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第一章 カラス色の聖女
神殿の森2
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ザクザクと草を踏み締める音を立てながら道なき道を進んで行く。
背の高い木々に囲まれた森はどこまでも暗く、バレンド司祭たちが持つランタンの小さな灯りだけが頼りだ。
横抱きに抱えられた小鳥は無防備に晒された腕や足が、木から長く伸びた枝や葉にピシピシと当たる微かな痛みを感じていた。
草むらを踏み締める音だけが響く不気味なほど静かで暗い森に、不安な気持ちが次から次へと湧き出てくる。しかし、毒らしき物を飲まされ身体が痺れて動けない小鳥は、彼らに運ばれるがまま身を任せるしかない。
(神殿の周りにある森ってこんなに暗かったんだ…。すごく嫌な感じがするのは不安に感じているせい?でも、この先には行ってはいけない気がする……)
バレンド司祭を先頭に進むこの小さな集団は、道のない暗い森の中を迷わず真っ直ぐと目的の場所へと進んで行く。どれほどの時間運ばれているのか、空まで木に囲まれたこの場所では全く分からない。
小鳥は彼らが歩みを進める毎に不穏な気配が濃くなるのを感じていた。全身で感じるその嫌な感覚に全力で逃げ出したい気持ちであった。
ヒシヒシと感じる不穏さに泣きたい気持ちが溢れそうな時、ふと目の端でぽわりと何かが光った気がした。誰かのランタンの灯りかと視線を動かしたが、そこには暗い森が広がるだけであった。
(今、何か光ったと思ったんだけど……。でもバレンド司祭も誰も反応してない。気のせい?それとも身体が動かないだけじゃなくて、視界もおかしくなってるのかな……)
小鳥には光が見えた気がしたが、誰も気にした様子もなくザクザクと足音を響かせながら歩みを進めて行った。
「さあ、着きましたよ」
そんなバレンド司祭の声が聞こえるよりも先に目に飛び込んで来たのは、辺り一面の真っ白な花であった。
深い森の中ぽっかりと開けたその場所は学校のグラウンドほどの広さで、辺り一面に白い花が咲き乱れている。花々に埋もれるようにその中央には小さな湖が静かに佇む。凪いだその水面には、ヴェールを被ったような霞んだ月を映し出していた。
くしゃりと花々を踏みつぶしながら、バレンド司祭たちは湖へと近付いて行く。遠目では気付かなかったが、湖のすぐ側には白い花々の中に隠れるように、白い大理石のような石で出来た台があった。人一人が乗せられるくらいのサイズのその台を前に、小鳥はドクドクと全身が波打っているのではないか、と思うほど鼓動が早くなった。
(人を寝かせるのにぴったりサイズの台……。これはもう明らかにそういう目的の場所なのでは……?それに嫌な気配の元凶は多分ここだわ)
真っ白な花々が咲き乱れ穏やかな湖をたたえるこの場所は、誰が見ても神秘的でとても美しく感じるだろう。しかし、小鳥はその美しさよりも禍々しさを強く感じていた。
(……駄目。ここに居てはいけない…!逃げなきゃ!!)
小鳥は動かない身体に頑張って力を入れてみるが、指先が僅かにピクリと動く程度しか動かせない。口も小さくハクハクと動かせる程度でとても話せるような状態ではない。
「では、ここに聖女様を寝かせなさい。こちら側に頭がくるようにするのですよ」
「はい。司祭様」
バレンド司祭が小鳥を横抱きに抱えている男性に指示を出すと、男性は湖の近くへと進んで行く。ひんやりとするその白い台へと小鳥を静かに寝かせると、バレンド司祭たちの後ろへと控える。
入れ替わるように今度は、バレンド司祭と同じローブを着た男性が進み出てくる。
その手には、この場所に咲いている真っ白な花を何輪か摘んで作った花束を持っている。真っ白なその花束を小鳥の胸の上に置くと、花束を持たせるかのように小鳥の両手を添えさせる。
「ええ。それで良いでしょう。……それでは、神々への祈りを捧げましょう」
バレンド司祭を含むローブを着た四人と小鳥を抱えていた男性は、小鳥が寝かされている台を前にその場に跪く。バレンド司祭を中心とし、何やら祝詞らしき言葉を両手を広げて唱えている。神々へ生贄を捧げるような内容のその祝詞に、小鳥の恐怖と焦りはピークに達した。
(逃げなきゃ!!誰か助けて!!)
