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 うっすらとした淡いオレンジの明かりが、芽衣めいの身体に陰影を落とす。
 坂田さかたに優しい手つきでガウンや下着を取り払われ、芽衣はなにも身につけずにベッドに横たわっている。坂田も、なんのためらいもなくガウンを脱ぎ捨て黒のトランクスだけを身につけている。

 服を着ている時は、身長の高さも相まって線が細い印象を与えるが、脱ぐとしっかりと鍛え上げられた腹筋や、厚い胸板が目に入る。二の腕も、芽衣の腕とは比べものにならないくらい太い。
 その身体つきは、坂田が男性である、ということを否応なしに意識させられる。
 芽衣はますます恥ずかしくなって、ベッドの上でぎゅっと縮こまった。

「隠さないで、ちゃんと見せてくださいよ」

 坂田が芽衣の両手を取って、シーツに縫いつける。胸の形をなぞるように舌を這わされ、芽衣は無意識のうちに両膝を擦り合わせる。
 ふいに、芽衣の唇に坂田の指が押しつけられた。なにをするべきなのか、戸惑っていると指先は唇を割り、芽衣の舌をなぶるようにもてあそぶ。
 芽衣の口から指を引き抜くと、坂田は唾液でじっとりと濡れたその指を芽衣の秘部へと押し当てた。

「痛かったら、ちゃんと言って」

 坂田は短く断ってから、芽衣のナカへと指を埋める。とろけきったそこは、いとも簡単に坂田の指を飲み込んだ。息を吐くたびに、坂田の目を見るたびに、芽衣の意識とは別に下腹部の筋肉がぎゅっと縮まり、埋められた指の形がはっきりと分かるようになる。
 芽衣が異物に慣れたと分かると、坂田の指が少しずつうごめき出した。丹念にナカを擦られ、その快感を逃そうと、芽衣はシーツを握りしめる。

「こっち見て。先輩の気持ちいいところ、俺に教えて」

 坂田が空いた手で、芽衣の頭をやさしく撫でる。恥ずかしくて、目をらしたいのに、逸らせない。
 ナカで蠢いていた指が、トンと一点を叩く。痺れるような快感に、芽衣は思わず身をよじり、坂田の腕にしがみつき、首を振った。

「ま、まって、そこだめ」
「ここ?」

 坂田がもう一度、同じ一点を擦る。そのたびに、芽衣の意識とは裏腹に太ももが痙攣し、腰が揺れる。

「先輩は、ここが気持ちいいんですね」

 一点だけを集中して、同じリズムでトントンと擦られると、芽衣は坂田の腕にしがみつきながら漏れ出る声を我慢できなかった。
 快感の中に、耐え難い尿意のようなものが襲ってくる。

「坂田くんっ、だめ、っなんか! 漏らしそうだからぁっ……」
「いいですよ、漏らしても」

 坂田が震える芽衣の唇にキスを落とす。そのまま、芽衣の嬌声を飲み込むように、深く、舌を潜り込ませる。
 芽衣は内ももにぎゅっと力を入れ、溢れ出る快感を必死に押し留めた。
 キスの合間に、坂田が呻く。

「やば、指ちぎれるって……」

 芽衣の身体がぶるりと大きく震える。大きな波のような快感が去り、芽衣は呆然と坂田の顔を見つめた。
 よかった、漏らさなかった。芽衣の頭にはそれしか残っていない。ぼうっとする頭で坂田を引き寄せ、まじまじとその顔を見る。

 既視感が、芽衣を襲った。眼鏡を外した坂田の顔を、芽衣はどこかで見たことがある。目の悪い坂田が大学で眼鏡を外すことなど、ありえない。
 自分は一体、どこでなにを見たのか?

