最弱な奴が実は最強？

襲来

　学校に着くと悲惨な状況が目に飛び込んできた。　
　学校は半壊し周りには生気を失った生徒たちが無造作に横たわっていた。
　あまりにもショックだったのか奈津はその場に倒れた。無理もない。
　その光景に俺は昔の嫌な記憶を思い出してしまい頭が痛くなる。
　そしてまだなお立っているやつを二人だけ確認した。
　それは煌と天音だった。
　二人の目の前には一人の男が立っていた。
　まさか一人でこの学校の奴らを倒したのか？そうなると煌と天音は勝てないな。
　そんなことを考えた直後、煌と天音は敵に吹き飛ばされた。
　急いで二人の元に駆け寄り声をかけた。
「おい！大丈夫か？」
　二人は意識を失いながらも言葉を発した。
「斗真。早く逃げ・・・ろ。」
　言い終わると同時に二人は気を失ってしまった。
　命に別状がないのを確認し俺はゆっくりと立ち上がり辺りを見渡した。
　先生たちもいない。瓦礫の下敷きになったのか？
　辺りに誰もいないことを確認し改めて俺は目の前の敵を直視し質問した。
「お前もブレエドの一員か？」
　男は被っていたフードを外しながら告げた。
「そうだがなんだ？」
　こんな状況を見たにも関わらず俺は不思議と冷静だった。
　そのことを疑問に思ったのか男は俺に質問して来た。
「何でお前はこんな状況を見ながら冷静で居られるんだ？」
　俺はその問いに対して少しの間、沈黙したあと告げた。
「簡単だ。俺は昔こんな状況が可愛く見えるくらいの絶望を味わっただけだ。」
　そんな話をしたあと男は戦闘態勢に入り指先をこちらに向けた。
　男の不思議な行動にやや困惑しているといきなり「何か」が頬を掠めた。
　背後で爆発音が響き渡る。
　相手の能力に関しては正直な話、皆目見当もつかない。
　だけどそんなことは俺の能力の前では関係ない。
　俺の能力はチートであり無敵だ。だけど加減を間違えると相手を殺しかねない。
　そうして俺は手をかざした・・・。
　私が目を覚ますと事は全て終わっていた。
　敵は捕まったらしく救急車が辺りを行き交っていた。
　近くに居た人に斗真くんについて聞くと今は医務室で治療を受けているらしい。
　爆破事件の犯人と同様に敵を倒したのが誰か分からず警察の人が調査しているらしい。
　死者は30人程度。その中には生徒や先生そしてそこに居た国の偉い人も含まれている。
　学校側にとっても痛手だったらしく上層部は今後の対応に追われている。
　だけど今はそんなことはどうでもいい。
　私は目の前の光景に唖然としていた。
　まるで抉り取ったかのように地面に大きな穴が空いていたのだから・・・。