小鳥は必死に心の中で叫ぶがそれはどこにも届かない。そんな絶望感にじんわりと目尻に涙が滲む。
星々に歌ったあの夜、カレンリードにいざと言う時は歌えと言われた。しかし、助けが欲しい今この場所で、指先ひとつ満足に動かせない身体の小鳥には歌うことなど出来なかった。
「神々への祈りは捧げました。続いて、供物を捧げましょう」
その言葉を合図に、ローブの男性が布に覆われた長細い物を小鳥を抱えていた男性へと手渡す。男性がそれを受け取ると丁寧に布を外していく。そこに現れたのは、美しい宝石が散りばめられた鞘に収まった剣であった。
剣を手にした男性は小鳥が寝かされた台の目の前に立っているバレンド司祭の元まで行くと、跪き両手でその剣を恭しく差し出した。
「では、あなたはこちらに立ちなさい。ええ、そこで構いませんよ」
男性を湖の側に立たせると、躊躇いなく剣で彼の胸を一突きに刺した。背中まで貫通したその切っ先からは、ぽたりぽたりと赤い雫が湖へと落ちていく。
「ぅぐあっ……!!司、祭さ…ま……。どうして……!」
「あなたはその身分には余る事を知ってしまったのです。ですから、聖女様と共に神々の元へと戻ってもらうのですよ。きっと神々はあなたを喜んで迎えてくれるでしょう」
湖の側に崩れ落ちた男性の肩を押し、湖へとその身を押し出す。じんわりと赤い液体を広げながら男性の身体がゆっくりと流れて行く。風もなく、水の流れもないはずの湖の中をゆっくりと。
後ろに控えていたローブの男性が足元の白い花をいくつか摘むと、湖に浮かぶ彼への手向けのようにふわりと投げ入れた。別のローブの男性はバレンド司祭から剣を受け取ると、剣に付いた血を布で丁寧に拭っていく。
バレンド司祭の手に剣が戻った時には、湖に浮いていた男性の姿はもうどこにもなかった。
「さて。それでは聖女様を神々へ捧げましょう。暗闇の色を宿したその身であれば、夜を統べる神も特別お喜びになることでしょう」
小鳥のすぐ側に立つバレンド司祭の顔には、いつもと変わらない笑みが浮かんでいるように見えた。しかし、その顔から微かに見え隠れする狂ったような笑みに、小鳥は全身から血の気が引いた。
(今までのバレンド司祭はなんだったの?今の彼が本性ということ?)
「神々に感謝と祈りを込めて供物を捧げます。我らをどうか正しくお導きください」
バレンド司祭が小鳥に向け剣を大きく振りかぶると、その刀身が鈍く光った。霞んだ月を背にした光景を、小鳥は目を閉じることも出来ず諦めを滲ませたその黒い瞳に映していた。
(あぁ、駄目だ。逃げられない……。ここまでなのかなぁ……)
――リィン
天高く掲げられた剣が振り下ろされた瞬間、どこからか澄んだ鈴の音が聞こえてきた。小さなその音は重く苦しく淀んだ空気を切り裂いた。
突然吹いた風は、辺りの真っ白な花びらを舞い上がらせ、霞んでいた月からその薄いヴェールを奪い去る。湖は煌々と天に輝く月明かりを映し出した。
ふわりと舞ったひとひらの花びらが小鳥の頬を掠めた時、それまで重く痺れていた身体が嘘かのように軽くなった。
(動ける……!!)
