最弱な奴が実は最強?

レン

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二章 最強の叛逆

後悔と叛逆

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 少しの間、感傷に浸った後、俺は気絶している2人を安全な場所へと移動させるため担いだ。
 運んだのは校舎のそばにある草むら。
 特訓場のど真ん中に放置するなんて流石に気が引けたからだ。
 運び終えた俺はまだ気絶している2人の顔を改めて見て言った。
「じゃあな。2人とも・・・。」
「俺たちもそろそろ行くぞ。ロキ・・・。」
 近くまでやってきたロキが頷く。
「・・・あぁ。」
 そうして俺たちは学園を後にしたのであった。
 ロキには無能力者たちのいる拠点に居てもらい敵が攻めてきた時の無能力者の護衛をしてもらうことにした。
 元々、ロキもスラム出身なのもあって無能力者に対しては平和的なので快く引き受けてくれた。
 そしてロキと俺は拠点についた。
「なんでそんなボロボロなんだよ!?」
 出迎えてくれた茜が俺の姿を見て驚いている。
「とりあえず着替えろ!めっちゃ汚れているぞ!」
 オロオロしていると俺の隣にいる男の存在に気付いたのか質問してきた。
「ねぇこの人誰?」
 明らかに怪しいロキに訝しげな表情を浮かべる茜。
「こいつは俺たちの仲間になったロキだ。」
「元々、俺たちと同じスラム出身だから一応信用はできるはずだ。」
「ふ~ん。それでこの人強いの?」 
「あぁ。こいつがいればまず並の能力者は太刀打ちできないだろう。」
「もはや1人で一つの軍と呼べる強さだしな。」
「へぇ~!そんな強いのか!!」
「なら安心だ!これからよろしくな!ロキ!」
 茜の言葉にロキも少しおちゃらけた様子で返答する。
「よろ~~。お嬢ちゃん。」
「お嬢ちゃんじゃない!茜ってきちんとした名前があるんだ!」
「なかなか威勢の良い嬢ちゃんじゃねぇか。」
 出会って早々、ふざけ合っている2人を見て少し安心した俺は茜にひとこと言った。
「少し1人になってくる。」
「斗真大丈夫か?なんか嫌なことでもあったのか?」
「心配するな。それじゃあ行ってくる・・・。」
 俺はその場から離れ拠点の屋根に登った。
「・・・・・・。」
 朝日が昇ってくるのを俺はじっと動かずに見ていた。
 するとそこへロキがやってきた。
「こんな所で何してんだよ?斗真。」
 俺はロキの言葉には反応せず黙っている。
 するとロキが呆れたような声を出し言った。
「あいつらとの別れ。後悔してんのか?」
 その言葉も最初は黙っていたが俺は口を開きゆっくり語り出した。
「後悔なんでじでねぇよ!」
 ・・・俺は今泣いている。
 大粒の涙を流し泣いているのだ。
 思い出されるのは煌たちとの思い出。
 その思い出が頭の中を満たしている。
「ウゥ・・・!」  
 世界に叛逆する身として弱気になってはダメだと頭ではわかっていたが涙が止まらなかった。
 なにせ今まで暗く閉ざされた生活をしてきた俺の人生に光を与えてくれた存在なのだ。
 人を殺しスラムを己の弱さ故に消し全てを失った。
 そんな俺の新しく出来た希望の光。
 だけど俺は今なお溢れてくる涙を拭い己の心に今一度、強く誓った。
 弱音を吐くな。
 俺自身が選んだ道だ。
 前を見ろ。覚悟を決めろ。己の信じる道を行け。
 例え世界中の奴らから『悪』だと後ろ指を刺されようとも折れずに戦い続けろ。
 無能力者や能力者の垣根を超えてみんなが平等に楽しく笑い合えるような未来を作るために。
 そして奈津のために・・・。
 俺は立ち上がり昇る太陽を背にしてロキに言った。
「行こう。ここからが最強の叛逆だ。」
 
 
 
 
 
 

 
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