空高く響かせるは君の声

レン

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 そして時がたち私がショウと出会ってもう少しで一年が経過しようとしていた。
 その間もショウと話したり遊んだりしていた。
 ・・・でもそんな生活も長くは続かないと私は今日思い知るのだった。
 私はその日、いつもと同じようにあのお気に入りの場所でショウと会話していた。
 ショウはしきりに私の名前を聞いてきたがそれでも私は教えることはなかった。
 冬に差し掛かった頃合いだったためその日はしんしんと雪が降ってきた。
「あ・・・。雪。」
 その日は数分の間、雪が降り止んだ。
「雪も降って寒いことだしそろそろ帰ろうか!」
 ショウがそう言ったので私も賛同して帰るために立ち上がった。
 すると次の瞬間、ドサッと何かが倒れる音がした。
 私は不思議に思い後ろを振り向くと叫んでしまった。
「ショウ!!」
 なんとショウが倒れたのだ。
 私は急いでショウに駆け寄って状態を確認する。
 意識はあるが呼吸は荒く脈も早い。
 私は寒い中、ショウを背負って病院に向かった。
 すると医者から衝撃の事実ともに現状を聞かされた。
 それはショウの余命はあと一年だったのと残された時間が数ヶ月しかない事だった。
 ショウは癌と診断されており気付いた時には手遅れだったらしい。
 そして余命宣告されたその日にもともと入院していた病院を抜け出したらしいのだ。
 ・・・それから私はショウの担当医から帰って明日来るよう促されたので家に帰った。
 帰路を辿っている時も色んなことを考えた。
 どうして言ってくれなかったのだろう?
 自慢じゃないが私とショウはそこそこ時間を過ごしたのだから他の人よりは仲が良いと思う。
 けどそんな私にも言ってくれないなんて・・・。
 そして私は家に帰り翌日、また病院に行った。
 病室のドアを開けるとショウが外を見ていた。
「ショウ・・・。」
 私の言葉に反応したショウはこっちを見た。
「来てくれたんだね。嬉しいよ。」
 私はショウの近くまで行き問い詰めた。
「何で教えてくれなかったの?」
 その言葉を聞いてショウは全てを察したのか笑った。
「そうか・・・。聞いたんだね。僕の余命の事を。」
「聞いたわ。それより答えて。」
 その言葉に少し驚いているショウ。
「驚いたな。君がそんな事を言うだなんて。」
「・・・単に君に心配かけさせたくなかったんだ。」
「君のことだから興味ないと言うかもしれない。」
「けど君は自分が思っている以上に優しいんだもん。」
「な・・・!」
「こんな時に変なこと言わないでよ!」
「本当だよ。だってこの一年、僕を心から拒絶しなかったでしょ?」
「ッ・・・!」
「何だかんだで一緒に笑いあったりしたもんね。」
「そんな優しい君にはあまり言いたくなかったんだ。決して信用とかがないわけではないよ。」
 その言葉を聞き私はショウのそばにあった椅子に腰掛けた。
「命が尽きるまであと少し。折角だからそれまで誰かと雑談とかしたいなぁ~。」
 私のことをチラチラ見ながら言うショウ。
 私はそれを見てため息を吐きながら言った。
「アンタが話がしたいってんならそうしてあげないこともないわよ。」
「やった~!」
 そうしてその日もいつもと同じように雑談を始めるのだった。
 
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