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15話

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「な、何言ってんだ。アタイみたいな女が男と、それもアンタみてえなのとどうこう出来るわけないだろうが」

 ミネバは分かりやすく動揺した。
 よしよしかなり来てる、あと一歩だ。

「そうか? 俺はお前を抱いてみたいけどな」

「ふ、ふざけた事言ってんじゃねぇよ。だいたいアンタは普段から王様とかお偉い貴族様とか、綺麗どころばっかり相手にしてんだろうが。そのアンタがアタイみたいなイカツイのを抱きたいとか言っても、素直にハイそうですかと信じれる訳ゃねえだろうがよ」

 ふーん、コイツはまだ俺がこの世界に召喚されたばかりだと知らないようだ。
 しかしこの世界でもいい女の定義は元の世界とあまり変わらないのか。
 こういうガタイがいいのも女が相手なら人気があるのかと思ったが。
 いい事を聞いた、今後の参考にしよう。

「ずいぶんひねくれちゃってるんだな。お前が言う通り、俺は普段ああいう着飾った奴ばかり相手にしてるからな。却ってお前みたいなのに食指が動くんだよ」

「そ、そんな事言っても信じねえぞ。アタイはそれほどネンネじゃねえ。アタイの気を引いてその隙に逃げ出すつもりだろうがよ!」

 あはは、バレてる。
 コイツは丸っきりの馬鹿じゃないな。
 だが、これからが勝負だ。

「信用がないんだな。だったら鍵を俺の手の届かない所に置いてこっちに来いよ。鉄格子越しに可愛がってやる。そうすりゃ安心だろ?」

「……本気なのか?」

「ミネバ、男を知らずに死ぬのは残念だろ。俺が本当の男を教えてやる。こんな機会は二度とないぞ」

「アタイが男と、それも王様の相手をする程の……確かにこんなチャンスはもう……」

 明らかに悩んでいる、もう針に食いついたも同然だ。
 後はバラさないように釣り上げるだけ。

「俺としてはミネバとヤッてみたいんだがなあ。嫌なら仕方ないけど」

「アンタ、本当に騙すつもりはないんだな。もし騙したら殺してやるからな」

 HIT!

「当たり前だ。だから鉄格子越しでいいと言ってるだろ。何をためらってるんだ、怖いのか?」

「嘘だったらマジで殺してやる。早く殺された方がマシだってくらいじっくり痛ぶってからな」

 そう言って鞭と鍵を離れた机の引き出しにしまって、ミネバはゆっくり近づいてきた。
 顔が真剣過ぎて怖い、こりゃ本気で言ってるな。

「それでアタイにどうしろって言うんだ?」

 まだ疑いの眼差しのミネバが俺の目を見つめた。
 安心しろ、今から本当に楽しませてやるから。
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