小鳥の胸へと真っ直ぐに振り下ろされる剣を、すんでのところで身体を捻りかわす。なんとかその身を貫かれずに済んだが、完全には避けきれず小鳥の二の腕を刃が掠めた。多少の痛みはあるがこの程度ならば問題はない。
待たされていた真っ白な花束をバレンド司祭へ思い切り投げつけると、小鳥は台から滑るように降りる。地面に着いた両足にも今は痺れが全くない。
「どういうことだ!?何故動ける!?」
「捕まえろ!儀式を終わらせなければ…!!」
ローブの男性たちが口々に何かを言っているが、バレンド司祭は剣を手にしたまま呆然と立ち尽くしている。小鳥はそんな様子などには目もくれず、深い森の中へと駆け出した。
その時にはもう、先ほどまで吹いていた風は止み、月は雲に隠れ辺りは暗くなっていた。
背の高い木々に囲まれた森はどこまでも暗く、バレンド司祭たちが持つランタンの小さな灯りだけが頼りだ。
横抱きに抱えられた小鳥は無防備に晒された腕や足が、木から長く伸びた枝や葉にピシピシと当たる微かな痛みを感じていた。
草むらを踏み締める音だけが響く不気味なほど静かで暗い森に、不安な気持ちが次から次へと湧き出てくる。しかし、毒らしき物を飲まされ身体が痺れて動けない小鳥は、彼らに運ばれるがまま身を任せるしかない。
(神殿の周りにある森ってこんなに暗かったんだ…。すごく嫌な感じがするのは不安に感じているせい?でも、この先には行ってはいけない気がする……)
バレンド司祭を先頭に進むこの小さな集団は、道のない暗い森の中を迷わず真っ直ぐと目的の場所へと進んで行く。どれほどの時間運ばれているのか、空まで木に囲まれたこの場所では全く分からない。
小鳥は彼らが歩みを進める毎に不穏な気配が濃くなるのを感じていた。全身で感じるその嫌な感覚に全力で逃げ出したい気持ちであった。
ヒシヒシと感じる不穏さに泣きたい気持ちが溢れそうな時、ふと目の端でぽわりと何かが光った気がした。誰かのランタンの灯りかと視線を動かしたが、そこには暗い森が広がるだけであった。
(今、何か光ったと思ったんだけど……。でもバレンド司祭も誰も反応してない。気のせい?それとも身体が動かないだけじゃなくて、視界もおかしくなってるのかな……)
小鳥には光が見えた気がしたが、誰も気にした様子もなくザクザクと足音を響かせながら歩みを進めて行った。
「さあ、着きましたよ」
そんなバレンド司祭の声が聞こえるよりも先に目に飛び込んで来たのは、辺り一面の真っ白な花であった。
深い森の中ぽっかりと開けたその場所は学校のグラウンドほどの広さで、辺り一面に白い花が咲き乱れている。花々に埋もれるようにその中央には小さな湖が静かに佇む。凪いだその水面には、ヴェールを被ったような霞んだ月を映し出していた。
くしゃりと花々を踏みつぶしながら、バレンド司祭たちは湖へと近付いて行く。遠目では気付かなかったが、湖のすぐ側には白い花々の中に隠れるように、白い大理石のような石で出来た台があった。人一人が乗せられるくらいのサイズのその台を前に、小鳥はドクドクと全身が波打っているのではないか、と思うほど鼓動が早くなった。
(人を寝かせるのにぴったりサイズの台……。これはもう明らかにそういう目的の場所なのでは……?それに嫌な気配の元凶は多分ここだわ)
真っ白な花々が咲き乱れ穏やかな湖をたたえるこの場所は、誰が見ても神秘的でとても美しく感じるだろう。しかし、小鳥はその美しさよりも禍々しさを強く感じていた。
(……駄目。ここに居てはいけない…!逃げなきゃ!!)
小鳥は動かない身体に頑張って力を入れてみるが、指先が僅かにピクリと動く程度しか動かせない。口も小さくハクハクと動かせる程度でとても話せるような状態ではない。
「では、ここに聖女様を寝かせなさい。こちら側に頭がくるようにするのですよ」
「はい。司祭様」
バレンド司祭が小鳥を横抱きに抱えている男性に指示を出すと、男性は湖の近くへと進んで行く。ひんやりとするその白い台へと小鳥を静かに寝かせると、バレンド司祭たちの後ろへと控える。
入れ替わるように今度は、バレンド司祭と同じローブを着た男性が進み出てくる。
その手には、この場所に咲いている真っ白な花を何輪か摘んで作った花束を持っている。真っ白なその花束を小鳥の胸の上に置くと、花束を持たせるかのように小鳥の両手を添えさせる。
「ええ。それで良いでしょう。……それでは、神々への祈りを捧げましょう」
バレンド司祭を含むローブを着た四人と小鳥を抱えていた男性は、小鳥が寝かされている台を前にその場に跪く。バレンド司祭を中心とし、何やら祝詞らしき言葉を両手を広げて唱えている。神々へ生贄を捧げるような内容のその祝詞に、小鳥の恐怖と焦りはピークに達した。
(逃げなきゃ!!誰か助けて!!)
