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古の島編
真逆の才能
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「毛皮が硬すぎて解体できねえ…皮膚が消し飛んでる部分から肉切り取ってくしか無いなコレ」
日も暮れ始めて洞窟に戻り、晃はミインが付与魔法し直したナイフを片手に、金剛猪の毛皮を剥ごうとしていたが、余りの硬さに断念した。
「にしても凄い魔法だったな、何てったけ?」
「煉獄魔炎爆魔法じゃ無くて魔術だけど…」
「魔術?魔法とはまた違うのか?」
「えっと、スキルを習得した時点で使えるのが魔法、魔法の術式を重ねたり、新しい術式を作ったりするの。例えば炎魔法の火球の術式に、炎を炸裂させる炎爆の術式を組み込めば、炸裂する火球出来る。これが二つの術式を重ねる二重魔術、私の使った煉獄魔炎爆は五つの術式を重ねた五重魔術」
「へえ、俺にはさっぱりだが、ミインは器用だな」
「でも、もう少しで完全に消し飛ばすとこだった…出力調整しないと」
「出力?」
「うん、魔力出力、術式に流す出力が大きい程威力や効果が高まるの、最大値には個人差があるけど」
「へぇ…俺のはどんくらいあるのかどうせだから見てくれよ」
晃はミインが作ったコップに水魔法を使って水を足す。
その様子にミインはビックリしたような顔をする。
「どうした?」
もしかしてとんでもなく最大値が高かったのか?などと晃が妄想していると
「えっと、アキラは…その…出力が絶望的に、少ない」
…え、マジ?
「私は魔力の流れとか感じられるんだけど、アキラは戦闘スタイルとか能力とかから考えても高い方なの、でも出力が絶望的に小さい、今までよく見てなかったけどここまで小さいなんて…」
…マジかぁ…ジョブとか魔力とかのステータスからそんなに魔法が強いヤツとは思ってなかったが、それでもステータスが化け物級だから魔法でも戦えるようになると思ってたんだよな…知らなかった。俺の魔力出力、低すぎ?って感じだな。
「はぁ…」
晃は手に持ったコップを置き、溜息をつく。
「…アキラ、身体強化してみて?」
「ん?ああ、イイぞ…“身体強化Ⅶ”」
ミインの唐突な頼みを晃は聞き、身体強化を発動する。ミインはその様子を目を凝らして見ていた。
「…うん、やっぱり。アキラは魔力の出力が少ない変わりと言っては何だけど、余分な魔力が出難いから循環速度が凄く早い、お陰で身体強化での強化値が凄く高い、しかも燃費も良い」
「…ホントか?」
「うん、私は出力が凄く高いんだけど、それと肩を並べられる位の才能、天才級」
「…なるほど、短所が裏返って長所になってるってことか…その理屈だとミインが身体強化を使った時は強化値が少ないってことか?」
「うん、それに私はアキラと違って近接戦闘はからっきし…全然ダメ」
ミインは魔法に優れ、俺は近接戦闘に優れる、しかしお互いに逆はダメダメ…。
「つまり、俺とミインが組んで戦えば最強ってことだな」
「…さいきょう?」
「ああ、最強だ。お互いの短所をお互いの長所で補い合う、短所は無くなって、お互いに天才級の能力のみが残る。そんなの最強じゃね?」
「二人で最強…?」
「おう、俺ら二人が揃えば最強だ、一緒にこの番人を倒してこの島から出て、旅をしようぜ?」
「旅…うん、する。アキラと一緒に戦って、色んな物を見て、色んな物を食べたい…旅がしたい」
「よし、じゃあ約束だ、ずっと一緒に戦って、色んな景色を見て、食べて、旅をしよう、指切りだ」
「指切り?」
「ああ、知らないか、小指をこう…
アキラはミインの小さな手に触れ、小指を出させる。そして自分の小指と絡ませた。
「指切りげんまん嘘付いたら針千本飲ーます、指切った」
「ゆ、指切った」
そして指切りをした後、ミインは晃の顔を見て顔を綻ばせる。晃もそれに釣られて顔を緩ませ、お互いに笑い合った。
「…最強…アキラと二人で……ふふっ」
次の日の朝、晃とミインは木の実を齧っていた。
「すっぱい…」
「ん?こっちは甘いんだが…交換するか?」
「うん」
…あ、間接キス…まあミインが気にしていないなら良いんだが、俺もそこまで気にしないタチだし。
「本当だ、甘い」
ミインは晃の渡した木の実に齧り付き、ほっこりとするような笑顔を見せる。
何か胸がキュンとしたぞ今…ビックリした、間接キスの方に緊張するんじゃ無くてその渡した物を食べてる幸せそうな顔を見て心臓を早める男が未だかつて居ただろうか…?
