Live with you 〜貴方とともに〜

謝罪

「これからも貴方の隣で寄り添うよ。レン君・・・。」
　案の定、彼女の夢を見て朝は目が覚めた。体を起こすと少し寝巻きが濡れているのを感じた。
　「なぜ？？？」と疑問符が頭に数十個、浮かんできたので不思議に思いながらも布団を捲ると漏らしたとかそういう訳ではなかった。
　単純にあんな日の光景を夢に見てうなされていたのだと知った。
　汗のせいか肌に服が張り付くのをやや不快に感じながらも一階に行き朝食を食べ学校に行く準備を始めた。
「どんな顔して会えばいいんだよ？」
　あんな行動をとってしまったことを後悔してしまう。
　少し憂鬱な気分に浸りながらも準備をし学校に向けて足を運んだ。
　学校にたどり着き早速、自分の席に腰掛ける。
　いつも通りクラスの奴らはうるさいが一ついつもとは違うことがあった。
　それはクラスに麗華の姿がなかったのだ。何処に行ったのかと学校内を調べたが姿はない。
　そして時間が過ぎ担任が教室に入ってきた。
　話を聞いてみるとどうやら麗華は体調不良により今日は欠席すると言う話だった。
　仕方ない。学校が終わったら家に行こう。そして昨日のことを謝ろう。
　そしていつも通り時間が過ぎ学校が終わった俺はすぐに校舎を出て麗華の家に向かった。
　見ての通り俺は未だに過去に縛られている。
　「瑠璃が死んだ」と言う事実を受け止められずにいた。だからこそ麗華の発言で怒ってしまった。
　やっぱり俺ってダメなんだなと言うのを改めて自覚した。
　死んだやつのことをすぐに忘れると言うやつもダメなのだがその逆でいつまでも引きずっているのもダメなのだ。
　そんなことは自分自身でもわかっている。けど前に進めない。進もうとしない。それが俺だった。
　そんなことを考えていると麗華の家の前まで来ていた。一回深呼吸してチャイムを鳴らす。
「は～い？どちら様ですか～？」
　どうやら出たのは麗華の母親だった。前にも会った事があるのだがやたらとテンションが高い。
「レンです。麗華が風邪だと聞いてお見舞いに来ました。」
「少し待ってね！」
　ドタドタと中から音がした。そしてドアが開かれた。
「あら～！レン君！久しぶりねぇ～！麗華なら自室にいるから。とりあえず上がって！上がって！」
　そして俺は家にお邪魔しそのまま麗華のいる部屋に歩を進めた。
「麗華？レンだけど入って良いか？」
　数回ノックする。すると中から返事があった。
「入って良いわよ・・・。」
　その言葉を聞き俺は部屋に入った。
　麗華を見ると息が荒く本当に苦しそうだった。
「大丈夫か？なんか欲しいものはあるか？」
　聞いてはみるが麗華の返答は「いらない」の一言だった。
　空気が重い。そりぁそうだ。昨日あんな事があったのだからな。
　けれどもそうは言ってられない。そして俺は麗華に向かって言った。
「昨日はすまなかった。俺があんなことを言ったばっかりに。」
　俺が謝って数秒間経つと麗華が口を開いた。
「私こそ悪かったわね。あなたの気も知らないで。あんな無神経なことを口走っちゃって。」
「確かに愛する人を亡くす気持ちなんて私にはわからない。それなのに・・・。」
　見ると麗華の目には涙が滲んでいた。その涙を見た俺はさらに言葉を続けた。
「いや。悪いのは俺なんだよ。」と・・・。