最弱な奴が実は最強?

レン

文字の大きさ
26 / 53

問い

しおりを挟む
 ロキは次々と球体を俺に向かって放ってくる。
 この仮説が間違っていれば死ぬかもしれない。けどしないと隙が生まれない。
 避けつつ床に落ちてある小さな瓦礫を拾い上げ目の前に迫っていた球体に目掛けて投げてみた。
 案の定その石ころは亜空間へと姿を消した。
 そしてその石ころをロキは俺に向かって放った。
 そしてその瞬間、俺は球体を鷲掴みにして投げ飛ばした。
 賭けだったがやはり思った通りだった。
 さっきから一度に飛んでくる瓦礫の個数を数えても10個しかない。
 球体と同じ数の瓦礫しか飛んできてないのだ。
 そこから考えたのだがこの球体が一度に亜空間に移動させることができる物体は一つだけ。
 しかもそれからその物体を放ち再度、物体を吸収できるようになるまで少しのインターバルがある。
 そしてその間、球体は何も吸えなくなるのだ。
 だからこそ触れることができた。吸われないから。
 それが分かっただけでも大金星だ。
 10秒程度の時間だがあるだけマシだろう。
 この勝負の鍵はこの10秒間の間にロキに致命傷与えることである。
 勝利の糸口が見つかったところで体勢を整える。
 これが最後の攻防だろう。この攻防が終わった瞬間こそがどちらかが倒れている時だ。
 天音が隠れていることを確認してロキの方を向く。
「お前、まさか気付いているのか?」
 そんなことをロキは俺に聞いてくる。俺は済ました顔で答える。
「何のことだ?戦いに集中しろよ。」
「チッ・・・」
 ロキは舌打ちをしながらも構える。
 俺もロキも構えたまま静止する。緊迫した空気が当たりを包んだ。
 そして横の瓦礫が崩れたと同時に俺たちは動いた。
 まずは球体に物体を吸わせてそれをロキに放たせる必要がある。
 そして再度、能力を使用できるようになるまでの10秒間で攻撃する。
 しかもさっきの行動でロキは俺が自分の能力の弱点に気づいていることに勘づいているだろう。
 そうなれば迂闊に球体を俺に向かって放たないはずだ。
 そうなると必然的にロキは接近戦に持ち込むだろう。
 限界まで近づいて直で俺に球体を当てた方がロイにとっても得策だろう。
 案の定、ロキは俺に向かって急接近してきた。
 ロキは能力なしでも十分強い。
 何とか接近戦に持ち込めたがそこまでだ。
 そこからの戦闘が俺自身が何とかしないといけない。
 攻守を繰り返す中、必死に打開策を考えるのだった・・・。
 ———私はいったい何をやっているのだろう・・・。
 奈津を助けにきたのに足手纏いにしかなっていない。煌が戦っているのを眺めることしかできていない。
    ・・・何で私は戦ってないの?
              ・・・本当に私はこのままでいいの?
    ・・・昔みたいに何をできないの?
    ・・・弱いままでいいの?
 煌が戦っている最中、私はずっと自分に問いかけているのであった。
 
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

処理中です...