「…確かに酸っぱいな」
「ね、当たり外れが大きい…」
酸っぱい、確かに酸っぱい、レモン並だなコレ…これ食べるのは辛いな。
晃は木の実を食べる手を止めた。
「ミイン、そっちのを一口くれ」
「うん、どうぞ」
ミインはズイと口元に木の実を差し出す。
…いや、なんで手渡しじゃ無くてあーん何だよ…?
うん、甘い。
「ミイン、水頼むわ」
「ん、ちょっと待って…もう少しで食べ終わる」
ミインは急いで木の実を口に放り込み、近くに置いてあったタライの前に立ち、水の球を魔法で作り出してその中に入れた。
「にしてもほんと便利だな生成魔法、この洞窟もどんどん快適になってる」
「うん、私の魔力は凄く多いから、時間がある時に作れば問題無いし」
ミインのお陰で食器やら家具やらの道具がどんどん増えていった。金属製の箱にミインの作った氷を入れた擬似冷蔵庫を設置したりしている、次は柔らかいベッドを作ってもらう予定だ。
「さてと…腹も膨れたところだ、行くか」
「うん、番人の所へ」
二人はこれから番人の居る場所に向かうつもりであった。
能力は未知数であり、伸び代があるとされればもっと能力を伸ばす手もあるが、どちらにしろ死んで復活が出来るならば調査も兼ねて一度は戦うべきだ。
[この島に関しては、権限不足で情報を閲覧出来ません。その代わり現在解析中です、もう暫くお待ち下さい]
久しぶりにラプラスの声を聞いた気がするな、まあ権限をどうすれば足せるのかは知らないが、権限が足りないから答えられないのと、連携が足りないから答えられないのと、権限が足りなくてラプラス自体が情報を知れない、この三つがあるらしい、あと連携に関しては時間の問題だが、深くなるほど俺も強くなるらしい。知れる情報も増えるらしいから出来れば早く連携は上がって欲しい。
まあ、とにかく情報を集めつつ戦闘してどんどん身体を慣らしていくしか無い、アイツの力も使いこなせるようになれば、それこそ敵は無くなるだろう。
…正直、アグゼルから貰った力とアイツの力を総合したら、どれくらい強くなるのか想像もつかない。今のままでも十分化け物だ、元の世界に戻ったら…いや、この世界ですら普通に生きれるかどうか…。
「アキラ?どうかしたの?」
「…いや、何でもねえよ」
悩みが顔に出ていたのか、ミインは晃に対して心配そうな目を向ける。晃はそんなミインに頭を掻いて笑いながら、目を逸らす。
「むぅ…?」
ミインはそんな俺をジッと見続ける。
「…早く行こうぜ」
「…ん」
晃達は塔に向かって行った。
日も暮れ始めて洞窟に戻り、晃はミインが付与魔法し直したナイフを片手に、金剛猪の毛皮を剥ごうとしていたが、余りの硬さに断念した。
「にしても凄い魔法だったな、何てったけ?」
「煉獄魔炎爆魔法じゃ無くて魔術だけど…」
「魔術?魔法とはまた違うのか?」
「えっと、スキルを習得した時点で使えるのが魔法、魔法の術式を重ねたり、新しい術式を作ったりするの。例えば炎魔法の火球の術式に、炎を炸裂させる炎爆の術式を組み込めば、炸裂する火球出来る。これが二つの術式を重ねる二重魔術、私の使った煉獄魔炎爆は五つの術式を重ねた五重魔術」
「へえ、俺にはさっぱりだが、ミインは器用だな」
「でも、もう少しで完全に消し飛ばすとこだった…出力調整しないと」
「出力?」
「うん、魔力出力、術式に流す出力が大きい程威力や効果が高まるの、最大値には個人差があるけど」
「へぇ…俺のはどんくらいあるのかどうせだから見てくれよ」
晃はミインが作ったコップに水魔法を使って水を足す。
その様子にミインはビックリしたような顔をする。
「どうした?」
もしかしてとんでもなく最大値が高かったのか?などと晃が妄想していると
「えっと、アキラは…その…出力が絶望的に、少ない」
…え、マジ?
