど……」
「あ、……実はその『カストリア』って子、……本当はリリの事なのですよーー?」
「ええええーーーーーーーー!!?嘘っすよー!!」
こればかりはショックだ!
まさかオードリー嬢より強いと言われていた『カストリア』って子は実はクリスティーナ嬢さんの妹であるリーリス嬢さんだなんて~~!
「リリこそ、1年生の中で1番の強さを持っている子なのですよ~~!今まではホームスクールでしか授業を受けたことがないので、初めて大勢の生徒が通うこの学び舎へ在籍することで、まずは安全であるかどうかを見極めるために、偽名を使っての入学試験に臨んだけなのですよー」
「なるほど!で、あんたがオードリー嬢さんより強いってんならお手上げっすよなー!なので、今この瞬間から、僕は降ふー~うむふ~!?うむふ~~?」
なんてことっす!僕が降伏すると宣言しようとしたら、いきなり僕の口を彼女が取り出したハンカチで塞いで来たリーリスがいるようだがー!?
「まだ退場するの早すぎるなのデーッド!まずはアタイ様の鬼なる手にいたぶられてからが先なのデーッド!優しくするのもう無し~~なのデースぞ、てへぺろー!」
「~~!?むふ~!?むふううッ~~!?!?」
(勘弁してくれよーー!!)
僕はあんだけ強すぎるオードリー嬢さんを倒しちゃうようなオケウエーの野郎じゃあるまいし、どうやって彼女より聖魔力量も強さも段違いな高さと凄さを持っているこのリーリスからの攻撃を耐えられるっていうんっすかーーー!?
くそー!姉と違ってリーリスだけはきっと、ただの普通な精霊術使いだって思ってた僕が迂闊だったっす!
もしも彼女の事が本当は1年生最強だって知っておいたら、リーリスの相手を僕より強いはずのジュディ、そして他にはクレアリス嬢さんとかに2対1で任せて、僕の方はオケウエー、オードリー嬢さんと3人の支援し合いやすい1サブチームを形成してクリスティーナ先輩とジュリア先輩と戦うはずなのにーー!!
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学生寮の屋根にて:
「2重人格を持っている『契約精霊』ですかーーー!?」
「ええ……あたしちゃんが昔に『とある情報源』に聞いたところによれば、確かに精霊の中にはそういう類のモノもいるらしくて、契約を交わした人間にも憑依したりとか影響を与え、たまに狂わせられることも可能だとか………」
ニナの問いに答えたイザベラだが、今度はシャルロットが、
「つまり、今あの状態のリーリスは、まさに人格が切り替わった瞬間だというのかー?」
「そのようネー!可哀想なジェームズちゃんだこトー!」
手を頬に当ててジェームズのこれから待つであろう悲惨な思いを憂えているイザベラがいるのだった!
…………………………………………………
「むふ~~!?むふう~~!(放せー!今すぐ僕を解放してよ~~!!頼むよーー!!!プリーズ!!)」
「みゃはひひひ~~~~!!怖いでしょー、震えてるでしょーー!?でも安心するのがいいなのデースぞーー?なにせ、これからがアタイ様の楽しみとしてる時間なのデーッドさねー!?とびっきり痛すぎるのを見舞いするのもう先になるっしょー!?きゃはひふへへえエッ~~!」
「むふ~!?むっふ~~!?(なんだよ、いきなり片方のナイフを高々と上げちゃいそうなその格好はーーー!!ひいーーー!!!お願いだから僕のことを許してよ――!!プリーズ~レット・ミー・アウト・オブ・ヒィァー!)」
「そーれッ!」
バ――――コオオォォォ!!!!」
「がああああああ#%@ーーーーーーーーーー!!!!?」
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「はアァ……はぁあ……はぁあ……」
さっき、この世にいるとは思えないような激しい激痛がリーリスの振り下ろしてきたナイフが僕の腹へと直撃したことで発生したので、今はこうして息を整えて痛みを和らげられるよう深呼吸をー!
いくら学院長の発動してくれた『あれ』のお陰で深い物理的なダメージを負わずとも、精神的と神経に直接訴えるような痛みがまだ感じられるので痛いったらありゃしないよーー!!!
くそー!でもさっきの痛みならきっと気絶できたはずなのに、どういう訳か気絶にまでは至らない様子で酷いよ―――!!リーリス!
「今度はこっちだけどいいなのデーッドかいー!?」
「------!!!!!?むふふふむ~~~~~~~!!?(ノーノーのノノノノーーー!!?ぷプリーズ・ノット・ザットーーーーー!!!!)」
あろうことか、今度は嗜虐的な笑みと狂ったような怖い目を浮かべたリーリスがそのナイフを僕のここの心臓のとこへーーーーー!?
「そこまでだ、我が娘ー!見ろ、その戦意喪失の彼の目ー!明らかに戦える状態じゃなくなったのだから彼を強制的に辞退させるぞー!」
ター!
「……彼女の母親かぁー?ちぇー!」
バサー!
どうやら、近くに着地した審判役を務める学院長がいるので、渋々といった体でジェームズの上から馬乗り状態から起き上がった【ベリヘリアヤール】に憑りつかれている状態のリーリスは、
「それじゃ、身体を返すねー!あいよ、リリたんー!」
びゅーぐ~~!
「-!はぁ…はぁ…」
タータータ!
2年生だけが所属していい【特別治療遊撃隊】の面々に痛みと恐怖のあまり失禁しながら気絶したジェームズの身体を運び出していく2年生の少女達二人がいるのだ!
「またも【ベリヘリアヤール】の仕業なのですかー!もう少しだけでリリが優しく擽りながら降参へと持っていけたのに~~!なんて乱暴な子かしらねーー!」
タータータ………
「どこへ行くのだ?」
学院長に尋ねられたリーリスは、
「リリは辞退するなのです!興が覚めたのですから後の事はレイーザリン様とジュリア様!…後は姉者|ルビを入力…《あねじゃに任せるなのですねー!じゃ、バイバイー!母様に他のチームメイトもー!」
ビュウウ―――――!!
それだけいって、【空中浮遊魔術】にて、【静寂の霊群森】から離脱していったリーリスへ、
「やれやれ、困った娘だな……【虐げようとする衝動】に負けて、愚かにも自分の御すべき契約精霊に憑りつかれていようとはな……そして、運も悪く娘と戦うことになったあの坊やも大変だがな……」
溜息をついた学院長は遠くの空を見つめながら、自分の末っ子の娘の後ろ姿をしばらくの間、眺めてから何かを考え込んでいるだけだった……
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