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転校生
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「今でもあの時のことを思い出すだけで怖いんだ。」
「あの時、瑠璃と一緒に帰っていたら彼女は死ななかったんじゃなかったって。」
「瑠璃は自分が死んだのに生き残った俺だけ幸せを謳歌することを良しとしないのではないのかって。」
そこで麗華は反論してきた。
「瑠璃がそんなこと思っているわけないでしょ!」
「死んだけどきっと天国であんたの幸せを願ってる!」
そんなこと頭では俺も理解している。瑠璃がそう思っているはずがないことは。
けど怖いんだ。あの時、病院で見た瑠璃の正気を失い青ざめた顔が頭にこびりついて離れない。
「ごめんな・・・。お見舞いに来たのに暗い話をしちゃって。今日は帰るわ。」
そして俺はドアノブを捻り麗華の部屋を出てそのまま自宅までの帰路を辿った。
自宅に帰って妹の作った夕ご飯を食べたあと俺は急いでベットに潜り込んだ。
本来なら勉強しないといけないのだが今日はそんな気分にはなれなかった。
それからも少し考えた。けどどれだけポジティブに考えようとしても頭にはあの顔がちらついた。
・・・そんなことを考えてしまったからか余計、暗い気持ちになってしまった。
今日は早いうちに寝よう。そう思い部屋の電気を消し俺は眠ろうと瞼を閉じたのであった。
・・・私はただ呆然とレンの背中を見送ることしかできなかった。
私では力になってあげられないと実感した。
私では無理だということは自分でも分かっていた。
けどそれでも無力な自分に対しての憤りも相まってその日の夜は枕を涙で濡らすのであった・・・。
夜が明け朝が来た。今日も今日とて俺は飛び起きた。
また悪夢を見たためである。何回も見たがどうにも慣れない。慣れるわけがない。
一階に行き妹と共に朝食を食べ登校の準備をしそのまま家を出た。
瑠璃が死んで花束を添えられている場所は俺の家から学校までの道のりにある。
俺は毎朝そこを避けるように少し遠回りをして学校に行っている。
理由は単純明快。あの日のことを思い出しそうになり胸が張り裂けそうになるからである。
だから昨日あそこの道を通ったのは数ヶ月振りだったと言うわけだ。
学校に着きクラスに入って教科書などの道具を準備していつも通り机にうつ伏せになっていた。
そして教室の扉が開き担任が入ってきた。
「今日から転校生がうちのクラスに来る。入ってきなさい・・・。」
こんな時期に転校生とは珍しい。だがそんなことは俺にはどうで良かった。
相変わらず転校生が来るとなるとクラスの連中がやかましくなる。
「可愛い女子が良い」とか「イケメンだと良いなぁ~」など欲に塗れたの声が聞こえてくる。
そして教室に一人の女子が入ってきた。
男子陣は歓声を上げていた。相当、出逢いに飢えているらしい。
転校生はチョークを持ち綺麗な字で黒板に自身の名前を書き前へと向き直った。
「私の名前は皐月 瑠花(さつき るか)。よろしくお願いします。」
瑠花と名乗る転校生は深々と頭を下げお辞儀した。
不意に転校生と目が合ってしまった。すると転校生は俺を見て少し微笑んだのであった。
この時の俺は知らなかった。これからの未来、俺に待ち受けるものを・・・。
「あの時、瑠璃と一緒に帰っていたら彼女は死ななかったんじゃなかったって。」
「瑠璃は自分が死んだのに生き残った俺だけ幸せを謳歌することを良しとしないのではないのかって。」
そこで麗華は反論してきた。
「瑠璃がそんなこと思っているわけないでしょ!」
「死んだけどきっと天国であんたの幸せを願ってる!」
そんなこと頭では俺も理解している。瑠璃がそう思っているはずがないことは。
けど怖いんだ。あの時、病院で見た瑠璃の正気を失い青ざめた顔が頭にこびりついて離れない。
「ごめんな・・・。お見舞いに来たのに暗い話をしちゃって。今日は帰るわ。」
そして俺はドアノブを捻り麗華の部屋を出てそのまま自宅までの帰路を辿った。
自宅に帰って妹の作った夕ご飯を食べたあと俺は急いでベットに潜り込んだ。
本来なら勉強しないといけないのだが今日はそんな気分にはなれなかった。
それからも少し考えた。けどどれだけポジティブに考えようとしても頭にはあの顔がちらついた。
・・・そんなことを考えてしまったからか余計、暗い気持ちになってしまった。
今日は早いうちに寝よう。そう思い部屋の電気を消し俺は眠ろうと瞼を閉じたのであった。
・・・私はただ呆然とレンの背中を見送ることしかできなかった。
私では力になってあげられないと実感した。
私では無理だということは自分でも分かっていた。
けどそれでも無力な自分に対しての憤りも相まってその日の夜は枕を涙で濡らすのであった・・・。
夜が明け朝が来た。今日も今日とて俺は飛び起きた。
また悪夢を見たためである。何回も見たがどうにも慣れない。慣れるわけがない。
一階に行き妹と共に朝食を食べ登校の準備をしそのまま家を出た。
瑠璃が死んで花束を添えられている場所は俺の家から学校までの道のりにある。
俺は毎朝そこを避けるように少し遠回りをして学校に行っている。
理由は単純明快。あの日のことを思い出しそうになり胸が張り裂けそうになるからである。
だから昨日あそこの道を通ったのは数ヶ月振りだったと言うわけだ。
学校に着きクラスに入って教科書などの道具を準備していつも通り机にうつ伏せになっていた。
そして教室の扉が開き担任が入ってきた。
「今日から転校生がうちのクラスに来る。入ってきなさい・・・。」
こんな時期に転校生とは珍しい。だがそんなことは俺にはどうで良かった。
相変わらず転校生が来るとなるとクラスの連中がやかましくなる。
「可愛い女子が良い」とか「イケメンだと良いなぁ~」など欲に塗れたの声が聞こえてくる。
そして教室に一人の女子が入ってきた。
男子陣は歓声を上げていた。相当、出逢いに飢えているらしい。
転校生はチョークを持ち綺麗な字で黒板に自身の名前を書き前へと向き直った。
「私の名前は皐月 瑠花(さつき るか)。よろしくお願いします。」
瑠花と名乗る転校生は深々と頭を下げお辞儀した。
不意に転校生と目が合ってしまった。すると転校生は俺を見て少し微笑んだのであった。
この時の俺は知らなかった。これからの未来、俺に待ち受けるものを・・・。
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