最弱な奴が実は最強?

レン

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「この能力は元々、俺が所有していたものだ。」
「だがネメシスの人格が生まれた時、俺は自分の能力を一旦ネメシスに譲渡した。」
「そして今、再び能力が俺の体に戻る。」
「ネメシスはこの能力を十分に扱いきれていなかった。だから規模も小さく攻撃性に欠けていた。」
「さてもう無駄話もやめよう。この戦いを楽しむとしようか。」
 そしてクレアの顔から笑顔が消えた。
「『炎槍』。『雷槍』。『水槍』。」
 その言葉と共にクレアの周りに夥しい数の槍が出現した。
 しかも俺は出現した瞬間を見ていない。いきなり空に浮かんでいたのだ。
 ネメシスの時は出現する瞬間を目で捉えることができた。
 どうやらクレアの場合は顕現させるまでにかかる時間がとてつもなく短いらしい。
 流石は能力の元所持者なだけある。ネメシスとは大違いだ。
 いろいろな形状をした槍が俺に向かって来る。
 ヒュンと風を切る音が四方八方から聞こえて来る。
 軌道に関しては目で追えないため風を切る音で判断するしかない。
 そして俺は風を切る音を頼りに槍を避ける。
 最初の数本は何とか避けられたが徐々に槍のスピードも上がっていった。
 最初にクレアから受けた斬撃の傷も相まって全て避け切れなかった。
「ハァハァ・・・。」
 荒い息が漏れる。受けた傷からは血が滲んだ。
 そんな俺を見たクレアは攻撃の手を止めた。
「おい?まさかもう終わりか?」
「つまらない。俺は本気のお前と勝負がしたいんだ。」
「能力を使用しないのか?もしかして使用できないのか?」
「だとしたらお前には失望した。もうお前には用はない。」
「やはりお前はあの時と同じように何も守れず死んでいくのがお似合いらしいな。」
「お前を殺し世界中の人間も皆殺しにするとしよう。」
「冥土の土産に見せてやる。俺の本気をな。」
 そしてクレアの周りの瓦礫が浮かび上がった。
「先ほども言った通りこの能力の所有者は俺だった。」
「そしてネメシスと俺の決定的な違いは能力の使用範囲や攻撃力ではない。」
「顕現させる事ができる物のスケールの大きさだ。」
「ネメシスは槍などと言った物体などしか顕現させることしかできない。」
「だが俺は何でも顕現させる事ができる。」
「そうそれは『概念』であったとしてもだ。」
 そしてクレアはその言葉を口にする。
                      「・・・・『死』・・・・」
 そして俺は黒いモヤに包まれたと同時に意識を落としたのであった・・・・。
 次に目覚めると眩い光が俺を照らしていた。
 起き上がり辺りを見渡すとどこまでも続いていると錯覚してしまいそうになる程の雄大な草原の風景が目に飛び込んできた。
「俺は死んだのか?」
 俺がそう呟くと後ろから声がした。
「違うよ。貴方はまだ死んでない。」
「貴方は昔のままじゃない。ちゃんと成長している。みんなも守れる力もある。」
「だから頑張って。守るべき友のためにそして愛すべき人のために。」
 何故だが体が動かず後ろを振り向くことはできなかった。
 でも姿を見なくても大丈夫だった。俺にはそいつの言いたい事がハッキリと分かる。
 だから俺は大きな声でその声の主に返事をした。
「あぁ。行ってくる。俺の戦いをここで見届けてくれ。じゃあな。」
「いつかまた出会う時があればまた逢おうぜ・・・。」
 そして俺はその世界に別れを告げた。
 帰る間際、また声が聞こえた。正しくは聞こえたような気がする。
「頑張れ。ヒーロー」と・・・・。
 そんなことを言われた気がしたのであった。
 
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