「私は魔力の流れとか感じられるんだけど、アキラは戦闘スタイルとか能力とかから考えても高い方なの、でも出力が絶望的に小さい、今までよく見てなかったけどここまで小さいなんて…」
…マジかぁ…ジョブとか魔力とかのステータスからそんなに魔法が強いヤツとは思ってなかったが、それでもステータスが化け物級だから魔法でも戦えるようになると思ってたんだよな…知らなかった。俺の魔力出力、低すぎ?って感じだな。
「はぁ…」
晃は手に持ったコップを置き、溜息をつく。
「…アキラ、身体強化してみて?」
「ん?ああ、イイぞ…“身体強化Ⅶ”」
ミインの唐突な頼みを晃は聞き、身体強化を発動する。ミインはその様子を目を凝らして見ていた。
「…うん、やっぱり。アキラは魔力の出力が少ない変わりと言っては何だけど、余分な魔力が出難いから循環速度が凄く早い、お陰で身体強化での強化値が凄く高い、しかも燃費も良い」
「…ホントか?」
「うん、私は出力が凄く高いんだけど、それと肩を並べられる位の才能、天才級」
「…なるほど、短所が裏返って長所になってるってことか…その理屈だとミインが身体強化を使った時は強化値が少ないってことか?」
「うん、それに私はアキラと違って近接戦闘はからっきし…全然ダメ」
ミインは魔法に優れ、俺は近接戦闘に優れる、しかしお互いに逆はダメダメ…。
「つまり、俺とミインが組んで戦えば最強ってことだな」
「…さいきょう?」
「ああ、最強だ。お互いの短所をお互いの長所で補い合う、短所は無くなって、お互いに天才級の能力のみが残る。そんなの最強じゃね?」
「二人で最強…?」
「おう、俺ら二人が揃えば最強だ、一緒にこの番人を倒してこの島から出て、旅をしようぜ?」
「旅…うん、する。アキラと一緒に戦って、色んな物を見て、色んな物を食べたい…旅がしたい」
「よし、じゃあ約束だ、ずっと一緒に戦って、色んな景色を見て、食べて、旅をしよう、指切りだ」
「指切り?」
「ああ、知らないか、小指をこう…
アキラはミインの小さな手に触れ、小指を出させる。そして自分の小指と絡ませた。
「指切りげんまん嘘付いたら針千本飲ーます、指切った」
「ゆ、指切った」
そして指切りをした後、ミインは晃の顔を見て顔を綻ばせる。晃もそれに釣られて顔を緩ませ、お互いに笑い合った。
「…最強…アキラと二人で……ふふっ」
次の日の朝、晃とミインは木の実を齧っていた。
「すっぱい…」
「ん?こっちは甘いんだが…交換するか?」
「うん」
…あ、間接キス…まあミインが気にしていないなら良いんだが、俺もそこまで気にしないタチだし。
「本当だ、甘い」
ミインは晃の渡した木の実に齧り付き、ほっこりとするような笑顔を見せる。
何か胸がキュンとしたぞ今…ビックリした、間接キスの方に緊張するんじゃ無くてその渡した物を食べてる幸せそうな顔を見て心臓を早める男が未だかつて居ただろうか…?
「…確かに酸っぱいな」
「ね、当たり外れが大きい…」
酸っぱい、確かに酸っぱい、レモン並だなコレ…これ食べるのは辛いな。
晃は木の実を食べる手を止めた。
「ミイン、そっちのを一口くれ」
「うん、どうぞ」
ミインはズイと口元に木の実を差し出す。
…いや、なんで手渡しじゃ無くてあーん何だよ…?
うん、甘い。
「ミイン、水頼むわ」
「ん、ちょっと待って…もう少しで食べ終わる」
ミインは急いで木の実を口に放り込み、近くに置いてあったタライの前に立ち、水の球を魔法で作り出してその中に入れた。
「にしてもほんと便利だな生成魔法、この洞窟もどんどん快適になってる」
「うん、私の魔力は凄く多いから、時間がある時に作れば問題無いし」
ミインのお陰で食器やら家具やらの道具がどんどん増えていった。金属製の箱にミインの作った氷を入れた擬似冷蔵庫を設置したりしている、次は柔らかいベッドを作ってもらう予定だ。
「さてと…腹も膨れたところだ、行くか」
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二人はこれから番人の居る場所に向かうつもりであった。
能力は未知数であり、伸び代があるとされればもっと能力を伸ばす手もあるが、どちらにしろ死んで復活が出来るならば調査も兼ねて一度は戦うべきだ。
[この島に関しては、権限不足で情報を閲覧出来ません。その代わり現在解析中です、もう暫くお待ち下さい]
久しぶりにラプラスの声を聞いた気がするな、まあ権限をどうすれば足せるのかは知らないが、権限が足りないから答えられないのと、連携が足りないから答えられないのと、権限が足りなくてラプラス自体が情報を知れない、この三つがあるらしい、あと連携に関しては時間の問題だが、深くなるほど俺も強くなるらしい。知れる情報も増えるらしいから出来れば早く連携は上がって欲しい。
まあ、とにかく情報を集めつつ戦闘してどんどん身体を慣らしていくしか無い、アイツの力も使いこなせるようになれば、それこそ敵は無くなるだろう。
…正直、アグゼルから貰った力とアイツの力を総合したら、どれくらい強くなるのか想像もつかない。今のままでも十分化け物だ、元の世界に戻ったら…いや、この世界ですら普通に生きれるかどうか…。
「アキラ?どうかしたの?」
「…いや、何でもねえよ」
悩みが顔に出ていたのか、ミインは晃に対して心配そうな目を向ける。晃はそんなミインに頭を掻いて笑いながら、目を逸らす。
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