2 / 16
登校
しおりを挟む
彼女ーー池野 瑠璃(いけの るり)が死んだ日の光景を夢に見て俺は飛び起きてしまった。
「ちくしょう・・・。またあの光景か。」
時は過ぎ、彼女が死んで11ヶ月余りが経ち今や俺ーー池神 レン(いけがみ れん)も高校二年生になり自分の進路を考えないといけない時期にある。
元より朝が苦手なのも相まって少しばかり憂鬱な気分に浸っていると一階から妹である池神 沙耶(いけがみ さや)の声が聞こえてきた。
「お兄ちゃ~ん。ご飯できたよ~。
「分かった、分かった。今行く。」
眠い目を擦りながらも、一階に行くと味噌汁のいい匂いが鼻腔を突き抜けた。机に座り合掌する。
「いただきま~す!」
「いただきます。」
言い忘れていたが、この家に住んでいるのは現状二人だけである。理由は単純で両親ともに海外で仕事をしているからである。お金の仕送りはしてもらっているから特段、生活が苦しいというわけではない。
何も喋らずただ黙々と食べていると不意に妹から声を掛けられた。
「どうしたの?なんか顔色悪いよ?」
妹は咀嚼しながらも顔を覗き込んでくる。
「悪夢を見ただけだ。」
「またあの日の光景を見たの?」
心配そうな顔でこちらを見つめてくる妹。
「あぁ。そうだよ。」
妹は俺の返事を聞いた後、
「あんまり無理しちゃダメだよ。」と声を掛けてくれた。
こんなだらしない兄のことも気遣ってくれる妹には感謝することばかりである。そんなことを考えながら朝食を食べ終え自室に向かった。
自室にたどり着くと少しの間ベットに仰向けになった。数秒間たったあと面倒ながらも学校に行く準備を始めた。
俺が今、通う高校に決めた理由はシンプルに家から近かったから。それ以上でもそれ以下でもない。
遠いところより近いところの方が個人的にはいいと思っている。なにせ疲れないから!
などとそんなくだらないことを考えながら歩いていると突然、後ろから頭をものすごい力で叩かれた。
「いってぇ~!?なんなんだよ!!」
後ろを振り向くと、クラスメイトである鈴原 麗華(すずはら れいか)が立っていた。
「出会い頭に何すんだよ!怪力女!」
そんな言葉を放つと共に足を踏みつけられる。
「いってぇ~~~!!!」
悲鳴にも近い声が辺りを反響するのであった。
そんなこんなで学校に着き、窓際にある自分の机にうつ伏せになり時間を潰していると、担任が入ってきた。
ちなみに俺たちの担任は少しばかり歳をとっており耳の聞こえが悪いが生徒には好評である。
朝会が始まり朝から眠くなりそうな担任の長い話を聞いている傍ら俺は今日も青い空を眺めながら物思いに耽るのであった・・・。
「ちくしょう・・・。またあの光景か。」
時は過ぎ、彼女が死んで11ヶ月余りが経ち今や俺ーー池神 レン(いけがみ れん)も高校二年生になり自分の進路を考えないといけない時期にある。
元より朝が苦手なのも相まって少しばかり憂鬱な気分に浸っていると一階から妹である池神 沙耶(いけがみ さや)の声が聞こえてきた。
「お兄ちゃ~ん。ご飯できたよ~。
「分かった、分かった。今行く。」
眠い目を擦りながらも、一階に行くと味噌汁のいい匂いが鼻腔を突き抜けた。机に座り合掌する。
「いただきま~す!」
「いただきます。」
言い忘れていたが、この家に住んでいるのは現状二人だけである。理由は単純で両親ともに海外で仕事をしているからである。お金の仕送りはしてもらっているから特段、生活が苦しいというわけではない。
何も喋らずただ黙々と食べていると不意に妹から声を掛けられた。
「どうしたの?なんか顔色悪いよ?」
妹は咀嚼しながらも顔を覗き込んでくる。
「悪夢を見ただけだ。」
「またあの日の光景を見たの?」
心配そうな顔でこちらを見つめてくる妹。
「あぁ。そうだよ。」
妹は俺の返事を聞いた後、
「あんまり無理しちゃダメだよ。」と声を掛けてくれた。
こんなだらしない兄のことも気遣ってくれる妹には感謝することばかりである。そんなことを考えながら朝食を食べ終え自室に向かった。
自室にたどり着くと少しの間ベットに仰向けになった。数秒間たったあと面倒ながらも学校に行く準備を始めた。
俺が今、通う高校に決めた理由はシンプルに家から近かったから。それ以上でもそれ以下でもない。
遠いところより近いところの方が個人的にはいいと思っている。なにせ疲れないから!
などとそんなくだらないことを考えながら歩いていると突然、後ろから頭をものすごい力で叩かれた。
「いってぇ~!?なんなんだよ!!」
後ろを振り向くと、クラスメイトである鈴原 麗華(すずはら れいか)が立っていた。
「出会い頭に何すんだよ!怪力女!」
そんな言葉を放つと共に足を踏みつけられる。
「いってぇ~~~!!!」
悲鳴にも近い声が辺りを反響するのであった。
そんなこんなで学校に着き、窓際にある自分の机にうつ伏せになり時間を潰していると、担任が入ってきた。
ちなみに俺たちの担任は少しばかり歳をとっており耳の聞こえが悪いが生徒には好評である。
朝会が始まり朝から眠くなりそうな担任の長い話を聞いている傍ら俺は今日も青い空を眺めながら物思いに耽るのであった・・・。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]
風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが
王命により皇太子の元に嫁ぎ
無能と言われた夫を支えていた
ある日突然
皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を
第2夫人迎えたのだった
マルティナは初恋の人である
第2皇子であった彼を新皇帝にするべく
動き出したのだった
マルティナは時間をかけながら
じっくりと王家を牛耳り
自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け
理想の人生を作り上げていく
【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる