異世界転移したけど王様がクズなので旅をします。〜邪神に選ばれし男は神へと至る〜

悪鬼さん

文字の大きさ
36 / 53
古の島編

真逆の才能

しおりを挟む
「毛皮が硬すぎて解体できねえ…皮膚が消し飛んでる部分から肉切り取ってくしか無いなコレ」
日も暮れ始めて洞窟に戻り、晃はミインが付与魔法エンチャントし直したナイフを片手に、金剛猪の毛皮を剥ごうとしていたが、余りの硬さに断念した。
「にしても凄い魔法だったな、何てったけ?」
煉獄魔炎爆プァーガトリーエクスプロージョン魔法じゃ無くて魔術だけど…」
「魔術?魔法とはまた違うのか?」
「えっと、スキルを習得した時点で使えるのが魔法、魔法の術式を重ねたり、新しい術式を作ったりするの。例えば炎魔法の火球ファイアボールの術式に、炎を炸裂させる炎爆フレアボムの術式を組み込めば、炸裂する火球ファイアボール出来る。これが二つの術式を重ねる二重魔術デュアルマジック、私の使った煉獄魔炎爆プァーガトリーエクスプロージョンは五つの術式を重ねた五重魔術クインタプルマジック
「へえ、俺にはさっぱりだが、ミインは器用だな」

「でも、もう少しで完全に消し飛ばすとこだった…出力調整しないと」
「出力?」
「うん、魔力出力、術式に流す出力が大きい程威力や効果が高まるの、最大値には個人差があるけど」
「へぇ…俺のはどんくらいあるのかどうせだから見てくれよ」
晃はミインが作ったコップに水魔法を使って水を足す。
その様子にミインはビックリしたような顔をする。
「どうした?」
もしかしてとんでもなく最大値が高かったのか?などと晃が妄想していると
「えっと、アキラは…その…出力が絶望的に、少ない」
…え、マジ?
「私は魔力の流れとか感じられるんだけど、アキラは戦闘スタイルとか能力とかから考えても高い方なの、でも出力が絶望的に小さい、今までよく見てなかったけどここまで小さいなんて…」

…マジかぁ…ジョブとか魔力とかのステータスからそんなに魔法が強いヤツとは思ってなかったが、それでもステータスが化け物級だから魔法でも戦えるようになると思ってたんだよな…知らなかった。俺の魔力出力、低すぎ?って感じだな。
「はぁ…」
晃は手に持ったコップを置き、溜息をつく。
「…アキラ、身体強化してみて?」
「ん?ああ、イイぞ…“身体強化Ⅶ”」
ミインの唐突な頼みを晃は聞き、身体強化を発動する。ミインはその様子を目を凝らして見ていた。
「…うん、やっぱり。アキラは魔力の出力が少ない変わりと言っては何だけど、余分な魔力が出難いから循環速度が凄く早い、お陰で身体強化での強化値が凄く高い、しかも燃費も良い」
「…ホントか?」
「うん、私は出力が凄く高いんだけど、それと肩を並べられる位の才能、天才級」
「…なるほど、短所が裏返って長所になってるってことか…その理屈だとミインが身体強化を使った時は強化値が少ないってことか?」
「うん、それに私はアキラと違って近接戦闘はからっきし…全然ダメ」

ミインは魔法に優れ、俺は近接戦闘に優れる、しかしお互いに逆はダメダメ…。
「つまり、俺とミインが組んで戦えば最強ってことだな」
「…さいきょう?」
「ああ、最強だ。お互いの短所をお互いの長所で補い合う、短所は無くなって、お互いに天才級の能力のみが残る。そんなの最強じゃね?」
「二人で最強…?」
「おう、俺ら二人が揃えば最強だ、一緒にこの番人を倒してこの島から出て、旅をしようぜ?」
「旅…うん、する。アキラと一緒に戦って、色んな物を見て、色んな物を食べたい…旅がしたい」
「よし、じゃあ約束だ、ずっと一緒に戦って、色んな景色を見て、食べて、旅をしよう、指切りだ」
「指切り?」
「ああ、知らないか、小指をこう…
アキラはミインの小さな手に触れ、小指を出させる。そして自分の小指と絡ませた。
「指切りげんまん嘘付いたら針千本飲ーます、指切った」
「ゆ、指切った」
そして指切りをした後、ミインは晃の顔を見て顔を綻ばせる。晃もそれに釣られて顔を緩ませ、お互いに笑い合った。

「…最強…アキラと二人で……ふふっ」








次の日の朝、晃とミインは木の実を齧っていた。
「すっぱい…」
「ん?こっちは甘いんだが…交換するか?」
「うん」
…あ、間接キス…まあミインが気にしていないなら良いんだが、俺もそこまで気にしないタチだし。
「本当だ、甘い」
ミインは晃の渡した木の実に齧り付き、ほっこりとするような笑顔を見せる。
何か胸がキュンとしたぞ今…ビックリした、間接キスの方に緊張するんじゃ無くてその渡した物を食べてる幸せそうな顔を見て心臓を早める男が未だかつて居ただろうか…?
「…確かに酸っぱいな」
「ね、当たり外れが大きい…」
酸っぱい、確かに酸っぱい、レモン並だなコレ…これ食べるのは辛いな。
晃は木の実を食べる手を止めた。
「ミイン、そっちのを一口くれ」
「うん、どうぞ」
ミインはズイと口元に木の実を差し出す。
…いや、なんで手渡しじゃ無くてあーん何だよ…?
うん、甘い。