小鳥は必死に心の中で叫ぶがそれはどこにも届かない。そんな絶望感にじんわりと目尻に涙が滲む。
星々に歌ったあの夜、カレンリードにいざと言う時は歌えと言われた。しかし、助けが欲しい今この場所で、指先ひとつ満足に動かせない身体の小鳥には歌うことなど出来なかった。
「神々への祈りは捧げました。続いて、供物を捧げましょう」
その言葉を合図に、ローブの男性が布に覆われた長細い物を小鳥を抱えていた男性へと手渡す。男性がそれを受け取ると丁寧に布を外していく。そこに現れたのは、美しい宝石が散りばめられた鞘に収まった剣であった。
剣を手にした男性は小鳥が寝かされた台の目の前に立っているバレンド司祭の元まで行くと、跪き両手でその剣を恭しく差し出した。
「では、あなたはこちらに立ちなさい。ええ、そこで構いませんよ」
男性を湖の側に立たせると、躊躇いなく剣で彼の胸を一突きに刺した。背中まで貫通したその切っ先からは、ぽたりぽたりと赤い雫が湖へと落ちていく。
「ぅぐあっ……!!司、祭さ…ま……。どうして……!」
「あなたはその身分には余る事を知ってしまったのです。ですから、聖女様と共に神々の元へと戻ってもらうのですよ。きっと神々はあなたを喜んで迎えてくれるでしょう」
湖の側に崩れ落ちた男性の肩を押し、湖へとその身を押し出す。じんわりと赤い液体を広げながら男性の身体がゆっくりと流れて行く。風もなく、水の流れもないはずの湖の中をゆっくりと。
後ろに控えていたローブの男性が足元の白い花をいくつか摘むと、湖に浮かぶ彼への手向けのようにふわりと投げ入れた。別のローブの男性はバレンド司祭から剣を受け取ると、剣に付いた血を布で丁寧に拭っていく。
バレンド司祭の手に剣が戻った時には、湖に浮いていた男性の姿はもうどこにもなかった。
「さて。それでは聖女様を神々へ捧げましょう。暗闇の色を宿したその身であれば、夜を統べる神も特別お喜びになることでしょう」
小鳥のすぐ側に立つバレンド司祭の顔には、いつもと変わらない笑みが浮かんでいるように見えた。しかし、その顔から微かに見え隠れする狂ったような笑みに、小鳥は全身から血の気が引いた。
(今までのバレンド司祭はなんだったの?今の彼が本性ということ?)
「神々に感謝と祈りを込めて供物を捧げます。我らをどうか正しくお導きください」
バレンド司祭が小鳥に向け剣を大きく振りかぶると、その刀身が鈍く光った。霞んだ月を背にした光景を、小鳥は目を閉じることも出来ず諦めを滲ませたその黒い瞳に映していた。
(あぁ、駄目だ。逃げられない……。ここまでなのかなぁ……)
――リィン
天高く掲げられた剣が振り下ろされた瞬間、どこからか澄んだ鈴の音が聞こえてきた。小さなその音は重く苦しく淀んだ空気を切り裂いた。
突然吹いた風は、辺りの真っ白な花びらを舞い上がらせ、霞んでいた月からその薄いヴェールを奪い去る。湖は煌々と天に輝く月明かりを映し出した。
ふわりと舞ったひとひらの花びらが小鳥の頬を掠めた時、それまで重く痺れていた身体が嘘かのように軽くなった。
(動ける……!!)
小鳥の胸へと真っ直ぐに振り下ろされる剣を、すんでのところで身体を捻りかわす。なんとかその身を貫かれずに済んだが、完全には避けきれず小鳥の二の腕を刃が掠めた。多少の痛みはあるがこの程度ならば問題はない。
待たされていた真っ白な花束をバレンド司祭へ思い切り投げつけると、小鳥は台から滑るように降りる。地面に着いた両足にも今は痺れが全くない。
「どういうことだ!?何故動ける!?」
「捕まえろ!儀式を終わらせなければ…!!」
ローブの男性たちが口々に何かを言っているが、バレンド司祭は剣を手にしたまま呆然と立ち尽くしている。小鳥はそんな様子などには目もくれず、深い森の中へと駆け出した。
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