 芽衣に呆けたような表情で見つめられていることに気づいた坂田は、芽衣のナカからずるりと指を引き抜いた。引き抜かれた時の刺激と、喪失感で甘い痺れが走る。

「俺の顔に、なんかついてます?」
「ちがうの。なんだか、眼鏡をかけてない坂田くんのことを、どこかで見たことある気がして」
「……大学で眼鏡外したことないし、気のせいじゃないっすか」

 坂田は芽衣の雑談に応じながらも、手早く用意を済ませていた。
 わずかなゴムのカサカサとした感触と、ひたりと熱い熱が芽衣の秘部に押しつけられる。その熱さに、芽衣はぎゅっと胸が詰まる思いがした。
 直視するのもはばかられ、きちんと見たわけではないが、坂田のものは相当大きいように思う。比べる対象が伊織しかいないため、あまり参考にならない話ではあるが。

「本当に、いいんすか」

 坂田はここまで来て、さらに芽衣に確認する。芽衣が「はい」と言わない限り、坂田は引き返し、今日のことはなかったことになるだろう。
 それだけ坂田は、芽衣のことをまるでお姫様と接するかのように丁重に扱った。

「いいよ」

 坂田の首に腕を回しながら、ささやく。坂田は一瞬、息を飲んでから芽衣の頭を撫で、ぐっと下半身を押しつけてきた。
 指とは比べものにならないほどの圧迫感と異物感。坂田のものが、芽衣のナカをメリメリと拡げ、押し進む。
 坂田は絶えず芽衣の唇を食み、頭を撫でる。

「力、抜いてください。っ、深呼吸して」

 芽衣が大きく息を吐くと、坂田は一気に芽衣のナカへ押し入った。腹の中にみっちりと詰まった質量を感じるが、不思議と痛くはない。むしろ、坂田の熱が溶け合ったように、奥からどっと蜜が溢れ出してくるのを感じる。
 坂田を受け入れたまま、芽衣はぞくぞくと這い上がる熱を持て余し、肩を震わせた。ナカに入った坂田のものが、グンと質量を増す。

「先輩ほんと……その顔、だめだって」

 坂田が苦しそうに呟くものの、芽衣にはなんのことか分からない。自分の顔を確認する術もない。
 芽衣は眉を寄せる坂田の頭を、よしよしと撫でる。

「動いて、いいよ」

 年上らしくリードしようと思ってそんなことを言ったが、坂田はふるふると頭を振った。

「だめです、馴染んでからじゃないと」

 芽衣のナカは、とっくに坂田のものをがっちりと咥え込み、絶え間なくじわじわと蜜を溢れ出させている。
 早く動いて欲しい。この大きなものがずるりと抜かれ、また穿たれる感覚を芽衣は欲している。坂田のもので、ぐちゃぐちゃにかき回して欲しい。
 芽衣は、坂田に組み敷かれたまま、ゆるゆると腰を動かした。けれど、刺激は弱く、あのずるっとした抜ける感覚もない。

 坂田が詰めていた息を吐き出し、芽衣の頭を抱え込む。
 汗の匂いとともに、太いそれがゆっくりと抜かれる感触がした。空虚を感じたのは一瞬で、すぐに勢いよく奥まで打ち込まれる。
 ぱんっ、と素肌がぶつかり合う音がして、芽衣は予想以上の快感に、身をよじった。
 しかし、坂田に抱え込まれた身体はびくともしない。
 立て続けに二度、三度と打ち込まれ、逃れようとした爪先がシーツを蹴る。

「ま、だめっ、だめ! も、っと、やさしくっ……!」
「先輩が、動いていいって、言ったんじゃない、っすか……!」
「言ったけど、っ! 言ったけど、こんな……ぁ!」

 奥を突かれるたびに、全身がぶるぶると震える。しっかりと坂田の腕に抱き抱えられ、逃げ場がない。ただひたすら、打ち込まれるその熱を、波のように押し寄せる快感を、全身に浴びて、耐えるしかない。

 坂田は執拗に、芽衣の一番奥に穿ち、入り口ぎりぎりまで引き抜くと、また打ち込む。
 決して早いペースではない。乱暴に、突き入れているわけでもない。一定のペースで、トントンと奥を突かれるたびに、芽衣のナカはぎゅうっと締まり、終わりの見えない快感にさいなまれるのだった。
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