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5話
しおりを挟む「なにがおかしいの?」
バルサに聞かれても答えようがない。
どこがおかしいのかと言えばどこもおかしい。
すると突然スマホが震えた。
画面に表示された名前は……親父だ。
慌てて電話に出る。
『もしもし、幸平か? 良かった、無事なんだな』
『ああ、でも何が何だか……』
『そっちがだいぶキナ臭い事になってるって新聞で見てな、母さんが心配だからとにかく電話してみろというから掛けたんだ。奇跡的に繋がってよかった』
『親父と母さんは大丈夫なのか?』
『ああ、こっちでもヤツらはそれなりに居るみたいだがな、まあ田舎だから。それよりそっちだ。相当増えているらしいじゃないか』
『その、ヤツらとか増えてるとかって……?』
『まあいい、お前が無事だってわかってよかった。間に地域国境がなければすぐ帰ってこいと言えるんだが、今は仕方ない。とにかく危険な事はするなよ。ヤバいと思ったらすぐ逃げるんだぞ。金は一応送っておいたがこのご時世だ、どれだけ役に立つかはわからん。とにかく命を大切にな。こっちのことは心配するな。電話もあまり長くしてるとマズイからな、もう切るぞ』
『おい、親父、待てよ』
『とにかくなんとか生き延びるんだぞ、命以上に大事な物なんかないんだからな、母さんを悲しませるなよ。何とか無事に帰って来い。じゃあな』
訳が分からないうちに親父は早口で話して、一方的に電話を切ってしまった。
慌てて掛け直すが繋がらず、呼び出し音さえしない。
とにかくなんだかヤバいことになってる、その事だけは何となく分かった。
でもそれ以外は何が何だかさっぱりだ。
検索してみようとスマホをいじるが、繋がらない。
どうやらネットも完全に死んでるようだ。
「外に出てみるか……」
部屋に居ても何も分からない。
悩んだ結果、なんだかヤバそうだが外に出てみる事にした。
部屋着から着替える。
久しぶりに着る(日付け的には昨日ぶりだけど)現代の服にはなんだか違和感がある。
ファンタジー世界の服に慣れていたからなあ。
剣がないのも心許ない。
この世界であんな剣持って歩いてたら、すぐ銃刀法違反で捕まるだろうけど。
「問題はお前をどうするかだ。ここで留守番してるか?」
「置いてきぼりは嫌だよ?」
バルサを連れて外に出ると騒ぎになりそうだが、言う事を聞いてくれそうにない。
コイツは見た目可愛いくせに頑固だから言い出したら聞かない。
まあ同じ頑固でも見た目可愛い分髭面のオヤジよりはましだけどな。
無理にこの部屋に置いて行くと、勝手にパタパタと外に出てしまいそうだ。
そうなったら大騒動間違いない。
仕方ない、なんとか隠して連れて行こう。
俺は前に使っていたリュックを引っ張り出した。
「いいか、この中に大人しく入ってるんだ。勝手に外に出ようとしたり、人のいるところで話したりしないと約束しろ」
「ボクはいつでも大人しいよ?」
別に嫌ではないらしく、バルサは素直にリュックの中に入ってくれる事になった。
まあ向こうの世界でもバックパックの中に入れたりしていたからな。
俺はそのリュックに貴重品や懐中電灯、着替えなどとりあえず使いそうなものを入れた。
その上からバルサを入れて担いで部屋を出る。
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