「ミイン、水頼むわ」
「ん、ちょっと待って…もう少しで食べ終わる」
ミインは急いで木の実を口に放り込み、近くに置いてあったタライの前に立ち、水の球を魔法で作り出してその中に入れた。
「にしてもほんと便利だな生成魔法、この洞窟もどんどん快適になってる」
「うん、私の魔力は凄く多いから、時間がある時に作れば問題無いし」
ミインのお陰で食器やら家具やらの道具がどんどん増えていった。金属製の箱にミインの作った氷を入れた擬似冷蔵庫を設置したりしている、次は柔らかいベッドを作ってもらう予定だ。
「さてと…腹も膨れたところだ、行くか」
「うん、番人の所へ」

二人はこれから番人の居る場所に向かうつもりであった。
能力は未知数であり、伸び代があるとされればもっと能力を伸ばす手もあるが、どちらにしろ死んで復活が出来るならば調査も兼ねて一度は戦うべきだ。

[この島に関しては、権限不足で情報を閲覧出来ません。その代わり現在解析中です、もう暫くお待ち下さい]
久しぶりにラプラスの声を聞いた気がするな、まあ権限をどうすれば足せるのかは知らないが、権限が足りないから答えられないのと、連携リンクが足りないから答えられないのと、権限が足りなくてラプラス自体が情報を知れない、この三つがあるらしい、あと連携リンクに関しては時間の問題だが、深くなるほど俺も強くなるらしい。知れる情報も増えるらしいから出来れば早く連携リンクは上がって欲しい。

まあ、とにかく情報を集めつつ戦闘してどんどん身体を慣らしていくしか無い、アイツもう1人の俺の力も使いこなせるようになれば、それこそ敵は無くなるだろう。
…正直、アグゼルから貰った力とアイツもう1人の俺の力を総合したら、どれくらい強くなるのか想像もつかない。今のままでも十分化け物だ、元の世界に戻ったら…いや、この世界ですら普通に生きれるかどうか…。
「アキラ?どうかしたの?」
「…いや、何でもねえよ」
悩みが顔に出ていたのか、ミインは晃に対して心配そうな目を向ける。晃はそんなミインに頭を掻いて笑いながら、目を逸らす。
「むぅ…?」
ミインはそんな俺をジッと見続ける。
「…早く行こうぜ」
「…ん」

晃達は塔に向かって行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

ハズレスキル【地図化(マッピング)】で追放された俺、実は未踏破ダンジョンの隠し通路やギミックを全て見通せる世界で唯一の『攻略神』でした

夏見ナイ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ちだったユキナガは、戦闘に役立たない【地図化】スキルを理由に「無能」と罵られ、追放された。 しかし、孤独の中で己のスキルと向き合った彼は、その真価に覚醒する。彼の脳内に広がるのは、モンスター、トラップ、隠し通路に至るまで、ダンジョンの全てを完璧に映し出す三次元マップだった。これは最強の『攻略神』の眼だ――。 彼はその圧倒的な情報力を武器に、同じく不遇なスキルを持つ仲間たちの才能を見出し、不可能と言われたダンジョンを次々と制覇していく。知略と分析で全てを先読みし、完璧な指示で仲間を導く『指揮官』の成り上がり譚。 一方、彼を失った勇者パーティは迷走を始める……。爽快なダンジョン攻略とカタルシス溢れる英雄譚が、今、始まる!

俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?

くまの香
ファンタジー
 いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。

掘鑿王(くっさくおう)~ボクしか知らない隠しダンジョンでSSRアイテムばかり掘り出し大金持ち~

テツみン
ファンタジー
『掘削士』エリオットは、ダンジョンの鉱脈から鉱石を掘り出すのが仕事。 しかし、非戦闘職の彼は冒険者仲間から不遇な扱いを受けていた。 ある日、ダンジョンに入ると天災級モンスター、イフリートに遭遇。エリオットは仲間が逃げ出すための囮(おとり)にされてしまう。 「生きて帰るんだ――妹が待つ家へ!」 彼は岩の割れ目につるはしを打ち込み、崩落を誘発させ―― 目が覚めると未知の洞窟にいた。 貴重な鉱脈ばかりに興奮するエリオットだったが、特に不思議な形をしたクリスタルが気になり、それを掘り出す。 その中から現れたモノは…… 「えっ? 女の子???」 これは、不遇な扱いを受けていた少年が大陸一の大富豪へと成り上がっていく――そんな物語である。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

処理中です...